2008年3月24日 (月)

『シックスセンス』この映画を見て!

第205回『シックスセンス』
Photo  今回紹介する作品はラストの衝撃的な結末が話題となり世界中で大ヒットしたヒューマンホラー『シックスセンス』です。
監督はインド出身のM・ナイト・シャマランが担当。本作品の成功で一躍ハリウッドを代表する監督となり、『ヴィレッジ』や『サイン』などの話題作を次々と発表しています。

ストーリー:「小児精神科医であるマルコムのもとに10年前にカウンセリングしたビンセントという青年が現れ、「自分を救ってくれなかった」と銃で撃たれてしまう。
その事件の後、妻との関係も冷え込み、自信を失ったマルコムは苦悩と悲しみに暮れていた。そんな中、マルコムはビンセントに良く似た少年、コールと出会う。マルコムはコールを救おうと奮闘する。やがてコールは隠していた秘密を打ち明ける。その秘密とは死者が見えてしまう霊感があり、霊たちに脅かされているというものだった。
 最初はコールの霊感を信じなかったマルコムだが、やがてある事実からコールの言葉を受け入れるようになる。そしてマイケルは死者がコールの前に現れる理由を共に探り始める・・・。」

 本作品を公開当時に劇場で始めて見たときは予想外の結末に驚くと同時に、深い余韻に浸ることができました。
 まだ見ていない人の為に結末に関しては言うことは差し控えますが、1度見ると、もう1度最初から見たくなると思います。 2回見るとM・ナイト・シャマランが結末に向けて随所に張り巡らした伏線やマルコムとコールの交流の意味などにも気づくことができ、より本作品を楽しむことができます。

 結末の話しばかりしましたが、幽霊が突然出てくるシーンはドキッとさせられますし、コールが車の中で母に向かって亡くなった祖母の思いを語るシーンは自然と涙があふれてきます。
 
 本作品には孤独や過去に苦しむ登場人間たちが数多く登場します。親と子、夫と妻、生者と死者、そんな彼らが心を打ち解けコミュニケーションを通して自分に気づき癒されていく姿は人と人のつながりのかけがえのなさや大切さを見る者に改めて気づかせてくれます。

 生と死を超えた人間の思い。人間は他の生命にはない思いというものを持っていて、その思いが叶うことに喜び、果たせなかったことに悔やみます。生きている内に果たせなかった死者の思いや死んだ人に果たせなかった生者の思い。本作品は果たせなかった思いを果たそうとする人間たちの悲しみや切なさを優しい語り口で描いていきます。

 本作品をまだ見たことない人は予備知識なく二度見て、一度目は結末に驚き、二度目は主人公たちの心の交流のドラマに浸ってください。
 
上映時間 107分
製作国 アメリカ
製作年度 1999年
監督:M・ナイト・シャマラン 
脚本:M・ナイト・シャマラン 
撮影:タク・フジモト 
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード 
出演:ブルース・ウィリス 、ハーレイ・ジョエル・オスメント、 トニ・コレット、 オリヴィア・ウィリアムズ 、トレヴァー・モーガン、 ドニー・ウォールバーグ 、グレン・フィッツジェラルド

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2008年2月27日 (水)

『ビートルジュース』この映画を見て!

第202回『ビートルジュース』
Photo  今回紹介する作品は鬼才ティム・バートン監督によるブラックホラーコメディ映画『ビートルジュース』です。
 本作品の大ヒットによりティム・バートン監督はハリウッドのヒットメーカーの仲間入りをして『バットマン』の監督を務めることになりました。

ストーリー:「丘の上に立つ家に住む夫婦は車の事故で死んでしまい、幽霊となってしまう。その家に新しく一家が越してきて、住み慣れた家を好き勝手にリフォームしていく。夫婦は何とか家から彼らを追い出そうとするが、なかなか上手くいかない。困り果てた幽霊夫婦の前に自称"バイオ・エクソシスト"であるというビートルジュースという男が現れる。」

 私は昔からティム・バートン監督が好きでしたが、私が始めて見た彼の作品が『ビートル・ジュース』でした。本作品を始めて見た時はダークでキッチュな雰囲気と悪ふざけなノリの演出に虜になりました。
 
 死んだ夫婦の奮闘が描かれているのですが、妙に明るい霊界の描き方や個性豊かな登場人物たちやクリーチャーの姿に終始笑いがとまりませんでした。
 本作品の題名ともなっているビートルジュースは出番自体は少ないものの、強烈なキャラクターで一度見たら忘れることができません。演じているのは『バットマン』でもコンビをマイケル・キートンですが、派手なメイクをしての終始テンション高い演技は最高に面白いです。
 また若かりし頃のウィノナ・ライダーがゴスロリ調の黒い衣装を身に着けたオカルト好きの暗い少女を演じているのですが、妖しさと可愛いらしさと芯の強さが非常に魅力的です。

 映像はティム・バートン監督らしくB級テイストなチープ感とおもちゃ箱をひっくり返したようなカラフルさに満ちています。特撮もミニチュアやクレイアニメ、ストップモーションなど手作り感溢れるものですが、それが何とも言えない良い味を出しています。
 遊び心も満載で、オープニングの街の空撮シーンが途中からミニチュアの街に変わるところなど見ていてニヤッとさせられます。

  あと私が本作品で一番好きなシーンは「バナナボート」の歌に合わせて踊るシーン。このシーンは何回見ても腹を抱えて笑ってしまいます。

 非常に個性的な作品ですので好き嫌いは分かれるかもしれませんが、ティム・バートン好きなら外すことの出来ない傑作です。

上映時間 92分
製作国 アメリカ
製作年度 1988年
監督: ティム・バートン 
原案: マイケル・マクダウェル、 ラリー・ウィルソン 
脚本: マイケル・マクダウェル 、 ウォーレン・スカーレン 
撮影: トーマス・アッカーマン 
音楽: ダニー・エルフマン 
出演: マイケル・キートン、アレック・ボールドウィン、ジーナ・デイヴィス、ウィノナ・ライダー 、キャサリン・オハラ、シルヴィア・シドニー、 グレン・シャディックス 

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2008年2月26日 (火)

『犬神家の一族』(2006年版)映画鑑賞日記

『犬神家の一族』(2006年版)
Photo  先日亡くなられた市川崑監督が最後に手がけた作品『犬神家の一族』。本作品は1976年に角川映画第一弾として市川崑監督によって製作され大ヒットした作品を、再び同じ監督、主演でセルフリメイクをしたものです。
 1976年版を始めて見た時はあまりの面白さに何回も見返したものでした。おどろおどろしい殺人事件、その動機に秘められた人間の深い業と哀しみ、市川監督のスタイリッシュな映像と役者たちの重厚な演技。その完成度の高さは今見ても全然色褪せていません。

 本作品のリメイクが決まった時は、76年版とまた違うアプローチの作品になるのかと期待していたものでした。しかし、完成した作品を見ると役者が変わっている以外、シナリオからカット割りに至るまでほとんど同じで、物足りなさを感じてしまいました。
 私のパートナーは昔の作品にCGで最近の俳優が合成されていると勘違いしているほどでした。
 
 本作品はあまりにも前作と似ているために、俳優の演技力の差が非常に気になってしまいました。前作はあまりにも芸達者な役者が出揃いすぎていたところはありますが、それにしても本作品の役者の演技は一部の役者を除いて薄っぺらいです。特に深田恭子は場違いです。
 富司純子はなかなか頑張っていたとは思いますが、前作の高峰三枝子と比べると迫力に欠けます。
ただ前作から継続して出ている石坂浩二、大滝秀治、加藤武が前作とあまり雰囲気が変わっていないことには驚きました。

 映像も前作に比べるとクリアーで明るくなりすぎて重厚感に欠けていたような気がします。

 ただ前作と違うラストシーンは市川監督が亡くなった今思い返すと感慨深いものがあります。本作品は市川監督から映画ファンへの最後の挨拶だったのかもしれませんね。

上映時間 135分
製作国 日本
製作年度 2006年
監督:市川崑 
原作:横溝正史 
脚本:市川崑、日高真也、長田紀生 
撮影:五十畑幸勇 
視覚効果: 橋本満明 
美術:櫻木晶 
編集:長田千鶴子 
音楽:谷川賢作
出演:石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、葛山信吾、池内万作、林家木久蔵、三谷幸喜、深田恭子、奥菜恵、岸部一徳、 大滝秀治、草笛光子、中村玉緒、加藤武、中村敦夫、仲代達矢 

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2008年2月16日 (土)

『ブレインデッド』この映画を見て!

第200回『ブレインデッド』
Photo  このコーナー記念すべき200回目に紹介する作品は史上最高のスプラッターコメディホラー『ブレインデッド』です。

 私が本作品を始めてみたのは10年くらい前です。レンタルビデオ店のホラー映画コーナーで看護師がゾンビの赤ちゃんを抱えてイスに縛られている強烈なパッケージに目を奪われ思わず借りてしました。
 映画の本編にパッケージのようなエロティックなシーンこそありませんでしたが、こちらの期待をはるかに上回るパワフルかつ過激なシーンの連続で最初から最後まで画面に釘付けでした。

 見所は何といっても300ℓの血糊を使用したスプラッターシーン!特にラスト30分の阿鼻叫喚の地獄絵図は他の映画の追随を許さないほど強烈です。特に芝刈り機を使ったゾンビ撃退シーンのすざましさは気持ち悪いを通り越して、痛快さすら感じてしまいます。本作品を見た後ではどんなスプラッター映画を見ても物足りなさを覚えてしまうことでしょう。
 
 またコメディ映画としても最高に面白く、腹を抱えて笑えるシーンが満載です。下品かつ悪趣味なネタが多いのですが、あっけらかんとした描き方は見る者に不快な印象を全く感じさせません。

 ストーリー:「ニュージーランドに暮らすマザコンのライオネルは雑貨屋の娘パキータと運命的な出会いをする。二人は意気投合しデートに動物園へ出掛ける。息子が心配なライオネルの母親は二人の後をこっそり追跡して動物園へ向かうが、スカル島で捕獲された謎の生物「ラット・モンキー」に噛まれてしまう。その後、母親は体調を崩して寝こみ、ライオネルは懸命に介護する。しかし、母に容態は瞬く間に悪化、そしてゾンビになってしまう。
 ライオネルは仕方なく母親を埋葬するが、埋葬地の墓場にいた人々が次々に感染してゾンビ化。ライオネルは仕方なく自宅の地下室にゾンビを隔離して生活させる。しかし、ゾンビの存在を知らない叔父が自宅でパーティを開いてしまいゾンビを解放させたことから、血みどろの惨劇が始まる。」

 本作品に登場するキャラクターは皆ぶっ飛んだ人ばかりです。マザコンの主人公、過保護な母親、カンフーが得意な牧師、ベビーゾンビ・・・。強烈なキャラクターたちが織り成す濃厚かつ強烈な世界は一度見たら病みつきになります。

 全編にわたってハチャメチャな映画なのですが、ラストは上手くまとまり主人公は成長してハッピーエンドを迎えます。そのストーリー構成の上手さも本作品の魅力です。

 こんな素晴らしいスプラッターコメディー映画を監督したのは何と『ロード・オブ・ザ・リング』『キング・コング』など数々のファンタジー映画の傑作を手がけたピーター・ジャクソンです。『ブレインデッド』を撮った監督と『ロード・オブ・ザ・リング』を撮った監督が同じ人とは驚く限りです。
 しかし、本作品の徹底したスプラッター描写への監督のこだわりを見ると、後に『ロード・オブ・ザ・リング』での中つ国という架空の世界の描写へのこだわりとつながっていたのだなと思います。 

 『ロード・オブ・ザ・リング』にはまった人でスプラッター描写が苦手でない人はぜひ本作品を見ていただきたいと思います。

 ちなみに本作品のDVDは発売されてからすぐに廃盤となってしまい、現在アマゾンの中古コーナーやヤフーのオークションで8万円~10万円という法外な値段で取引されています。私もDVDを購入する時期を逃してしまい、非常に悔やんでいます。しょうもないB級ホラーが販売されて、このような傑作が手に入らないのはおかしいです。是非とも早期の再販を望んでいます。


上映時間 104分
製作国 ニュージーランド
製作年度 1992年
監督: ピーター・ジャクソン 
脚本: ピーター・ジャクソン、スティーヴン・シンクレア、フランシス・ウォルシュ 
撮影: マレイ・ミルン 
音楽: ピーター・ダゼント 
出演: ティモシー・バルム、ダイアナ・ペニャルヴァー、エリザベス・ムーディ、イアン・ワトキン、ブレンダ・ケンドール 
スチュアート・デヴァニー、 ジェド・ブロフィー

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2008年1月27日 (日)

『サイレントヒル』映画鑑賞日記

Photo  世界中で大ヒットした日本発の人気ホラーゲーム『サイレントヒル』を完全映画化した同名タイトルの本作品。ゲームを映画化した作品は『バイオハザード』シリーズを始め数多くありますが、本作品はその中でもかなり成功した部類に入ると思います。

ストーリー:「ローズとクリストファーの夫婦は、9歳になる養女のシャロンの奇妙な言動に悩んでいた。彼女を救う手掛かりを探しているうちに、サイレントヒルという街の存在を知るローズ。そこは、30年前に大火災に見舞われ誰も近づかないゴーストタウンだった。
 ローズとシャロンはクリストファーの制止を振り切りサイレントヒルへと向う。しかし、サイレントヒルへと続く狭い道の途中で事故に遭い、ローズは気を失ってしまう。彼女が意識を取り戻したとき、シャロンの姿は見えなかった。ローズはシャロンの行方を追って、サイレントヒルの奥深くへと彷徨い込んでいくのだが…。」

 本作品の素晴らしいところは何といってもゲームの世界観を忠実に映像化したところにあります。絶えず白い灰が降り続け視界の悪いゴーストタウンの何ともいえない不気味な雰囲気。そんな街がサイレンの音と共に魑魅魍魎が蠢く地獄へと変化するシーンの張り詰めた緊張感。そして、闇の中から出現するクリーチャーたちの目を背けたくなるほどおぞましい姿。特に頭が三角形のレッド・ピラミッドや顔のないナース集団はおぞましさの中に淫靡なエロティシズムが感じられ強烈なインパクトを放っていました。
 またスプラッターシーンも結構過激で、体が引き裂かれたり粉砕されたりとR指定にならなかったのが不思議なくらいです。
 ビジュアル面に関しては細部までこだわりぬかれており、見所満載です。

 ストーリーに関して言うと家族愛やカルト集団の狂気等をテーマにしており、単なる見世物ホラー映画にはない重厚さがあります。しかし、ゲームをしていない人には説明不足なところがあったり、主人公の行動に首を傾げるところがありました。もう少しサイレントヒルの世界観の説明や主人公の恐怖への葛藤などの心理描写を丁寧に描いてもよかったような気がします。

 本作品で私が好感をもてたのは、ハリウッドのホラー映画にありがちな背後からワッと脅かすようなコケオドシの演出がないところです。観客をじっくりと恐怖に満ちた世界に引きずり込む演出は覚めない悪夢を見ているかのようで緊張感を持って最後まで見ることができました。 
  
上映時間 126分
製作国 アメリカ/日本/カナダ/フランス
製作年度 2006年
監督: クリストフ・ガンズ 
脚本: ロジャー・エイヴァリー 
撮影: ダン・ローストセン 
編集: セバスチャン・プランジェール 
音楽: ジェフ・ダナ 
出演: ラダ・ミッチェル 、ショーン・ビーン、 ローリー・ホールデン、デボラ・カーラ・アンガー、キム・コーツ
 

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2007年12月28日 (金)

『ゾンビ』(ダリオ・アルジェント版)この映画を見て!

第193回『ゾンビ』(ダリオ・アルジェント版)
Zombie  今回紹介する作品は以前にも一度紹介した『ゾンビ』のダリオ・アルジェントが監修した119分のヴァージョンです。
 ゾンビはいくつものバージョンがあることで有名です。今回紹介するバージョンの他に、アメリカで公開された127分のバージョン、アメリカ公開版をバースにカンヌ映画祭出品用に編集されたディレクターズカット版と称される139分のバージョン、テレビ東京で初放映されたサスペリアバージョン、テレビ東京で再放映されたバージョンがあります。
 日本で1979年に初公開されたバージョンは今回紹介するダリオ版を5分短縮したものでした。
 ダリオ版『ゾンビ』の最大の特長はロメロが監修したヴァージョンと違ってイタリアのプログレッシブバンド「ゴブリン」の激しいサウンドが全編にわたって鳴り響いているところです。ロメロ版『ゾンビ』は音楽があまり使われておらず見る者に静謐かつ空虚な印象を与えますが、ダリオ版『ゾンビ』はゴブリンサウンドの効果で見る者のテンションが上がります。音楽の使い方で同じ映画にも関わらず印象が全く違います。 
 編集もロメロ版は人間ドラマや空虚な終末世界の描写に重点が置かれているのに対して、ダリオ版は主人公たちのサバイバルアクションに重点が置かれています。
 私は今までロメロが監修したアメリカ公開版とディレクターズカット版しか見た事がなかったのですが、長らく絶版となっていたダリオ版が12月に低価格DVDとして再販されたのを機に見ることができました。
 ダリオ版はゾンビと人間との死闘に重点を置き、テンポよく話しが進んでいくので、手に汗握って最後まで飽きることなく見ることができます。またロメロ版には出てこないシーンも幾つかあり、見ていて「あっ」と思いました。
 ロメロ版、ダリオ版どちらが良いかといわれると迷うところで、ロメロ版のドキュメンタリータッチの淡々かつダラダラとした雰囲気も捨てがたいです。スカッと楽しみたいならダリオ版、じっくり楽しみたいならロメロ版といったところでしょうか。 

上映時間 119分
製作国 アメリカ/イタリア
監督: ジョージ・A・ロメロ 
脚本: ジョージ・A・ロメロ 
撮影: マイケル・ゴーニック 
特殊メイク: トム・サヴィーニ 
音楽: ゴブリン,ダリオ・アルジェント 
出演: デヴィッド・エムゲ, ケン・フォリー, スコット・H・ライニガー, ゲイラン・ロス

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2007年10月31日 (水)

『ミッドナイト・クロス』この映画を見て!

第184回『ミッドナイト・クロス』
Photo  今回紹介する作品はブライアン・デ・パルマ監督がジョン・トラボルタ主演で製作したサスペンス映画の傑作『ミッドナイト・クロス』です。

 ストーリー:「B級映画専門の音響効果の仕事をするジャック。ある晩、効果音の収録をしている最中に、川に車が転落する事故の一部始終を目撃する。ジャックは慌てて沈みゆく車に乗っていた女性サリーを救い出すが、男は既に死んでいた。病院で死んだ男が次期大統領候補であることを知ったジャックは今回の事件の事を公にしないように口止めされる。しかしジャックは偶然録音していた事故のテープから一発の銃声を聞きとめた。事故に疑問を抱き始めた彼は、サリーと共に真相を究明しようとするが、何者かに命を狙われ始める。」

 映画のストーリー自体はサスペンスとしては今ひとつ詰めが甘く、主人公や犯人の行動にも疑問を感じるところがあります。
 しかし、それを補って余りあるほどの魅力が本作品にはあります。それはデ・パルマ監督らしい華麗なカメラワークと映像美、そして深い余韻を残すラストシーンです。
 オープニングいきなり学園を舞台にした架空のB級ホラー映画のシーンから始まるのですが、殺人鬼の主観で捉える映像はなかなかの緊張感があります。その後も、デ・パルマ監督らしい二画面分割、360度パン、そしてスローモーションなどが随所に用いられて映画を盛り上げます。
 特に見所なのが街中でのカーチェイスシーンとクライマックスの花火の中での主人公ジャックがサリーを抱くシーンです。フィラデルフィアの街中を主人公が車で疾走するシーンは空撮の映像が非常に印象的です。またクライマックスの花火が打ちあがる中でジャックがサリーを抱くシーンはピノ・ドナッジオの音楽との相乗効果で切なくも美しいシーンに仕上がっています。 
 映画のラストはハリウッド映画には珍しくバットエンドなのですが、深い余韻を見る者に与えてくれます。主人公の最後の行動に関しては賛否両論あると思いますが、私としては主人公の悲哀を強く感じました。

 本作品は役者の演技も大変印象的です。事件の真相を追うジャックを演じる若かりし頃のジョン・トラヴォルタ。ラストシーンの切ない表情が印象的です。またヒロインのサリーを演じるナンシー・アレン。デ・パルマ監督の作品ではおなじみの役者ですが本作品でも甘い声と叫び声が大変印象的です。そして主人公を狙う殺し屋を演じるジョン・リスゴー。殺し屋の冷酷さと狂気を見事に独特の存在感で見事に演じています。

 秋の夜長にお勧めのサスペンス映画です!

製作年度 1981年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 113分
監督 ブライアン・デ・パルマ 
製作総指揮 フレッド・カルーソ 
脚本 ブライアン・デ・パルマ 
音楽 ピノ・ドナッジオ 
出演 ジョン・トラヴォルタ 、ナンシー・アレン 、ジョン・リスゴー 、デニス・フランツ 、ピーター・ボイデン 

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2007年10月28日 (日)

『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』この映画を見て!

第183回『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』
Photo_2  今回紹介する作品は日本一忙しい映画監督・三池崇史がアメリカ進出を果たした『インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~』です。
 本作品は世界のホラー監督13人による米国のTVシリーズ「マスタ-ズ・オブ・ホラー/恐-1グランプリ」の一本として製作されましたが、過激な内容と描写に放映中止となって話題となりました。日本の地方の忌まわしい因習を扱った岩井志麻子の短編小説を原作としていますが、アメリカの視聴者向けにいくつかのアレンジがされています。原作には登場しないアメリカ人を主人公に据えて、日本の田舎の遊郭が舞台にもかかわらず全編セリフが英語となっています。

 ストーリー:「明治時代の日本。アメリカ人ジャーナリストのクリスはかつて愛した小桃という女を探して全国の遊郭を転々としていた。そして、川の中の浮島の遊郭にたどり着く。そこで醜い顔をした女郎から小桃が死んだことを告げられる。クリスはなぜ小桃が死んだのか尋ねたところ、女朗は小桃の死の真相と自らのおぞましい過去を語り始める・・・。」

 三池監督は低予算のVシネマから『妖怪大戦争』のような大作まで幅広く撮る人で、作品の当たり外れが大きいのですが、本作品は大当たりでした。三池監督の持ち味は型破りな演出と過激な暴力描写にあるのですが、本作品は彼の持ち味が最大限引き出されています。

  本作品は遊郭での女郎に対する拷問シーンが過激で話題となっていたので注目していましたが、実際見てみると彼が監督した『オーディション』と『殺し屋1』に比べて言うほど過激ではありませんでした。(そう言いながら、女朗の歯茎や爪に畳針を刺すシーンは余りにも痛そうで目を背けてしまいましたが・・・)
 むしろ私が過激と思ったのは昔の日本の田舎で行われていた堕胎を真正面から描いているところです。アメリカで放映禁止となったのも拷問シーンでなく堕胎のシーンが問題だったのだと思います。

 家庭内暴力に堕胎そして近親相姦とこの上ない悲惨な日本の歴史の闇がこれでもかと描かれており、人によっては非常に嫌悪感を覚えるかと思います。私も見ていて怖いというよりつらくなる場面の方が多かったです。
 ストーリーだけ追うと暗く陰惨な感じがしますが、映像は赤を基調にした妖しく煌びやかな色調で見る者を幻想的かつ妖艶な世界に引きずりこみます。特に遊郭のセットと女朗の衣装の美しさは格別です。

 役者の演技も主人公のビリー・ドラゴを除いて大変素晴らしいです。特に醜い顔の女郎の二面性を巧みに演じた工藤夕貴、悲惨な拷問にかけられる小桃を体当たりで演じた美知枝、そして嬉しそうに拷問をする危ない遊郭の女主人を演じた原作者の岩井志麻子の圧倒的な存在感。女優陣の演技が光ります。それに比べるとビリー・ドラゴの演技はオーバーアクト気味で完全に浮いていました。

 本作品は誰が見ても楽しめる作品ではありませんが、ホラー映画好きなら一度は見て損はないと思います。ただし痛いのが苦手な人はお勧めできません。 

製作年度 2005年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 63分
監督 三池崇史 
原作 岩井志麻子 
脚本 天願大介 
音楽 コージー・エンドウ・Jr.
出演 工藤夕貴 、ビリー・ドラゴ 、美知枝 、根岸季衣 、岩井志麻子

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2007年10月24日 (水)

『悪魔のいけにえ』この映画を見て!

第182回『悪魔のいけにえ』
Photo  今回紹介する作品はホラー映画の歴史を語る上で外すことのできない傑作『悪魔のいけにえ』です。
 本作品はエド・ゲインの猟奇犯罪にヒントを得て1974年に日本円にして4千万円という低予算で製作されました。セミドキュメンタリータッチの生々しい残酷描写が話題を呼び、その後のホラー映画に多大な影響を与えました。
 ホラー映画の伝説となった本作品の監督を手がけたのは当時無名だったドビー・フーパー監督。本作品の成功の後、『ポルターガイスト』や『スペースバンパイア』などを手がけることになります。しかし、残念ながら本作品を超えるホラー映画を彼自身まだ撮ることは出来ていません。

 ストーリー:「1973年8月18日。真夏のテキサスをワゴン車で旅行する5人の若者たちがいた。途中で車に乗せた怪しげなヒッチハイカーを車に乗せるが、異常な言動で若者たちを気味悪がらせ、最後には若者の一人を剃刀で切り付ける。。
 やがて5人は緑に囲まれた廃墟を訪れる。仲間の内2人が泳ぎに行く途中で立ち寄った屋敷で人の顔の皮を被ったレザーフェイスに襲われ、惨殺されてしまう。
 2人の帰りが遅いのを不審に思った仲間たちも次々と襲われていく。そして一人襲撃から生き残った女性は助けを求めてガソリンスタンドに駆け込むが・・・」
 
 私は本作品を始めて見たとき、正直見てはいけないものを見てしまったような感覚に襲われました。
 映画の冒頭に現れる死体の強烈なインパクト。そして、ざらついた画面から伝わるテキサスの真夏のじりじりとした暑さ。映画は冒頭から見る者を不快と不安の感覚に陥れます。そして、映画の前半に登場する異常なヒッチハイカー。ここから本作品は異様な雰囲気に包まれていきます。
 映画は中盤から強烈なシーンのオンパレードです。レザーフェイスの最初の犠牲者となる若者が殺される描写。屋敷の奥から現れたレザーフェイスに突然ハンマーで頭部を殴られ足が痙攣するシーンは何ともいえない生々しさがあります。そして第2の犠牲者となる女性。逃げようとしたところを抱きかかえられフックにつるされるシーンは見る者の背筋を凍らせます。本作品は若者が次々と殺害されていくのですが、意外なことに血が噴き出すシーンや体が切り刻まれるなどの直接的な残酷シーンがほとんどありません。電動ノコギリの音や若者たちの悲鳴など間接的な描写で見る者を恐怖のどん底に突き落とします。
 映画の後半は一人生き残った女性が体験する狂気の世界が描かれるのですが、その世界はあまりにも異様で、見ていて怖さを通り越して笑いがこみ上げてくるほどです。悲鳴をあげる女性の目のクローズアップとレザーフェイス一家の不気味な笑顔。非日常的な狂気の世界に一人残された女性のいつ殺されるかもわからない恐怖を見る者もたっぷりと味わうことができます。
 映画のラストも強烈で、こんな形で幕が下りるのかと見る者を呆気に取られます。本作品は全編を通してご都合主義的なところが全くなく、不条理な狂気と恐怖の世界が描かれています。

本作品は続編が3本製作されましたが、残念ながら1作目の完成度には遠く及びません。ただドビー・フーパー監督が続投した2作目は1作目とはまた違う狂気の世界が描かれており、なかなか面白いです。
Photo_2  またリメイクも2003年に「テキサス・チェーンソー」という題名で発表されています。こちらもオリジナルには到底及ばないものの、なかなか見ごたえのある作品には仕上がっています。

 ホラー映画好きで、まだ本作品を見ていない人がいたとしたら一度は見て損はしないと思います。本当の狂気と恐怖の世界を味わうことができますよ! 

製作年度 1974年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 84分
監督 トビー・フーパー 
製作総指揮 ジェイ・パースレイ 
脚本 トビー・フーパー 、キム・ヘンケル 
音楽 ウェイン・ベル 、トビー・フーパー 
出演 マリリン・バーンズ 、ガンナー・ハンセン 、エド・ニール 、アレン・ダンジガー 、ポール・A・パーテイン 、ウィリアム・ヴェイル 、テリー・マクミン 、ジム・シードウ 、ジョン・デュガン 

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2007年10月15日 (月)

『ユージュアル・サスペクツ』この映画を見て!

第181回『ユージュアル・サスペクツ』
Photo_2  今回紹介する作品はラストの驚愕の展開が話題を呼んだミステリー映画の傑作『ユージュアル・サスペクツ』です。

 本作品に関してはストーリーについて余り細かく語ることができません。なぜなら、複線が張り巡らせたストーリーを語りすぎると本作品の魅力が半減してしまうからです。未見の方は何の予備知識もなく一度見てください。ラスト10分の展開に「やられた!」と思うこと間違いないです。そして、一度見たら、もう一度最初から見たいという衝動にかられることでしょう!

ストーリー:「カルフォニアのとある港でコカインを積んだ密輸船が爆破される事件が発生。警察は唯一の生存者キントの尋問を始める。キントは爆破事件が起こるまでの経過と爆破事件の黒幕である大物ギャング「カイザー・ソゼ」について語るが・・・。」

 繰り返しになりますが、本作品の魅力は緻密に組み立てられたストーリーです。途中までは普通の犯罪映画のような展開なのですが、謎の大物ギャング「カイザー・ソゼ」が登場してからは緊張感が一気に加速。カイザー・ソゼは何者なのか?そして、冒頭に出てきた爆破事件の真相は何だったのか?見る者は画面に釘付けになると思います。そしてラスト10分の観客の予想を裏切る予想外の展開。ラストまで見た観客は事件の真実を探るために何度も見直し、その度ごとに新たな発見をすると思います。
 本作品の凄いところはオチを知ってから見ても面白いところです。監督のブライアン・シンガーは随所に伏線となるカットやシーンを散りばめており、2回目以降に見るとこの演出にはこんな意図があったのかと思わず唸ってしまいます。
 監督も脚本家も当時新人だったにも関わらず、このような作品を完成させるとは大したものです。

 もちろん役者の演技も大きな見所の一つです。ガブリエル・バーンの大人の男を感じさせる渋い演技 、ピート・ポスルスウェイトの存在感溢れる演技 、若かりし頃のベニチオ・デル・トロのチンピラ姿、そして本作品でアカデミー助演男優賞を受賞したケヴィン・スペイシーの一癖も二癖もある演技!本作品は個性派男優たちの見事なアンサンブルが楽しめます。
 
 サスペンス映画が好きな人は一度は見て損のない作品だと思いますよ!

製作年度 1995年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 105分
監督 ブライアン・シンガー 
製作総指揮 ロバート・ジョーンズ 、ハンス・ブロックマン 、フランソワ・デュプラ 
脚本 クリストファー・マッカリー 
音楽 ジョン・オットマン 
出演 ガブリエル・バーン 、チャズ・パルミンテリ 、ケヴィン・ポラック 、ピート・ポスルスウェイト 、ケヴィン・スペイシー 、スージー・エイミス 、ジャンカルロ・エスポジート 、ベニチオ・デル・トロ 

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2007年10月12日 (金)

『テキサス・チェーンソー ビギニング』映画鑑賞日記

Photo  ホラー映画の傑作である『悪魔のいけにえ』をリメイクしたホラーシリーズの続編である『テキサス・チェーンソー ビギニング』を見ました。
 
 今回の続編は殺人鬼・レザーフェイス誕生の秘密が明かされるということが話題になっていましたが、見てみると誕生までのシーンは少ししかなく残念でした。これだったらタイトルに『ビギニング』など付けず普通に「パート2」とかにしとけばよかったのにと思います。
 
 ストーリー自体はいつものごとく若者が殺人変態一家に襲われるという展開なのですが、若者たちの行動に疑問点が多く、なぜそういう行動をするのかとイライラさせられました。まあ、あのような状況では正常な判断なんて出来ないのも無理はないですが・・・。
  
 映像に関しては過激かつ残酷なシーンの連続で、スプラッタ・ホラーとしての迫力、凄惨さは申し分ありません。ただ本作品を見るにつけて、オリジナルの1作目がスプラッターシーンがほとんどなくても、あれだけ生理的嫌悪感を見る者に与えることができたことの凄さを再認識させられます。見せる恐怖は簡単ですが、見せない恐怖を描くのはそう簡単にできる芸当ではありませんね。

 私がこの映画で一番印象的だったのは鬼の保安官ホイトです。映画の序盤に彼がなぜ保安官になったのか描かれますが、ある意味レザーフェイス誕生より印象的でした。『フルメタル・ジャケット』といい、この映画といい、R・リー・アーメイ の演技はいつ見ても強烈です。

 この映画は最後まで後味が悪く、グロい描写も多いので、そういうのが好きな人以外はお薦めできません。 

製作年度 2006年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 92分
監督 ジョナサン・リーベスマン 
製作総指揮 ジェフリー・アラード 、トビー・エメリッヒ 、マーク・オーデスキー 、ガイ・ストーデル 
脚本 シェルダン・ターナー 
音楽 スティーヴ・ジャブロンスキー 
出演 ジョーダナ・ブリュースター 、マット・ボーマー 、テイラー・ハンドリー 、ディオラ・ベアード 、アンドリュー・ブリニアースキー 、R・リー・アーメイ 、

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2007年9月25日 (火)

『バタリアン』この映画を見て!

第178回『バタリアン』
Batariann  今回紹介する作品は日本でもブームを巻き起こしたコメディホラーの傑作『バタリアン』です。本作品の邦題である『バタリアン』は日本の配給会社が独自に付けたタイトルです。原題は『リターン・オブ・ザ・リビング・デッド』というタイトルで、ジョージ・A・ロメロ監督によるゾンビ映画の名作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のパロディ作品となっています。

ストーリー:「ケンタッキー州のとある医療倉庫で働くフランクとフレディは地下室に保管されているゾンビの話題で盛り上がる。1969年に軍人病院の薬品事故が原因で蘇生した死体を保管した容器が軍の間違いでこの倉庫に送られてきたのだった。二人はその箱を覗こうと容器を叩いてみると突然謎のガスが噴出。医療倉庫に保管されていた解剖用の死体の数々が動き出す。動き出した死体を処理しようと社長のバートは友人の葬儀屋で火葬をする。しかし、煙が混じった雨のせいで近隣の墓地の死体までどんどん蘇ってしまう。」

 本作品は私が小学生だった頃に金曜ロードショーで何回も放映されるほど人気がありました。小学校でも本作品が放映された後は男の子の間で話題になったものでした。当時の私は怖がりであったにも関わらずホラー映画が大好きで、本作品も恐る恐る見たものでした。今見ると笑える作品なのですが、当時はタールマンやオバンバなどのゾンビの造形の気持ち悪さや生きながら死んでいく登場人物たちの姿に背筋が凍る思いをしたものでした。映画のラストもあっけないというか強引というか、予想もしない展開だったので子どもながらに驚いたものでした。

 最近、本作品のDVDを購入し20年ぶりに見返したのでしたが、改めてみると非常に完成度の高いゾンビ映画だということが分りました。上映時間も90分と短い分テンポが良く見れますし、気持ち悪い描写のオンパレードの割りに笑える場面も多いので後味もよく、公開当時人気が出たのも頷ける出来でした。
 また『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に対するオマージュのセリフやシーンも随所に見られ、ロメロゾンビファンはニヤッと笑いながら見ることができます。
ただ予算不足で主役級のゾンビを除くとメイクがしょぼいのが残念なところです。

 ちなみに本作品のゾンビは私が見たゾンビ映画の中では最強だと思います。頭部を破壊しても、身体をバラバラにしても動きますし、知能も高く、走ることもできる。こんなゾンビに襲われたらどうすこともできませんね。
 
 私が本作品の中でお気に入りのシーンはフランクが自ら焼却炉に入っていくところです。あのシーンだけは何回見て切ないです。

 本作品は現在5作目までシリーズ化されていますが、続編はどれもゾンビ映画としては普通の出来です。1作目だけ見れば十分です。

製作年度 1985年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 91分
監督 ダン・オバノン 
脚本 ダン・オバノン 
音楽 マット・クリフォード 
出演 クルー・ギャラガー 、ジェームズ・カレン 、ドン・カルファ 、トム・マシューズ 、ビヴァリー・ランドルフ 、ジョン・フィルビン 、リネア・クイグリー

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2007年8月19日 (日)

『キャリー』この映画を見て!

第171回『キャリー』
Carrie  今回紹介する作品は超能力を持った少女の悲劇を描いた青春ホラー映画の傑作『キャリー』です。
 ホラー小説の第一人者であるスティーヴン・キングの同名長編小説を映画化した本作品。原作者のキング自身も大変気に入っており、「私の作品の中でもっとも忠実に映像化されている」と絶賛しています。
 監督は独自の映像表現で多くのファンを魅了するブライアン・デ・パルマが担当。本作品でもスローモーションや分割画面、滑らかな移動撮影などデ・パルマらしい映像表現が満載となっています。個人的には彼の監督作の中でこの作品が一番完成度は高いと思います。

 ストーリー:「狂信的なキリスト教信者である母を持つ女子高生キャリーは内気で冴えない容姿の為に学校でいじめられていた。そんなある日、体育の授業後のシャワーを浴びている最中に初潮を経験してパニックを起こす。キャリーは母から月経について今まで教えてもらったことがなかった為に病気と勘違いしていた。クラスメートの多くはパニックになったキャリーを見てバカにする。自宅でも初潮になったことを母から激しく責められるキャリー。
 そんな彼女を励まそうとする友人スーはプロムパーティーに誘おうとする。最初は渋っていたキャリーだが、次第にパーティに行くことに乗り気になる。
 その頃、キャリーをいじめたクラスメートたちは先生からプロムパーティーの出席禁止を言い渡される。キャリーのせいで出席できないと逆恨みをしたクラスメートたちは彼女にパーティで恥をかかそうと恐ろしい計画を立てる。
 パーティー当日、反対する母を押し切って出席するキャリー。クィーンにも選ばれ有頂天になるキャリー。しかし、クラスメートが仕組んだ恐ろしい罠によって、舞台に立ったキャリーに悲劇が訪れる。そして、それはクラスメートたちにとって地獄絵図の始まりだった・・・。」
 
Carrie2  私はこの作品を実際に見るまではポスターだけ見て血まみれの陰惨なホラー映画だと思っていました。しかし、映画を見た後はショッキングなシーンよりも主人公の辿る哀しい運命が記憶に残ったものでした。内気で冴えない女の子が自分の殻を破ろうパーティーに行く姿は見ていて応援したくなりましたし、パーティーでの幸せそうな姿は見ていて、ここえで映画が終わって欲しいとさえ思ってしまいました。
 
 映画のラストは阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されるのですが、そのようなシーンも怖いというよりは切ないものを強く感じてしまいました。特に傷ついた心を慰めてもらおうと母の側に行ったにも関わらず、裏切られるシーンは見ていて辛いものがありました。

 この作品で主人公のキャリーを演じたシシー・スペイセクと狂信的な母を演じたパイパー・ローリーは迫真の演技でアカデミー賞にノミネートされました。悲劇のヒロイン役を見事に演じきったシシー・スペイセクも印象的でしたが、何といってもパイパー・ローリーの圧倒的な存在感が印象に残ります。あと、若かりし頃のジョン・トラヴォルタも登場していますので、ファンの人はお見逃しなく!

 私の中でこの作品はホラー映画というより哀しい青春映画だと思います。ホラー映画が苦手な人にも是非見てもらいたいです。 

製作年度 1976年
製作国・地域 アメリカ
上映時間 98分
監督 ブライアン・デ・パルマ 
原作 スティーヴン・キング 
脚本 ローレンス・D・コーエン 
音楽 ピノ・ドナッジオ 
出演 シシー・スペイセク 、パイパー・ローリー 、ウィリアム・カット 、ジョン・トラヴォルタ 、エイミー・アーヴィング 、ナンシー・アレン 、ベティ・バックリー 、P・J・ソールズ 、シドニー・ラシック 、プリシラ・ポインター 

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2007年8月13日 (月)

「ホラー映画人気キャラクター」私の映画遍歴11

 暑い日が続きますが、こういう日には冷えたビール、枝豆、そして背筋が凍りつくようなホラー映画に限りますね。
 そこで今回はホラー映画で人気のある不気味なキャラクターたちを紹介します。

・ジェイソン(『13日の金曜日』シリーズ)
Friday_13  ホラー映画で一番有名な殺人鬼と言えば何といってもホッケーマスクを被った不死身の殺人鬼ジェイソンでしょう。1980年代に登場して、スプラッター映画ブームの先駆けとなりました。サマー・キャンプ場「クリスタル・レイク」を舞台に遊びに来た能天気な若者たちを殺していくジェイソン。この作品、意外にも1作目はジェイソンは登場せず、2作目以降から登場します。またトレードマークのホッケーマスクは3作目から付けます。また5作目の作品もジェイソンは登場しません。
 シリーズが進むにつれてクリスタルレイクを離れ、ニューヨークや宇宙にも進出しています。
 ハリウッドではリメイクも予定されているとのことで、ジェイソンの恐怖はまだまだ続いていきそうです。

・フレディ(『エルム街の悪夢』シリーズ)
Erumu  ジェイソンと並んで有名な殺人鬼と言えばナイフの長い爪をつけて夢の中に現れる殺人鬼フレディでしょう。このシリーズの大きな特長は夢の中を舞台にしていることです。夢の中なので現実ではありえないような恐ろしい出来事が次から次へと起こりますし、殺人シーンも他のホラー映画に比べて大変派手です。1作目は夢か現実か分らない恐怖感にみちていましたが、シリーズが進むにつれてコメディ路線へと転換。フレディも陰惨な殺人鬼からお茶目な殺人鬼になっていきました。
 ジェイソンとも『フレディvsジェイソン』で一度ガチンコ対決をしています。この映画、内容自体は下らないですが、80年代のホラー映画界が生んだ2大殺人鬼が一度に見られるというお得感があります。

・マイケル(『ハロウィン』シリーズ)
Halloween ジョン・カーペンター監督の出世作で、殺人鬼映画の先駆けとなった本シリーズ。姉を殺して精神病院に入院させられたマイケルが脱走して町に戻ってきたところから話しが始まります。不気味なマスクを被り、包丁をもって人に襲いかかる姿は派手さはありませんが、不気味なものがあります。シリーズ化されましたが、1作目が一番怖いです。ちなみに3作目はマイケル自体が登場しない番外編ですので、見る方はご注意を!
 ちなみに今年B級ホラーの帝王ロブ・ゾンビ監督によってリメイクされた作品がアメリカで公開予定となっています。

・レザーフェイス(『悪魔のいけにえ』シリーズ)
Texaschainsaw  エド・ゲインの実犯罪にヒントを得て製作された本シリーズ。第1作目が公開された時は多くの映画ファンに衝撃を与えました。ヒッチハイクをしていた若者たちに襲いかかる殺人鬼レザーフェイス。電動ノコギリを振り回すレザーフェイスの姿は一度見たら忘れらないインパクトがあります。1作目はひたすら怖い作品でしたが、2作目以降はコメディ路線になり、怖さという点では今ひとつでした。『テキサスチェーンソー』という題名でハリウッドでリメイクもされています。

・貞子(『リング』シリーズ)
Ring_2   ジャパニーズホラーブームの先駆けになった本シリーズ。1作目のテレビの画面から抜け出すラストシーンは多くの観客を恐怖の渦に巻き込みました。このシリーズは日本で4作、ハリウッドで2作製作されましたが、第1作目が一番怖いですね。シリーズ化される中で貞子の生い立ちなども語られていきますが、結構かわいそうな女性なんですよね。ただ、それが分かるにつれて恐怖も軽減していくのですが・・・。
 1作目が傑作なのは貞子のインパクトも去ることながら、中田秀夫監督の演出の巧みさが大きいと思います。陰惨で重苦しい雰囲気の映像や音楽が見る者にゾッとするような恐怖感を与えてくれます。

・伽椰子&俊雄(『呪怨』シリーズ)
Juon  清水崇監督による大ヒットホラー『呪怨』シリーズ。今年の夏にハリウッドで製作された続編が日本でも公開されます。ストーリー自体は伽椰子&俊雄が住み着いている家に来た人間たちを呪い殺していくという単純明快なものです。彼らに狙われたら最後、どんな人間も呪い殺されてしまいます。このシリーズはストーリーを楽しむというより、監督が工夫を凝らした観客を怖がらせる手法を楽しめるかどうかで評価が分かれると思います。現在OVA版が2作品、日本で2作品、ハリウッドで2作品と計6作品が製作されていますが、一番怖いのはOVA版の第1作目だと思います。未見の方は一度ご覧になってください。

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2007年5月 5日 (土)

『病院坂の首縊りの家』この映画を見て!

第154回『病院坂の首縊りの家』
Byouinzaka  今回紹介する映画は市川&石坂コンビによる金田一シリーズの最終作『病院坂の首縊りの家』です。
 原作自体も金田一シリーズの最終作として執筆されており、30年近い期間をかけて解決するという壮大なストーリーになっています。そんな壮大な原作を映画では事件発生から数ヶ月と短い期間で解決するように大幅に脚色しています。そんなこともあって、原作と映画ではストーリーがかなり違っています。
 ストーリー:「アメリカに渡るためのパスポート写真を撮るために写真館を訪れた金田一耕助。そこで金田一は写真館の店主たちと共に偶然にも病院坂の首縊りの家と呼ばれる古い館で男の生首が風鈴のように吊リ下げられるという猟奇殺人事件に巻き込まれてしまう。」

 この作品は金田一シリーズの完結編として制作されており、今までの作品に出ていた俳優が多数出演すると共に、原作者の横溝正史ご夫妻も特別ゲストとして登場します。5作目ともなると常連俳優たちのお決まりの演技も見ていて楽しいです。
 特に加藤武さんの「よし、分かった!」というセリフや三木のり平扮する亭主と妻の軽妙なやり取りなどは毎度ながら陰惨な話しの中の一服の清涼剤としての効果を果たしています。
 今回は初めて金田一耕介に助手が現れるのですが、その助手を演じる草刈正雄さんのカッコよさとコミカルさを併せ持った演技が素敵です。
 ヒロイン役を演じる桜田淳子さんも一人二役という難しい役どころを見事に演じています。
 あと一番今回の作品で印象を残す演技をするのが小林昭二さん。映画のラストシーンの彼の演技は見る者に深い余韻を残します。
 
 今回のストーリーはとにかく人間関係が複雑で一回見ただけではなかなか理解することができません。映画でも家計図を持ち出して説明するほどです。ここら辺はもう少し脚色するときに整理して、分かりやすくしたほうがよかったかもしれません。
 しかし、親子の哀しい絆を描いてきたこのシリーズの中でも、今回の作品が一番哀しいストーリーだと個人的に思います。男に翻弄され、家や古い因習に縛りつけらる女たちの哀しみに胸が締め付けられます。
 
 今回の作品は田舎が主な舞台となっていた今までの作品と違い、市街地で話しが展開していきます。その為に今までの作品よりこじんまりとした印象を受けるのですが、映像の美しさは相変わらず素晴らしいです。戦後の殺伐とした市街地の雰囲気を見事に醸し出しています。
 また殺人シーンは相変わらず目を背けたくなるほど陰惨です。特に生首がぶら下がっているところはインパクト大です。

 金田一耕助の最後の事件を皆さんもぜひご覧ください。 

製作年度 1979年
製作国・地域 日本
上映時間 139分
監督 市川崑 
原作 横溝正史 
脚本 日高真也 、久里子亭 
音楽 田辺信一 
出演 石坂浩二 、佐久間良子 、桜田淳子 、入江たか子 、河原裕昌 、久富惟晴 、三条美紀 、萩尾みどり 、あおい輝彦 、加藤武 、大滝秀治 、岡本信人 、中井貴恵 、草刈正雄 、小沢栄太郎 、清水紘治 、小林昭二 、三木のり平 、白石加代子 、草笛光子 、ピーター

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2007年5月 2日 (水)

『女王蜂』この映画を見て!

第153回『女王蜂』
Zyououbati  今回紹介する作品は市川崑監督による金田一耕助シリーズ第4弾『女王蜂』です。市川監督としては3作目の『獄門島』でシリーズを終了させるつもりだったそうですが、製作会社の意向で続編が強引に製作されることになったそうです。そんな裏事情もあってか、今までの作品と比べると完成度は落ちます。
 しかし、そうは言っても市川監督だけあって、映像の美しさやリズム感のある編集、常連俳優たちの演技など見ごたえは充分あります。

 今回は今までのシリーズで犯人を演じた女優陣が一堂に会しており、重厚な演技が堪能できます。特に岸恵子の演技は素晴らしいの一言で、胸の奥に秘めた思いを持つ影のある女性を見事に演じきっています。
 また、草笛光子・三木のり平・加藤武・坂口良子など常連俳優たちの軽快な演技がドロドロしたストーリーにおける清涼剤の役割を見事に果たしています。
 ただ一つ残念だったのがヒロインを演じた中井貴恵。絶世の美女という設定には程遠い普通のお姉ちゃんでしたね。重要な役どころだけに、もう少し人選を選んで欲しかったですね。

 金田一シリーズの大きな見所の一つとして派手な殺人シーンがありますが、今回は今ひとつインパクトに欠けていましたね。ただオープニングの時計台のシーンは無意味に派手なシーンに仕立てていましたね。

 ストーリーは今までの作品にはなかった恋愛という要素が入っており、胸にグッとくるものがありました。ただ肝心の犯人の殺人の動機が弱く、もう一つ共感できませんでした。

 今回の作品はミステリーとしての面白さはもう一つですが、市川監督の映像美や編集が好きな方には必見です。 

製作年度 1978年
製作国・地域 日本
上映時間 139分
監督 市川崑 
原作 横溝正史 
脚本 日高真也 、桂千穂 、市川崑 
音楽 田辺信一 
出演 石坂浩二 、中井貴恵 、高峰三枝子 、司葉子 、岸恵子、仲代達矢 、萩尾みどり 、沖雅也 、加藤武 、大滝秀治 、神山繁 、小林昭二 、伴淳三郎 、三木のり平 、草笛光子 、坂口良子 、白石加代子 、石田信之 、中島久之 、佐々木剛 、佐々木勝彦 、冷泉公裕 、高野浩幸 、常田富士男 

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2007年4月 1日 (日)

『獄門島』この映画を見て!

第151回『獄門島』