恋愛映画

『トゥルー・ロマンス』この映画を見て!

第311回『トゥルー・ロマンス』
Photo_3  今回紹介する作品はクエンティン・タランティーノ脚本、トニー・スコット監督によるバイオレンスアクション映画の傑作『トゥルー・ロマンス』です。
 本作品は脇役が大変豪華で、デニス・ホッパー、ヴァル・キルマー、ゲイリー・オールドマン、ブラッド・ピット、クリストファー・ウォーケン、サミュエル・L・ジャクソンと錚々たる顔ぶれが出演しています。

ストーリー:「ビデオショップに働く映画オタクの青年クラレンスは、誕生日に店長が紹介したコールガール・アラバマと出会う。互いに一目ぼれした二人は即座に結婚。アバラマは元ヒモの男に会いに行き殺されかけるが逆に男を殺害。逃げる際に衣装ケースと思って奪ってきたカバンには大量のコカインが入っていた。」

 私は高校生のときに本作品を劇場で見たのですが、激しいバイオレンス描写と純度100パーセントのラブストーリーとの絶妙なブレンドが大変印象に残りました。
 特に私が印象に残ったシーンはデニス・ホッパー演ずる主人公の父とクリストファー・ウォーケン演ずる主人公を追うギャングが対峙するシーン。短いシーンではありますが、2人の会話は緊張感が漲っており見ていて手に汗握ります。
 他にもゲイリー・オールドマンの常軌を逸した演技やダメ男を嬉しそうに演じるブラッド・ピット、ヒロインがぼこぼこに拷問されながら反撃するシーンなど見所は随所にあります。

 本作品はタランティーノの初脚本だそうで、彼の趣味嗜好や恋愛に対する妄想が詰め込まれた内容となっています。ストーリー展開は特にひねりもなく王道の展開ですが、タランティーノだけあって随所に過激な暴力シーンがあり、登場人物の台詞や言い回しも独特で印象に残ります。

 トニー・スコット監督の演出もテンポ良くタランティーノの脚本の持つ魅力を引き出すことに成功していると思います。タランティーノ自身が監督していたら良くも悪くも更に濃い作品になっていたと思うのですが、ハリウッドの職人気質の監督であるトニー・スコットが手がけたことにより万人受けしやすいテイストになったと思います。  

 ラストはタランティーノの脚本では主人公の2人は死ぬ予定だったそうですが、監督が2人をどうしても生き残らせたいと熱望してハッピーエンドに変更したそうです。ここは賛否両論分かれるところだと思いますが、個人的にはハッピーエンドになって良かったかなと思います。

上映時間 121分
製作国    アメリカ
製作年度 1993年
監督:トニー・スコット   
脚本:クエンティン・タランティーノ   
撮影:ジェフリー・L・キンボール   
音楽:ハンス・ジマー   
出演:クリスチャン・スレイター   
   パトリシア・アークエット   
   デニス・ホッパー   
   ヴァル・キルマー   
   ゲイリー・オールドマン   
   ブラッド・ピット   
   クリストファー・ウォーケン   
   サミュエル・L・ジャクソン   
   マイケル・ラパポート   
   ブロンソン・ピンチョット   

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『恋する幼虫』この映画を見て!

第302回『恋する幼虫』
Photo  今回紹介する作品は『片腕マシンガール』の井口昇監督による純愛コメディーホラー『恋する幼虫』です。

ストーリー:「漫画家・西尾フミオは少年の頃に抱えた性的トラウマが原因で異性とうまく付き合えずにいた。そんなフミオのもとに藤井ユキという新人編集者がやってくる。彼女には中年オヤジの恋人・木村がいたが、上手く付き合えないでいた。
 そんなある日、フミオはユキに新作のことで苦言を呈されて激情。ユキの顔にペンを突き刺してしまう。それがきっかけで仕事も恋人も失うユキ。フミオは彼女のことが心配になり、自宅を訪ねてみると顔の傷は想像以上に悪化していた。罪悪感から彼女の言いなりになるフミオ。やがて彼女の顔の傷は奇怪な吸血生命体へと変化を遂げる。血を求める彼女のために協力し始めるフミオだったが・・・。」

 本作品は見た目はチープでグロくてシュールなB級作品であるのですが、中身は純度100パーセントの恋愛映画です。バカバカしく現実離れしたシーンの連続であるにもかかわらず、登場人物の屈折した感情や恋に揺れる心が繊細に描かれており、ドラマとして見応えがあります。
 また、気持ち悪いシーンが多いにも関わらず、演出がスローでほのぼのとしており見ていて嫌悪感をそれほど抱きません。

 映画の冒頭はフミオの過去の性的トラウマが描かれるのですが、その描き方にまず度肝を抜かれました。性行為をあのような形で描く監督の発想力に感心しました。

 映画のストーリーは不器用で心を病んでいる主人公たちが出会い、傷つけあい、求め合う姿を描いていくのですが、フミオを演じた荒川良々とユキを演じた新井亜樹の演技が絶品です。
 荒川良々の独特な顔と朴訥とした台詞回しは印象に残りますし、新井亜紀の最初は暗く幸薄そうな印象の女性が次第に可愛く色っぽい女性に見えてくる演技も非常に素晴らしいです。あと、フミの元恋人を演じる松尾スズキの見た目と演技の濃さも強烈です。

 本作品は性行為そのものを描くシーンはほとんどないのですが、非常にエロティックなシーンが随所にあります。特にユキが血を吸うシーンが放つエロスは強烈です。 

 映画はクライマックスに近づくにつれて世界の崩壊をも描くぶっ飛んだ展開になるのですが、ラストはある意味でハッピーエンドな締めくくり方で、ユキが○○○がないフミオに寄り添って寝る姿を見ていて心が和みました。

 万人受けする映画ではありませんがカルト映画が好きな人はぜひ一度ご覧ください。

上映時間 110分
製作国    日本
製作年度 2004年
監督:    井口昇   
脚本:    井口昇   
撮影:    西川裕   
    太田丈   
    井口昇   
特殊メイク:西村喜廣   
音楽:北野雄二   
出演:    荒川良々   
    新井亜樹   
    乾貴美子   
    唯野未歩子   
    伊勢志摩   
    村杉蝉之介   
    松尾スズキ

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『ピアノ・レッスン』この映画を見て!

第293回『ピアノ・レッスン』
Photo  今回紹介する作品はオーストラリア出身の女性監督ジェーン・カンピオンの名を一躍有名にした愛と官能の人間ドラマ『ピアノ・レッスン』です。本作品は公開と同時に幻想的な映像とマイケル・ナイマンの美しい旋律、そして繊細で力強いストーリーに世界中の映画ファンや批評家から絶賛されました。カンヌ国際映画祭ではパルムドール大賞と主演女優賞の2部門を、アカデミー賞では主演女優賞に助演女優賞そして脚本賞と3部門を受賞しました。

ストーリー:「19世紀の半ば、幼い頃から話すことができないエイダは娘のフロラを連れてスコットランドから未開の地であるニュージーランドへ嫁ぐ。話せないエイダにとってピアノが言葉であり、ニュージーランドまで運んでくる。しかし、夫のスチュアートは重すぎると浜辺に置き去りにする。原住民に同化している男ベインズはエイダのピアノを欲しがり、土地との交換条件にスチュアートから譲り受ける。さらにベインズはピアノの弾き方を習うためにエイダを家に招く。ベインズはエイダに黒鍵の数だけ自分にレッスンをしてくれたらピアノを返すと約束。エイダはベインズにレッスンするが、次第にエイダとベインズは恋に落ち体を重ね合わせるようになる。」

 私が本作品を始めて見たのは高校2年の時でした。その時はニュージーランドの海や森を幻想的に捉えた映像とマイケル・ナイマンが作曲した切なく美しいピアノのメロディーに心奪われたものでした。特に映画冒頭の波が高く打ち寄せる海岸にピアノがポツンと置き去りにされるシーンは、まるで絵画を見ているかのように美しく、そして主人公の孤独な心情を見事に表現しており、本作品の中でも一番印象に残るシーンでした。
 ストーリーに関しては男性の私から見ると主人公エイダの行動はいまいち共感できず、むしろ妻にないがしろにされるスチュアートに共感してしまいました。まあ、スチュアートは妻の分身ともいえるピアノを浜辺に置き去りにした時点で愛される資格を失ったのは致し方ありませんが、いつか愛されると思いこんでいる単細胞な夫が妻に裏切られ激情する姿は見ていてとても哀れなものを感じました。
 エイダが野性的な男であるベインズにいつの間にか惹かれて禁じられた恋に落ちていく過程はとても官能的で見ていて背筋がゾクゾクしました。女性の内に秘めた生と性に対する情熱が荒々しくも繊細な男によって徐々に開花していく展開は女性監督ならではの描写だと思いました。
 また、本作品はエイダの連れ子のフロラがストーリーのとても良いアクセントになっています。母が不倫していることを夫に告げ口するシーンは何とか自分を守ろうとする子どもの複雑な心境が見事に描かれていたと思います。
 映画のラストは主人公エイダの心の解放と成長を描き、ある意味ハッピーエンドで終わります。一度ピアノと共に死を選びながらも、やはりピアノと決別して新たな生を選択する姿は見ていて清々しく思うと共に、女性の逞しさや強かさを強く感じます。 

 ホリー・ハンターは話すことが出来ない主人公という難しい役どころでしたが、細やかな表情や仕草で心情を見事に表現しています。また、ピアノの演奏自体も吹き替えでなく自分でしているところも素晴らしいです。また、当時12歳だったアンナ・パキンの瑞々しく繊細な演技も大変素敵です。

 あと、本作品を語る上で外すことができないのがマイケル・ナイマンの音楽。彼の音楽なくしては本作品の成功はなかったと言っても過言ではありません。話せない主人公の心情を代弁するかのようなピアノの音色。聞いていて感情が揺さぶられる名曲です。

 本作品は女性の生と性を繊細かつ重厚に描いた作品です。男性と女性で評価の分かれる作品だと思いますが、一度は見て損のない作品です。

上映時間 121分
製作国    オーストラリア
製作年度 1993年
監督:    ジェーン・カンピオン   
製作:    ジェーン・チャップマン   
脚本:    ジェーン・カンピオン   
撮影:    スチュアート・ドライバーグ   
音楽:    マイケル・ナイマン   
出演:    ホリー・ハンター   
    ハーヴェイ・カイテル   
    サム・ニール   
    アンナ・パキン   
    ケリー・ウォーカー   
    ジュヌヴィエーヴ・レモン   
    タンジア・ベイカー   
    イアン・ミューン   
    ホリ・アヒペーン

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『空気人形』この映画を見て!

第275回『空気人形』
Photo  今回紹介する作品は業田良家の短編コミックを基に心を持ってしまったダッチワイフと孤独な現代人の交流を描くラブ・ファンタジー『空気人形』です。
監督は『誰も知らない』の是枝裕和が担当。主演を『リンダ リンダ リンダ』で日本映画デビューした韓国の若手女優ペ・ドゥナが演じています。また共演者には、ARATAや板尾創路、オダギリジョー、富司純子など個性派が顔を揃えています。また、ホウ・シャオシェンの作品等で有名なアジアを股にかけて活躍するリー・ピンビンが撮影を担当しており、東京の街並みを情緒豊かな美しい風景として捉えています。

ストーリー:「ファミレス店員をしながら古びたアパートで暮らしていた秀雄のダッチワイフがある朝「心」を持ってしまった。秀雄が仕事に出かけると、彼女はメイド服を着て、街へと繰り出す。初めて見る外の世界で出会う様々な人々。そんなある日、彼女はレンタルビデオ店で働く純一と出会い、一目惚れする。彼女はその店でアルバイトをしながら、純一に近づいていく。」

前知識なく本作品を鑑賞したのですが、最近観た映画の中ではインパクトがありました。人形やロボットが心を持つという物語はピノキオを始めとして昔から良くあります。(最近の作品で言うならスピルバーグ監督が2001年に発表した『A.I』などが挙げられます。)
 そんな中、本作品が面白いのは性欲処理の道具であるダッチワイフが心を持つという点です。昔のポルノ映画やエロ漫画にも良く似た設定や雰囲気の作品はありましたが、ここまで透明感があり文芸的な香りのする作品はなかなか見当たりません。
 本作品は現代人の孤独や満たそうと思っても満たされない心の苦しみを描いてきます。その描き方は時に美しく、時に切なく、時に残酷です。
 主人公のダッチワイフは空っぽ肉体に純粋な心を持った故に己の空虚な欠如を満たそうと他者に興味を持ち関わろうとします。その姿は微笑ましくもあれば、痛ましくもあります。
 普通の人間よりも純粋な心を持ったが故に周囲の人間に振り回され傷ついていく主人公を見ていると、人間誰しもが持つエゴイズムを痛感させられます。自分を傷つけまいと守りながら己の孤独や欲望を満たそうとするエゴイズム。エゴイズムを満たすために他者とつながりたいのに上手くつながれない現代人の苦悩が本作品では生々しく描かれています。

 また、本作品で私が印象的だったのが好きな男から息を吹き込まれるシーンとラストの主人公が好きな男に対して取った予想外な行為。
 映画の中盤のレンタルビデオ店で誤って空気が抜けかけた主人公に対して好きな男が息を吹き込むシーンの官能的な美しさは息を呑みます。息を吹き込まれるたびに主人公が見せるエロティクな表情。好きな男の息によって空っぽな肉体が満たされていき、己の心の空虚さが満たされていく。主人公は空気を吹き込まれることで他者から満たされることの喜びを知り、そして喪失への恐れを抱くようになります。
 映画のラストは満たされた主人公が好きな男を満たそうとした行為によって起きる悲劇が描かれます。傷つけるつもりはなかったのに純粋な心が故に傷つけてしまう悲しみと恐ろしさ、そして愛する者を失った喪失感。満たされた心も束の間、充足感は失われ空っぽになっていく。映画のラストはとても切なく哀しいです。
 しかし、同時にかすかな希望も与えてくれます。それは主人公が知らぬ間に他者と交わる中で育んだ温もりと絆の種です。

 それにしても本作品で主人公を演じたぺ・ドゥナの透明感と存在感は凄いです。彼女が主演でなければ本作品ははっきり言って失敗していたかもしれません。彼女に目を付けた監督も大したものです。

 本作品はダッチワイフが主人公ということで嫌悪感を抱く人もいるかもしれませんが、悪趣味で見世物的な描写もなく、大変美しくも生々しく人間の心の本質を描いています。今年の邦画で押さえておいて損はない作品だと思います。

製作国    日本
製作年度 2009年
監督:    是枝裕和   
原作:    業田良家   
    『空気人形』(小学館刊『ゴーダ哲学堂 空気人形』所収)
脚本:    是枝裕和   
撮影:    リー・ピンビン   
美術:    金子宙生   
美術監督: 種田陽平   
編集:    是枝裕和   
音楽:    world's end girlfriend   
衣裳デザイン:    伊藤佐智子   
照明:    尾下栄治   
造形:    原口智生   
人形デザイン:    寒河江弘   
出演:    ペ・ドゥナ   
    ARATA   
    板尾創路   
    高橋昌也   
    余貴美子   
    岩松了   
    星野真里   
    丸山智己   
    奈良木未羽   
    柄本佑   
    寺島進   
    オダギリジョー   
    富司純子   

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『レオン』この映画を見て!

第272回『レオン』
Photo_2  今回紹介する作品はリュック・ベッソンがジャン・レノとコンビを組みアメリカで撮影した純愛アクション映画『レオン』です。ベッソン監督がSF大作『フィフス・エレメント』の資金を集めるために製作されたそうですが、根強いファンが多数いて現在でも高い評価を受けています。

ストーリー:「ニューヨークで殺し屋として完璧な仕事をするレオンはある日同じアパートに住んでいた12歳の少女マチルダを匿う。マチルダの家族は麻薬絡みで麻薬取締役で汚職に手を染めていたスタンフィールドとその部下たちによって抹殺されたのだった。
 マチルダはレオンが殺し屋であることを知り、自分にも殺しのテクニックを教えて欲しいと頼み込む。そしてレオンとマチルダの奇妙な共同生活が始まる。」

 本作品の見所は何と言ってもゲイリー・オールドマンの圧倒的に存在感溢れる演技。彼は以前から芸達者ではありましたが、本作品の狂気をにじませた演技は強烈です。麻薬取締官でありながら薬物依存で汚職に手を染め罪もない人間を殺しまくる極悪最低な人間を見事に演じており、本作品に何とも言えない緊張感を与えています。彼が出演していなければ本作品は凡作に終わっていたと思います

 ストーリーは孤独な殺し屋と少女の愛情関係を描くというシンプルな内容です。殺し屋でありながら純粋な心を持ち合わせているレオン。12歳でありながら過酷な現実の中で背伸びして生き抜こうとしてきたマチルダ。そんな2人が一緒に生活する中でお互いに思いを寄せていく中盤の展開は何度見ても心温まります。
 ラストはとても切ないですが、愛の美しさや力強さを感じさせてくれます。愛を知ったマチルドはレオンと一緒には生きることは出来ませんでしたが、レオンから受け取った愛を糧に逞しく大地に根を張って生きていくんだろうなと思います。

 ジャン・レノは大人の男としての渋さと少年のような子どもっぽさを併せ持った主人公のレオンを格好良く演じています。また、ナタリー・ポートマンは撮影当時13歳だったそうですが、少女の可愛さと大人の女性の色気と魅力を併せ持つマチルダという女の子を見事に演じきっています。

 アクションシーンは少ないですが、オープニングの暗殺シーンでのレオンの手際のよさは何度見ても格好良いですし、ラストの銃撃戦はここまで派手にする必要があったのかと思うほど迫力満点です。

 エンディングに流れるスティングの「シェイプ・オブ・マイ・ハート」も深い余韻を与えてくれます。

 なお、本作品は劇場公開された後に20分の追加カットが入った完全版も発表されています。完全版はレオンとマチルダの交流がより丁寧に描かれいます。

上映時間 111分(完全版は133分)
製作国    フランス/アメリカ
製作年度 1994年
監督:    リュック・ベッソン   
脚本:    リュック・ベッソン   
撮影:    ティエリー・アルボガスト   
編集:    シルヴィ・ランドラ   
音楽:    エリック・セラ   
出演:    ジャン・レノ
    ナタリー・ポートマン   
    ダニー・アイエロ   
    ゲイリー・オールドマン   
    ピーター・アペル   
    マイケル・バダルコ   
    エレン・グリーン

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『ベティ・ブルー インテグラル完全版』この映画を見て!

第198回『ベティ・ブルー インテグラル完全版』
Photo_2  今回紹介する作品は純度100%の恋愛映画『ベティ・ブルー』です。本作品は『ディーバ』で鮮烈なデビューを放ったジャン=ジャック・ベネックスが脚本も兼任して製作した力作で、情熱的な女と作家を目ざす男の鮮烈な愛を描いています。公開当時は切ないストーリリーと美しい映像、そして大胆な性描写が大変話題を呼び、世界中で大ヒットしました。

 ストーリー:「海辺のコテージで1人暮らしをする修理工のゾルグはウエイトレスのベティと恋に落ちて同棲を始める。セックスに耽るベティとゾルグ。ベティは大変気性が激しく自分が気に入らないことがあるとすぐに見境なく怒り出す女性だった。ゾルグはそんなベティを優しく見守っていた。そんあある日、ベティは怒って自宅の物を放り出している最中、ゾルグの書いた小説に心奪われる。ゾルグを何とか小説家にさせようとベティは画策するがなかなか上手くいかない。そんな中、ベティは彼の子供を身ごもったのではないかと思い喜ぶ。しかし、それもベティの勘違いだった。落胆するベティ。ベティの純粋な心は次第に破綻していき狂気へと陥っていく…。」

 私は本作品を始めて見た時は、あまりにも痛切な純愛物語に大変衝撃を受けたものでした。恋愛映画は古今東西数多くありますが、本作品ほど見ていて主人公たちのほとばしる感情に心動かされ、愛の痛みと苦しみに涙した作品はありません。

 本作品の主人公であるベティが愛する者のためにひたすら真っ直ぐに尽くそうとする姿は純粋さと狂気に満ちていて見ていて圧倒されました。己を捨てて相手に尽くす姿は客観的に見ると愚かにさえ見えますが、愛に身を捧げた者にすれば己などどうでもいいんだろうなと見ていて思い、ひたすら愛に生きる女の凄みを感じました。

 またベティのような情熱的かつ気性も激しく付き合うには男性側も大変エネルギーのいると思います。最初見た時はひたすら全身で受け止めようとするゾルグの姿に同じ男性ながら尊敬してしまいました。
 しかし、何度か見返すうちにベティがゾルグを生きるために必要としていたというより、ゾルグがベティを生きるために必要としていたことに気づきました。ゾルグは己にはないベティの純粋な愛と狂気に憧れ、そんな女性を受け止め愛していくことで己の人生の憧れという名の欲望を満たしていたと思います。
 
 本作品は献身的な愛の素晴らしさや悲しさを描いているだけでなく、愛に潜むエゴイズムの悲しみや切なさまで踏み込んで描いているからこそ、見ている側も心打たれるのだと思います。

 映像や音楽も大変美しく印象的です。映像に関していえば赤い服や黄色のベンツなど色の使い方も巧みですし、前半の家が燃えるシーンや夕焼けの平原に佇む主人公たちを捉えたシーンはまるで絵画のようです。
 音楽もピアノで奏でられる切ないメインテーマが大変耳に残ります。

 あと私が本作品の好きなところは主人公をとりまく人たちのユーモラスな描写です。作家希望の刑事、歌を唄い見送る交通取締りの警察官、片手を失ったゴミ収集のおじさん、トイレで麻薬を売るおじさん。主人公たちと周囲の人たちとの何気ない微笑ましい描写が映画の良いアクセントになってます。
  
 本作品は1986年に劇場で初公開された2時間のヴァージョンと今回紹介したディレクターズ・カットの3時間のヴァージョンと2つあります。初公開版はベティの描写が中心でありますが、ディレクターズ・カット版はゾルグの心情に関する描写が増えており、どちらを見るかによって大きく印象が変わります。興味のある方は是非見比べてほしいと思います。

上映時間 185分
製作国 フランス
製作年 1992年
監督: ジャン=ジャック・ベネックス 
原作: フィリップ・ディジャン 
脚本: フィリップ・ディジャン 
撮影: ジャン=フランソワ・ロバン 
音楽: ガブリエル・ヤーレ   
出演: ベアトリス・ダル , ジャン=ユーグ・アングラード, コンスエロ・デ・ハヴィランド, ジェラール・ダルモン

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『耳をすませば』この映画を見て!

第172回『耳をすませば』
Whisper_of_the_heart  今回紹介する作品はスタジオジブリが製作した青春映画の傑作『耳をすませば』です。
 柊あおいの同名漫画を原作にした本作品。宮崎駿が脚本と絵コンテを手がけ、スタジオジブリの数多くの作品で作画監督を務めた近藤喜文が監督を手がけました。
 
 宮崎さんは以前から少女漫画の映画化を検討していたそうです。しかし、なかなか映画化できそうな原作にめぐりあえないでいたそうです。
 そんな中、「りぼん」に連載されていた原作をたまたま読む機会があり、非常に好印象を持ったそうです。そして、原作のピュアな部分を大切にしながら、現代の閉塞した時代の中で豊かに生きることは何かを問う作品を製作することを決めたそうです。
 
 ストーリー:「両親と大学生の姉と東京近郊の団地に住む月島雫は読書好きの中学3年の女の子。夏休みは図書館に通い読書三昧だったが、自分の読む本を全て先に借りて読んでいる「天沢聖司」の名前に気がつく。雫は天沢聖司について調べ、実は同級生だったことを知る。
 そんなある日、図書館への道で変な猫を見つけ、その猫を追いかける。猫に導かれ、丘の上にある小さなアンティークショップ「地球屋」へたどり着く。雫は店の主人である老人・西司朗と出会う。西老人は聖司の祖父で、彼は地球屋のアトリエでヴァイオリンを作っていた。聖司はヴァイオリン職人になるために中学卒業後はイタリアへ留学したいという夢を持っていた。聖司に比べて確固たる夢をもたない雫は自分のこれからについて悩み始める。そして、雫も自分を試そうと自分の夢を求め、小説を書き始める。」
 
 私がこの作品に出会ったのは高校3年生の夏休みでした。ちょうど私も自分の進路や将来について悩んでいた時期で、自分の夢に向かって真直ぐに進もうとする映画の主人公たちに強い影響を受けたものでした。
 特に何がしたいわけでなく、親や教師の言われるままだった当時の自分。そんな自分に「人生これで良いのか?」と人生を見つめ直す機会を与えてくれました。そして、高校卒業後は自分の夢や希望に基づいた人生の選択することができました。私はこの作品に出会ったおかげで今後悔のない人生を送れているといっても過言ではありません。

 この作品の脚本を手がけた宮崎さんは恋愛の駆け引きや内面の揺れ動く感情を描く恋愛ドラマでなく、素直に恋愛感情を表現するラブロマンスを描きたかったそうです。そんな宮崎さんの思いが反映されたストーリーは見ている側が恥ずかしくなるほどとてもストレートな恋愛ドラマが展開されていきます。特にラストシーンの聖司が雫に言うセリフは直球過ぎて始めて見た時は驚きましたが、何回も見返す内にあのセリフに清清しさを感じるようになりました。この作品を見るとお互いが響きあい成長しあう恋愛って素晴らしいなってしみじみ思います。
 またこの作品は恋愛ドラマの側面と共に、夢を追う少年・少女たちの現実と格闘する姿が熱く描かれます。ヴァイオリン職人を目指す聖司。そんな彼の姿に影響され、小説家を目指し始める雫。二人の夢に向かってひたむきに努力する姿は今見ても心打たれるものがあります。厳しい現実にぶつかりながらも夢を持ち続けることの素晴らしさや大切さをこの映画は見る者に思い出させてくれます。
 原作はもっとほんわかした恋愛ドラマなのですが、宮崎さんはそれを見事に改変して、熱い青春ドラマに仕上げています。 

 この作品で初めて監督を手がけた近藤喜文さんは普段見慣れている日常の風景や登場する人物たちの何気ない日常の仕草を丁寧に描くことにこだわったそうです。そんな監督の日常へのこだわりが宮崎さんの理想が反映されたストーリーにリアリティを与えたと思います。
(近藤喜文さんはこの作品を監督した3年後に47歳の若さで亡くなられました。スタジオジブリの中では宮崎監督や高畑監督の跡を継ぐ監督と期待されていただけに残念です。)

 この作品は音楽も素晴らしく、特に主題歌のカントリーロードは映画のテーマにぴったりあっており、映画を見た後に思わず口ずさんでしまうほどです。

 この作品は夢を追い求めることの素晴らしさと厳しさを見る者に教えてくれます。自分の人生を見失いかけたとき、将来について悩んだときはぜひこの作品を見てください!  

製作年度 1995年
製作国・地域 日本
上映時間 111分
監督 近藤喜文 
製作総指揮 徳間康快 
原作 柊あおい 
脚本 宮崎駿 
音楽 野見祐二 
出演もしくは声の出演 本名陽子 、高橋一生 、小林桂樹 、露口茂 、立花隆 、室井滋 、山下容莉枝 、佳山麻衣子 、中島義実 、飯塚真弓 、高山みなみ 、岸部シロー 、

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『街の灯』この映画を見て!

第143回『街の灯』
City_light  今回紹介する作品はチャップリンの映画の中で最もロマンティックかつ深い余韻を残す恋愛映画『街の灯』です。
 盲目の花売りの少女に恋をした浮浪者の主人公。何とか彼女を救おうと一人奮闘する姿をユーモラスに描きます。

 私がこの作品を始めてみた時、ラストシーンはハッピーエンドだと思っていましたが、何回か見るたびにラストシーンは決してハッピーエンドだとは言えず、むしろとても残酷なラストであるのではないかと思うようになりました。
 ラストは主人公のおかげで目が治った女性が、初めて恩人である主人公の姿を始めて見るのですが、その時の女性の表情。そこには恩人に対する感謝と言うより失望が感じ取れます。自分を救ってくれた恩人は金持ちの紳士だと思っていたのに、目の前に現れたのは小汚い浮浪者だったという真実。チャップリン演じる主人公も女性のリアクションを見て何とも困惑した笑顔を見せて映画は終わります。
 私はこのラストシーンを見るたびに現実の残酷さに胸が締め付けられます。別に女性がひどい人間というわけではありません。女性が恩人に対して理想を抱くことは仕方のないことです。人間は決して外見だけで判断できるものではありません、しかし人間は理想を抱く時どうしても外見をも美化してしまうところがります。この映画はそんな人間の悲しい業を真正面から描いています。だからこそラストシーンは単なる感動を超えた深い余韻を見る者に与えます。

 またこの作品は貧富の問題に対するチャップリンの怒りや悲しみといったものが強く感じられます。映画の冒頭の除幕式のシーンの痛烈な皮肉、酔っ払っているときといないときで態度を豹変させる身勝手な金持ちの男。貧困層の富裕層に対する憧れ。この作品は富める者の愚かさと貧しい者の哀しみが見事に描かれています。

 チャップリンのコメディアンとしてのセンスも冴え渡っており、中盤のボクシングシーンはその計算されつくした演技に腹を抱えて笑ってしまいます。
 サイレント映画はトーキー映画と違い動きと表情だけで全てを表現するので、役者の演技力が問われます。この映画を見るとチャップリンを始めとする登場人物たちの演技の上手さに改めて感心します。

 映画史に残るこの傑作をぜひ多くの人に見て欲しいです。 

製作年度 1931年 
製作国・地域 アメリカ
上映時間 86分
監督 チャールズ・チャップリン 
脚本 チャールズ・チャップリン 
音楽 アルフレッド・ニューマン 
出演 チャールズ・チャップリン 、ヴァージニア・チェリル 、フローレンス・リー 、ハリー・マイアーズ 、アラン・ガルシア 、ハンク・マン 、ジョン・ランド 、ヘンリー・バーグマン 、アルバート・オースチン 

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『ほしのこえ』この映画を見て!

第123回『ほしのこえ』
Hosinokoe  今回紹介する作品は携帯メールをモチーフとした、宇宙で異星人と戦う少女と地球に残った少年の超遠距離恋愛を描いたフルCGアニメ『ほしのこえ』です。この作品は新海誠監督がほぼ一人で、作画から動画、背景に至るまで全て手がけた自主制作アニメということで大変話題になりました。
 
 ストーリー:「2046年、埼玉の中学校に通う長峰美加子と寺尾昇は部活が同じで、とても仲が良かった。しかし、長峰が国連宇宙軍のロボットパイロットのメンバーに選抜され、寺尾を残して宇宙に旅立ってしまう。2人は携帯のメールを使ってやり取りをする。だが長峰が地球から離れれば離れるほどメールのやり取りに時間がかかるようになる。2人の距離が離れるにつれて、時間のズレがどんどん広がっていく。しかし、どんなに距離が離れても、お互いの思いは決して離れることはなかった・・・。」
 
 この作品は25分の短編の作品ですが、とても密度の濃い作品です。ストーリーはとても切ないものですが、人間の絆の強さを感じることができます。遠く離ればなれになった恋人同士のお互いに寄せる思い。それを携帯メールという現代的なツールを使って見事に描いています。人が人に寄せる思いというものは信頼という絆があれば、時空を超えて結びつくことができるものだということをこの映画は教えてくれます。
 映像も自主制作とは思えないほどクオリティが高いです。特に背景の美しさは特筆もので、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。また戦闘シーンもエヴァンゲリオンの影響を強く感じますが、迫力満点で見応えがあります。
 ただキャラクターデザインに関してはもうひとつ魅力に欠けていたような気がしました。
 
 この作品は見ていて、『エヴァンゲリオン』や『トップをねらえ』などGAINAX作品の影響を強く感じました。止め絵の多さや戦闘シーンの描き方、主人公とヒロインの人間関係だけに焦点を当てたセカイ系のストーリーなどはエヴァを思い出させました。また少女がロボットのパイロットになって異星人と戦うところやウラシマ効果を活かしたストーリーなどは『トップをねらえ』を思い出させました。この作品は過去のGAINAX作品へのオマージュを強く感じました。

 この作品はMac一台で個人が制作したアニメとは思えないほど見応えのある作品です。粗も多く見られますが、アニメ好きなら一度は見て損はないと思いますよ。

製作年度 2002年 
製作国・地域 日本
上映時間 25分
監督 新海誠 
脚本 新海誠 
音楽 天門 
出演 篠原美香 、新海誠 、武藤寿美 、鈴木千尋

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『時をかける少女』(2006年版)この映画を見て!

第118回『時をかける少女』(2006年版)
「待ってられない 未来がある」
Time_wait_for_no_one  今回紹介する映画は『ゲド戦記』を抜いて2006年夏一番面白いアニメ映画として評判の高い『時をかける少女』です。『時をかける少女』は最初ミニシアター系の公開でほとんど話題になっていませんでした。しかし公開されると同時に多くの観客や批評家の支持を受け、またたく間に全国拡大公開になりました。
 筒井康隆原作の『時をかける少女』は今までにも映画化やドラマ化を何度もされている有名な作品です。特に大林宣彦監督が原田知世を主演にして制作した1983年公開された『時をかける少女』は知名度・人気共に高く、主題歌も大ヒットしました。今回のアニメは何と8回目の映像化になります。
 今回この原作をアニメ映画化したのは細田守というアニメ監督であり、ポスト宮崎駿とも言われており、アニメ業界の中で現在一番注目されています。細田監督はスタジオジブリの『ハウルの動く城』の監督を当初手がける予定であったほどの実力派です。細田監督は原作のファンで自ら映画化を熱望したそうです。脚本は『学校の怪談シリーズ』の脚本家・奥寺佐渡子を招き、9ヶ月かけて練り上げたそうです。またスタッフもスタジオジブリの美術を担当してきた山本二三や『エヴァンゲリオン』のキャラクターデザインで有名な貞本義行など実力派が結集しています。
 
 私がこの映画の存在を知ったのは公開されて時間が経ってからでした。ネット上で多くの人がこの映画をこの夏一番の映画と絶賛する感想を書いているのを読み、どんな映画なのかとても気になっていました。私の住んでいる地区では公開がすでに終わっており、DVDが出るまでは無理かなと諦めていていました。しかし、たまたま実家のある愛媛に用事があって帰ってみると、何とこの映画が劇場公開中であり、早速鑑賞してきました。
 
 映画を見終わっての感想ですが、さわやかで、ほろ苦く、大人が見ると懐かしさで胸がいっぱいになる素晴らしい青春映画でした。映画のラストは切なさのあまり不覚にも泣いてしまいました。タイムトラベルものとしては少し矛盾や説明不足な点もありますが、青春恋愛ものしては共感できる点の多い作品で、もう一度見たいと思わせる魅力があります。一見地味な作品ではありますが、中身のしっかりとした作品です。多くの人がこの映画を支持する理由がよく分かりました。

 この映画のストーリーは時間を超える能力を身につけた少女・紺野真琴の一夏の恋と成長を描きます。真琴はふとしたことから時間を超える能力・タイムリープを身につけます。最初は時間を戻せる力を使って、自らの都合の良いように過去を変えようしまう。しかし過去を変えれば変えるほど、周囲に迷惑がかかることに気付く真琴。何とかしようと過去をいじくればいじくるほど事態は悪化していきます。そして、真琴はタイムリープの秘密を知り、かけがえのない今という一瞬の大切さ、そして未来向かって進むことの大切さに気付きます。
 この映画のテーマはとてもストレートなものです。二度とやり直せないからこそかけがえのない今という時間。移り変わる時の流れの中で、どんなに今のままでいたいと思っても自分も周囲も変わっていってしまうという切なさ。この映画はやり直しのきかない人生だからこそ、一つ一つの選択がかけがえのないものだということ当たり前のことに改めて気付かせてくれます。

 最初は笑わせながら、後半徐々にシリアスな展開になり、気付いたら切なさで涙が溢れてくるというストーリーの流れも素晴らしいです。また映像も素晴らしく、学校や街、空の何気ない背景描写の丁寧さには感心しました。特に夏の青空の清々しさや夕暮れの川辺のシーンの切なさは印象的でした。またピアノをメインにした音楽も映像とマッチしており美しく、映画の挿入歌や主題歌も映画の内容にあっており主人公・真琴の気持ちがよく伝わってきます。映画のクライマックスシーンに流れる挿入歌『変わらないもの』は観客の涙腺を刺激しますし、映画のラストに流れる主題歌『ガーネット』は映画の余韻を味あわせてくれます。
 
 ここまで自然に涙が出てくる作品ってあまりないと思います。笑って、どきどきハラハラして、最後は切なさとさわやかさで胸がいっぱいになる『時をかける少女』。私は今年一番の作品だと思います。ぜひ多くの人に見て欲しいです。

 公式サイト:http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/

製作年度 2006年 
製作国・地域 日本
上映時間 98分
監督 細田守 
原作 筒井康隆 
脚本 奥寺佐渡子 
音楽 吉田潔 
出演 仲里依紗 、石田卓也 、板倉光隆 、原沙知絵 、谷村美月 、垣内彩未 、関戸優希 

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