ファンタジー映画

『君の名は』この映画を見て!

第312回『君の名は』
Index  今回の作品は邦画歴代2位の興行収入となった大ヒット作品『君の名は』。私も公開されて半年経過して劇場にて鑑賞してきました。

 新海誠監督は2002年に公開されたデビュー作の『ほしのこえ』の時から好きで、美しい背景美術と観る人の感情を揺さぶる音楽の挿入の仕方が印象に残る作品が多いです。

 今回の作品も美しい背景と RADWIMPS の音楽が印象的でした。また、以前の作品に比較して、キャラクターデザインも背景とマッチしており、作画も躍動感があり、素晴らしかったです。スタッフに田中将賀さんと安藤雅司さんが参加されたことで、この映画の映像としてのクオリティは格段に上がったと思います。

 ストーリーに関しては、見知らぬ男女の心が突然の入れ替わるという設定は面白く、主人公たちの戸惑いと何とか目の前の状況を切り抜けようとする姿は微笑ましく、次第に主人公たちが心を寄せ合って恋愛感情を抱くようになる前半の展開は見ていて瑞々しく心地よかったです。
 それ故に後半の東日本大震災等を意識した内容に突然シフトチェンジに驚きました。また、タイムラグというSF的設定も盛り込み、真実を探り何とか会おうとする主人公の男の子の賢明な姿や悲劇を回避するために苦闘する少しサスペンスタッチのストーリー展開に惹きこまれました。
 ただ、冷静に考えるとかなり突っ込みどころのある矛盾のあるストーリー展開ではあります。
なぜ二人はタイムラグに気付かなかったのか、如何にヒロインは父親を説得出来たのか?、タイムパラドックスも気になるところではあります。
 また、個人的に
最後がハッピーエンドだったことも印象的でした。新海作品は切ない終わり方が印象的だったのですが、監督の心情の変化か、多くの人に観てもらいたく変えたのか?ただ、この映画はこの終わり方がとてもあっていたとは思いますし、だからこそヒットしたのだがと思います。
 この映画はファンタジーという形で
突然の災いで失ったものを取り戻したい人の叶わぬ思いに対して、一時の慰めを与えてくれます。

 

監督: 新海誠 

脚本: 新海誠 

キャラクターデザイン: 田中将賀 安藤雅司 

作画監督:安藤雅司 

美術監督:丹治匠、馬島亮子、渡邉丞 

音楽: RADWIMPS

声の出演:神木隆之介 

 上白石萌音 

 長澤まさみ 

 市原悦子 

 成田凌 

 悠木碧 

 島崎信長 

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『借りぐらしのアリエッティ』映画鑑賞日記

Photo  イギリスの児童文学『床下の小人たち』をスタジオジブリがアニメ映画化した『借りぐらしのアリエッティ』。宮崎駿が企画・脚本を担当し、スタジオジブリの原画スタッフの米林宏昌を監督として大抜擢して製作されました。宮崎駿以外が監督するスタジオジブリの作品は『耳をすませば』を除いて個人的にはイマイチなのですが、予告編の映像の美しさに惹かれ劇場まで足を運びました。

 絵と音楽の美しさはさすがジブリ、申し分ありませんでした。特に小人目線で描いた人間世界は新鮮で、前半の主人公アリエッティが初借りに父と出かけるシーンは大変ワクワクして見ることが出来ました。音響もこだわっており、小人にはこの世界の音がどのように聞こえているのかを巧みに表現していたと思います。セシル・コルベルのアイリッシュな音楽も映画の世界観にとてもマッチしていました。

 ただ、ストーリーと人物描写に関してはイマイチでした。
 ストーリーは郊外のある広大な古い屋敷の床下に父ポッドと母ホミリーと住む14歳の少女アリエッティと病気療養のためにやって来た12歳の少年・翔の出会いから別れまでを描くというシンプルな内容です。
 しかし、登場人物は少ない割りに、一人一人の描写が浅いため、いまいちドラマに共感できませんした。翔がアリエッティに庭で滅び行く種族を語る場面も別れ際のセリフも、人物描写が浅いために唐突な印象を受けて上滑りに終わっていたような気がします。
 お手伝いのハルさんも小人をなぜ捕獲しようとするのかよく分からないため、単なる憎々しい敵役に終わってしまって後味が悪かったです。
 あとスピラーも物語の展開に大きく絡むキャラクターかと思いきや登場シーンも少なく残念でした。
 また、舞台設定を日本に変更したのも意味があまり感じられず、原作どおりにしても良かったのではと思いました。

 最近のジブリは映像のクオリティの高さに比べて脚本の練りこみが不足しており、物足りなさを感じます。
 本作品も『ゲド戦記』に比べれば良く出来ていると思いますが、完成度は悪くもないけどそれほど良くもないといったところでした。

上映時間:94分
製作国:日本
製作年度:2010年
監督:米林宏昌   
企画:宮崎駿   
原作:メアリー・ノートン   
『床下の小人たち』(岩波少年文庫刊)
脚本:宮崎駿   
    丹羽圭子   
作画監督:賀川愛、山下明彦   
美術監督:武重洋二、吉田昇   
色指定:森奈緒美   
音楽:セシル・コルベル   
主題歌:セシル・コルベル   
    『Arrietty's Song』
声の出演:志田未来
    神木隆之介
    大竹しのぶ
    竹下景子
    藤原竜也
    三浦友和
    樹木希林

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『アリス・イン・ワンダーランド』映画鑑賞日記

『アリス・イン・ワンダーランド』

Photo_3  独特な映像センスとユニークなキャラクター描写で定評のあるティム・バートン監督がルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』をベースに19歳に成長したアリスの新たな冒険を描いた『アリス・イン・ワンダーランド』。
 私は昔からティム・バートン監督のカラフルでブラックで少し切ないファンタジー映画が大好きだったので、公開前からルイス・キャロルが生み出したあの不思議の国をどう描くのかとても楽しみにしていました。また、キャメロン監督の『アバター』に続いて3Dで公開される作品でもあったので、バートン監督が3Dを活かしてどのような映像表現を見せてくれるのかも大変期待したものでした。

 私は3Dで先日鑑賞したのですが、バートン監督だけあって美術やキャラクター造形は凝っており、不思議の国の独特な雰囲気を見事に映像化していました。特に白うさぎやチェシャ猫や青い芋虫のアブソレムなどのキャラクターたちがCGで見事に描写されており、アリスファンにはたまりませんでした。
 ただ、3Dに関しては『アバター』と違って2Dで撮影された映像をポストプロダクションで3D変換したこともあってか、飛び出してくるシーンはさて置き、全体的に映像に立体感や奥行きは余り感じませんでした。

 次にストーリーやキャラクラーの描写ですが、正直つまらなかったです。ディズニーの作品ということもあってか、勧善懲悪の分かりやすいストーリーになっており、原作が持つ毒気やシュールさが薄れてしまっています。
 大人になったアリスが再度不思議の国に迷い込み、周囲の協力を得て悪者を退治して、成長して現実に帰っていくという展開は王道ではありますが、バートン監督らしい毒気や切なさみたいなものが感じられませんでした。
 また、キャラクターの描写も見た目のインパクトはあるのですが、深みや毒に欠けます。ジョニー・デップ演じるマッド・ハンターなんて、外見同様にぶっ飛んだキャラクターだと思っていたのに思っていた以上に普通の人でした。
 頭のでかい赤の女王の描き方も以前のバートン監督なら憎々しくもどこか悲哀を感じさせるキャラクターとして描いていたと思うのですが、今回は単なる悪役としてしか描いておらずイマイチでした。

 本作品は娯楽映画としては面白いとは思うんですが、ティム・バートン監督の映画としてみるとどうしても評価は下がってしまいます。
 あと、本作品は『アバター』と違って別に3Dで見なくても良いような気がしました。

上映時間 109分
製作国    アメリカ
製作年度 2010年
監督:    ティム・バートン   
原作:    ルイス・キャロル   
    『不思議の国のアリス』/『鏡の国のアリス』
脚本:    リンダ・ウールヴァートン   
撮影:    ダリウス・ウォルスキー   
衣装デザイン:    コリーン・アトウッド   
編集:    クリス・レベンゾン   
音楽:    ダニー・エルフマン   
出演:    ミア・ワシコウスカ   
    ジョニー・デップ   
    ヘレナ・ボナム=カーター   
    アン・ハサウェイ   
    クリスピン・グローヴァー   
    マット・ルーカス   
声の出演:アラン・リックマン   
    マイケル・シーン   
    スティーヴン・フライ   
    ティモシー・スポール   
    ポール・ホワイトハウス   
    バーバラ・ウィンザー   
    マイケル・ガフ   
    クリストファー・リー

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『カールじいさんの空飛ぶ家』この映画を見て!

第277回『カールじいさんの空飛ぶ家』
Photo  今回紹介する作品はピクサーの最新作にして初の3Dアニメに挑んだ『カールじいさんの空飛ぶ家』です。監督は「モンスターズ・インク」のピート・ドクターが担当。ガンコな老人が亡き妻との約束を果たすべく2人の思い出が詰まった我が家に大量の風船をつけて冒険に出るという本作品。カンヌ映画祭でアニメとしては初のオープニング作品として公開されました。

ストーリー:「開発で立ち退きを余儀なくされている一軒家に暮らすカールじいさん。その家は先立った最愛の妻エリーとの思い出が詰まった大切な場所だった。しかし、カールじいさんは工事現場の従業員とのトラブルから家を立ち退き、施設に入らなければならなくなる。カールじいさんは家を守り妻との約束を果たすために立ち退きの日の朝に無数の風船を使い家ごと大空へと舞いあがる。」

 ピクサーのCGアニメは毎回完成度が高く面白いので私も楽しみにしているのですが、今回の作品も期待を裏切らない出来でした。予告編を見た時は年老いた主人公の感傷的でお涙頂戴の作品になっているのかと思っていました。しかし、本編を見ると予想と違っていました。

 冒頭の10分間の主人公の回想シーンは大人が見ると涙なしでは見られないほど切ないです。妻との約束を果たすために旅立つ主人公。私は中盤までは主人公が困難を越えて妻との約束を果たすまでを描いた作品だと思って見ていたのですが、アジア系の子どもが冒険に付き添い、カラフルな鳥やしゃべる犬が登場し始めるころから話しの展開が変わってきます。悪役が登場してアクション満載のハラハラドキドキの冒険活劇へとなっていきます。この悪役が主人公同様に孤独で寂しい老人であるというところがミソです。老人同士の人生をかけた闘いはある意味手に汗握るものがありました。本作品の特長は主人公が過去の思い出をただ愛しむのでなく、決別して新たな未来を歩む姿まで描いているところだと思います。過去は大切だけど縛られず前に進むことの大切さ。それが本作品のテーマだと思いました。

 また、主人公と複雑な家庭環境のアジア系の少年との交流もとても印象に残りました。ただ、欲を言うなら、主人公の少年と出会ってからの心境の変化をもっとじっくり描いても良かったような気がします。

 映像面ではピクサー初の3Dということで楽しみにしていたのですが、スクリーンを飛び出すような派手な演出はあまりなく、どちらかというと映像に奥行きを与えるのに使われており、2Dで見ても大きく印象は変わらないような気がしました。それにしてもカラフルな風船を付けて空を飛ぶカールじいさんの家のリアルかつ幻想的な美しさは映画史に残る名シーンだと思いました。

 あと、本作品を見て宮崎駿監督の影響を随所に感じました。老人が主人公という設定は『ハウルの動く城』ですし、空飛ぶ家は『天空の城ラピュタ』ですし、最後の空中での戦いは宮崎駿監督が得意とするところです。また、主人公の雰囲気も宮崎駿監督にどことなく似ています。(どうやら宮崎駿監督も本作品を鑑賞して高く評価しているようですね。)

 本作品は予告編が与える印象と本編の内容が違うので注意が必要ですが、老人を主人公にした冒険活劇としては最高に面白く心に残ります。同時上映の短編アニメーション『晴れ ときどき くもり』も短いながらとても良い仕上がりなので必見ですよ。

上映時間 103分
製作国 アメリカ
制作年度 2009年
監督:ピート・ドクター   
原案:ピート・ドクター   
      ボブ・ピーターソン   
      トーマス・マッカーシー   
脚本:ボブ・ピーターソン   
      ピート・ドクター   
音楽:マイケル・ジアッキノ   
声の出演:エドワード・アズナー   
     ジョーダン・ナガイ   
     ボブ・ピーターソン   
     クリストファー・プラマー   
     デルロイ・リンドー   
     ジェローム・ランフト   
     エリー・ドクター   
     ジェレミー・レアリー

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『空気人形』この映画を見て!

第275回『空気人形』
Photo  今回紹介する作品は業田良家の短編コミックを基に心を持ってしまったダッチワイフと孤独な現代人の交流を描くラブ・ファンタジー『空気人形』です。
監督は『誰も知らない』の是枝裕和が担当。主演を『リンダ リンダ リンダ』で日本映画デビューした韓国の若手女優ペ・ドゥナが演じています。また共演者には、ARATAや板尾創路、オダギリジョー、富司純子など個性派が顔を揃えています。また、ホウ・シャオシェンの作品等で有名なアジアを股にかけて活躍するリー・ピンビンが撮影を担当しており、東京の街並みを情緒豊かな美しい風景として捉えています。

ストーリー:「ファミレス店員をしながら古びたアパートで暮らしていた秀雄のダッチワイフがある朝「心」を持ってしまった。秀雄が仕事に出かけると、彼女はメイド服を着て、街へと繰り出す。初めて見る外の世界で出会う様々な人々。そんなある日、彼女はレンタルビデオ店で働く純一と出会い、一目惚れする。彼女はその店でアルバイトをしながら、純一に近づいていく。」

前知識なく本作品を鑑賞したのですが、最近観た映画の中ではインパクトがありました。人形やロボットが心を持つという物語はピノキオを始めとして昔から良くあります。(最近の作品で言うならスピルバーグ監督が2001年に発表した『A.I』などが挙げられます。)
 そんな中、本作品が面白いのは性欲処理の道具であるダッチワイフが心を持つという点です。昔のポルノ映画やエロ漫画にも良く似た設定や雰囲気の作品はありましたが、ここまで透明感があり文芸的な香りのする作品はなかなか見当たりません。
 本作品は現代人の孤独や満たそうと思っても満たされない心の苦しみを描いてきます。その描き方は時に美しく、時に切なく、時に残酷です。
 主人公のダッチワイフは空っぽ肉体に純粋な心を持った故に己の空虚な欠如を満たそうと他者に興味を持ち関わろうとします。その姿は微笑ましくもあれば、痛ましくもあります。
 普通の人間よりも純粋な心を持ったが故に周囲の人間に振り回され傷ついていく主人公を見ていると、人間誰しもが持つエゴイズムを痛感させられます。自分を傷つけまいと守りながら己の孤独や欲望を満たそうとするエゴイズム。エゴイズムを満たすために他者とつながりたいのに上手くつながれない現代人の苦悩が本作品では生々しく描かれています。

 また、本作品で私が印象的だったのが好きな男から息を吹き込まれるシーンとラストの主人公が好きな男に対して取った予想外な行為。
 映画の中盤のレンタルビデオ店で誤って空気が抜けかけた主人公に対して好きな男が息を吹き込むシーンの官能的な美しさは息を呑みます。息を吹き込まれるたびに主人公が見せるエロティクな表情。好きな男の息によって空っぽな肉体が満たされていき、己の心の空虚さが満たされていく。主人公は空気を吹き込まれることで他者から満たされることの喜びを知り、そして喪失への恐れを抱くようになります。
 映画のラストは満たされた主人公が好きな男を満たそうとした行為によって起きる悲劇が描かれます。傷つけるつもりはなかったのに純粋な心が故に傷つけてしまう悲しみと恐ろしさ、そして愛する者を失った喪失感。満たされた心も束の間、充足感は失われ空っぽになっていく。映画のラストはとても切なく哀しいです。
 しかし、同時にかすかな希望も与えてくれます。それは主人公が知らぬ間に他者と交わる中で育んだ温もりと絆の種です。

 それにしても本作品で主人公を演じたぺ・ドゥナの透明感と存在感は凄いです。彼女が主演でなければ本作品ははっきり言って失敗していたかもしれません。彼女に目を付けた監督も大したものです。

 本作品はダッチワイフが主人公ということで嫌悪感を抱く人もいるかもしれませんが、悪趣味で見世物的な描写もなく、大変美しくも生々しく人間の心の本質を描いています。今年の邦画で押さえておいて損はない作品だと思います。

製作国    日本
製作年度 2009年
監督:    是枝裕和   
原作:    業田良家   
    『空気人形』(小学館刊『ゴーダ哲学堂 空気人形』所収)
脚本:    是枝裕和   
撮影:    リー・ピンビン   
美術:    金子宙生   
美術監督: 種田陽平   
編集:    是枝裕和   
音楽:    world's end girlfriend   
衣裳デザイン:    伊藤佐智子   
照明:    尾下栄治   
造形:    原口智生   
人形デザイン:    寒河江弘   
出演:    ペ・ドゥナ   
    ARATA   
    板尾創路   
    高橋昌也   
    余貴美子   
    岩松了   
    星野真里   
    丸山智己   
    奈良木未羽   
    柄本佑   
    寺島進   
    オダギリジョー   
    富司純子   

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『雨月物語』この映画を見て!

第270回『雨月物語』
Photo  今回紹介する作品は日本映画界の巨匠・溝口健二の代表作『雨月物語』です。本作品は江戸時代の読本作家であった上田秋成の怪異小説『雨月物語』の中の「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の2編を脚色して製作されています。日本を代表するカメラマン・宮川一夫が撮影したモノクロ映像は息を呑むほど美しく、欲望に目の眩んだ者たちの悲劇の物語は今の時代にも十分通ずるものがあります。世界的にも高く評価されており、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞とイタリア批評家賞を受賞しているほどです。

ストーリー:「戦国時代、近江国の農村で焼き物を作っていた源十郎は戦に乗じて町で焼き物を売り捌いてお金を手にする。源十郎は、妻子のためにもっとお金を稼ごうと、侍になるための金がほしい弟の籐兵衛と一緒に大量の焼き物を作り始める。
 後は焼きあがるのを待つ段階になった時、村に兵が押し寄せてきて、源十郎たちはやむなく山に逃げこまざるえなくなる。だが、源十郎はどうしても焼き物が気になり、兵がまだいる村へと戻る。焼き物は無事完成しており、源十郎は妻子と籐兵衛夫妻を率いて焼き物を対岸の市場に売りにいくために琵琶湖に船で繰り出す。
 しかし、湖上に海賊が出回っており、源十郎は一旦引き戻して妻子を残して琵琶湖を渡る。無事に市場までたどり着いた源十郎は焼き物を次々と売りさばく。そんなある時、市来笠を冠った美しい女が付き人の老女を伴って現れ、大量の焼き物を購入する。老女は『焼き物を屋敷にまで届けてくれ』と言うので、源十郎は屋敷まで持っていくのだが・・・・。」

 私はテレビで本作品が放送されているのを偶然見たのですが、その美しくも哀しい物語に釘付けになってしまいました。特にラストの源十郎が村に戻って妻と再会するシーンはあまりにも切なくて思わず泣いてしまいました。(このシーンでの田中絹代の抑えた演技は最高に素晴らしいです!)男の浅はかな欲望とそれに振り回されながらも尽くしてしまう女たち。男の身勝手さや弱さに対して我慢強く耐え受け入れようとする女たち。男としては見ていて我が身を反省させられる作品です。

 また、中盤の屋敷での主人公が美しい女に溺れていくエピソードは戦に翻弄された女の哀しみとこの世の男に対する激しい執念が大変印象に残ります。京マチコ演じる姫君の現実離れした妖艶さは息を呑むほど美しく、そして怖いです。また、お付の老女も不気味な雰囲気を見事に醸し出していました。

 宮川一夫が撮影した映像は水墨画のようなモノクロ画面と計算されつくした美しい構図は芸術の域に達しています。特に霧が漂う琵琶湖での幻想的なシーンとラストの源十郎が妻を捜して家を一周する長回しのシーンは映画史に残る美しい映像です。
 早坂文雄の音楽も日本の伝統音楽を見事に取り込み、幻想的ながら緊張感溢れる音楽に仕上がっています。

 本作品は古い作品ではありますが、愛や欲望と言った普遍的なテーマを幻想的で物悲しい物語として一流のスタッフとキャストで描いており、今見ても大変見応えがあります。 

上映時間 97分
製作国    日本
製作年度 1953年
監督:    溝口健二   
原作:    上田秋成   
脚本:    川口松太郎   
    依田義賢   
撮影:    宮川一夫   
美術:    伊藤熹朔   
編集:    宮田味津三   
作詞:    吉井勇   
音楽:    早坂文雄   
助監督:    田中徳三   
出演:    京マチ子   
    水戸光子   
    田中絹代   
    森雅之
    小沢栄太郎   
    青山杉作   
    羅門光三郎   
    香川良介   
    上田吉二郎   
    毛利菊枝   
    南部彰三   
    光岡龍三郎   

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『バロン』この映画を見て!

第241回『バロン』
Photo  今回紹介する作品は独特なヴィジュアルセンスを持つ鬼才テリー・ギリアムが「ほら吹き男爵の物語」を映画化した『バロン』です。
本作品は巨額の制作費をかけた割に興行的に失敗して、ギリアム監督はしばらく不遇の時代を迎えることになります。
 しかし、本作品で見せてくれるギリアム監督の独創的イマジネーションの数々はギリアムファンにはたまりません。特に月面のシーンとヴィーナスが登場するシーンはそのヴィジュアルセンスに圧倒されます。
 また、モンティ・パイソンで活躍していただけあって子供が見る甘いファンタジー映画にはなっておらず、ブラックユーモアや下ネタも満載です。

ストーリー:「18世紀、トルコ軍占領下にあり戦火の広がる町。そこで「ほら吹き男爵の冒険」の演劇が上演されていた。そこへ突然本物のほら吹き男爵(バロン)が現れ、自分のせいでトルコ軍と戦争になったと言う。しかし、誰も真剣に相手をしなかったが、劇団の少女サリーだけは彼が本物のバロンであることを見抜く。サリーはバロンにトルコ軍を倒すために協力してほしいと依頼され、一緒に闘う仲間を連れてくるために気球で旅に出る。」

 本作品の最大の見所は何と言っても完璧な童話の世界の映像化です。セットとローテクな特撮で作り上げられたファンタジーの世界は見た目はいかにも作り物といった感じです。しかし、その作り込みが徹底されているので逆にCGでは出せないおとぎ話の世界のリアリティが表現できていたと思います。ファンタジー映画では細部への気配りがないと観客が入り込めなくなることが、本作品を見ると良く分かります。 

 出演者も大変豪華です。特に注目は、若き日のユマ・サーマンやサラ・ポーリーの出演と、ロビン・ウィリアムズがコメディアンとしてはじけた演技です。ユマ・サーマンはヴィーナスの役をしていますが、その美しさはため息が出るほどです。また、サラ・ポーリーも歯が抜けて幼いですが、しっかりした女の子役を見事に演じています。
 また、ギリアム監督の盟友であるエリック・アイドル、 ジョナサン・プライスが出演しているところも嬉しい限りです。 プライスに関しては『未来世紀ブラジル』とは打って変わって、がちがちの官僚役を演じていて面白かったです。

 ストーリーに関して印象的だったのは、理性の時代に対する批判。理性的と思われる行動が人を抑圧し、一見非理性的な行動が人を解放する。理性に埋め尽くされた時代に対する監督の批判精神を感じました。
 
 本作品の独創的な映像と物語をぜひ皆さんも体験して、理性の時代に息抜きをしてください!

上映時間 125分
製作国 アメリカ
製作年度 1989年
監督: テリー・ギリアム 
原作: ゴットフリート・ビュルガー 
脚本: チャールズ・マッケオン ,テリー・ギリアム 
撮影: ジュゼッペ・ロトゥンノ 
音楽: マイケル・ケイメン 
出演:
 ジョン・ネヴィル
 サラ・ポーリー
エリック・アイドル
オリヴァー・リード
ジョナサン・プライス 
  ロビン・ウィリアムズ
ユマ・サーマン 
ヴァレンティナ・コルテーゼ 
アリソン・ステッドマン
ウィンストン・デニス 
チャールズ・マッケオン 
ジャック・パーヴィス 
ビル・パターソン 
ピーター・ジェフリー
レイ・クーパー

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『パコと魔法の絵本』この映画を見て!

第219回『パコと魔法の絵本』
Photo_2  今回紹介する作品は『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』での独特な映像表現とテンポの良い演出で高い評価を受けている中島哲也監督の最新作『パコと魔法の絵本』です。
 本作品は2004年に全国8都市で公演された後藤ひろひと原作の舞台『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』をCGを大胆に取り入れて映像化しています。

ストーリー:「とある時代のとある場所に患者も医者も看護師も変な人ばかりが集まる病院があった。
 特に偏屈なクソジジイの大貫は病院内での嫌われ者だった。大貫はある日病院の庭で入院しているパコという少女と出会う。彼女にも意地悪にしか接することができない大貫は、ある日パコが自分の大切なライターを盗んだと勘違いして頬っぺたを殴ってしまう。しかし、パコは1日しか記憶を保てない病気のために昨日拾ったライターのことを忘れていたのだった。
 大貫はパコの病気を知り、ひどく後悔する。パコは翌日も何事もなかったようにケロっとして大貫に近づく。さすがに反省した大貫はパコに謝ろうとほっぺに触れた瞬間、「おじさん、昨日もパコのほっぺに触ったよね?」と昨日のことを覚えていた。大貫はパコのために何かをしてあげたいと思い始め、病院の皆に一緒にパコの愛読する絵本「ガマ王子vsザリガニ魔人」を演劇として演じてくれと懇願する。」

 今年の秋は日本映画が秀作ぞろいです。先日見た『おくりびと』も素晴らしかったですが、本作品も負ける劣らず素晴らしい作品でした。

 本作品は日本映画としては珍しいファンタジー映画ですが、個性的な登場人物が色彩豊かな映像の中で繰り広げる物語は見ていて飽きることがなく、前半は大いに笑って後半は涙を抑えることができませんでした。

 中島哲也監督というとCGやセットを巧みに駆使した独自の映像表現が有名ですが、本作品では日本映画では初となる3D-CGと実写の合成した映像が後半登場します。その出来栄えは大変素晴らしく、まさしく飛び出す絵本!映画のクライマックスを見事に盛り上げてくれます。CG以外にもセットや衣装そしてメイクもカラフルかつ奇抜で見ていて楽しいです。
 
 また、登場人物たちの舞台を見ているかのような大げさな演技も本作品の作風にはとてもマッチしていると思いました。
役所広司はさすがベテランだけあって大貫という偏屈なおじいさんを悠々と演じていましたし、パコを演じるアヤカ・ウィルソンは見ていて本当に愛くるしく可愛いです。脇役の山内圭哉や國村隼のあくの強い演技も見ていて楽しいです。
 また、上川隆也と小池栄子に関しては普段テレビで見慣れている雰囲気とは全く違う強烈なキャラクターとして登場するので正直驚きましたし、妻夫木聡にいたっては途中まで演じているのが妻夫木聡と分からないほどの怪演でした。
 ただ、阿部サダヲの演技は終始ハイテンション過ぎて、見ていて時折少しうっとうしくなることがありましたが・・・。

ただ、本作品で唯一惜しかったのが、大貫がなぜパコに思い入れをするようになったのか心情の変化の描写が薄かったこと。大貫の心理描写をもう少し丹念にしたら、より素晴らしい作品になったと思います。

 映画のラストは予想していた展開と違っていたので少々驚き、そして涙しました。てっきりあの人がああなると思ったもので。

 本作品は今までの日本映画にはないタイプの作品ですが、見て損はしない仕上がりとなっていますよ! 

公式サイト:http://www.paco-magic.com/index.html

上映時間 105分
製作国 日本
製作年度 2008年
監督: 中島哲也 
原作: 後藤ひろひと 
脚本: 中島哲也、門間宣裕 
撮影: 阿藤正一、尾澤篤史 
美術: 桑島十和子 
編集: 小池義幸 
音楽: ガブリエル・ロベルト 
主題歌: 木村カエラ 
『memories』
出演: 役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、 上川隆也
阿部サダヲ、加瀬亮、小池栄子、 劇団ひとり、山内圭哉、國村隼

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『崖の上のポニョ』この映画を見て!

第210回『崖の上のポニョ』
Photo  今回紹介する作品は7月19日から公開される宮崎駿監督の最新作『崖の上のポニョ』です。
 現在テレビでは予告編がオンエアーされており、女の子がたどたどしく歌う「ポーニョ、ポーニョ~」という主題歌が印象に残っている人も多いかと思います。

 私は運良く試写会のペアチケットを手に入れることが出来て、パートナーと共に一足先に見に行くことができました。

 映画のあらすじ
「海辺の小さな町。

崖の上の一軒家に住む5歳の少年・宗介は、
ある日、クラゲに乗って家出したさかなの子・ポニョと出会う。
アタマをジャムの瓶に突っ込んで困っていたところを、
宗介に助けてもらったのだ。

宗介のことを好きになるポニョ。
宗介もポニョを好きになる。
「ぼくが守ってあげるからね」

しかし、かつて人間を辞め、
海の住人となった父・フジモトによって、
ポニョは海の中へと連れ戻されてしまう。

人間になりたい!
ポニョは、妹たちの力を借りて父の魔法を盗み出し、
再び宗介のいる人間の世界を目指す。

危険な力を持つ生命の水がまき散らされた。
海はふくれあがり、嵐が巻き起こり、
妹たちは巨大な水魚に変身して、
宗介のいる崖へ、大津波となって押し寄せる。

少年と少女、愛と責任、海と生命。
神経症と不安の時代に、
宮崎駿がためらわずに描く、母と子の物語」(映画チラシより) 
 

まだ公開前なので映画の詳細に関しては何も言いませんが、衰えを知らない宮崎監督の想像力の豊かさに圧倒されました。

 CGを使わず手描きにこだわった映像は躍動感と温かみに溢れており、見ていて楽しく飽きることがありません。
 特に海の映像はとても力が入っており、デフォルメされた波の描写や海中を泳ぎ回る色とりどりな魚たちの姿を見ていると海自体が重要な主人公であることに気づくでしょう。
主人公たちの動きや仕草も可愛くコミカルですし、中盤に『カリオストロの城』のカーチェイスを彷彿させるようなシーンもあります。
 また中盤にある大津波のシーンの音楽との相乗効果も相まって鳥肌が立つほど迫力があります。

 ストーリーは最近のジブリ作品の中ではいたってシンプルで、人間になりたい金魚姫「ポニョ」とそんなポニョを守ろうとする5歳の少年「宗介」の絆と冒険を描いています。
ただ、前回の「ハウルの動く城」と同じく映画の舞台となっている世界に関する説明は必要最小限に抑えられているため、今どういうことが起こっているのか良く分からない部分はいくつかあります。
 最近の宮崎監督は世界観の説明より、主人公たちの感情や行動に焦点を当てて話しを進めていきますが、本作品もポニョと宗介のストレートな思いや行動にのみ焦点を当てて話しを進めています。その為、世界観の説明を求める大人には不満があるかもしれませんが、そんな世界をありのまま受け止めることができる大人や子どもたちは感情移入して楽しく見ることができます。
一緒に見た私のパートナーは「ストーリーは良くわからなかったが主人公である宗介の純粋な思いに泣きそうになった」と言ってました。
 
 試写会には子どもたちもたくさん来ていましたが、見ている最中に主人公たちの何気ない仕草や行動に何度も笑っていました。宮崎監督は子どもたちが楽しんでくれるかどうかとても気になっているようですが、試写会での反応を見る限りは子どもたちの心をつかんでいると思いました。

 あと本作品を語る上で外せないのが一度聞いたら頭から離れない主題歌。映画ではエンドロールで流れるのですが、『となりのトトロ』以来のインパクトのある主題歌です。
 なおエンドロール自体も近年の映画では稀に見るコンパクトなもので、子どもを退屈させない配慮がなされており好感がもてました。

 本作品は『風の谷のナウシカ』や『天空の城ラピュタ』などのスケールの大きな冒険活劇を求める人が見るとイマイチかもしれませんが、『となりのトトロ』のようなこじんまりとした温かいファンタジーを求める人が見ると非常に楽しめると思います。

上映時間 101分
製作国 日本
製作年 2008年
監督: 宮崎駿 
プロデューサー: 鈴木敏夫 
原作: 宮崎駿 
脚本: 宮崎駿 
作画監督: 近藤勝也 
色彩設計: 保田道世 
美術監督: 吉田昇 
編集: 瀬山武司 
音楽: 久石譲 
主題歌: 藤岡藤巻と大橋のぞみ『崖の上のポニョ』、林正子 『海のおかあさん』
声の出演:長嶋一茂 、天海祐希、所ジョージ、土井洋輝、 奈良柚莉愛、柊瑠美、矢野顕子、吉行和子、奈良岡朋子

公式サイト:http://www.ghibli.jp/ponyo/

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『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』この映画を見て!

第209回『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』
Photo  今回紹介する作品は19年ぶりに復活した人気シリーズの第4作目『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』です。
 
 私は小学生の時からこのシリーズが大好きだったので、2002年にネット上で第4作目の脚本が執筆されていると知って大変喜んだものでした。2004年には『グリーンマイル』の監督フランク・ダラボンが手がけたシナリオが完成したとの発表があり、公開を今か今かと楽しみにしていました。しかし、ジョージ・ルーカスがシナリオの出来に不満がありリライトが決定。スピルバーグが監督した『ターミナル』の脚本家ジェフ・ナサンソンが起用されるが、そのシナリオにもルーカスは不満を持ち、続いて『ジュラシックパーク』・『宇宙戦争』等の脚本を手がけたデヴィッド・コープ を起用。そして2006年にルーカスがついにシナリオにOKを出し、2007年6月からスピルバーグ監督の下で撮影が開始。そして2008年待ちに待ってやっと楽しみにしていた第4作目が公開されました。早速、私も昨日劇場にて鑑賞してきました。ジョン・ウィリアムスによるお馴染みのテーマ曲が映画館で流れてくるや否やインディ・ジョーンズワールドに一気にトリップすることができました。

 鑑賞しての感想ですが、19年ぶりにスクリーン上でジョーンズ博士の変わらぬ活躍を見れて大満足でした。ジョーンズ博士演じるハリソン・フォードも60代後半であり、さすがに老いた感は否めませんが、アクションのキレは昔と変わらずで安心しました。

 ストーリー自体は荒唐無稽で先が読める展開でありますが、この手の作品でストーリーにリアリティを求めること自体がお門違いというもの。テーマパークのアトラクションに乗った気分で鑑賞すれば、2時間近く手に汗握る冒険を楽しむことができます。

 今回のストーリーはシリーズ初となる第2次大戦後を舞台にしており、ナチではなく今はなきソ連が敵として現れ、クリスタル・スカルをめぐる謎をめぐって激しい攻防を繰り広げます。今回は南米を舞台に失われた王国を求めて冒険が繰り広げられますが、単なる宝探しの冒険にSFの設定が加味されています。UFOに興味のある方なら誰も知っているエリア61やロズウェル事件などが映画のストーリーに絡んでおり、ラストはあっと驚く(または呆気に取られる)ような展開があります。冒険活劇にここまでSFの要素が絡む事に関して賛否両論はあると思いますが、個人的にはこういうB級SF映画的展開は嫌いではありません。
 
 『インディ・ジョーンズ』というと毎回お約束のネタや展開がいくつかあります。パラマウントのロゴマークと実景とのオーバーラップのシーン、冒頭の派手なアクション、乗り物を使った過激なチェイスシーン、気味悪い生物の群れ(今回は殺人○○です。)、そして宝物を守る大掛かりな仕掛け。今回もそれらのお約束がきちんと踏襲されおり、インディファンは楽しめること間違いないです。

 また本作品はインディシリーズ第1作目にあたる『レイダース 失われたアーク』と第3作目にあたる『最後の聖戦』とリンクしたネタがあります。冒頭のアクションシーンは『失われたアーク』のラストでアークを収めた広大な倉庫で繰り広げられますし、ちらっと聖櫃自体が画面に映ります。さらに『失われたアーク』のヒロインであるマリオンも再登場し、1作目同様に重要な役回りをしています。また、息子とのやり取りは『最後の聖戦』を見ていたらにやりとすること間違いなしです。

 あとインディの父と学長のブロディもちらっと画面に登場しますのでお見逃しなく。

 アクションシーンはさすがスピルバーグ監督だけあって、見せ方が上手く飽きることがありません。特にアマゾンでのチェイスシーンの良い意味でのしつこさは見ていて手に汗握りますし、激しい攻防の合間に見られるユーモアはスピルバーグならではです。
 ただ原爆のシーンはやりすぎだったと思います。いくらジョーンズ博士とは言え、あの状況でほぼ無傷で生還するのは明らかに不可能でしょう。 


 突込みどころはたくさんありますし、前作までと比較するとパワーダウンした感は否めませんが 19年ぶりにスクリーンに戻ってきたジョーンズ博士の勇姿をぜひ皆さまスクリーンでご覧ください。
 
上映時間122分
製作国 アメリカ
製作年月 2008年
監督: スティーヴン・スピルバーグ 
製作: フランク・マーシャル 
原案: ジョージ・ルーカス、ジェフ・ナサンソン 
脚本: デヴィッド・コープ 
撮影: ヤヌス・カミンスキー 
プロダクションデザイン: ガイ・ヘンドリックス・ディアス 
衣装デザイン: メアリー・ゾフレス 
編集: マイケル・カーン 
音楽: ジョン・ウィリアムズ 
出演: ハリソン・フォード、シャイア・ラブーフ 、レイ・ウィンストン、カレン・アレン
ケイト・ブランシェット、 ジョン・ハート 、ジム・ブロードベント 、イゴール・ジジキン 

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