私の愛する映画監督

『ブライアン・デ・パルマ』私の愛する映画監督7

Photo  今回はサスペンスタッチの演出と独特のカメラワークで人気のあるブライアン・デ・パルマ監督を紹介します。
 
 デ・パルマ監督は昔コロンビア大学で物理を学んでいたそうですが、大学時代に『市民ケーン』『めまい』に衝撃を受け、映画の道に進むことになります。
 
 1960年代はニューヨークを拠点に短編やドキュメンタリーを製作。そして1968年にロバート・デ・ニーロ出演の群像劇『ロバート・デ・ニーロのブルーマンハッタン』を製作。
 
 そして、1970年にはハリウッドに活躍の場を移すがパッとせず、ニューヨークに戻り、『悪魔のシスター』を監督。映画ファンに高い評価を受け、続けて監督した『ファントム・オブ・パラダイス』がカルト的人気を呼びます。そして、ハリウッドに戻り監督した1976年の『キャリー』が大ヒットし一躍有名監督になります。
 
 その後、70年後半~80年前半にかけて、次々と話題のサスペンス映画を監督。デ・パルマカットと呼ばれる独自の映像表現に熱狂的なファンが現れます。
 
 しかし、1983年アル・パチーノ主演作の大作『スカーフェイス』が酷評され、一時期低迷状態に。

 そんな中、1987年に『アンタッチャブル』がヒットし奇跡の復活を遂げます。だが、90年以降は1996年の『ミッション:インポッシブル』以外にヒットにも恵まれず、作風も大味で評価も低迷状態が続きます。
 最近もコンスタントに監督作品が発表されますが、70年後半~80年前半の一番脂が乗っていた時代に比べると出来は今ひとつのものばかりです。

 私は70年後半~80年前半にかけてのヒッチコックを意識したB級テイストの作品が大好きです。(ヒッチコックのパクリと嫌う人もいますが。)
 華麗で凝ったカメラワーク、エロスと暴力に彩られた猥雑な雰囲気、ストーリーの語り方の巧みさ、往年の映画へのオマージュ。当時のデ・パルマ監督の作品には色気と勢いがありました。

 しかし、80年後半以降の作品はいまいちパッとしないものが多いです。特に監督が過去得意としていたサスペンス作品はどれも残念な出来が多く、デ・パルマ監督ファンとしては寂しい限りです。
 もちろん、『アンタッチャブル』や『ミッション:インポッシブル』等のアクション大作で、緊張感とスケールの大きさを感じさせる演出を行っていましたし、アル・パチーノを主演に93年に監督した『カリートの道』などはデ・パルマ監督でないと撮れない哀愁に満ちたギャング映画でした。

 デ・パルマ監督は大作や文芸調の作品より、エロチックなB級作品の方が才能を発揮できると思います。できれば、再度そのような作品を撮ってほしいとファンとしては願います。 

【主な監督作品】
・リダクテッド 真実の価値(2007)
・ブラック・ダリア(2006)
・ファム・ファタール(2002)
・ミッション・トゥ・マーズ(2000)
・スネーク・アイズ(1998)
・ミッション:インポッシブル(1996)
・カリートの道(1993)
・レイジング・ケイン(1992)
・虚栄のかがり火(1990)
・カジュアリティーズ(1989)
・アンタッチャブル(1987)
・ボディ・ダブル(1984)
・スカーフェイス(1983)
・ミッドナイトクロス(1981)
・殺しのドレス(1980)
・フューリー(1978)
・愛のメモリー(1976)
・キャリー(1976)
・ファントム・オブ・パラダイス(1974)
・悪魔のシスター(1973)

ブライアン・デ・パルマの作品

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「スティーブン・スピルバーグ」私の愛する映画監督6

 今回はハリウッドきってのヒットメーカー「スティーブン・スピルバーグ」の魅力について語りたいと思います。

Steven_spielberg・スティーブン・スピルバーグ監督の歩み
(ヒットメーカーとなるまで)
 スティーブン・スピルバーグは1947年にオハイオ州で生まれました。小さい時から映画が好きで、8ミリカメラを使って映画をを撮っていたそうです。そして16歳で「ファイヤーライト」という長編映画を制作して、地元の映画館で一晩だけ興行したそうです。その後、ロサンジェルスに引っ越したスピルバーグはユニバーサル・スタジオに遊びに行っては、映画スタジオに忍び込み、ヒッチコック監督の撮影現場を見学していたそうです。そして、大学の時に短編映画『アンブリン』を監督。この映画がユニバーサルテレビの副社長に認められ、テレビドラマの監督に異例の若さで抜擢されます。スピルバーグは日本でも有名な『刑事コロンボ』など数十本のドラマを手がけます。そして、スピルバーグの名を一躍世界中に知らしめたテレビムービー『激突』を監督。このテレビムービーはアメリカで高視聴率を獲得、海外では劇場公開され、興行的にも成功を収めます。
 この作品の後、ハリウッドデビュー作品となる『続・激突!カー・ジャック』を監督。そして、次にスピルバーグの初の大ヒットとなる『ジョーズ』を監督。この作品でスピルバーグは一躍ハリウッドのヒットメーカーとなります。
 その後、脚本も手がけた『未知との遭遇』や『スターウォーズ』のジョージ・ルーカスと手を組んだ『レイダース/失われたアーク』などハリウッドの興行収入を塗り変える大ヒット作を連発します。そして1982年にはスピルバーグ監督最大のヒット作となる『E.T.』を発表。ハリウッドにおいて一番稼ぐ映画監督となります。

(80年代混迷の時代)
 ハリウッドきってのヒットメーカーとなったスピルバーグ監督は単なる娯楽作品だけでなく、文芸作品も手がけるようになります。人種差別を取り上げた『カラーパープル』や第2次世界大戦を取り上げた『大陽の帝国』などを監督します。しかし、批評家からの評価も悪く、スピルバーグ監督に人間ドラマは描けないというレッテルを貼られます。その後、ピーターパンを題材にした『フック』を監督しますが、制作費の割りに興行収入が低く、スピルバーグ監督にとって低迷の時期でした。

(90年代復活の時代)
 1993年はスピルバーグ監督にとって大きな転換点となる年となりました。リアルな恐竜が暴れまわる『ジュラシック・パーク』とホロコーストの恐怖を描く『シンドラーのリスト』を監督。『ジュラシック・パーク』はスピルバーグ監督久々の大ヒット作となり、『シンドラーのリスト』は念願のアカデミー監督賞・作品賞をもたらしました。その後もコンスタントに作品を発表。そして1997年に第2次世界大戦を描いた『プライベート・ライアン』にてアカデミー監督賞を再度受賞。名実と共にハリウッド一の監督となります。

(21世紀挑戦の時代)
 21世紀に入ってもスピルバーグ監督の勢い衰えることなく次々と作品を発表。キューブリック監督が構想していた『A.I.』やテロの悲劇を描く『ミュンヘン』など話題作・問題作を次々と手がけます。また、それと同時に『マイノリティ・リポート』や『宇宙戦争』などの娯楽作品も手がけヒットさせています。

・スティーブン・スピルバーグ監督作品の特徴
 彼の作品を語るときに欠かせない5つの特徴があります。

①映像革命
 彼の作品は常に今まで誰も見た事がないような世界を描き、観客に驚きを与えます。巨大なUFO、太古の恐竜、異星人、近未来世界。常に最新の映像技術を取り入れ、映像技術の進歩に貢献を与えています。
 また、映像技術だけでなく、撮影方法においても常に工夫を凝らし、観客を映画に引き込みます。『ジョーズ』のサメ目線の映像、『シンドラーのリスト』や『プライベートライアン』のドキュメンタリータッチの映像などインパクトのある映像は他の映画監督にも大きな影響を与えています。

②ユダヤ人としてのアイデンティティ
 彼はユダヤ人であるため、作品の多くにユダヤ人としての意識が反映される描写があります。『シンドラーのリスト』や『ミュンヘン』などはユダヤ人問題を直接扱った作品はもちろんのこと、『インディー・ジョーンズ』シリーズでナチスが悪者として登場することや『A.I.』におけるホロコーストを彷彿させるロボット虐殺のシーンなども監督のユダヤ人としての意識が強く感じられます。

③過激な暴力描写
 彼の作品はしばしば過激な暴力描写が見られます。娯楽作品においては常にユーモアと暴力が表裏一体となったシーンが数多く見られます。また戦争の悲惨さをテーマにした『シンドラーのリスト』『プライベートライアン』などでは目を背けたくなるほど残酷な描写の連続です。
 彼の暴力描写に対するこだわりは暴力が持つ恐怖とカタルシスの両面を熟知した上でのことだと私は思います。日常的空間における暴力に対する恐怖と非日常的空間における暴力のストレス発散機能。その両面を上手く使い分けて描写しているところが、彼の映画の特徴だと思います。

④親子の絆
 彼は10代のときに両親が離婚していることもあり、デビュー作「続・激突!カー・ジャック」から『ミュンヘン』まで常に親と子の関係が描かれます。70年代~80年代にかけては両親の関係がギクシャクしている家庭や母と子の絆を描いた作品がしばしば見られました。
 しかし、90年代~最近の作品にかけては父と子の絆を描いた作品が目立ちます。監督の子どもを持つ父親としての意識が強くなってきたのかなと思います。

⑤ジョン・ウィリアムズ
 彼の作品を語る上でジョン・ウィリアムズの音楽を外すわけにはいけません。『カラーパープル』と『トワイライト・ゾーン』を除いて、全ての音楽を担当しています。ジョン・ウィリアムズのブラスを巧みに用いた音楽は親しみやすいメロディーラインで多くの観客を虜にします。また、それだけでなく映像に更なる臨場感を与えてくれます。

 スピルバーグ監督の作品は映画ファンに常に映画を見る楽しみと喜びを与えてくれます。今後も彼の監督する作品からは目が離せません。

(フィルモグラフィー)
1974年「続・激突!カー・ジャック」
1975年「ジョーズ」
1977年「未知との遭遇」
1979年「1941」
1980年「未知との遭遇・特別編
1981年「レイダース/失われたアーク」
1982年「E.T.」
1983年「トワイライトゾーン」(第2話・「真夜中の遊戯」)
1984年「インディ・ジョーンズ魔宮の伝説」
1985年「カラーパープル」
1987年「太陽の帝国」
1989年「オールウェイズ」「インディジョーンズ最後の聖戦」
1991年「フック」
1993年「ジュラシック・パーク」 「シンドラーのリスト」
1997年「アミスタッド」「ロスト・ワールド ジュラシック・パーク」
1998年「プライベート・ライアン」
2001年「A.I.」
2002年「マイノリティ・リポート」「キャッチ・ミー イフ・ユー・キャン」
2004年「ターミナル」
2005年「宇宙戦争」「ミュンヘン
2008年「インディジョーンズ4」

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「宮崎駿」私の愛する映画監督5

第5回「宮崎駿」
Hayao  今回紹介する映画監督は日本一有名なアニメ映画の監督である宮崎駿です。私は昔から宮崎作品が大好きで、テレビでの放映があるたびに画面に釘付けになっていたものでした。私が一番好きな宮崎作品は『天空の城ラピュタ』ですが、おそらく30回以上は見ていると思います。何回見ても、観客をハラハラドキドキさせたり、感動させる映画を作ることは並大抵のことではありません。彼の手がける作品はどれも人を引き付けるだけの大きな魅力が詰まっています。
 では宮崎監督の映画の大きな魅力とは何でしょう?私にとっての宮崎作品の魅力を語りたいと思います。

①動きへのこだわり
 彼は原画・動画・レイアウトなど作画畑を長年歩んでおり、動く絵としてのアニメーションの可能性と魅力を追求してきました。そんな彼の作品は動く絵としての面白さや楽しさに常に満ちています。現実の動きとは違うアニメだからこそ出来るデフォルメされた動きの躍動感や解放感が彼の映画の大きな魅力です。
 彼が生み出すキャラクターやメカの造形は、どれも強烈なインパクトを持っていると同時に、線が丸みを帯びており親しみやすくて魅力的です。特にトトロは彼が生んだ最高のキャラクターだと思います。
 またキャラクターの描き方もリアリズムではなく、多少オーバーな表現であっても、キャラクターの感情を大胆かつ細かな表情や動きで見せようとします。ダイナミックに笑い、怒り、泣き、走り、食べ、戦うキャラクターの姿は活き活きとした魅力に満ちています。
 空間の使い方もアニメならではの特性を活かして、実写では生み出せない広がりや奥行きを感じさせてくれます。特に飛行シーンにこだわる宮崎監督だけに上下の空間の使い方が巧みで、ナウシカからハウルまでキャラクターたちが上から下に、下から上にと空間をダイナミックに移動するシーンがとても印象的です。

②色彩の美しさ
 宮崎作品の大きな特徴として透明感溢れる色彩の美しさがあります。派手でもなく、地味でもない、透明感溢れるさわやかな色の使い方は見ていて心が和みます。

③緻密な世界観の構築
 宮崎作品は常にファンタジーの要素が強い作品を作っていますが、ファンタジー作品を作る時に大切なのが世界観の構築です。非現実の世界を描くからこそ、そこにリアリティーがないと、観客はファンタジーの世界には入り込むことができません。世界中で大ヒットした『ロード・オブ・ザ・リング』の監督ピーター・ジャクソンも映画を作るときにいかにリアルな世界を作り上げるかに力を注いだそうです。そういう意味では宮崎作品はどの作品も世界観が緻密に構築されており、観客は架空の世界にすっと入り込むことができます。『ナウシカ』の風の谷や『千と千尋』の湯屋など架空の世界にも関わらず、何ともいえない現実感があります。ストーリーとは関係ない、さりげない登場人物たちの日常描写や、街や家の中などの生活観溢れる細やかな描写が映画の中の世界をぐっと観客に近いものとして感じさせてくれます。

④気持ちの良い登場人物たち
 宮崎作品は登場人物に誰一人として嫌な奴がいないというところがあります。主人公たちは常に清清しく、見ていて気持ちの良い人物ばかりです。悪役もどこか同情できるところがあったりして、人間臭くて憎めない人物ばかりです。彼の作品では善人と悪人と明確に分けて描くようなことはせず、善と悪を併せ持つ人物を常に描こうとしてます。
 またどの映画でも女性が元気がよく、存在感が強いのも宮崎作品の大きな特徴です。特に彼が描く女性は母性としての力強さと少女としての可憐さを併せ持つキャラクターを描くことが多く、彼の理想の女性像が反映されているのかなと思います。

⑤現代社会を反映したストーリー
 彼の作品は現代社会を常に反映したストーリーを描こうとします。自然破壊、若者の自立、戦争の愚かさ、人間と科学との付き合い方・・・。彼の作品が多くの人の関心を引き付ける大きな要因として、現代社会に対する問いかけがあるからだと思います。特に自然と人間というテーマは宮崎作品では何度も取り上げられており、自然の中で生きてきた人間という視点と自然を征服して生きてきた人間という視点を織り交ぜながら、人間と自然の付き合い方に対して問題提起をしており、いろいろ考えさせてくれます。

⑥久石譲の音楽
 宮崎作品を語る上で忘れてはいけないのが久石譲の音楽です。彼の音楽なしでは、宮崎作品はここまで人気を得られなかったと思います。宮崎作品における久石譲の音楽については以前、このブログで別に取り上げていますので、そちらをご覧ください。

 宮崎監督の映画は誰もが安心して見ることができますし、誰もが楽しんで見ることができます。誰もが見たことない世界で繰り広げられる人間ドラマや冒険活劇の面白さ。宮崎作品は常に人を引き付けるだけの魅力に満ちています。また新作を製作しているようですが、次はどんな作品に仕上がるのか今から楽しみにしています。


*宮崎駿監督作品
ハウルの動く城(2004)  監督、脚本 
・ コロの大さんぽ(2002)  監督、原作、脚本
・ めいとこねこバス(2002)  監督、原作、脚本
・ くじらとり(2001)  監督、脚本 
・ 千と千尋の神隠し(2001)  監督、原作、脚本
・ もののけ姫(1997)  監督、原作、脚本 
・ On Your Mark CHAGE & ASKA(1995)  監督、原作
・ 紅の豚(1992)  監督、原作、脚本
・ 魔女の宅急便(1989)  監督、脚本
・ となりのトトロ(1988)  監督、原作、脚本
天空の城ラピュタ(1986)  監督、原作、脚本
風の谷のナウシカ(1984)  監督、原作、脚本
・ 名探偵ホームズ1 青い紅玉(ルビー)の巻(1984)  監督
・ 名探偵ホームズ2 海底の財宝の巻(1984)  監督
・ ルパン三世 カリオストロの城(1979)  監督、脚本

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「北野武」私の愛する映画監督4

第4回「北野武」
TAKESHIS' 今回紹介する映画監督は日本映画を代表する監督となった北野武です。私は『HANA-BI』が一番最初に見た北野監督作品でした。この映画は私にとって、北野監督の力量を見せつけられた作品でした。アウトローな男の美学を感じさせるストーリー、突発的に起こるバイオレンスのリアルな迫力、北野監督の独特な映像美や編集、久石譲の情感たっぷりの音楽。この監督の才能に惚れ込み、過去に撮った作品をDVDで片っ端から見ていきました。
 北野武の映画の魅力は人によっていろいろあると思うのですが、私は次の5つだと思います。
①独特な映像美
 彼の映画はストーリーを楽しむというより、彼の生み出した映像を楽しむという要素が強いです。どの作品もストーリー自体は大して意味がなく(良い意味で)、ストーリーを下に監督がイメージした映像の一瞬の美しさや面白さを味わうことの方に意味があります。彼の作り出す映像はどこまでも意味を否定し、夢のような感触を持っています。彼にとってストーリーよりもどんな映像をとるかに関心があるのでしょう。
 彼の映像はとてもクール(かっこよく、そして冷たい)です。彼独特の青が強調された画面は「キタノブルー」と言われ、世界中の映画人を虜にしました。私も彼の青みがかった画面がとても好きです。彼は青を再生の色として捉えているようです。もしそうだとしたら、いつも主人公たちの追いつめられた生き方を描いていますが、青みがかった画面に主人公たちの人生の再生を託しているのかもしれません。ちなみに『HANAーBI』や『ソナチネ』がキタノブルーを一番堪能できる映画です。ここ最近は青以外にも赤や黄などのカラフルな色彩を強調した画作りをしており、『ドールズ』や『TAKESHIS’』など最近の作品を見ると今までの「キタノブルー」とは違う画が見られます。

②間を大切にした編集
 彼の映画の編集は独特です。間を大切にした編集というか、主人公たちの何かしらのドラマが起こる前後の静かな様子もじっくりと見せてくれます。この前後の様子を見せることで、北野映画独特の静けさが生まれ、観客に不思議な余韻を与えてくれます。
 また主人公たちのストーリーの途中に脈略もない断片的な話し(ギャグシーンが多いです)がよく挿入されます。主人公たちのドラマを追っていた観客は、途中で急に関係ない話しが入ってくることで、戸惑いつつも、そこでニヤリと笑ってしまいます。
 
③死と暴力というテーマ
 彼の映画は常に死の匂いが漂います。主人公たちはどこか死にあこがれ、破滅に向かいます。彼の映画には生きることの無常観を感じてしまいます。「この世は一瞬の夢のようなもの」であると彼の映画は観客に語りかけてきます。彼にとって映画を撮るということはどこか自分の死と向き合い、生きている自分を再確認する行為なのでしょう。
 また彼の映画には暴力的な描写が多いです。静けさを突然打ち破る暴力、そしてまた静けさ。彼の描く暴力はどこまでも冷たく、無機質です。彼が描く暴力とはどこもまでも突発的で不条理なものです。それは死の突発性や不条理さであり、生きることの無常さや不条理さでもあります。
 
④芸人ビートたけしとのギャップ
 彼の映画の特徴としてテレビで見るタレントとしてのビートたけしとのギャップがあります。変なかぶり物をまとって、饒舌にしゃべりまくり、おどけて人を笑わせるビートたけし。どこまでも無口で、クールで、死と暴力を描く北野武。このギャップそのものが面白く、ビートたけし=北野武はどういう人間で何を考えているのか観客に興味を抱かせます。

⑤北野武のプライベートな側面が反映された内容
 彼の映画はプライベートな側面がいろいろな所に反映されています。例えば、バイク事故後に撮られた『キッズ・リータン』に込められた北野武の思い。それは事故で死の淵を漂いながらも、生き残ってしまった彼の思いがとても反映されています。また最新作『TAKESHIS’』にはビートたけしと北野武という二つの顔を持つ彼の人生観が投影されています。
 また映画の随所に彼のプライベートな趣味が反映されています。HANABIや菊次郎の夏に挿入される絵も自分で描いていますし、ここ最近の映画に登場するタップダンスのシーンも彼自身が最近タップを習っているおり、それが映画の中に反映されているそうです。
 さらに役者もたけし軍団や彼がお世話になった人の息子を起用するなど、身内を大切にしています。
 
 彼の映画は独特なスタイルを持っており、好きな人と嫌いな人に分かれるかもしれません。しかし彼の映画は一度はまると癖になり、何度でも見たくなります。もしこれから北野映画を見てみようという人がいるなら、私は『キッズ・リターン』から入ることをお奨めします。この映画はキタノブルーな映像を楽しめると同時に、ストーリーもほろ苦い青春を描き感動的です。ぜひ見てみてください。
武がたけしを殺す理由

ちなみに北野武監督が好きな人にお奨めする本が『武がたけしを殺す理由』です。この本は1991年から2003年の12年間にわたって行われた映画監督・北野武に対するインタビューをまとめており、彼がどういう思いで映画を撮っているのかよく分かります。絶対お買い得な本です。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4860520262/qid=1140685827/sr=1-3/ref=sr_1_10_3/250-2216638-9096228

*北野武監督作品
TAKESHIS’(2004)
座頭市(2003)
Dolls(2002)
BROTHER(2000)
菊次郎の夏(1999)
HANA-BI(1998)
キッズ・リターン(1996)
みんな~やってるか!(1995)
ソナチネ(1993)
あの夏、いちばん静かな海。(1991)
3-4x10月(1990)
その男、凶暴につき(1989)

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「スタンリー・キューブリック」私の愛する映画監督3

第3回「スタンリー・キューブリック」
kubrick_head2 皆さん、スタンリー・キューブリックという映画監督をご存じでしょうか?彼が監督した映画はどれも芸術作品であり、映画史に残る名作であります。また彼の映画は常に革命的な映像表現と卓越した音楽センスで、後の多くの映画人に影響を与えています。
 私がキューブリック監督に出会ったのは高校生の時でした。その頃は映画ファンの間で名作と言われる作品を片っ端から見えていた時期でした。そして私が読んでいた映画の解説本で、SF映画の代表として『2001年宇宙の旅』が高く評価されていました。私は小さいときからSF大好きな人間だったので、SF映画の代表作と呼ばれるくらいなら一度は見ておかないということで、LDで購入しました。家の小さなテレビでの鑑賞だったのですが、私の予想を遙かに超えた作品でした。『スターウォーズ』や『未知との遭遇』などが好きだったので、この作品も宇宙を舞台にした娯楽映画だと勘違いしてました。それがいきなり猿のシーンが延々と続きなんだこの映画はと驚いたものです。そしてこの映画はただ者でないと気づき、姿勢を正して見入りました。宇宙船の映像美、クラッシック音楽の大胆な使い方、難解なストーリーに見終わった後は圧倒されてしまいました。この映画を作った人は天才に違いないと確信した私は、その後キューブリック監督の映画を片っ端から買い集め、鑑賞していきました。大学生の頃にはキューブリック信者になっており、月に一度は彼の映画を見ないと気がすまいようになってました。
 彼の映画には他の映画にはない幾つかの特徴があります。その特徴が彼の映画の魅力であり、名作と呼ばれる所以だとも思います。

①圧倒的な映像美
 彼はもともと写真家だったこともあって、映像にはとてもこだわっています。彼の映画はどのシーンも、絵画か芸術写真のように美しいです。効果的な照明の使い方、完璧な画面の構図、映画美術に対するこだわりなど、自分がイメージする映像を完成させるためへの追求心は半端ではありません。彼はいいショットが撮れるまで同じシーンを何回も撮り直したそうです。『アイズ ワイド シャット』でトム・クルーズは50回以上同じシーンを撮り直したそうです。また彼は毎回作品のテーマや雰囲気にあった映像を生み出すために新しい撮影技術も積極的に取り入れています。『バリー・リンドン』では蝋燭の光だけで撮影できるようにレンズを開発し、『シャイニング』ではステディカムという装置を使い、スムーズな移動撮影を行っています。言葉で説明するのは難しいですが、彼の映像美は一見の価値があります。
②シンメトリーな構図の空間
 彼の映画を私が見るときにいつも注目するのがシンメトリーな構図の空間設計です。シンメトリーな構図とは左右対称な構図のことをいうのですが、彼の映画はシンメトリーな構図のシーンが多いです。シンメトリーな構図は整然とした秩序ある美しさを感じる反面、どこか居心地の悪さを感じてしまいます。だから彼の映画で左右対称な構図の空間が出てくると、気になると同時にとても生理的違和感を覚えるんですよね。
③卓越した音楽センス
 彼の音楽の使い方はとても巧みです。どの作品においても、映画のテーマや映像の魅力をさらに引き立たせる音楽の使い方がされています。彼は時として普通の人なら考えもしないような選曲をします。このシーンにこの音楽をもってくるのかと観客を驚かせます。特に『2001年宇宙の旅』と『時計じかけのオレンジ』のクラッシック音楽の使い方は巧みでした。近未来宇宙の映像と古典的なクラッシックの融合、バイオレンス映像とベートーヴェンの融合などは新たなるクラッシック音楽の可能性を切り開いたと思います。また映画で歌が挿入されることが多いのですが、アイロニカルな使い方をしています。映像のもつ意味と相反する歌を流すことで、そのシーンが持つ意味を引き立たせています。彼の映画において音楽とは映像の従属物ではなく、映像の可能性を切り開くための大切な役割を担っています。   
④主人公への冷めた視点
 彼の映画はどの作品も主人公に感情移入できないような作りになっています。観客は神のような視点で客観的に主人公の姿を捉えて判断することを要請されます。彼は主人公の行動は描いても感情というものはあまり描きません。彼は常に観察者として主人公を見つめて追っています。彼は一人の人間の感情や人生を追う作家ではなく、彼は“ある人間”をサンプルとして取り上げ、人間とはどういう存在かをより大きな視点で捉えようとします。彼は普遍的人間性を追求した作家だと思います。
⑤深いテーマ性
 彼の映画はどれもジャンルが違います。戦争映画、SF映画、ホラー映画、歴史映画といろいろなジャンルの映画を監督しています。しかし、どの映画も共通したテーマがあります。それは「人間と暴力」、「人間と狂気」というテーマです。(『アイズ ワイド シャット』は少しテーマが違っていましたが) 彼の映画はどれも暴力に満ちています。戦争という暴力はもちろんのこと、人間が本質的に持っている暴力性というものを、どの映画でも追求しています。 また人間がもつ狂気というものにもとても興味があるようで、主人公である人間が狂っていく様子をいつも淡々と描いています。彼にとって人間とは暴力的存在であり、狂った存在であると映っていたのでしょうか。

 彼の映画は他の映画には魅力があります。そしてその魅力に一度はまってしまうと、何度でも彼の映画を見たくなります。彼が『アイズ ワイド シャット』撮影後に亡くなったのが残念です。
 是非、みなさんも一度ご覧ください。また「この映画を見て!」でも彼の各映画について取り上げていこうと思っているので、お楽しみに!

*スタンリー・キューブリック監督作品
1955年 非常の罠 
1956年 現金に体を張れ 
1957年 突撃  
1960年 スパルタカス 
1962年 ロリータ  
1964年 博士の異常な愛情  
1968年 2001年宇宙の旅   
1971年 時計じかけのオレンジ   
1975年 バリー・リンドン  
1980年 シャイニング 
1987年 フルメタル・ジャケット  
1999年 アイズ ワイド シャット 

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私の愛する映画監督2「ジェームスキャメロン」

第2回「ジェームス・キャメロン」

 私が中学・高校時代に好きだった監督の一人にジェームス・キャメロンがいます。彼はターミネーターシリーズやタイタニックなど数々のヒット作を送り出して来ているの、知っている人も多いと思います。
 キャメロン映画の魅力を上げると、力強い女性たち・VFXを巧みに使った迫力ある映像・たたみかけるような展開と心を揺さぶる感動を併せもつシナリオ・見せ場の見せ方の上手さなどです。
 彼はB級映画の巨匠ロジャー・コーマンの下で美術や特殊効果などを担当しながら、現場で映画の作り方のノウハウを覚えた人であります。そのため、自分で映画を撮るときも、現場の統率をうまくこなして、自分の撮りたい映画を撮ってきた人です。デビュー作は「殺人魚フライングキラー」というB級作品ですが、彼の名を一躍有名にしたのは「ターミネーター」です。「ターミネーター」は低予算でありながら、タイムトラベルをうまく利用したシナリオ・低予算でありながら見せ方の工夫で、成功を収めました。その後は「エイリアン2」の監督に抜擢され、大ヒットをとばし、その後次々とSFXを利用した大作を作り上げていきます。
 彼の映画のおもしろさはまずSFXの使い方の巧みさがあります。どの映画もこれみよがしなSFXというより、まずシナリオがしっかり作られています。そのシナリオに基づいて、監督の中で作りたい画のイメージをしっかり持っているので、そのイメージをどう具体的映像として見せるか考え、うまくSFXを取り入れています。(最近の監督だとピーター・ジャクソンがSFXの使い方が巧みだなと思います。)
 次にストーリーテラーとしての巧みさがあると思います。どの映画もストーリー展開の仕方が上手で、話しの前半でしっかり観客に主人公への感情移入をしてもらい、後半のドラマティックかつ緊張感あふれる展開で観客が我を忘れて映画の中に入り込めるような作りになっています。「タイタニック」にしろ「エイリアン2」(完全版)にしろ、主人公の心情が丁寧に描き込まれているので、後半の盛り上がりに観客も盛り上がれるんですよね。
 あと力強い女性像も彼の映画の魅力ですよね。どの映画でも女性は男と対等に渡り合うたくましい存在として描かれています。彼の映画は一般社会における女性の立場の向上と進出という時代の変化を感じるとることができますよね。

 タイタニック以降、ドキュメンタリー映画など撮っていますが、娯楽映画をもう何年も撮っていません。次回作に日本のコミック「銃夢」を原作に「バトル・エンジェル・アリタ」 という作品を撮る予定だそうです。近未来の荒廃した都市を舞台に主人公のサイボークの女性が生きる意味を探し出すというストーリーだそうですが、どんな作品になるかいまから楽しみです。

私のお奨めジェームス・キャメロンBEST5

タイタニック

5位「タイタニック」

世界中で大ヒットした「タイタニック」。ジェームス・キャメロンの魅力が詰まった映画ですねえ。力強い女性・迫力に満ちた映像・たたみかけるようなストーリー展開と全編見所満載です。ただ個人的に、メインのストーリーであるラブストーリーより、バンドメンバーなど脇役の人のドラマやスペクタクルな映像に惹かれたものです。
 

エイリアン2 完全版

4位「エイリアン2」(完全版)

続編で成功した映画って少ないと思うのですが、この映画は見事な続編映画です。1作目と路線を変更したのが良かったのでしょうね。シナリオがとても良く、後半のこれでもかと続く緊張感あふれるストーリー展開は何度見ても手に汗握ります。特に完全版は主人公リプリーの心情が丹念に描き込まれているので、後半の主人公の行動の理由がより深く理解できると思います。それにしても最後の母性対母性の対決はすごいですねえ。男の出る幕はなしです。

ターミネーター〈特別編〉

3位・2位「ターミネーター1&2」

ターミネーターシリーズ(3作目は除く)はとても良くできたSFアクション映画です。タイムトラベルものとしては矛盾点もありますが、勢いと情熱にあふれた映画だと思います。1作目と2作目のつなげ方もうまく、見せ場も、その見せ方も迫力があり面白いですし、何よりストーリーが、面白く感動的ですよね。未来を変えようとする人間・ロボットたちの姿を見ると熱い思いになります。だからこそあの3作目は作るべき作品ではなかったと思ってます。

アビス<完全版> プレミアム・エディション

1位「アビス」(完全版)

この映画、あまりヒットしませんでしたが、私は1番お気に入りのキャメロン作品です。深海を舞台にしたSFパニック作品ですが、映像・ストーリー共に見応えがあります。特にストーリーはタイタニックよりも私はこの映画の方が感情を揺さぶられます。海底基地からの脱出、謎の生命体との遭遇というストーリーの中で、夫婦愛や反核・人類の平和などについて語られていきます。全編海底の中なので映像的にはとても息苦しいシーンが続きますが、後半の主人公である夫婦のやりとりは心を熱くするものがあります。

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「ピーター・ジャクソン」私の愛する映画監督

第1回「ピーター・ジャクソン」
 ここ最近、私が特に次回作が楽しみな映画監督といえばピーター・ジャクソンです。(ここからはピーター・ジャクソンのことをPJと略して書きますね。)一昔前は「ブレインデッド」というホラー映画マニアの間で人気を博したゾンビ映画の監督して有名だったPJ。ここ最近は「ロード・オブ・ザ・リング3部作」、「キングコング」と超大作を監督して観客・批評家受けもよいメガヒットを連発しています。
 私がPJの映画と初めて出会ったのは「ロード・オブ・ザ・リング」でした。この映画はファンタジー小説のバイブルとも言われる「指輪物語」を元に作られた映画ですが、最初この映画を見たとき、指輪物語の世界観をここまで表現できるのかと舌をまいたものです。ファンタジー映画は大好きななので、今までもいろいろ見ていたのですが、この映画の出来の良さ、おもしろさは他の映画と比べものにならず、誰がこんな映画作ったのかと気になったものでした。(「ロード・オブ・ザ・リング」のすばらしさついては後日また紹介します)そしてピーター・ジャクソンという監督を知り、過去の作品を見ていきました。するとどれも傑作ばかり。特にホラー映画が昔から好きだった私には、彼の映画はどれも満足のいくものばかり。一気にお気に入りの監督になりました。
 私の中でPJの映画はどれも見終わった後の満足感がとても大きいです。彼の映画はどれも観客が期待しているもの以上のものを見せてくれるんですよね。ブレインデッドのラストやキングコングの髑髏島のシーン、ロード・オブ・ザ・リングの戦闘シーンなど演出的にここまでやるかという時があり、見ている人はその迫力に圧倒されるんですよね。VFXの使い方もこれ見よがしでなく、まずドラマがあってのVFXなので、客は映画に感情移入しやすいんでよね。時々、見ていて話しの進め方もべたなときもあるんですが、べたなことを小細工なしにストレートに見せてくれて、逆に感動したりするんですよね。また彼の映画は、見せ方に勢いがあるんですよね。だから少々の粗も見逃してしまうというか許してしまうというか・・。編集のリズムがいいというか、見せ方がうまいというか、勢いに押し切られて、観客も見入ってしまうんですよね。
 さらに彼の映画は見ていると、映画愛を感じるんですよね。「キングコング」も「ロード・オブ・ザ・リング」も「ブレインデッド」も、どの映画も彼の思いや情熱が画面からひしひしと伝わってくるんですよね。だから見ている人も、映画の世界に入り込みやすいとおもうんですよね。
 彼はニュージーランドで生まれ、小さいときから映画好きで8ミリカメラを持って、映画を撮っていた映画少年だったそうです。特にキング・コングがお気に入りで、自分でも模型を作り怪獣映画を撮っていたそうです。そして、友達と自主制作のホラー映画やF映画を作り、楽しんでいたようです。カメラの機材から小道具、特殊メイク、ミニチュア、撮影、編集と自分で何もかもこなしていたそうです。(その経験があるからこそ、大作映画を作るときでも細かいところまでスタッフに指示を出すことができ、自分のイメージする映画を作ることができたようです。)そして自主制作で撮った「バッドテイスト」というSF映画を劇場公開するとヒットして、本格的に映画監督の道に入っていったそうです。彼は小さいときから映画好きで、いま自分が撮りたいと思った映画を楽しんで作っているからこそ、見ている側も楽しいんでしょうね。

彼は今一番注目のヒットフィルムメーカーだと思います。

私のお奨めピーター・ジャクソン作品BEST5

バッド・テイスト

5位 バッドテイスト:彼の最初の作品。チープながらもキラリと光るセンスとグロさ。この映画が彼の出発点です。話しは地球人を食料として使おうとする宇宙人を秘密工作員がやっつけるというものです。何年もかけて自主制作で作った映画で、映像的には安ぽっさが漂うのですが、見せ方がとてもうまいので、最後まで楽しく見られます。カメラワークや編集、特殊効果など自主制作とは思えません。PJの演出のうまさが感じられる一品です。ただし、グロイのがダメな人は全く受け付けないと思います。全編悪趣味な映像のオンパレードです。

乙女の祈り4位 乙女の祈り:実話を元にした映画。感受性の強い思春期の女性2人が自分たちだけの想像の世界にのめり込み、自分たちの世界を壊そうとする母親を殺していまう。何とも後味の悪い映画でありますが、主人公たちが殺人を犯すまでの心理的過程をとても丁寧に捉えています。また2人が作り上げていく想像の世界をファンタジックに描く手腕はさすがPJ。

ブレインデッド

1位 ブレインデッド:これを超えるスプラッターはもうでないでしょう。マザコンの男がゾンビ化した母を守ろうとするが、どんどん裏目に出て周囲の人がゾンビ化していき、すざましいクライマックスを迎える。ラスト30分は笑うしかないくらいすごいです。とてもすごいスプラッターシーンの連続ですが、見終わった後はとても爽やかな気分になれる。そんな映画ってあまりないと思います。グロい映像も大丈夫という人は是非見てください。

king_kong位 キング・コング:彼の長年の思いが詰まった力作。この映画を見れば他の怪獣映画はもういらないでしょう。それくらいすごい怪獣映画です。監督の長年の思いと愛がつまった傑作です。3時間という超大作ですが、全編見所満載で、息つく暇がありません。とくにスカル島でのキング・コング対V-REXの死闘は凄いです。このシーンを見るだけ、1800円払う価値あります。

1位ロード・オブ・ザ・リング3部作:映画史に残るファンタジー大作。ストーリー・映像・音楽・役者、全て最高!あの長大な原作をよくここまでまとめあげたものです。あの世界観を映像で蘇らせただけで満点です。これから見る方は劇場未公開シーンを加えたぜひスペシャルエクステンデッド・エディションシリーズを見てください!

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