私の映画遍歴~映画に関するエッセイ~

「見終わって気が滅入る映画」私の映画遍歴17

 

 2009年に英エンパイア誌が、「落ち込む映画」ランキングのトップ10を以下の通り発表しています。

1.「レクイエム・フォー・ドリーム」(00)
2.「ひとりぼっちの青春」(69)
3.「リービング・ラスベガス」(95)
4.「道」(54)
5.「21グラム」(03)
6.「火垂るの墓」(88)
7.「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(00)
8.「冬の光」(62)
9.「リリア 4-ever」(02)
10.「ミリオンダラー・ベイビー」(04)


そこで今回は私が見終わって気が滅入った映画ベスト5を紹介します。

5位『ミリオンダラー・ベイビー』
Photo  ボクシングジムを経営する老トレーナーとボクサーを目指す女性との交流を描いた本作品。クリント・イーストウッドが主演も兼ねて監督しており、2005年のアカデミー賞で作品賞を始めとして主演女優賞ほか全4部門を受賞するなど公開当時高い評価を得ました。前半は女性ボクサーのサクセスストーリーとして見ていて爽快なのですが、中盤以降は予想外の重苦しい展開となり、賛否両論分かれる結末を迎えます。ラストの主人公の行動に私は気が滅入ってしまいました。 

4位ミスト
Photo_2  スティーブン・キングの同名原作をフランク・ダラボン監督が映画化した本作品。突然原因不明の霧に包まれスーパーマーケットに閉じ込められた人々の様々な姿を描いていきます。映画の中盤の人間同士の争いも醜いですが、原作にはない映画オリジナルの結末がとても後味がとても悪いです。守ろうとしたものを守れず生き残ってしまった主人公の今後を思うと胸が痛みます。

3位『セブン』
Photo_3  デビッド・フィンチャー監督がキリスト教の“7つの大罪”になぞらえた猟奇殺人事件を追う2人の刑事の姿を描いた本作品。終始重苦しい雰囲気が漂う作品です。ラストの結末は救いようがありませんが、人間という生き物について深く考えさせられます。
 

2位『ドッグヴィル』
Dogville  気が滅入る映画を撮ることがお得意のラース・フォン・トリアー監督。英エンパイア誌のランキングでも『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が7位に入っていますが、個人的には本作品の方が見終わって落ち込みます。アメリカ・ロッキー山脈の村を舞台にギャングに追われて逃げ込んで来た女性に対して村人が次第に不信を抱いて奴隷のように扱うというストーリーで、人間の愚かさや醜さがこれでもかと描かれています。

1位『ソドムの市』
Photo_4  マルキ・ド・サドの「ソドムの120日」を鬼才・パゾリーニ監督が映像化を試みた本作品。第2次世界大戦末期のナチ占領下の北イタリアを舞台にファシストで権力者の男4人が美少年及び美少女を監禁して極悪非道の限りを尽くすというストーリーで、見ていて目を背けたくなるシーンのオンパレードです。見終わって、しばらく気が滅入ること間違いなしです。

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『007シリーズにはまる』私の映画遍歴17

007_2  先月にWOWOWで007シリーズ22作品を一挙公開という特集をしていて、私も昔から007シリーズが大好きだったので思わず全作品鑑賞しました。

 『007シリーズ』とはイギリスの作家イアン・フレミングが創作したスパイ小説を映画化したもので、殺しのライセンスを持った英国情報部の諜報員ジェームス・ボンドの世界を股にかけたスパイ活動を描いたシリーズです。
 始めて映画化されたのは1962年で『007/ドクター・ノオ』というタイトルで公開されました。映画が大ヒットして、ボンド役を演じたショーン・コネリーは一躍スターになりました。1作目のヒットを受けて、翌年には『007/ロシアより愛をこめて』が公開。1作名以上のヒットと高い評価を受けました。
 その後、ショーン・コネリーを主演に3作公開され、スケールの大きなストーリーとアクションが世界中で人気を博して大ヒットを飛ばします。続いてジョージ・レーゼンビーにボンド役が交代。ボンドがシリーズ中で唯一結婚する『女王陛下の007』が公開されます。しかし、レーゼンビー演じるボンドは評判が悪く、すぐに降板。コネリーが再登板して『007/ダイヤモンドは永遠に』が公開されます。
 続いてロジャー・ムーアがボンド役に就き、歴代最多の7作品に出演します。その後、ティモシー・ダルトンに交代して、2作品が公開されます。
 しかし、冷戦崩壊後の1990年代前半007シリーズは製作されず、1995年にようやくピアース・ブロスナン主演で6年ぶりの新作『ゴールデンアイ』というタイトルで公開。冷戦以降のスパイの活躍を描き、見事シリーズを復活させます。その後ブロスナン主演で3作品が公開。世界中でヒットを収めます。
 そして2006年にダニエル・クレイグに主役を交代して、原作の1作目にあたりジェームズ・ボンドの誕生を描く『007/カジノ・ロワイヤル』が公開されます。その2年後にはシリーズ初の続編である『007/慰めの報酬』が公開されます。
 本当は2011年か2012年にクレイヴ主演で23作目が公開される予定でしたが、MGMの経営難により無期限の製作延期となっており新作がいつ公開されるかは未定となっています。

 私が007シリーズを始めてみたのは小学生のときでしたが、ロジャー・ムーアがボンド役だった時代でした。Qが開発する秘密兵器や仕掛け満載のボンドカーに憧れ、そして子どもながらにボンドガールの美しさに見とれたものでした。また悪役のスケールの大きな陰謀にほぼ単身でスマートに立ち向かっているボンドの姿にカッコよさを感じたものでした。
 今まで6人の俳優がボンド役を演じていますが、小さいときから見慣れていることもあり、ロジャー・ムーアが一番好きです。ただ一番ボンド役が似合っているのは個人的にティモシー・ダルトンだと思います。

 ちなみに私がシリーズ中で特に好きな作品は下の5作品です。

Photo_4 *5位『007/死ぬのは奴らだ』
・ロジャー・ムーアが初めてボンド役を演じた作品です。巷の評価は低いですが個人的にはじめて見た作品であり、非常に印象に残っています。特に元ビートルズのポール・マッカートニーが担当した主題歌はシリーズの中でも名曲だと思います。

Photo_5 *4位『007は二度死ぬ』
・ショーン・コネリーが演じた作品の中で一番好きな作品です。完成度は『ロシアより愛をこめて』に比べると低いですが、日本を舞台に活躍しているところが気に入ってます。また、日本人なら突込みを入れたくなるおかしな場面も随所にあり、一人で見ても友だちと見ても楽しめる作品です。

007_4 *3位『女王陛下の007』
・ジョージ・レーゼンビーが唯一主演を務めた本作品。シリーズ中唯一のボンドが結婚するエピソードがとても印象的です。秘密兵器やボンドカーはほとんど出てきませんし、派手な舞台装置やアクションもありませんが、ストーリーがしっかりしておりボンドの内面も丁寧に描かれおり、完成度は高いです。

Photo_6 *2位『007/消されたライセンス』
・ティモシー・ダルトン演じるボンドが友人の仇を討つために殺しのライセンスを取り消されながらも単身で敵を追い詰めていく本作品。シリーズ中でも異色の作品でありますが、最後まで緊張感があり、アクションも地味ながら迫力があり、大変見応えがあります。

Photo_7 *1位『007/私を愛したスパイ』 
・個人的に一番好きなのはロジャー・ムーアがボンド役を務めたシリーズ10作目にあたる本作品です。水中を潜るロータス・エスプリに、敵の手下の鋼鉄の歯を持つ大男“ジョーズの登場、そして派手な舞台装置とアクション。ユーモアと緊張感のバランスも絶妙で、007の魅力が一番詰まっている作品だともいます。  

 新作の公開は未定でありますが、これからも世界を股にかけたボンドの活躍を大きなスクリーンで味わいたいですね。

 

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「戦争について考えさせられる映画」私の映画遍歴16

 終戦記念日の8月はテレビ等で先の太平洋戦争にまつわる番組がよく放映されます。どんな目的であれ戦争は多くの人を巻き込み不幸にします。人類の歴史の中で戦争は幾度となく起こり、多くの人が犠牲になっています。平和を望みながらも今も世界のどこかで続いている戦争。
 映画においても戦争は幾度となく描かれてきました。『プラトーン』や『プライベート・ライアン』のように戦場の兵士たちを描いた作品。『シンドラーのリスト』や『戦場のピアニスト』のように戦争に巻きこまれた市民を描いた作品。また、『渚にて』や『黒い雨』のように核戦争の恐怖を描いた作品。そして『7月4日に生まれて』や『ジョニーは戦場へ行った』のように帰還兵の苦悩を描いた作品。映画においても色々な切り口から戦争については語られています。
 そこで今回は私が戦争について考えさせられた映画を5作品紹介します。

『ゴジラ』
Photo  日本を代表する怪獣ゴジラ。記念すべき1作目は1954年に公開され大ヒットしましたが、単なる怪獣映画を超えた反戦・反核映画に仕上がっています。まだ戦後の傷跡が残る時代に製作されただけあって、ゴジラの襲撃シーンは東京大空襲を思い起こしますし、随所に核の脅威と恐怖が描かれいます。
『スターシップ・トゥルーパーズ』
Starship_troopers   ロバート・A・ハインラインのSF小説『宇宙の戦士』を鬼才ポール・バーホーベン監督が映画化した本作品。昆虫型エイリアンと人間の壮絶な戦いを描いたSFアクション大作ですが、随所に軍国主義のプロパガンダを皮肉ったシーンがあります。また、戦争の残酷さや愚かさもしっかりと描かれていす。

『フルメタル・ジャケット』
Photo_2  普通の若者が以下にして殺人兵器へと生まれ変わり戦場で戦っていくのかを巨匠キューブリック監督が冷徹に描いた本作品。ベトナム戦争を題材に前半は海兵隊員の訓練所での若者たちの過酷な訓練を描き、後半はベトナム戦地での若者たちの激しい戦闘を描いていきます。見所は何と言っても前半の海兵隊員の訓練所の描写。若者たちが訓練を経て非人間的になっていく姿は背筋が凍ります。
・『パンズ・ラビリンス』
Photo_3  1944年のスペイン内戦下を舞台に現実とファンタジーの間で生きる少女の姿を描いた本作品。奇怪なクリーチャーたちが登場するダークなファンタジー映画でありますが、そこで描かれるテーマは戦争に巻き込まれた子どもの悲劇です。

『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』
Flags_of_our_fathers  太平洋戦争における硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いた本作品。クリント・イーストウッドが両作品とも監督していますが、日米それぞれの兵士たちの苦悩を丁寧に描いていきます。戦争で対立している両者の姿を均等に描くことで、敵味方や国を超えた戦争の愚かさや悲しみが見る者に伝わってきます。

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「スティーブン・キング原作の映画」私の映画遍歴15

 私は昔からスティーブン・キングの小説が大好きでした。キングの書く小説はジャンルとしてはホラーが多いですが、サスペンスやファンタジーそして重厚な人間ドラマまで幅広く手がけています。
 キングの小説の特長は何と言っても主人公たちの日常生活や心理描写の緻密さにあります。読んでいると主人公たちの姿が頭の中ではっきりイメージできるので、主人公たちにどっぷり感情移入して手に汗握る物語を楽しむことができます。
 そんなキングの小説は世界中でベストセラーになり、数多く映画やテレビドラマとして映像化されています。キングの小説は一見映像化しやすいようで、緻密な描写のため非常に難しく、今まで映像化された作品も出来に当たり外れがあります。
 そこで今回はキングの小説を映画化した作品で個人的にお薦めできるものを5つ紹介します。

・『キャリー』
Photo  キングのデビュー作をブライアン・デ・パルマ監督が完全映画化した本作品。後半は原作よりスケールはダウンしていますが、単なるホラーでなく主人公の青春ドラマとして見事に映像化しています。オープニングのシャワーシーンからラストのショッキングなシーンまで一瞬たりとも目を離すことができません。

・『シャイニング』
Photo_2  鬼才スタンリー・キューブリック監督が映画化した本作品。キングは原作と展開にかなり不満で、自ら監督を務めてテレビドラマとして撮り直したほどです。しかし、個人的にはキューブリック版の『シャイニング』はホラー映画の傑作だと思います。確かに原作の魅力である後半のドラマチックな展開や主人公たちの心理描写は全て映画では削除されていますが、醸し出す雰囲気の怖さは尋常ではありません。

・『地獄のデビル・トラック 』
Photo_6  キング自らが初監督をした本作品。はっきり言って完成度はB級以下の出来です。原作はそれなりに面白かったのですが、映画は最初から最後まで突っ込みどころ満載。ここまで下らない作品だと逆に笑ってみることができます。ある意味、キングファンに一度は見て欲しい作品です。

・『ミザリー』
Photo_4  キャシー・ベーツがアカデミー主演女優賞を受賞した本作品。彼女の狂気迫る演技が何といっても見所です。監督はかつてキングの『スタンド・バイ・ミー』も映画化したロブ・ライナーが担当。原作をコンパクトにまとめて、緊張感たっぷりの映画に仕上げています。

・『ショーシャンクの空に』
Photo_5  公開当時はあまり目立ちませんでしたが、その後評価がどんどん高まっていた本作品。原作を尊重した作りとなっており、何度見ても感動と勇気を見る者に与えてくれます。監督は本作品で長編デビューして、その後もキングの『グリーン・マイル』、『ミスト』を映画化したフランク・ダラボンが担当。長編1作目でこれだけ完成度の高い作品を作り上げたのはすごいです。ちなみに『グリーン・マイル』、『ミスト』も原作を尊重した作りで秀作ですが、残念ながら本作品の完成度には及びませんね。

【日本で劇場公開されたスティーブン・キング原作の映画一覧】
1408号室 (2007)   
ミスト (2007)    原作    
シークレット ウインドウ (2004)   
ライディング・ザ・ブレット (2004)   
ドリームキャッチャー (2003)
アトランティスのこころ (2001)         
グリーンマイル (1999)         
ゴールデンボーイ (1998)
スティーヴン・キング/ナイトフライヤー (1997)
スティーブン・キング/アーバン・ハーベスト2
スティーヴン・キング/痩せゆく男      
ブロス リターンズ/やつらはふたたび帰ってくる
マングラー (1995)
黙秘 (1995)         
ショーシャンクの空に (1994)   
スティーブン・キング/アーバン・ハーベスト (1994)   
ニードフル・シングス (1993)   
スティーブン・キング/死の収穫
バーチャル・ウォーズ (1992)   
ブロス/やつらはときどき帰ってくる (1991)         
スティーヴン・キング/地下室の悪夢 (1990)   
フロム・ザ・ダークサイド/3つの闇の物語 (1990)
ミザリー (1990)
ペット・セメタリー (1989)   
クリープショー2/怨霊 (1987)    
バトルランナー (1987)         
地獄のデビル・トラック (1986)
スタンド・バイ・ミー (1986)   
炎の少女チャーリー (1984)    
クジョー (1983)         
クリスティーン (1983)
デッドゾーン (1983)         
シャイニング (1980)         
死霊伝説 (1979)         
キャリー (1976)   

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「あっと驚くどんでん返し映画」私の映画遍歴14

 米情報誌エンターテインメント・ウィークリー誌が、M・ナイト・シャマラン監督作「ハプニング」のDVD全米発売を記念して、あっと驚く結末が用意された「大どんでん返し映画」22本を発表しました。
 以下の22作品が紹介されていましたが、『サイコ』や『猿の惑星』の古典的名作から『シックスセンス』や『セブン』など最近の話題作まで誰もが知っている作品が数多く選ばれています。

「セブン」(95)
「シックス・センス」(99)
「ファイト・クラブ」(99)
「悪魔のような女」(55)
「メメント」(00)
「サイコ」(60)
「ユージュアル・サスペクツ」(95)
「猿の惑星」(68)
「アイデンティティー」(03)
「プレステージ」(06)
「ゲーム」(97)
「フォーン・ブース」(02)
「ドニー・ダーコ」(01)
「ソイレント・グリーン」(73)
「マルホランド・ドライブ」(01)
「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」(80)
「オールド・ボーイ」(03)
「キル・ビル Vol.1」(03)
「12モンキーズ」(95)
「イースタン・プロミス」(07)
「アザーズ」(01)
「エンゼル・ハート」(87)

 そこで私も個人的にどんでん返しにあっと驚いた作品BEST5を紹介します。

Photo 5位『ゾンゲリア』
 本作品は80年代前半にダノ・オバノンが脚本を務めたゾンビ映画です。かなり陰惨な残酷描写が印象に残る作品ですが、それ以上にラストの予想外のどんでん返しにはあっと驚かされます。

Gokemidoro 4位『吸血鬼ゴケミドロ』
 地球侵略を目論む謎の宇宙生命体ゴケミドロに襲われる人間たちの死闘を描いた本作品。日本を代表するSFホラーですが、ラストのシニカルで救いようの無い結末は強烈です。

Photo_23位『クライングゲーム』
 ニール・ジョーダン監督が手がけたサスペンス・ラブストーリー映画の傑作である本作品。公開当時に「決して内容を誰にも言ってはいけない」がコピーになっていましたが、本作品は一切の前情報なく見てほしいです。

Dead_or_alive 2位『DEAD OR ALIVE 犯罪者』
 日本一忙しい監督である三池崇史がVシネの帝王である哀川翔と竹内力を主演に製作した本作品。新宿を舞台に繰り広げられる男たちの熱い闘いを描いた作品なのですが、ラスト5分は見る者の想像を遥かに超える衝撃的な展開が待ち受けています。 

Photo_3 1位『シベリア超特急』
 今年の6月にお亡くなりになった映画評論家・水野晴郎が手がけたスーパーサスペンス・アクションロマン『シベリア超特急』。一部のカルト的ファンから人気を博して、映画は5本、舞台は2本製作されました。私もビデオで鑑賞したのですが、最後の何回も続くどんでん返しには呆気に取られました。

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「愛すべきB級映画たち」私の映画遍歴13

 「映画は芸術だ」という人がいますが、私の中で「映画は芸術であり見世物でもある」と思っています。黒澤明やキューブリック、タルコフスキーのような監督が作り上げる芸術的な作品も大好きですが、低俗で下らなく安っぽいB級の映画も大好きです。
 そこで今回は「時間に暇があり、何も考えたくない時」にお薦めのB級映画をご紹介します。

 そもそもB級映画とは低予算かつ短期間で撮影された映画のことを指します。なぜそれらの作品を「B級」と言うかというと以下のような理由があります。

『アメリカでは1945年以前、映画は2本立て公開されており、その1本目に前座として低予算映画が上映されていました。その低予算映画は『B撮影所』で撮られたものだったため、「B映画(B-Pictures)」と呼ばれ、それが後に「B級映画」へ転じていった。』
(フリー百科事典『ウィキペディア』より引用)

 私の中でB級映画とは以下のような作品を指します。
・人類の危機など大げさな設定の割りに、しょぼい映像かつこじんまりとしたストーリーの作品
・無名な女優のお色気シーンや、荒地や工場・倉庫等でのアクションシーンがやたらに多い作品
・汚い描写、グロい描写にやたらこだわる
・ラストが意味不明だったり、続編がありそうな感じで終わることが多い
 
 昔の映画館では2本立てで映画が公開されることが多く、B級映画が比較的多く上映されていました。またテレビでも日曜洋画劇場や深夜にB級作品がよく放映されていました。その為、B級映画を普段から見る機会に恵まれていました。
 逆に最近は多くの映画館で上映される多くの作品はある程度有名なキャストを起用し、予算をかけて製作されたものばかりです。(内容的にはB級映画よりも面白くなく、退屈な作品も多いですが・・・。)またテレビでもヒット作ばかり放映することが多く、以前ほどB級映画が放映されることが少なくなりました。
 その為、B級映画と呼ばれる作品を見るためにはミニシアターに行くか、ビデオを借りるしかなく、B級映画が好きな人以外は気軽に見る機会が少ない状況です。(確かにわざわざ金を出してまで下らない作品を見たいという人は少ないかもしれませんが・・・)

 B級映画は確かに内容は突っ込みどころも多く、中身も薄っぺらいです。だからこそ、肩肘張らず気楽に見ることができますし、突っ込みどころが多い分、大勢でワイワイ見られます。
 ぜひ多くの人にB級映画の素晴らしさを感じて欲しいです。

・私のお薦めB級映画10本!

Squirm 『スクワーム』(1976年、アメリカ、96分)
 アメリカの田舎町で突如大量のゴカイが人間を襲うという悪趣味極まりない本作品。見所は人間の体にゴカイが食い込むシーンとシャワーを浴びていたらゴカイが落ちてくるシーンです。本作品は撮影の為に8000万匹のゴカイを集めたそうです。これだけたくさんのゴカイが登場する作品後にも先にもありません。この作品を見ると、しばらくはパスタが食べられなくなるのでご注意を!


Life_force 『スペースバンパイア』(1985年、アメリカ、116分)
 吸血エイリアンが人間を襲うという本作品。昔、日曜洋画劇場でよく放映されていました。『エイリアン』のダン・オバノンが脚本、『悪魔のいけにえ』のドビー・フーパーが監督、ヘンリー・マシニーが音楽という有名なスタッフが結集して製作された作品ですが、中身は思いっきりB級です。見所はマチルダ・メイの裸体と精気をすわれてミイラ化する人間の描写です。設定と音楽は思いっきり壮大ですが、映像とストーリーは何とも安っぽいです。

Maximumoverdrive  『地獄のデビル・トラック』(1986年、アメリカ、98分) 
 地球の側を通過した彗星の影響で、地上のあらゆる機械が人間を襲い始めるという本作品。ホラー小説の帝王スティーブン・キングが自らの原作を元に初監督した作品でもあります。この作品を見ると小説家として才能がある人が監督としての才能があるとは限らないことが良く分かります。映像・音楽・ストーリー全てにわたってB級感丸出しで、下らないの一言です。ただこの下らなさがB級好きにはたまりません。 

Attack_killer_tomatoes 『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』(1978年、アメリカ、98分)
 突如トマトが人間を襲うという本作品。ティム・バートン監督が98年に監督した火星人襲来映画『マーズ・アタック!』の元ネタでもあります。
 トマトがどう人間を襲うのかと期待して見てみると、小さいトマトや張りぼてのトマトがただ転がって、人間が慌てふためいているだけという下らなさ。怖くもなければ、さして面白くもない作品ですが、トマトが人間を襲うという設定だけで映画を作ろうとした人たちはある意味凄いと思います。

Shivers『シーバース』 (1975年、カナダ、95分)
 寄生虫が理性を狂わせマンションの住民を次々に支配していくという本作品。監督は『ヒストリー・オブ・バイオレンス』や『裸のランチ』の鬼才デヴィッド・クローネンバーグが担当。彼の作品らしく、内臓感覚にこだわった描写があります。寄生虫が体に入ると性衝動が高まり、エッチをすると相手にも感染するという設定なのですが、エログロ満載のストーリー展開は見る者を画面に釘付けにします。

Photo 『地獄』 (1960年、日本、100分)
 この世とあの世の地獄絵図を生々しく描いた本作品。1960年に製作された作品でありながら、今見ても強烈な印象を残す作品です。監督は『東海道四谷怪談』等で有名な中川信夫が担当。この作品はこの世の悲惨な出来事を描く前半とあの世の地獄を描く後半の2部構成となっており、映画の中盤に登場人物全員が死んで地獄に行くという凄いストーリー展開となっています。前半のこれでもかと主人公を襲う不幸な出来事も見所満載ですが、何と言っても後半の地獄絵図が最大の見所です。特撮はチープでありながら、何とも生々しいものがあり、見る者を圧倒します。

Gozu 『牛頭 極道恐怖劇場』(2003年、日本、126分)
 主人公のヤクザが兄貴分を殺してしまうことで不条理な世界に足を踏み入れるという本作品。最初見たときはあまりに意味不明な展開が続くので正直戸惑ってしまいました。ストーリーだけ追うと退屈な作品でありますが、鬼才・三池崇史が監督しているだけあって、映像と演出が強烈で不気味な雰囲気が終始漂います。見所はラストシーンの哀川翔の予想外の登場の仕方!まさかあそこからあんな形で登場するとは。一見の価値ありです。

Shiberianexpress 『シベリア超特急』
 シベリア鉄道を走る列車内で起きる連続殺人事件の謎を陸軍大将・山下泰文が推理するという本作品。映画評論家として活躍した水野晴朗が主演・脚本・監督を務めた力作であるのですが、見事なほど出来の悪い作品です。水野晴郎のセリフ棒読みの演技、セット丸出しの映像、二重三重のどんでん返しの下らなさ、全てにおいて最低です。しかし、ここまで最低だと、逆に見ていて面白いものがあります。


Sasori 『女囚さそり・けもの部屋』(1976年、日本、83分)
 篠原とおる原作の人気劇画を梶芽衣子主演で映画化した『女囚さそり』シリーズ。全部で4作品製作されましたが、その3作目に当たる作品が本作品です。刑務所を脱獄した“さそり”こと松島ナミの活躍を描くのですが、その描き方がぶっ飛んでいます。まるでサイボークのように不死身かつ超人的な活躍をするさそりの姿は見ていて圧倒されます。また脇役の個性も強烈で、特に李礼仙と成田三樹夫の演技は凄いの一言です。

Crazyrip 『発狂する唇』(1999年、日本、85分)
 女子中学生連続殺人事件の容疑者の家族を襲う不条理な悲劇を描いた本作品。『リング』の高橋洋が脚本を担当しているので、一見とてつもなくシリアスな作品かと見間違うのですが、内容はハチャメチャの一言です。ホラーあり、スプラッターあり、過激な性描写あり、カンフーあり、ミュージカルありのごった煮の状態で、意味不明なシーンのオンパレードです。登場人物も一癖も二癖もある人ばかりです。見所は主人公を演じる三輪ひとみに訪れる災難の数々とラストの大杉漣ぶっ飛んだ演技です。

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「SF映画にはまる」私の映画遍歴12

 私は昔からSFの小説や映画が好きでした。SFという言葉はサイエンス・フィクションの略で、日本語に訳すと「空想科学小説」という意味になります。SFの厳密な定義に関してはSFファンの間でも様々な意見があります。「現代達成されていない科学技術」や「現代の科学が反映された世界」を扱えばSFだという意見もあれば、科学は関係なく未来や宇宙を題材に扱えばSFという意見もあります。個人的にはSFとは現代の人類が現実に未だ遭遇したことがない世界を描いた作品だと定義しています。
 私がSF映画にはまるきっかけとなった作品は『ブレードランナー』と『2001年宇宙の旅』でした。両作品とも中学生のときに見たのですが、これらの作品を始めてみた時は大変衝撃を受けました。人類の未来の世界を緻密に描いた映像と人間とは何かを問いかける深遠なストーリーに感銘したものでした。その後も洋画、邦画問わず数多くのSF映画を見たものでした。これは凄いと思う作品もあれば、くらだないと思う作品もありましたが、SF映画は私の青春時代を語る上で外せないものとなりました。
 SF映画のテーマは分類すると大体に5つに分かれます。

①人類と宇宙をテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは『2001年宇宙の旅』や『未知との遭遇』です。この手の作品では人間の宇宙や地球外生命体に対する憧れと恐れが描かれることが多いです。

②人類の未来をテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは『ブレードランナー』や『マトリックス』です。この手の作品では明るい未来を描く作品よりも暗い未来を描く作品が多いです。現代人の環境破壊や核戦争など未来に対する不安が反映されているのでしょう。
 また、この手の作品では人類とロボットやA.Iとの関係を描く作品も多いです。人間と人間が作り出した思考するモノとの共存を問う作品や思考するモノを通して人間の本質は何かを問う作品が多いです。

③タイムスリップをテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは何といっても『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だと思います。この手の作品では人間のタイムトラベルに対する憧れが強く反映されています。

④バイオテクノロジーをテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは『ジュラシックパーク』や『アンドロメダ』です。この手の作品では人類の繁栄の為のテクノロジーが人類を危機に陥れるというような科学万能の現代に警鐘を鳴らすストーリーの作品が多いです。

⑤地球とは別の銀河系をテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは『スターウォーズ』や『砂の惑星』などです。人類よりもはるかに高度な文明を持った世界を舞台に繰り広げられるスケールの大きなストーリーは見る者を魅了します。

*私のお薦めSF映画ベスト5

Andromeda『アンドロメダ』
 未知の病原体の謎を解明する科学者たちの姿を地道に描いたサイエンス・フィクションの傑作です。派手なシーンもなければ、有名な役者も登場しませんが、緊張感のあるストーリーで最後まで引っ張ります。
 

ディレクターズカット ブレードランナー 最終版『ブレードランナー』
 近未来を描いた作品でこの作品を超えるものは未だ出ていないと思います。混沌とした2029年のロサンゼルスの描写は何回見ても圧巻です。ストーリーもアンドロイドの哀しい運命に最後はいつも泣かされます。
 

2001『2001年宇宙の旅』
 この作品を超えるSF映画は登場するのでしょうか?60年代に製作された作品でありながら、映像・音楽・ストーリー全てが現代見ても遜色ありません。人類の進化の謎、地球外生命体との接触、人類とA.Iとの攻防とSF映画の面白さが凝縮された作品です。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊『攻殻機動隊』
 電脳化された近未来社会を舞台にした本作品。緻密な映像もさることながら、人間とは何かを深く考えさせられるストーリーに強く惹かれました。



未知との遭遇【ファイナル・カット版】『未知との遭遇』
 人類の地球外知的生命体との接触を描いた本作品。前半のミステリアスな展開は見ていてワクワクします。後半の音楽を利用した地球外知的生命体との交信シーンは圧巻の一言です。

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「ホラー映画人気キャラクター」私の映画遍歴11

 暑い日が続きますが、こういう日には冷えたビール、枝豆、そして背筋が凍りつくようなホラー映画に限りますね。
 そこで今回はホラー映画で人気のある不気味なキャラクターたちを紹介します。

・ジェイソン(『13日の金曜日』シリーズ)
Friday_13  ホラー映画で一番有名な殺人鬼と言えば何といってもホッケーマスクを被った不死身の殺人鬼ジェイソンでしょう。1980年代に登場して、スプラッター映画ブームの先駆けとなりました。サマー・キャンプ場「クリスタル・レイク」を舞台に遊びに来た能天気な若者たちを殺していくジェイソン。この作品、意外にも1作目はジェイソンは登場せず、2作目以降から登場します。またトレードマークのホッケーマスクは3作目から付けます。また5作目の作品もジェイソンは登場しません。
 シリーズが進むにつれてクリスタルレイクを離れ、ニューヨークや宇宙にも進出しています。
 ハリウッドではリメイクも予定されているとのことで、ジェイソンの恐怖はまだまだ続いていきそうです。

・フレディ(『エルム街の悪夢』シリーズ)
Erumu  ジェイソンと並んで有名な殺人鬼と言えばナイフの長い爪をつけて夢の中に現れる殺人鬼フレディでしょう。このシリーズの大きな特長は夢の中を舞台にしていることです。夢の中なので現実ではありえないような恐ろしい出来事が次から次へと起こりますし、殺人シーンも他のホラー映画に比べて大変派手です。1作目は夢か現実か分らない恐怖感にみちていましたが、シリーズが進むにつれてコメディ路線へと転換。フレディも陰惨な殺人鬼からお茶目な殺人鬼になっていきました。
 ジェイソンとも『フレディvsジェイソン』で一度ガチンコ対決をしています。この映画、内容自体は下らないですが、80年代のホラー映画界が生んだ2大殺人鬼が一度に見られるというお得感があります。

・マイケル(『ハロウィン』シリーズ)
Halloween ジョン・カーペンター監督の出世作で、殺人鬼映画の先駆けとなった本シリーズ。姉を殺して精神病院に入院させられたマイケルが脱走して町に戻ってきたところから話しが始まります。不気味なマスクを被り、包丁をもって人に襲いかかる姿は派手さはありませんが、不気味なものがあります。シリーズ化されましたが、1作目が一番怖いです。ちなみに3作目はマイケル自体が登場しない番外編ですので、見る方はご注意を!
 ちなみに今年B級ホラーの帝王ロブ・ゾンビ監督によってリメイクされた作品がアメリカで公開予定となっています。

・レザーフェイス(『悪魔のいけにえ』シリーズ)
Texaschainsaw  エド・ゲインの実犯罪にヒントを得て製作された本シリーズ。第1作目が公開された時は多くの映画ファンに衝撃を与えました。ヒッチハイクをしていた若者たちに襲いかかる殺人鬼レザーフェイス。電動ノコギリを振り回すレザーフェイスの姿は一度見たら忘れらないインパクトがあります。1作目はひたすら怖い作品でしたが、2作目以降はコメディ路線になり、怖さという点では今ひとつでした。『テキサスチェーンソー』という題名でハリウッドでリメイクもされています。

・貞子(『リング』シリーズ)
Ring_2   ジャパニーズホラーブームの先駆けになった本シリーズ。1作目のテレビの画面から抜け出すラストシーンは多くの観客を恐怖の渦に巻き込みました。このシリーズは日本で4作、ハリウッドで2作製作されましたが、第1作目が一番怖いですね。シリーズ化される中で貞子の生い立ちなども語られていきますが、結構かわいそうな女性なんですよね。ただ、それが分かるにつれて恐怖も軽減していくのですが・・・。
 1作目が傑作なのは貞子のインパクトも去ることながら、中田秀夫監督の演出の巧みさが大きいと思います。陰惨で重苦しい雰囲気の映像や音楽が見る者にゾッとするような恐怖感を与えてくれます。

・伽椰子&俊雄(『呪怨』シリーズ)
Juon  清水崇監督による大ヒットホラー『呪怨』シリーズ。今年の夏にハリウッドで製作された続編が日本でも公開されます。ストーリー自体は伽椰子&俊雄が住み着いている家に来た人間たちを呪い殺していくという単純明快なものです。彼らに狙われたら最後、どんな人間も呪い殺されてしまいます。このシリーズはストーリーを楽しむというより、監督が工夫を凝らした観客を怖がらせる手法を楽しめるかどうかで評価が分かれると思います。現在OVA版が2作品、日本で2作品、ハリウッドで2作品と計6作品が製作されていますが、一番怖いのはOVA版の第1作目だと思います。未見の方は一度ご覧になってください。

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「ディレクターズカットにはまる」私の映画遍歴10

 映画には劇場公開されたバージョンと違うバージョンが存在するときがあります。
 映画は芸術であると同時にビジネスです。その為、上映時間が長すぎたり、観客の試写での反応が悪かった時などは監督の意向と異なる編集が収益を重んじるプロデューサーやスタジオの判断でなされる時があります。
 現場でスタッフやキャストを指揮して撮影してきた監督としては、自分が当初イメージしていた通りの作品を観客に見せられないのは悔しいものです。そこで映画がヒットした場合などは監督が自らの意向に沿った再編集を行い発表する場合があります。そのような作品をディレクターズカットと言います。
 有名な作品としては『ブレードランナー』や『アビス』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』などがあります。
 最近はビデオやDVDが普及して上映時間を気にせず見てもらえる環境が整ったこともあり、未公開シーンを追加した劇場公開版より長いディレクターズカット版が販売される作品が増えてきています。
 
 ディレクターズカット版に関しては劇場公開版よりストーリーの説明不足が補われたり、登場人物の描写に深みが増していることが多く、より深く作品を味合うことができます。またディレクターズカット版を見ると、監督の作品に対する思いやこだわりを感じることもでき、映画好きにはたまりません。
 
 その反面、ディレクターズカット版は劇場公開版よりテンポが悪くなり面白くなくなる場合もあります。その良い例が『ニューシネマパラダイス』です。オリジナルが傑作だっただけに、ディレクターズカット版のテンポの悪さにはイライラしました。
 また、新しく追加撮影された映像やCGで手直した映像がオリジナルが持っていた雰囲気を壊してしまう場合もあります。『スターウォーズ』シリーズや『エクソシスト』などの追加映像がその際たる例です。アナログの時代の映像の良さがデジタル加工された映像のせいで台無しになっていました。

 映画が好きな人にとって、劇場では未公開のシーンが追加されているディレクターズカット版が鑑賞できる機会があるのは嬉しい限りです。

 最後に私のお薦めのディレクターズカット作品を5作品紹介します。

・『ロード・オブ・ザ・リング』スペシャル・エクステンデッド・エディション・シリーズ
 この作品は劇場公開版も3時間近くある大作でしたが、ディレクターズカット版はさらに30分~60分近い未公開映像が追加されています。その分、上映時間も長くなっているのですが、劇場公開版よりもストーリーが分かりやすくなっていますし、中つ国の世界をより深く味わうことができます。

・『アビス』完全版
Abyss この作品は劇場公開版とディレクターズカット版で見た後の印象が全く違うという珍しい作品です。劇場公開版のラストは海底版『未知との遭遇』といった感じでしたが、ディレクターズカット版のラストは反核のメッセージが前面に押し出される仕上がりとなっています。 また、劇場版ではカットされた大津波のシーンも追加されているのも大きな見所の1つです。

・『地獄の黙示録』完全版
Apocalypse_now 伝説のベトナム戦争映画『地獄の黙示録』。この作品も2001年に50分近い未公開シーンが追加された完全版が公開されました。オリジナルに比べて、ストーリーや監督の描こうとしたテーマが理解しやすくなっています。


・『アマデウス』完全版
アマデウス ― ディレクターズカット スペシャル・エディション モーツァルトの生涯を映画化した本作品。20分の未公開シーンが追加されたことで人物描写に深みが増しています。特にモーツァルトの妻・コンスタンツェとサリエリとの微妙な関係の理由が理解しやすくなっています。


・『ブレードランナー』最終版
ディレクターズカット ブレードランナー 最終版 ディレクターズカット作品の先駆けともいえる本作品。劇場公開版にあったナレーションを一切排し、わずかな追加シーンとラストシーンをカットすることでハードボイルドSFとして引き締まった仕上がりになっています。今年の秋にはさらに追加映像と再編集がなされたファイナル・カットが公開されることも決定されており、今から楽しみです。 

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私の映画遍歴9「シリーズ化された映画たち」

 今年の夏は『スパイダーマン3』、『ダイハード4.0』、『ハリーポッター 不死鳥の騎士団』など大ヒットを記録した作品の続編が数多く公開されています。
 「007」や「男はつらいよ」など1作目がヒットして人気が出た作品は大体シリーズ化されます。一度ヒットした作品は多くの人に認知されており、誰も知らない全くの新作よりも確実にヒットが見込めます。その為、今まで数多くの作品がシリーズ化されました。
 シリーズ化された作品の多くはどれもある程度のヒットを収めていますが、映画の質自体は1作目より低下していく傾向にあります。
 もちろん1作目より2作目の方が素晴らしい作品やシリーズ通して完成度の高い作品もあります。しかし、そんな作品は稀で。多くはシリーズ化するごとに完成度が落ちつまらなくなっていきます。
 そこで今回は私がお薦めするシリーズ化された作品とシリーズ化しないほうがよかったのではと思う作品を併せて紹介します。

・シリーズ化された全ての作品が面白かった作品

Lord_of_the_rings 『ロード・オブ・ザ・リング』
 世界中で大ヒットした本シリーズ。1作目よりも2作目、2作目よりも3作目の方が人気・評価共に高くなった稀なシリーズです。
 最初から3部作として制作されたこともあって、シリーズを通して一定した質を保ったことが成功につながったと思います。
 この作品はシリーズ化されたというよりは、3本併せて1本の作品と思ったほうが良いかもしれません。



Star_wars_trilogy『スターウォーズ旧3部作』
 1作目が公開されてから今年30周年を迎えた「スターウォーズ」シリーズ。このシリーズほど世界中に熱狂的なファンのいる作品はないと思います。
 ルーク・スカイウォーカーを主人公とした旧3部作とアナキン・スカイウォーカー(ダース・ベイダー)を主人公とした新3部作と、併せて全6部作として制作された本作品。新3部作は旧3部作と比べると映像の迫力は凄いものの、ストーリー自体はイマイチ盛り上がりに欠けていました。
 旧3部作は映像は新3部作に劣りますが、ロマンと冒険に満ち溢れており、今見てもワクワクする作品です。

 
Indiana_jones 『インディー・ジョーンズ3部作』
 18年ぶりに現在4作目がアメリカで制作されている本シリーズ。ジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグというハリウッドきってのヒットメーカーがタッグを組み、息つく暇もない冒険活劇の世界を作り上げました。
 ハリソン・フォード演じるインディー・ジョーンズ博士のカッコよさ、次々と繰りひろげられる派手なアクションの数々、考古学の神秘とロマン。このシリーズほど面白い冒険映画はないと思います。


Back_to_the_future『バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作』
  スティーヴン・スピルバーグが総指揮、ロバート・ゼメキス監督によるタイムトラベルを題材に大ヒットした本作品。自動車型タイムマシーン「デロリアン」に乗り込み、時空を超えてヒル・バレーの街を行き来するマーティ。このシリーズの面白さは何といってもストーリーの面白さ。1作目から3作目まで随所に張り巡らされた伏線の数々は何回見ても新しい発見があります。また主役のマイケル・J・フォックスのコミカルな演技も見てて楽しいものがあります。

・2作目まで面白かった作品

Alienquadrilogy 『エイリアン4部作』
 キャメロン監督が1作目と全く違った作風で制作した2作目までは最高に面白いのですが、それ以降の作品はどれもイマイチです。特に4作目は雰囲気は良いのですが、無理ありすぎの設定でついていけませんでした。



Terminator_toritology 『ターミネーター3部作』
 これもキャメロン監督が制作した2作目までは最高に面白いのですが、3作目は最悪でした。アクションは良いものの、主人公のジョン・コナーのかっこ悪さとラストの後味の悪さでイマイチでした。

Godfather_3 『ゴッドファーザー3部作』
 コッポラ監督の代表作である本シリーズ。2作目までは演技・ストーリー・演出全てにおいて完成度が高く見ごたえがありましたが、3作目は詰めが甘いというか、2作目までにあった緊張感や登場人物の葛藤などといったものがあまり感じられず残念でした。


・1作目だけにしておけばよかった作品

Matrixtgy『マトリックス3部作』
 1作目を見たときは凄い作品が登場したものだと感心したものですが、2作目以降はストーリーを広げすぎて収集がつかなくなった感じがしました。アクションに関しても2作目以降は肉体性が感じられず他人が操作するゲームを見ているかのようでした。


Jaws 『ジョーズ4部作』
 スティーブン・スピルバーグ監督が手がけた第1作目はスリルとパニック満載で今見て十分見ごたえがあります。しかし、その後に作られた続編はどれももうひとつの出来です。なぜブロディ一家ばかりサメに狙われるのか必然性がないですし、サメの襲撃シーンも1作目ほどのインパクトが感じられませんでした。



Omen 『オーメン3部作』
 6月6日午前6時に誕生した悪魔の子ダミアンを巡るオカルトホラー『オーメン』シリーズ。昨年にリメイクもされましたが、本シリーズは30年前に制作された1作目が何といっても傑作です。ショッキングな描写の数々、キリスト教の予言をベースにした不気味なストーリー、後味の悪い結末。全てがホラー映画としての面白さに満ち溢れてました。2作目以降はショッキングな描写は過激なものの、単調なストーリー展開や主人公のダミアン役の俳優にインパクトがなく退屈でした。

Jurassic_park_trilogy 『ジュラシック・パーク』3部作
 リアルな恐竜の描写で世界中に衝撃を与えた本シリーズ。1作目が公開された時のまるで現実に生きているかのような恐竜の姿に大変感動したものでした、ストーリーもサイエンス・フィクションとしての面白さに満ちていました、2作目以降は登場する恐竜の数は増えたものの、1作目ほどの緊張感や面白さはありませんでした。特に2作目は恐竜が怪獣として描かれており、幻滅でした。

 

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