2008年5月25日 (日)

祝『ホビットの冒険』製作開始!

Photo_2  『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚にあたる『ホビットの冒険』が2部作として製作され、2011年&2012年に公開されることが決まったそうです。

 製作総指揮と脚本を務めるのは『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンとフラン・ウォルシュ。監督を務めるのは『パンズ・ラビリンス』や『ヘルボーイ』で有名な知られるメキシコ人映画監督ギレルモ・デル・トロが正式に就任したようです。
 
ストーリーは『ホビットの冒険』の原作を下敷きにした1作目と、改めて執筆される2作目の2部構成になるそうです。
『ホビットの冒険』は『ロード・オブ・ザ・リング』にも登場したフロドの叔父のビルボ・バキンズが主人公の冒険物語で、ガンダルフやゴラムも登場します。

 『ロード・オブ・ザ・リング』でガンダルフを演じたイアン・マッケランとゴラムを演じたアンディー・サーキス、そしてアラゴルンを演じたヴィゴ・モ-テンセンはと同じキャラクターで出演する方向で現在調整しているそうです。
 
 監督いわく「1作目『ホビットの冒険』は原作だけで完結する映画になるが、2作目は我々が議論を重ねて作り込むんだ。それが出来ることになって興奮しているよ。なぜって、2作目は“添え物”でも“埋め合わせ”でもないからね。物語を語る上で欠くこと出来ない50年の歴史を描く」とのことです。

現在プリプロダクション中で来年度から撮影に入るそうです。公開は3年後となりますが、『ロード・オブ・ザ・リング』ファンとしては今から非常に楽しみですね。

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2008年3月30日 (日)

『幻魔大戦』映画鑑賞日記

Photo  宇宙全域の消滅を企てる幻魔と超能力をもつ人たちとの戦いを壮大なスケールで描いた『幻魔大戦』。元々は平井和正と石森章太郎が共作で「週刊少年マガジン」に掲載されていました。掲載中から読者からの人気が高く、連載終了後も漫画や小説の形で続編が数々製作されました。
そんな『幻魔大戦』を当時勢いに乗っていた角川映画が自社初のアニメ作品として製作。日本アニメを代表するクリエイターを集め、音楽にキース・エマーソンを起用、声優に美輪明宏や江守徹など声優でない人を据えるなど大作感溢れる作りが大変話題になりました。

本作品は長い原作をかなり端折って作っているので、ストーリーに関しては大河ドラマのダイジェスト版を見ているかのようでした。それでも前半は主人公が超能力に目覚めて自らの運命を受け入れるまでを丁寧に描いており人間ドラマとして見ごたえがありました。しかし、後半は多くの仲間が次々登場するにも関わらず、その個性やドラマが余り描かれていないために集団での戦闘シーンの派手さの割りに今ひとつ話しに面白みがありませんでした。ラストも無理やりハッピーエンドにしたかのような展開で「えっ、これで終わり」といった印象を受けました。

 ストーリーに関しては個人的に残念な出来でしたが、映像に関しては今見ても大変見ごたえがありました。
 『AKIRA』の大友克洋がキャラクターデザインとして関わっているので、登場人物たちの独特な表情や姿だけを見ているとまるで大友作品を見ているかのような錯覚を受けました。(ストーリーも『AKIRA』に似てますしね。)
 またアニメファンの間では有名な金田伊功がスペシャルアニメーターとして参加しており、ラストの主人公たちと火炎竜と対決シーンで迫力のある映像を生み出していました。
 
 本作品は日本アニメを代表する傑作とまでは言い難い面がありますが、スケールの大きなアニメが好きな人や大友克洋が好きな人なら見て損はないと思います。  

上映時間 135分
製作国 日本
製作年 1983年
監督: りんたろう 
原作: 平井和正、石森章太郎 
脚本: 真崎守、桂千穂、 内藤誠 
撮影: 八巻磐 
美術: 男鹿和雄、窪田忠雄 
美術監督: 椋尾篁 
編集: 田中修 
音楽: 青木望 
音楽監督: キース・エマーソン 
キャラクターデザイン: 大友克洋 
作画監督: 野田卓雄 
声の出演: 古谷徹,小山茉美, 原田知世, 池田昌子, 林泰文, 美輪明宏, 佐藤正治 
白石加代子, 江守徹

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2008年3月20日 (木)

『カルテット』映画鑑賞日記

Photo  今回紹介する作品は宮崎駿や北野武の映画音楽で有名な久石譲が初監督した映画『カルテット』です。
  私は昔から久石さんの音楽が大好きだったので、本作品が劇場公開された時は真っ先に劇場に駆けつけ鑑賞したものでした。
 
 ストーリーは弦楽四重奏団を組んだ4人の若者が挫折を乗り越えて再起していくまでを描くという青春映画にありがちな展開で特に目新しいものはありませんでしたが、劇中の音楽が素晴らしく最後まで飽きることなく見ることができました。
 久石さんは本作品を撮るにあたって劇中に流れる40曲もの音楽を作曲し、映画の撮影時も譜面を絵コンテ代わりに利用して俳優の演技やカメラの構図を考えたそうです。
 それだけの甲斐あって、映像と音楽が大変マッチしており、見ていて大変心地よいです。特にコンサートのシーンは演奏の臨場感が見ている側にも伝わってきます。
 また『となりのトトロ』や『天空の城ラピュタ』・『HANABI』など久石さんが今まで手がけてきた映画音楽も随所に使用されており、久石ファンにはたまりません。
 
 映像自体も予想以上に美しく、主人公たちがドサ回りのツアーに日本の田舎を回るシーンや浜辺で主人公たちが演奏するシーンは大変印象的でした。(ただ浜辺のシーンは映像自体は美しいのですが、弦楽器みたいな繊細なものを湿度が高く潮風が吹くような場所に持っていって大丈夫なのか気になりました。)

 ただ音楽の素晴らしさは別として映画の完成度で言うと今ひとつです。その理由は演出がベタというか下手だからです。主人公が葛藤するシーンで雷が鳴って雨が降りだす演出やクライマックスの主人公がカルテットの演奏会に間に合うかどうかの演出も安っぽくて白けてしまいました。
 また本格的な音楽映画を目指しなが、音楽家がバイオリンケースで人を殴ったり、雨の中でケースを濡らす場面など如何なものかと思いました。
 あと役者の演奏シーンも本物のチェリストである久木田薫以外は頑張ってはいるけど指の動きを見ると素人であるということが丸分かりでした。これはある意味、主役に1人本物の音楽家を入れたことが失敗だったと思います。久木田さんの演奏が上手すぎる分、他の人の演奏がどうしても見劣ってしまし気になってしまいました。

 本作品は演出がもっと上手ければ、日本映画を代表する青春音楽映画となっていただけに少し残念でした。 

上映時間 113分
製作国 日本
製作年 2001年
監督: 久石譲 
脚本: 長谷川康夫,久石譲 
撮影: 阪本善尚 
美術: 及川一 
編集: 奥原好行 
音楽: 久石譲 
出演: 袴田吉彦  桜井幸子 大森南朋  久木田薫   藤村俊二 三浦友和

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2008年2月26日 (火)

『犬神家の一族』(2006年版)映画鑑賞日記

『犬神家の一族』(2006年版)
Photo  先日亡くなられた市川崑監督が最後に手がけた作品『犬神家の一族』。本作品は1976年に角川映画第一弾として市川崑監督によって製作され大ヒットした作品を、再び同じ監督、主演でセルフリメイクをしたものです。
 1976年版を始めて見た時はあまりの面白さに何回も見返したものでした。おどろおどろしい殺人事件、その動機に秘められた人間の深い業と哀しみ、市川監督のスタイリッシュな映像と役者たちの重厚な演技。その完成度の高さは今見ても全然色褪せていません。

 本作品のリメイクが決まった時は、76年版とまた違うアプローチの作品になるのかと期待していたものでした。しかし、完成した作品を見ると役者が変わっている以外、シナリオからカット割りに至るまでほとんど同じで、物足りなさを感じてしまいました。
 私のパートナーは昔の作品にCGで最近の俳優が合成されていると勘違いしているほどでした。
 
 本作品はあまりにも前作と似ているために、俳優の演技力の差が非常に気になってしまいました。前作はあまりにも芸達者な役者が出揃いすぎていたところはありますが、それにしても本作品の役者の演技は一部の役者を除いて薄っぺらいです。特に深田恭子は場違いです。
 富司純子はなかなか頑張っていたとは思いますが、前作の高峰三枝子と比べると迫力に欠けます。
ただ前作から継続して出ている石坂浩二、大滝秀治、加藤武が前作とあまり雰囲気が変わっていないことには驚きました。

 映像も前作に比べるとクリアーで明るくなりすぎて重厚感に欠けていたような気がします。

 ただ前作と違うラストシーンは市川監督が亡くなった今思い返すと感慨深いものがあります。本作品は市川監督から映画ファンへの最後の挨拶だったのかもしれませんね。

上映時間 135分
製作国 日本
製作年度 2006年
監督:市川崑 
原作:横溝正史 
脚本:市川崑、日高真也、長田紀生 
撮影:五十畑幸勇 
視覚効果: 橋本満明 
美術:櫻木晶 
編集:長田千鶴子 
音楽:谷川賢作
出演:石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、葛山信吾、池内万作、林家木久蔵、三谷幸喜、深田恭子、奥菜恵、岸部一徳、 大滝秀治、草笛光子、中村玉緒、加藤武、中村敦夫、仲代達矢 

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2008年1月27日 (日)

『サイレントヒル』映画鑑賞日記

Photo  世界中で大ヒットした日本発の人気ホラーゲーム『サイレントヒル』を完全映画化した同名タイトルの本作品。ゲームを映画化した作品は『バイオハザード』シリーズを始め数多くありますが、本作品はその中でもかなり成功した部類に入ると思います。

ストーリー:「ローズとクリストファーの夫婦は、9歳になる養女のシャロンの奇妙な言動に悩んでいた。彼女を救う手掛かりを探しているうちに、サイレントヒルという街の存在を知るローズ。そこは、30年前に大火災に見舞われ誰も近づかないゴーストタウンだった。
 ローズとシャロンはクリストファーの制止を振り切りサイレントヒルへと向う。しかし、サイレントヒルへと続く狭い道の途中で事故に遭い、ローズは気を失ってしまう。彼女が意識を取り戻したとき、シャロンの姿は見えなかった。ローズはシャロンの行方を追って、サイレントヒルの奥深くへと彷徨い込んでいくのだが…。」

 本作品の素晴らしいところは何といってもゲームの世界観を忠実に映像化したところにあります。絶えず白い灰が降り続け視界の悪いゴーストタウンの何ともいえない不気味な雰囲気。そんな街がサイレンの音と共に魑魅魍魎が蠢く地獄へと変化するシーンの張り詰めた緊張感。そして、闇の中から出現するクリーチャーたちの目を背けたくなるほどおぞましい姿。特に頭が三角形のレッド・ピラミッドや顔のないナース集団はおぞましさの中に淫靡なエロティシズムが感じられ強烈なインパクトを放っていました。
 またスプラッターシーンも結構過激で、体が引き裂かれたり粉砕されたりとR指定にならなかったのが不思議なくらいです。
 ビジュアル面に関しては細部までこだわりぬかれており、見所満載です。

 ストーリーに関して言うと家族愛やカルト集団の狂気等をテーマにしており、単なる見世物ホラー映画にはない重厚さがあります。しかし、ゲームをしていない人には説明不足なところがあったり、主人公の行動に首を傾げるところがありました。もう少しサイレントヒルの世界観の説明や主人公の恐怖への葛藤などの心理描写を丁寧に描いてもよかったような気がします。

 本作品で私が好感をもてたのは、ハリウッドのホラー映画にありがちな背後からワッと脅かすようなコケオドシの演出がないところです。観客をじっくりと恐怖に満ちた世界に引きずり込む演出は覚めない悪夢を見ているかのようで緊張感を持って最後まで見ることができました。 
  
上映時間 126分
製作国 アメリカ/日本/カナダ/フランス
製作年度 2006年
監督: クリストフ・ガンズ 
脚本: ロジャー・エイヴァリー 
撮影: ダン・ローストセン 
編集: セバスチャン・プランジェール 
音楽: ジェフ・ダナ 
出演: ラダ・ミッチェル 、ショーン・ビーン、 ローリー・ホールデン、デボラ・カーラ・アンガー、キム・コーツ
 

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2007年12月 9日 (日)

『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』映画鑑賞日記

Photo_2  今回紹介する作品はインディ・ジョーンズシリーズ2作目となる『魔宮の伝説』です。
 
 本作品は2作目ですが、時代設定は1作目の『レイダース 失われたアーク』より1年前となっています。
 ストーリー:「1935年の上海。クラブ「オビワン」で暗黒街の組織と取引をしていたインディは敵の罠にはめられる。何とか危機を脱して、相棒のショート・ラウンドとナイトクラブで知り合った歌手のウィリー共に飛行機で脱出する。しかし、乗っていた飛行機がインドの山に激突。何とか激突前に逃げ出したインディたちは山奥の貧しい村へとたどり着く。そこで、村の長から伝説の秘宝サンカラ・ストーンと村の子どもたちが邪教集団によって奪われてたので取り戻して欲しいと依頼を受ける。依頼を引き受けたインディは敵の城パンコット宮殿へと向かうが・・・。」

 私は小さい頃はインディシリーズの中で一番本作品が好きだったのですが、大人になって見返してみるとイマイチでした。確かにシリーズの中で一番スリリングかつユーモアに溢れておりアクションシーンも満載で、見ていて飽きることはありません。特にラストのトロッコでのチェイスシーンは本作品の最大の見せ場であり、見る者をまるでジェットコースターに乗っているような気分にさせてくれます。

 しかし、前作に比べるドタバタしすぎており、落ち着きがありません。また前作に見られたハードボイルドな雰囲気が本作品にはなく、全体的に子供向けの仕上がりとなっています。
 あと見ていて気になったのは、アジアに対する偏った描写です。宮廷でのグロテスクな食事シーンや邪教集団の描写、ラストのイギリスの騎兵隊が主人公を助けるところなど、アジアに対する欧米の偏見や差別が随所に感じられ見ていてどうかなと思いました。(まあハリウッド映画ではよくあることですが・・・)

 スピルバーグ監督も本作品はあまり気に入っていないようで、自分のフィルモグラフィーの中で一番の駄作と語っているようです。

上映時間 118分
製作国 アメリカ
監督 スティーヴン・スピルバーグ 
製作 ロバート・ワッツ 
製作総指揮 ジョージ・ルーカス,フランク・マーシャル 
原案 ジョージ・ルーカス 
脚本 ウィラード・ハイク,グロリア・カッツ 
音楽 ジョン・ウィリアムズ 
出演 ハリソン・フォード  ケイト・キャプショー  キー・ホイ・クァン ロイ・チャオ 

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2007年10月31日 (水)

『戦国自衛隊』映画鑑賞日記

Photo_2  角川映画が79年に製作した『戦国自衛隊』がテレビで放映されていたので久しぶりに見直しました。
 私がこの映画を始めてみたのは小学生の時でしたが、突然戦国時代にタイムスリップして侍と闘う自衛隊員の姿に夢中になったものでした。特に61式戦車、M3A1装甲車、ヘリコプターなどの兵器で、騎馬や弓矢で突如襲いかかってくる武田信玄の兵士に立ち向かう戦闘シーンの迫力は子どもながらに鳥肌が立ったものでした。

 改めて見直してみるとストーリーの強引さや詰めの甘さはさておいて、生身の人間によるアクションシーンのダイナミックさと戦車と騎馬が同一画面に出てくる構図の強烈なインパクトに最後まで釘付けとなりました。
 また、この映画の面白いところは武力では圧倒的優位なはずの自衛隊員が戦国時代の戦で苦戦して、最後は全滅してしまうところです。武力の差が勝利に繋がるわけでないところが見ていて非常に印象的でした。(まあ、映画の中の自衛隊の戦術自体が隙だらけで負けても仕方ないところがありますが・・・。)

 また人間ドラマとしても千葉真一演じると夏八木勲演じる長尾影虎役の時代を超えた男同士の熱い友情や現代と戦国時代に引き裂かれた恋人たちなど胸が熱くなるシーン満載です。またラストシーンも切なくて結構うるっとさせられます。

 役者陣も今考えると信じられないほど豪華です。千葉真一筆頭に夏八木勲、にしきのあきら 、ムッシュかまやつ 、渡瀬恒彦 、角野卓造 、竜雷太 、小野みゆき 、岡田奈々、薬師丸ひろこ、真田広之・・・・とこれだけの人材を1つの映画に今集めるのはもはや不可能に近いです。

 この映画は自衛隊員が日本人を殺すシーンなどがあり、自衛隊が協力をしてくれず、戦車などの兵器も全て手作りだそうです。当時の映画人たちの情熱に頭が下がります。

 最近『戦国自体隊1549』というタイトルでリメイクもされましたが、はっきり言って旧作には完成度も面白さも足元も及ばないほど酷い出来でした。新作を見るくらいなら、こちらを見た方が絶対良いです。 

製作年度 1979年
製作国・地域 日本
上映時間 138分
監督 斉藤光正 
原作 半村良 
脚本 鎌田敏夫 
音楽 羽田健太郎 
出演 千葉真一 、中康治 、江藤潤 、速水亮 、にしきのあきら 、三浦洋一 、かまやつひろし 、倉石功 、高橋研 、渡瀬恒彦 、河原崎建三 、角野卓造 、鈴木ヒロミツ 、竜雷太 、三上真一郎 、小野みゆき 、岡田奈々

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2007年10月20日 (土)

『ローズ・イン・タイドランド』映画鑑賞日記

Photo  独特な映像表現とブラックユーモアで人気のあるテリー・ギリアム監督の最新作『ローズ・イン・タイドランド』を見ました。
 『未来世紀ブラジル』でギリアムの虜となった私としては近年の彼のパワーダウンがとても残念に思っていたので、「ギリアムが放つ現代版不思議の国のアリス」として宣伝されていた本作品は久々に彼の本領が発揮されているのではと見るまではかなり期待していました。

 しかし、実際見てみると本作品も彼の持ち味が発揮されておらず、非常に残念な出来でした。
 
 ストーリー:「母を亡くし、ドラッグに溺れる父とともに彼の祖母の自宅へ向かった10歳の少女・ローズ。そこには枯れた草原の中に立つ荒れ果てた一軒家がぽつんと立っていた。父はほどなく麻薬中毒で死亡し、独り残されたローズは自らが作り上げた空想の世界の中で生き延びようとする。」

 ギリアム監督らしいダークな内容のストーリーなのですが、彼の最大の魅力であるイマジネーション溢れる映像が少ないです。せっかく空想の中でしか生き延びることの出来ない少女を主人公に持ってきたのに肝心の空想シーンが今ひとつなのでパッとしませんでした。救いようのないストーリーだからこそ少女の内面世界の描写がこの映画の最大の見所でなければならないのに、そこが貧困だと面白みに欠けます。
 
 また、出てくる人物も普通でない人ばかり過ぎて、逆に冷めてしまいました。この手の作品では現実の中の非現実を描くためには現実側に立つ人間がいないと非現実的な世界に生きる人間に対する共感が湧いてきません。

 ただギリアムらしい独特の構図の美しい映像やグロテスクでキッチュな小道具は素敵でした。結構グロい映像もあるのですがあんまり不快感もありませんでした。

 本作品はギリアムの作品の中ではイマイチの完成度だと思いますが、主人公のローズを演じた子役のジョデル・フェルランドの演技は最高に素晴らしいです。最初から最後までずっと登場しっぱなしですが、子どもとしての純粋さと女としての色気の両方を感じさせる演技は大人顔負けです。本作品はこの子に救われたと思います。この子が出演しなければはっきり言って全く面白くない仕上がりになっていたと思います。
 ジョデル・フェルランドの出演する映画は今後も要注目だと思います。


製作年度 2005年
製作国・地域 イギリス/カナダ
上映時間 117分
監督 テリー・ギリアム 
原作 ミッチ・カリン 
脚本 テリー・ギリアム 、トニー・グリゾーニ 
音楽 マイケル・ダナ 、ジェフ・ダナ 
出演 ジョデル・フェルランド 、ジェフ・ブリッジス 、ジェニファー・ティリー 、ジャネット・マクティア 、ブレンダン・フレッチャー 

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2007年10月15日 (月)

『里見八犬伝』映画鑑賞日記

Photo  角川映画に勢いがあった80年代に製作されたファンタジー時代劇『里見八犬伝』がテレビで久しぶりに放映していたので思わず見てしまいました。
 
 私がこの映画を初めて見たのは小学生の時でしたが、大変夢中になったものでした。ロールプレイングゲームさながらの起承転結のはっきりとしたストーリー、妖怪に追われる姫を命を懸けて助ける八剣士たちの勇姿、強烈な個性を放つ悪役の面々、アクションシーンの役者たちの切れのある動き・・・。この映画は子どもの心を虜にする魅力の詰まった作品でした。

 約20年ぶりの再鑑賞でしたが、今見るとセットや特撮のしょぼさがどうしても目に付いてしまいました。まあ当時の邦画としてはがんばっている方だとは思いますが・・・。
 しかし、そこにさえ目をつぶれば、この映画は娯楽映画としては今見てもかなり面白いです。特に豪華なキャスト陣のけれん味あふれる演技はこの映画の最大の見所です。真田広之の切れのあるアクション、京本政樹と萩原流行の妖しいまでの美貌、志穂美悦子の美しく軽やかな立ち回り、千葉真一の渋い存在感、そして夏木マリの強烈なインパクト!登場する役者の一人一人が輝いており、見せ場があります。
 また深作欣二監督の演出もいつもながらに熱く、最初から最後まで画面から目が離せません。特に今回の作品では躍動感と妖しげな雰囲気作りが素晴らしいです。
 ただ唯一残念なのは薬師丸ひろ子と真田広之のラブシーンの演出。このシーンは薬師丸ひろ子の顔のアップばかりで無意味に長く、バックに流れる主題歌もあっていませんでした。
 
製作年度 1983年
製作国・地域 日本
上映時間 136分
監督 深作欣二 
製作総指揮 - 
原作 鎌田敏夫 
脚本 鎌田敏夫 、深作欣二 
音楽 NOBODY 
出演 薬師丸ひろ子 、真田広之 、千葉真一 、寺田農 、志穂美悦子 、京本政樹 、大葉健二 、福原拓也 、苅谷俊介 、目黒祐樹 、夏木マリ 、萩原流行 、

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2007年10月14日 (日)

『リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?』映画鑑賞日記

Little_red  今日は知人の人から無料鑑賞券を頂いたので、『リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?』を劇場に見に行きました。

 映画を見るまでは子供向けのCGアニメかと高をくくっていたのですが、見てみてると意外に面白く、最後まで画面に釘付けでした。

 ストーリーは誰もが知っている童話「赤ずきんちゃん」の登場人物たちが森で起こったレシピ泥棒の容疑者として疑われるというミステリー仕立ての展開で、黒澤明の傑作『羅生門』のように1つの事件を4人の視点から描いていきます。赤ずきんちゃん、おばあちゃん、おおかみ、木こりの男、4人の人物の食い違う証言とそれぞれの人物の裏の顔。話しが進むにつれて浮かび上がる事件の意外な真相が明らかになっていきます。

 伏線が随所に張りめぐらせてあるストーリー展開は子どもだけでなく大人も楽しめると思います。ただ残念だったのは真犯人が勘の良い人なら中盤で分かってしまうこと。もうひとひねりが欲しかったですね。
 
 また随所に散りばめられた笑いも個人的にはツボにはまりました。特におばあちゃんのトリプルネタは爆笑でした。

 映像はピクサーなどの作品に比べると落ちるかもしれませんが、人形劇風のキャラクターや背景は本作品にはとても合っていたと思います。

 私は吹き替え版で見たのですが、この作品は声優とキャラクターがマッチしており違和感なく見ることができました。特に加藤浩次とケンドーコバヤシは良かったです。

 傑作と言えるほどの作品ではありませんが、81分と上映時間も短く、暇つぶしに見るのにはうってつけの作品です。

製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 81分
監督 コリー・エドワーズ 
脚本 コリー・エドワーズ 、トッド・エドワーズ 、トニー・リーチ 
音楽 クリスティン・ウィルキンソン 、ジョン・マーク・ペインター 
出演 アン・ハサウェイ 、グレン・クローズ 、ジム・ベルーシ 、パトリック・ウォーバートン 、アンソニー・アンダーソン

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2007年10月12日 (金)

『テキサス・チェーンソー ビギニング』映画鑑賞日記

Photo  ホラー映画の傑作である『悪魔のいけにえ』をリメイクしたホラーシリーズの続編である『テキサス・チェーンソー ビギニング』を見ました。
 
 今回の続編は殺人鬼・レザーフェイス誕生の秘密が明かされるということが話題になっていましたが、見てみると誕生までのシーンは少ししかなく残念でした。これだったらタイトルに『ビギニング』など付けず普通に「パート2」とかにしとけばよかったのにと思います。
 
 ストーリー自体はいつものごとく若者が殺人変態一家に襲われるという展開なのですが、若者たちの行動に疑問点が多く、なぜそういう行動をするのかとイライラさせられました。まあ、あのような状況では正常な判断なんて出来ないのも無理はないですが・・・。
  
 映像に関しては過激かつ残酷なシーンの連続で、スプラッタ・ホラーとしての迫力、凄惨さは申し分ありません。ただ本作品を見るにつけて、オリジナルの1作目がスプラッターシーンがほとんどなくても、あれだけ生理的嫌悪感を見る者に与えることができたことの凄さを再認識させられます。見せる恐怖は簡単ですが、見せない恐怖を描くのはそう簡単にできる芸当ではありませんね。

 私がこの映画で一番印象的だったのは鬼の保安官ホイトです。映画の序盤に彼がなぜ保安官になったのか描かれますが、ある意味レザーフェイス誕生より印象的でした。『フルメタル・ジャケット』といい、この映画といい、R・リー・アーメイ の演技はいつ見ても強烈です。

 この映画は最後まで後味が悪く、グロい描写も多いので、そういうのが好きな人以外はお薦めできません。 

製作年度 2006年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 92分
監督 ジョナサン・リーベスマン 
製作総指揮 ジェフリー・アラード 、トビー・エメリッヒ 、マーク・オーデスキー 、ガイ・ストーデル 
脚本 シェルダン・ターナー 
音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー 
出演 ジョーダナ・ブリュースター 、マット・ボーマー 、テイラー・ハンドリー 、ディオラ・ベアード 、アンドリュー・ブリニアースキー 、R・リー・アーメイ 、

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2007年8月 4日 (土)

『グエムル-漢江の怪物』映画鑑賞日記

Guemuru  今回紹介する作品は韓国で昨年記録的な大ヒットをした怪獣映画『グエムル-漢江の怪物』です。
 私は小さい時から怪獣映画好きで『ゴジラ』を筆頭に古今東西数多くの作品を見てきましたが、本作品はかなり異色の怪獣映画した。

 ストーリー:「ソウルを流れる大河・漢江の河川敷でスルメイカを売るパク一家。店の主人のカンドゥはある日、河から突然現れた謎の怪物グエムルに遭遇する。グエムルは河川敷の人々を襲撃し、カンドゥの娘ヒョンソを連れ去ってしまう。
 その後、グエムルが謎のウィルスに感染していることが判明。パク一家も病院に隔離されてしまう。そんな中、カンドゥの携帯電話に娘から助けて欲しいとの連絡が入る。カンドゥを始めとしたパク一家は病院を脱出し、娘の救出を試みるが……。」

 私はこの作品を実際に見るまで、ソウルの街をグエムルが暴れ周り、軍や科学者が闘いを挑むという典型的な怪獣映画のストーリーを想像していました。しかし、実際に見てみると軍隊や科学者はほとんど登場せず、娘を奪われた一家が怪獣に闘いを挑むという予想外のストーリーに戸惑ってしまいました。
 また思った以上にユーモラスで笑えるシーンや国家権力やアメリカ軍を強烈にシニカルに描いているシーンが多いのも特徴で、緊迫感のあるシリアスな展開を期待していた私としては肩透かしを食らったものでした。 
 主人公の描写も終始変わることなく、何をしてもダメ親父のままであるのも、他の作品と違うところです。ハリウッドなら主人公の家族が変わっていき、最後はスーパーマンのごとく活躍するところですが、この作品は最後まで娘の救出が上手くいかない家族の苛立ちや非力さを見事に描いています。
 良い意味でも悪い意味でも本作品のストーリーには裏切られました。この作品はどこにでもあるような普通の家族が突然巻き込まれた災難の中で右往左往しながら、自らの家族を守ろうとするサバイバル映画です。この作品が韓国らしいのは政府やアメリカ軍が全く役に立っていないところです。日韓併合や朝鮮戦争、軍事政権など数々の悲劇の中を自力で潜り抜けた民衆たちのしたたかさと反権力の意識が垣間見れる作品です。

 グエムルの映像も『ロード・オブ・ザ・リング』のVFXで有名になったWETAが担当しただけのことはあり、大変素晴らしい仕上がりとなっています。グエムルの造形も独特でインパクト大です。一体何の生き物が変異を起こしてあのような怪物となったのかとても気になりました。
 映像的に一番の見所は映画の冒頭の河川敷でグエムルが暴れるシーンです。真昼間の平和な河川敷を突然襲う悪夢のような非日常的災難。このシーンは緊迫感と逃げ惑う人々の恐怖が伝わってくる秀逸なパニックシーンだと思います。

 映像・ストーリー共に大変見ごたえがあり、決して駄作ではありません。ただ個人的に残念に思ったところが幾つかありました。
 家族の絆を描くのがこの作品のテーマなので仕方ないかもしれませんが、怪獣の生態がイマイチ分かりませんでした。また怪獣に対して国家権力やアメリカ軍が何も手出しをしないのも現実感に欠けていたように思います。出来れば、後半家族と軍隊と怪獣の三つ巴の闘いとかになればより面白いと思ってしまいました。
 中盤以降は河川敷と下水道が主な舞台となるのですが、映像的にイマイチ面白みに欠けていました。また、ストーリーも家族の悶々とした姿が中盤からメインとなるのですが、テンポが悪くダラダラとした印象を受けました。
 
 この作品は怪獣映画としてみると異色な作品ですが、決して退屈な作品ではありません。一度は見る価値がある作品だと思います。 

製作年度 2006年
製作国・地域 韓国
上映時間 120分
監督 ポン・ジュノ 
製作総指揮 チョ・ヨンベ 、キム・ウテク 、ジョン・テソン 
脚本 ポン・ジュノ 、ハ・ジョンウォン 、パク・チョルヒョン 
音楽 イ・ビョンウ 
出演 ソン・ガンホ 、ピョン・ヒボン 、パク・ヘイル 、ペ・ドゥナ 、コ・アソン 、イ・ジェウン 、イ・ドンホ 、ヨン・ジェムン 、キム・レハ 、パク・ノシク 、イム・ピルソン 

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2007年6月11日 (月)

『大日本人』映画鑑賞日記

Dainippon  今回紹介する作品はダウンタウンの松本人志が企画・初監督・主演を務めた作品『大日本人』です。公開前から大変話題になっていた本作品。映画の内容に関する情報が公開直前までほとんど明らかにされなかったので、見るまではどんな内容か想像を膨らましたものでした。カンヌでは絶賛されたという報道もあれば、酷評されたという報道もあり、非常に賛否両論分かれる作りになっているのだろうと思ったものでした。
 北野監督の『監督・ばんざい!』と同じ日に公開されたので、芸人監督同士の対決とマスメディアでは大きく取り上げれてていました。私も同じ日に両作品とも鑑賞したのですが、個人的には北野監督の作品の方が面白かったです。
 ただ松本監督の作品も単に駄作と片付けるには勿体無い作品であり、非常に良い線まで言っているけど、後一歩が残念な出来の作品と言わざる得ません。

 
(ここから先はネタバレになるので、まだ見ていない人は注意してください!)
 
 ストーリー:「大佐藤大(だいさとうまさる)の日常生活を追うドキュメンタリースタッフ。彼は一見すると冴えないおじさんだが、高圧電流によって巨大化して、“獣(じゅう)”を倒していく大日本人の家系の末裔だった。かつては国民を守るヒーローとして敬われていた大日本人。しかし、時代に流れから、多くの国民の関心を失い、近隣住民からは疎まれる存在になっていた・・・。」
 
 本作品の大きな特長は全編ドキュメンタリータッチで描かれているところです。ストーリーはカメラマンが大佐藤大にインタビューする形で展開していくので、最初は彼が一体何者か全く分かりません。
 彼の正体が明らかになるのは映画が始まって30分以上経ってからなのですが、彼が巨大化するシーンは呆気にとられました。
 彼が巨大化して戦うシーンは思った以上にCGの出来がよく(もちろんハリウッドにはかないませんが・・・。)、迫力あるシーンとなっており、この作品が10億円も制作費をかけた理由も頷けました。獣のデザインも非常に気持ち悪くかつ個性的で、強烈なインパクトがありました。

 また現代の日本の家族関係の希薄さやマスメディア批判、日米関係の問題、アメリカ批判などの社会風刺が随所に見られたのも松本監督の日本人に対する思いが垣間見えれ興味深かったです。

あと俳優の使い方も予想外で、こんな形でこの人が登場するのかと驚き、そして笑ってしまいました。特に竹内力と神木隆之介の登場シーンは可笑しさの余り噴き出してしまいました。

 この作品は爆笑する作品と言うよりはクスクス笑う作品だと思います。獣と戦闘シーンや映画の随所に挿入される小ネタなども笑えます。しかし、それ以上にヒーローである主人公の情けなく哀愁漂う日常生活に共感しつつクスクス笑わせるのが監督の意図だと思いました。
 
 映画のラストは作品そのものを崩壊させるようなオチですが、ここは個人的には最後までドキュメンタリータッチで終わらせたほうが良かったと思います。何か映画でなくテレビのコントを見せられているかのようなラストは物足りませんでした。せっかく映画なのだから、テレビでは出来ないもっと予想外のオチをつけて欲しかったです。
 だらだらと続くエンドロールも面白いと言えば面白いですが、くどさも感じてしまいました。

 後、この作品で残念な点は編集です。松本監督の独特の間を尊重する編集自体は良いと思うのですが、このネタで2時間は少し長すぎました。インタビューのシーンもダラダラ過ぎて飽きてしまうところがあり、もう30分削ったほうが見やすかったと思います。
 
 ドキュメンタリータッチでヒーローの日常生活を描くという演出は面白いと思っただけに、もう少し編集やオチに工夫が欲しかったです。

製作国・地域 日本
上映時間 113分
監督 松本人志 
製作総指揮 白岩久弥 
脚本 松本人志 、高須光聖 
音楽 テイ・トウワ 
出演 松本人志 、竹内力 、UA 、神木隆之介 、海原はるか 、板尾創路 

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2007年4月30日 (月)

『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』映画鑑賞日記

NO.10『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』
Narnia  『指輪物語』『ゲド戦記』と並んで世界三大ファンタジー小説の一つといわれている『ナルニア国物語』。原作は全部で7巻からなり、人間の世界とは別の「ナルニア国」の誕生から死滅までを壮大なスケールで描いています。原作者の C・S・ルイスはイギリス出身で、『指輪物語』の作者トールキンとも親交がありました。ルイスはキリスト教を深く信仰しており、この物語を執筆するにあたっても聖書を下敷きに執筆したそうです。それだけに読めば読むほど気づかされることの多い物語です。しかし、児童向けに書かれている作品だけあって決して難解ではなく、大変読みやすいです。また個性的で魅力的なキャラクターも数多く登場し、読んでいて飽きることがありません。
 
 そんな有名な原作の第1章『ライオンと魔女』をディズニーが完全映画化した本作品。『ロード・オブ・ザ・リング』を大変意識した作りとなっており、『ロード・オブ・ザ・リング』の美術スタッフを招いたり、同じニュージーランドで撮影をするなどしています。しかし、完成度は『ロード・オブ・ザ・リング』と比べると落ちてしまいます。『ロード・オブ・ザ・リング』に比べると『ナルニア国物語』はスタッフやキャストの原作に対するリスペクトやこだわりがあまり感じられませんでした。
 もちろんディズニーが予算をかけて制作しただけあって、ストーリーは誰が見ても分かりやすく楽しいものとなっています。特にナルニア国に存在する言葉を話す動物たちやフォーンやケンタウロス、ミノタウロスなどの架空の生き物たちが登場するシーンは見ていてワクワクするものがありました。
 
 しかし、映画のもつ雰囲気が軽いというか安っぽさを感じさせ、どうしても「ナルニア」という架空の国に入り込むことができませんでした。雪が積もった森や氷の城の映像もセットだとバレバレで、寒さが伝わってきません。CGで作ったクリーチャーたちも作りこみや合成が雑で、見ていて嘘っぽく興ざめしてしまいました。細部へのこだわりがファンタジー映画では大切だと思いますが、この映画は細部の詰めが大変甘いです。

 監督の演出もイマイチで、ナルニア国の魅力や主人公たちの葛藤や成長といったものがもう一つ伝わってきませんでした。その為、ラストの戦闘シーンも盛り上がりに欠けたものになってしまいました。また見せ方もアップが多く、引きの映像が少ないのでスケール感に欠けていたような気がします。
 音楽も単体で聴くと壮大で素晴らしいと思うのですが、いまいち映像とかみ合っていませんでした。もっとファンタジー色を出してもよかったと思います。
 
 この映画を見て改めて『ロード・オブ・ザ・リング』が如何に完成度の高い作品だったか再認識しました。ファンタジー映画の制作に必要なのはお金はもちろんのことですが、やはり監督の原作への愛情とこだわりが大切ですね。  
 
製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 140分
監督 アンドリュー・アダムソン 
製作総指揮 アンドリュー・アダムソン 、ペリー・ムーア 、フィリップ・ステュアー 
原作 C・S・ルイス 
脚本 アンドリュー・アダムソン 、クリストファー・マルクス 、スティーヴン・マクフィーリー 、アン・ピーコック 
音楽 ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ 
出演 リーアム・ニーソン 、ウィリアム・モーズリー 、アナ・ポップルウェル 、スキャンダー・ケインズ 、ジョージー・ヘンリー

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2007年4月17日 (火)

『男たちの大和 / YAMATO』映画鑑賞日記

Yamato  角川春樹が製作して昨年に大ヒットした戦争映画『男たちの大和 / YAMATO』。実物大の大和のセットを組んだり、長渕剛を主題歌に起用するなど数々の話題を提供した作品ではありました。戦争映画は好きなのですが、角川春樹製作の戦争映画というと派手なだけで中身は薄い作品ではないかと危惧し見る気が起きませんでした。しかし、テレビでたまたま放映されていたので鑑賞したのですが、予想通りの微妙な出来でした。
 戦後60年以上経過して、戦争の悲惨さを忘れかけている日本人にとって過去の悲惨な歴史を学ぶことは大切だと思います。このような映画が製作されること自体は良いことだと思います。 この映画も日本兵の祖国や家族に対する思い、戦争の悲惨さや平和の大切さなど今の日本人が考えさせられるテーマが数多く詰め込まれています。最近の日本映画でこのようなテーマの戦争映画は製作されていなかったので、あえてこの時代にこの映画を製作した心意気は悪くないと思います。

 しかし、映画の出来はかなり低いです。『タイタニック』や『プライベート・ライアン』を意識したシーンが数多く見られましたが、出来は遠く及びません。ストーリー、映像、音楽、演技の全てがテレビの2時間ドラマのような薄っぺらい出来です。
 ストーリーはありきたりなお涙頂戴ものに過ぎず、テンポも悪いです。一兵士の視点から描くという発想自体は良いと思うのですが、登場人物が多すぎて感情移入が出来ません。
 
映像は原寸大のセットで撮影した割にはリアリティが感じられませんでした。いかにもセット丸出しであり、大和の巨大さが感じられませんでした。CGもいかにもCGといった映像で安っぽく感じてしまいました。
戦闘シーンも『プライベート・ライアン』を意識しているようですが遠く及びません。アップの映像ばかりで引きの映像がないので迫力に欠けますし、戦闘シーンでの死の描写も綺麗過ぎてリアリティに欠けます。沈没のシーンも何が原因で、どう沈没したのかがいまいち分かりませんでした。
 
音楽も私の好きな久石譲さんが担当しているので期待したのですが、終始鳴りっぱなしでウルサク感じてしまいました。角川春樹が音楽プロデューサーとして、かなり久石さんに指示をしたそうですが、それが裏目に出たと思います。また主題歌も映画とあってなく最悪でした。長渕を起用するセンスも悪いと思いますし、この映画に主題歌は不要だったと思います。
 
演技に関しては、反町隆史と中村獅童を主役に起用していますが、彼らの演技はテンションが高いだけで鬱陶しかったです。もっと静と動のコントラストのある演技をしたほうが良かったと思います。
脇役も演技が下手で、リアリティに欠けています。特に長嶋一茂は最悪でした。なぜ彼を起用したのでしょう。逆に蒼井優は素晴らしかったです!
 兵士たちを演じた役者たちの演技も格好良さばかりが目立ち、死を目前にした恐怖や悲しみといったものがもう一つ伝わってきませんでした。
 あと気になったのが兵士たちが余りにも健康的かつ綺麗すぎて嘘っぽく感じてしまいました。

 「戦艦大和」といういい素材を扱ったにも関わらず、スタッフやキャストの力量の低さから、今ひとつの出来にしかならなかったのが残念です。

製作年度 2005年
製作国・地域 日本
上映時間 145分
監督 佐藤純彌 
製作総指揮 高岩淡 、広瀬道貞 
原作 辺見じゅん 
脚本 佐藤純彌 
音楽 久石譲 
出演 反町隆史 、中村獅童 、鈴木京香 、松山ケンイチ 、渡辺大 、内野謙太 、崎本大海 、橋爪遼 、山田純大 、高岡建治 、高知東生 、平山広行 、森宮隆 、金児憲史 、長嶋一茂 、蒼井優 、高畑淳子 、余貴美子 、池松壮亮 、井川比佐志 、勝野洋 、野崎海太郎 、春田純一 、本田博太郎 、林隆三 、寺島しのぶ 、白石加代子 、奥田瑛二 、渡哲也 、仲代達矢 

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2007年1月 6日 (土)

『輪廻』映画鑑賞日記

Photo_7  今回紹介する映画は『呪怨』シリーズの清水崇監督が輪廻転生をテーマにしたホラー映画『輪廻』です。
 清水監督というと観客に生理的恐怖感を感じさせる演出方法に定評がありますが、今回の作品においても清水監督らしい観客をドキッとさせる演出が随所にみられました。しかし、『呪怨』で見慣れているせいか、そんなに怖くはありませんでした。特に後半のゾンビもどきの幽霊?が出るシーンは怖いと言うより笑ってしまいました。
 またこの映画は、『廃墟となったホテル』・『人形』・『子どもの幽霊』など観客を怖がらせるために欠かせないホラー映画のアイテムが数多く登場するのですが、その使い方が古定番過ぎて、もうひとつインパクトに欠けていました。『廃墟となったホテル』のシーンはキューブリック監督の『シャイニング』を彷彿させるようなシーンでしたが、見せ方が平板であり、『シャイニング』ほどの恐怖は感じられませんでした。また少女の幽霊が持っている『人形』は見た目があまりにも不気味すぎて、逆にリアリティを損ねていました。あんな人形だったら子どもは気持ち悪くて絶対にかわいがらないと思います。
 
 ストーリーはミステリー仕立てになっており、最後の最後まで捻りのきいた展開となっており見応えがありました。誰が誰の前世を引き継いでいるかがこの映画のストーリーの大きなポイントであるのですが、映画の前半の見せ方が観客をミスリードさせるような演出をしており、後半の予想外の展開は観客にちょっとした驚きを与えてくれます。
 ただ残念なのは、今回の惨劇の張本人である大学教授がなぜ今回のような実験をしたのか動機が分からなく、ただの狂った人間にしか見えなかったことです。そこをもう少し描いたら、より深みのある映画となったと思います。

 この映画は日本のホラー映画の中では完成度の高い仕上がりとなっていますが、怖がらせ方が個人的にもう一つでした。

製作年度 2005年 
製作国・地域 日本
上映時間 96分
監督 清水崇 
脚本 清水崇 、安達正軌 
音楽 川井憲次 
出演 優香 、香里奈 、椎名桔平 、杉本哲太 、小栗旬 、松本まりか 、小市慢太郎 、治田敦 、三條美紀 

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2006年9月26日 (火)

『ソウ』映画鑑賞日記

Saw  今回紹介する映画はラストの衝撃的などんでん返しが話題になったサスペンススリラー『ソウ』です。この映画は新人監督と新人脚本家がタッグを組み、低予算・短期間で制作されたのですが、公開されると評論家にも絶賛を受け、世界中で大ヒットしました。昨年にはパート2が制作され、今年の秋に全米でパート3が公開される予定になっています。

 ストーリー:「老朽化したバスルームで対角線上に倒れていた2人の男、ゴードンとアダム。その間には頭を銃で撃ち抜いた自殺死体があった。足を鎖でつながれ身動きがとれない男たちに与えられたのは、テープレコーダー・一発の弾・タバコ・着信用携帯電話、2本の糸ノコギリ。テープレコーダーに入っていた犯人からのメッセージは『6時間以内に相手を殺すか、自分が死ぬか。』という内容だった・・・。一体誰が何の目的でこのようなことをしたのか?そして2人が選ばれた理由とは?」
 
 この映画はラストの衝撃的などんでん返しが話題になりましたが、私は昔からどんでん返しのある小説や映画が大好きだったこともあり、早い段階でこの映画の結末が予想できてしまいました。その為、他の人ほど映画のラストに衝撃を受けることができず、非常に残念でした。確かにこの映画の仕掛けに途中で全く気付かずに、あのラストを見たらかなり衝撃的です。ただ実際にあのような事を周囲に気付かれずに実行するのはかなり無理があるような気もします。
 また映画のラストのゴードンの衝撃的な行為も三池崇史監督の『オーディション』を見た後では特に目を覆うほどのシーンではありませんでした。
 
 映画の全体的な雰囲気は『セブン』に近く、かなり残酷なシーンや猟奇的なシーンも多いですし、結末の後味の悪さも『セブン』に勝るとも劣らないものがありました。ただ完成度で言うと『セブン』の方が明らかに上です。
 『ソウ』は結末に向けての伏線の張り方は巧みだと思うのですが、設定や展開、そして犯人の動機にどうしても無理があるように感じました。また人物描写も浅く、中盤の回想シーンを減らして、囚われた2人の心理描写にもっと焦点をあてたらより緊張感のある展開になったと思い残念でした。映画の脚本を担当したリー・ワネルは映画の冒頭と結末をまず思いつき、そこから脚本を書いていったそうで、中盤の展開をどうしていくか苦労したそうです。この映画は結末のどんでん返しが全てであり、話の展開や人間描写も結末に向けて強引に辻褄を合わせた感が否めません。

 私はいろいろこの映画にケチをつけていますが、最近公開されたサスペンススリラーの中では良くできた作品です。映画の途中で出てくる数々の殺人トラップも工夫が凝らされておりインパクトがありますし、伏線の張り方や謎が解明されていく後半の展開は観客を画面に釘付けにします。だからこそ、もう少し中盤の展開や心理描写が洗練されていたらと残念に思う次第です。
 
製作年度 2004年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 103分
監督 ジェームズ・ワン 
製作総指揮 ピーター・ブロック 、ジェイソン・コンスタンティン 、ステイシー・テストロ 
脚本 リー・ワネル 
音楽 チャーリー・クロウザー 、ダニー・ローナー 
出演 ケイリー・エルウィズ 、ダニー・グローヴァー 、モニカ・ポッター 、リー・ワネル 、トビン・ベル 

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2006年9月17日 (日)

『スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』

Star_wars_2  今回紹介する映画はスターウォーズの歴史において最も重要な出来事であるクローン戦争を勃発を描いた『スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』です。1作目から10年後の世界を描いた2作目では青年となったアナキンとアミダラの禁断の恋とパルパティーン(ダーク・シディアス)の陰謀により共和国とジェダイを崩壊に導くクローン戦争が始ままるまでが描かれます。
 私は1作目を劇場で見たときはあまりのつまらなさにがっかりさせられたので、2作目が劇場で公開される時は期待半分不安半分で見に行ったものでした。しかし、見終わったかとの印象はイマイチでした。クローン戦争というスターウォーズサガの中でも非常に大きな出来事が描かれるので、1作目よりは面白かったのですが、完成度でいうと旧3部作には遠く及ばないものでした。出来事を描くのに追われて登場人物の内面を全く描けていないストーリーや演出の稚拙さ、CGを乱用した映像のリアリティのなさ、主人公のアナキンを演じた役者の魅力のなさが非常に目立った作品でした。

 この作品はアナキンとパドメの禁断の恋が映画の前半の見せ場となるのですが、この2人の恋愛シーンがあまりにもベタすぎて失笑してしまいました。草原でいちゃつく姿や暖炉の前で葛藤する姿などはあまりにもお寒い演出でした。その割に2人が惹かれていく過程や葛藤は見ている側に何も伝わってこないし、アナキンは単なるスケベ男にしか見えないし、今回の恋愛シーンはすべてカットしてもよかったのではと思いました。
 またアナキンがダークサイドに落ちる重要な出来事として、母がタスキンレイダーに殺され、その復讐としてアナキンがタスキンレイダーを虐殺する場面もいまいちアナキンの内面の葛藤が伝わってきませんでした。
 それにしてもパドメの警護の任務に当たっていたのに、任務を放棄し、パドメを危機に晒すアナキンはジェダイとして如何なものかと思ってしました。
 
 今回の最大の見せ場であるクローン戦争はさすがの迫力でしたが、CGを多用した映像がなんかゲームの映像を見ているようでリアリティに欠けていました。特に工場でのスーパーマリオのステージみたいなシーンは見ていて退屈でした。またジェダイも意外に弱く、主要人物以外あっさり死んでいくのはショットでしたし、オビ・ワンも意外にヘタレなキャラクターだったのも残念でした。
 
 この作品は1作目ではまだあどけなくかわいい姿だったアナキンが、傲慢でスケベで思慮の足りない嫌な青年となっており、これなら将来、ダース・ベイダーになっても仕方がないかなと思うような人間として描かれているのが残念でした。

 この作品の最大の見所はヨーダの活躍です。なぜヨーダがジェダイの騎士のトップなのか、この映画を見るとよく分かります。クローン軍を陣頭に立って指揮し、いざとなればライトセーバーを機敏に振り回す姿は格好良かったです。ただあのヨーダがなぜ旧3部作であんなに老いぼれてしまったのかが不思議です。
 
 また旧3部作で人気のあるボバ・フェットの過去が描かれ、彼の父であるジャンゴ・フェットも登場したのは昔からのファンには嬉しい限りです。ただジャンゴ・フェットの最期はあっけなかったです。

 この映画の感想を一言で言うと他の人がしているゲームを見ているような感じの映画です。ルーカスが監督と脚本を降りて、他の監督や脚本家に任せたら、もっと面白い作品になったと思います。

製作年度 2002年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 142分
監督 ジョージ・ルーカス 
製作総指揮 ジョージ・ルーカス 
脚本 ジョナサン・ヘイルズ 、ジョージ・ルーカス 
音楽 ジョン・ウィリアムズ 
出演 ユアン・マクレガー 、ナタリー・ポートマン 、ヘイデン・クリステンセン 、イアン・マクディアミッド 、ペルニラ・アウグスト