『「正しい戦争」は本当にあるのか』街を捨て書を読もう!
『「正しい戦争」は本当にあるのか』 著:藤原帰一 ロッキング・オン
私は新左翼の反戦平和運動に以前関わってい事があります。その為、日米安保や憲法9条改正、自衛隊の海外派兵などに激しく反対してきました。当時は、「戦争は資本家とその手先の政治家や官僚の利益確保にしか過ぎず、人民にとっては無益なものである」という思想の下で戦争を否定していました。
しかし、冷戦終結後のアフリカやヨーロッパで頻発した民族紛争や9.11以降のアメリカを中心とした多国籍軍の中東派兵などの現実を見るにつけて、新左翼の思想で戦争を語ることには限界があると思うようになりました。もちろん戦争には多額のお金が動きますし、経済と戦争は密着に関係があります。けれど、それだけ語ることのできない複雑な背景が戦争にはあり、日本人は遠くで起きている紛争や戦争をどう受け止めて、自らのこととして考えていくべきか非常に難しいものを感じるようになりました。
日本の反戦平和運動は日本国民が再び侵略戦争に加担しない、巻き込まれないということを目的にしていることがあり(それはそれで良いと思いますが)、現在世界各地で起きている紛争や戦争に日本がどう関わっていくのかになると途端に思考が鈍る傾向があります。現在のイラクの自衛隊の給油活動の是非にしろ、PKOへの自衛隊参加にしてもそういう傾向が見られます。
平和を語るとき、どこまでの範囲の平和を求めるかで考え方が大きく変わります。日本国内なのか、アジア一体なのか、先進国一体なのか、世界全体なのか・・・。どこまでの視点で平和を考えるのかで話しは変わります。また、どういう状態を平和と考えるのか、武器の廃絶なのか、貧富の格差の撤廃なのか、民主主義の導入なのか・・・。それによっても話しは変わってきます。
単純に戦争は駄目だという考え方は、他の国から戦争を仕掛けられそうになったとき、戦争する国は駄目だから先に手を打とうという考え方に転換する可能性があります。(現在のアメリカがそういう状況です)
また戦争をなくすためには武器の廃絶や人権の侵害だけ唱えてもだめで、戦争をしなくても緊張状態を緩和させる方法を模索して必要があります。そこで重要になってくるのが交渉だったり駆け引きだったりします。
今回紹介する本『「正しい戦争」は本当にあるのか』は国際政治学者の藤原帰一さんが戦争と国際政治の本質を分りやすく説明しています。戦争の概念の変化の歴史の開設から始まり、核開発競争や冷戦とは何だったのか?、そして日本の平和主義はどうあるべきか、この本を読むと目から鱗が落ちます。
藤原さんはあくまでも現実主義な立場から平和の可能性を追求しようとしており、戦争をシニカルかつリアルに分析し、単純に戦争を肯定も否定もしない立場から平和について語っていきます。
「現実に向かうと戦争を肯定する、理想を唱えるとハト派になるってそんなバカなことじゃない。現実の分析っていうのは、目の前の現象をていねいに見て、どんな手が打てるのかを考えることです」(本文より)
戦争をなるべく避けて平和な状態を作り出すためにはどうしたら良いかを考えている人は是非一度読んでみてください!タカ派の人やハト派の人が語る内容とまた違った視点から戦争と平和を見ることが出来ます。
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