『サバイバル・オブ・ザ・デッド』映画鑑賞日記
ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督が前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』に登場した脇役を主役に据えて製作した続編とも言える作品『サバイバル・オブ・ザ・デッド』。本作品はグレゴリー・ペック主演の傑作西部劇『大いなる西部』をモチーフにして、西部劇タッチのゾンビ映画に仕上がっています。
本作品は前作で主人公たちの物資を略奪した州兵たちが主人公です。ゾンビを倒しながら生き延びていた主人公たちがゾンビのいない安全な島があると聞き、島を目指します。しかし、たどり着いた島は2つの一家がゾンビをめぐって抗争を繰り広げており、主人公たちも人間たちの不毛な抗争に巻き込まれていきます。
本作品は人間とゾンビとの激しい攻防戦を期待して見ると肩透かしを喰らいます。本作品はゾンビのいる世界を舞台にしていますが人間同士の愚かな争いに対して警鐘を鳴らす社会派作品です。人間世界が崩壊に近づいていても、主義思想の違いや欲望のために争い続け自滅していく人間たちの姿をシニカルに描いています。そういう意味ではロメロ監督らしいゾンビ映画です。
また、西部劇をモチーフにしていることもあり、馬に乗っているゾンビが登場したり、銃による決闘シーンなども盛り込まれています。そういう意味ではクラシカルな仕上がりになっています。
もちろんゾンビ映画に欠かせない残酷描写も満載ですし、『死霊のえじき』でも描かれていたゾンビを飼いならす描写もあります。個人的にはロメロ監督らしいゾンビ映画だったので最後まで飽きることなく見ることが出来ました。
ただ、残念な点もいくつかあり、低予算のためかスケールが小さく、ゾンビの数も少なすぎます。セットや演出も所々チープな印象を受けました。また世界の崩壊を描いているにもかかわらず、終末感や緊張感といったものがあまり伝わってきません。また、ラストの馬をゾンビが食べるシーンは正直どうかと思いました。
本作品は誰にでもお薦めできる作品とは言いがたいですが、ロメロ監督のゾンビシリーズが好きなら見て損はないと思います。
上映時間 90分
製作国 アメリカ/カナダ
製作年度 2010年
監督:ジョージ・A・ロメロ
脚本:ジョージ・A・ロメロ
撮影:アダム・スウィカ
特殊効果メイクアップ:グレッグ・ニコテロ
プロダクションデザイン:アーヴ・グレイウォル
衣装デザイン: アレックス・カヴァナー
編集:マイケル・ドハティ
音楽:ロバート・カーリ
出演: アラン・ヴァン・スプラング
ケネス・ウェルシュ
キャスリーン・マンロー
デヴォン・ボスティック
リチャード・フィッツパトリック
アシーナ・カーカニス
ステファーノ・ディマッテオ
ジョリス・ジャースキー
エリック・ウールフ
ジュリアン・リッチングス
ウェイン・ロブソン
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