2007年9月 7日 (金)

「愛すべきB級映画たち」私の映画遍歴12

 「映画は芸術だ」という人がいますが、私の中で「映画は芸術であり見世物でもある」と思っています。黒澤明やキューブリック、タルコフスキーのような監督が作り上げる芸術的な作品も大好きですが、低俗で下らなく安っぽいB級の映画も大好きです。
 そこで今回は「時間に暇があり、何も考えたくない時」にお薦めのB級映画をご紹介します。

 そもそもB級映画とは低予算かつ短期間で撮影された映画のことを指します。なぜそれらの作品を「B級」と言うかというと以下のような理由があります。

『アメリカでは1945年以前、映画は2本立て公開されており、その1本目に前座として低予算映画が上映されていました。その低予算映画は『B撮影所』で撮られたものだったため、「B映画(B-Pictures)」と呼ばれ、それが後に「B級映画」へ転じていった。』
(フリー百科事典『ウィキペディア』より引用)

 私の中でB級映画とは以下のような作品を指します。
・人類の危機など大げさな設定の割りに、しょぼい映像かつこじんまりとしたストーリーの作品
・無名な女優のお色気シーンや、荒地や工場・倉庫等でのアクションシーンがやたらに多い作品
・汚い描写、グロい描写にやたらこだわる
・ラストが意味不明だったり、続編がありそうな感じで終わることが多い
 
 昔の映画館では2本立てで映画が公開されることが多く、B級映画が比較的多く上映されていました。またテレビでも日曜洋画劇場や深夜にB級作品がよく放映されていました。その為、B級映画を普段から見る機会に恵まれていました。
 逆に最近は多くの映画館で上映される多くの作品はある程度有名なキャストを起用し、予算をかけて製作されたものばかりです。(内容的にはB級映画よりも面白くなく、退屈な作品も多いですが・・・。)またテレビでもヒット作ばかり放映することが多く、以前ほどB級映画が放映されることが少なくなりました。
 その為、B級映画と呼ばれる作品を見るためにはミニシアターに行くか、ビデオを借りるしかなく、B級映画が好きな人以外は気軽に見る機会が少ない状況です。(確かにわざわざ金を出してまで下らない作品を見たいという人は少ないかもしれませんが・・・)

 B級映画は確かに内容は突っ込みどころも多く、中身も薄っぺらいです。だからこそ、肩肘張らず気楽に見ることができますし、突っ込みどころが多い分、大勢でワイワイ見られます。
 ぜひ多くの人にB級映画の素晴らしさを感じて欲しいです。

・私のお薦めB級映画10本!

Squirm 『スクワーム』(1976年、アメリカ、96分)
 アメリカの田舎町で突如大量のゴカイが人間を襲うという悪趣味極まりない本作品。見所は人間の体にゴカイが食い込むシーンとシャワーを浴びていたらゴカイが落ちてくるシーンです。本作品は撮影の為に8000万匹のゴカイを集めたそうです。これだけたくさんのゴカイが登場する作品後にも先にもありません。この作品を見ると、しばらくはパスタが食べられなくなるのでご注意を!


Life_force 『スペースバンパイア』(1985年、アメリカ、116分)
 吸血エイリアンが人間を襲うという本作品。昔、日曜洋画劇場でよく放映されていました。『エイリアン』のダン・オバノンが脚本、『悪魔のいけにえ』のドビー・フーパーが監督、ヘンリー・マシニーが音楽という有名なスタッフが結集して製作された作品ですが、中身は思いっきりB級です。見所はマチルダ・メイの裸体と精気をすわれてミイラ化する人間の描写です。設定と音楽は思いっきり壮大ですが、映像とストーリーは何とも安っぽいです。

Maximumoverdrive  『地獄のデビル・トラック』(1986年、アメリカ、98分) 
 地球の側を通過した彗星の影響で、地上のあらゆる機械が人間を襲い始めるという本作品。ホラー小説の帝王スティーブン・キングが自らの原作を元に初監督した作品でもあります。この作品を見ると小説家として才能がある人が監督としての才能があるとは限らないことが良く分かります。映像・音楽・ストーリー全てにわたってB級感丸出しで、下らないの一言です。ただこの下らなさがB級好きにはたまりません。 

Attack_killer_tomatoes 『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』(1978年、アメリカ、98分)
 突如トマトが人間を襲うという本作品。ティム・バートン監督が98年に監督した火星人襲来映画『マーズ・アタック!』の元ネタでもあります。
 トマトがどう人間を襲うのかと期待して見てみると、小さいトマトや張りぼてのトマトがただ転がって、人間が慌てふためいているだけという下らなさ。怖くもなければ、さして面白くもない作品ですが、トマトが人間を襲うという設定だけで映画を作ろうとした人たちはある意味凄いと思います。

Shivers『シーバース』 (1975年、カナダ、95分)
 寄生虫が理性を狂わせマンションの住民を次々に支配していくという本作品。監督は『ヒストリー・オブ・バイオレンス』や『裸のランチ』の鬼才デヴィッド・クローネンバーグが担当。彼の作品らしく、内臓感覚にこだわった描写があります。寄生虫が体に入ると性衝動が高まり、エッチをすると相手にも感染するという設定なのですが、エログロ満載のストーリー展開は見る者を画面に釘付けにします。

Photo 『地獄』 (1960年、日本、100分)
 この世とあの世の地獄絵図を生々しく描いた本作品。1960年に製作された作品でありながら、今見ても強烈な印象を残す作品です。監督は『東海道四谷怪談』等で有名な中川信夫が担当。この作品はこの世の悲惨な出来事を描く前半とあの世の地獄を描く後半の2部構成となっており、映画の中盤に登場人物全員が死んで地獄に行くという凄いストーリー展開となっています。前半のこれでもかと主人公を襲う不幸な出来事も見所満載ですが、何と言っても後半の地獄絵図が最大の見所です。特撮はチープでありながら、何とも生々しいものがあり、見る者を圧倒します。

Gozu 『牛頭 極道恐怖劇場』(2003年、日本、126分)
 主人公のヤクザが兄貴分を殺してしまうことで不条理な世界に足を踏み入れるという本作品。最初見たときはあまりに意味不明な展開が続くので正直戸惑ってしまいました。ストーリーだけ追うと退屈な作品でありますが、鬼才・三池崇史が監督しているだけあって、映像と演出が強烈で不気味な雰囲気が終始漂います。見所はラストシーンの哀川翔の予想外の登場の仕方!まさかあそこからあんな形で登場するとは。一見の価値ありです。

Shiberianexpress 『シベリア超特急』
 シベリア鉄道を走る列車内で起きる連続殺人事件の謎を陸軍大将・山下泰文が推理するという本作品。映画評論家として活躍した水野晴朗が主演・脚本・監督を務めた力作であるのですが、見事なほど出来の悪い作品です。水野晴郎のセリフ棒読みの演技、セット丸出しの映像、二重三重のどんでん返しの下らなさ、全てにおいて最低です。しかし、ここまで最低だと、逆に見ていて面白いものがあります。


Sasori 『女囚さそり・けもの部屋』(1976年、日本、83分)
 篠原とおる原作の人気劇画を梶芽衣子主演で映画化した『女囚さそり』シリーズ。全部で4作品製作されましたが、その3作目に当たる作品が本作品です。刑務所を脱獄した“さそり”こと松島ナミの活躍を描くのですが、その描き方がぶっ飛んでいます。まるでサイボークのように不死身かつ超人的な活躍をするさそりの姿は見ていて圧倒されます。また脇役の個性も強烈で、特に李礼仙と成田三樹夫の演技は凄いの一言です。

Crazyrip 『発狂する唇』(1999年、日本、85分)
 女子中学生連続殺人事件の容疑者の家族を襲う不条理な悲劇を描いた本作品。『リング』の高橋洋が脚本を担当しているので、一見とてつもなくシリアスな作品かと見間違うのですが、内容はハチャメチャの一言です。ホラーあり、スプラッターあり、過激な性描写あり、カンフーあり、ミュージカルありのごった煮の状態で、意味不明なシーンのオンパレードです。登場人物も一癖も二癖もある人ばかりです。見所は主人公を演じる三輪ひとみに訪れる災難の数々とラストの大杉漣ぶっ飛んだ演技です。

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2007年8月13日 (月)

「SF映画にはまる」私の映画遍歴12

 私は昔からSFの小説や映画が好きでした。SFという言葉はサイエンス・フィクションの略で、日本語に訳すと「空想科学小説」という意味になります。SFの厳密な定義に関してはSFファンの間でも様々な意見があります。「現代達成されていない科学技術」や「現代の科学が反映された世界」を扱えばSFだという意見もあれば、科学は関係なく未来や宇宙を題材に扱えばSFという意見もあります。個人的にはSFとは現代の人類が現実に未だ遭遇したことがない世界を描いた作品だと定義しています。
 私がSF映画にはまるきっかけとなった作品は『ブレードランナー』と『2001年宇宙の旅』でした。両作品とも中学生のときに見たのですが、これらの作品を始めてみた時は大変衝撃を受けました。人類の未来の世界を緻密に描いた映像と人間とは何かを問いかける深遠なストーリーに感銘したものでした。その後も洋画、邦画問わず数多くのSF映画を見たものでした。これは凄いと思う作品もあれば、くらだないと思う作品もありましたが、SF映画は私の青春時代を語る上で外せないものとなりました。
 SF映画のテーマは分類すると大体に5つに分かれます。

①人類と宇宙をテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは『2001年宇宙の旅』や『未知との遭遇』です。この手の作品では人間の宇宙や地球外生命体に対する憧れと恐れが描かれることが多いです。

②人類の未来をテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは『ブレードランナー』や『マトリックス』です。この手の作品では明るい未来を描く作品よりも暗い未来を描く作品が多いです。現代人の環境破壊や核戦争など未来に対する不安が反映されているのでしょう。
 また、この手の作品では人類とロボットやA.Iとの関係を描く作品も多いです。人間と人間が作り出した思考するモノとの共存を問う作品や思考するモノを通して人間の本質は何かを問う作品が多いです。

③タイムスリップをテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは何といっても『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だと思います。この手の作品では人間のタイムトラベルに対する憧れが強く反映されています。

④バイオテクノロジーをテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは『ジュラシックパーク』や『アンドロメダ』です。この手の作品では人類の繁栄の為のテクノロジーが人類を危機に陥れるというような科学万能の現代に警鐘を鳴らすストーリーの作品が多いです。

⑤地球とは別の銀河系をテーマにした作品
 このテーマの作品として有名なのは『スターウォーズ』や『砂の惑星』などです。人類よりもはるかに高度な文明を持った世界を舞台に繰り広げられるスケールの大きなストーリーは見る者を魅了します。

*私のお薦めSF映画ベスト5

Andromeda『アンドロメダ』
 未知の病原体の謎を解明する科学者たちの姿を地道に描いたサイエンス・フィクションの傑作です。派手なシーンもなければ、有名な役者も登場しませんが、緊張感のあるストーリーで最後まで引っ張ります。
 

ディレクターズカット ブレードランナー 最終版『ブレードランナー』
 近未来を描いた作品でこの作品を超えるものは未だ出ていないと思います。混沌とした2029年のロサンゼルスの描写は何回見ても圧巻です。ストーリーもアンドロイドの哀しい運命に最後はいつも泣かされます。
 

2001『2001年宇宙の旅』
 この作品を超えるSF映画は登場するのでしょうか?60年代に製作された作品でありながら、映像・音楽・ストーリー全てが現代見ても遜色ありません。人類の進化の謎、地球外生命体との接触、人類とA.Iとの攻防とSF映画の面白さが凝縮された作品です。

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊『攻殻機動隊』
 電脳化された近未来社会を舞台にした本作品。緻密な映像もさることながら、人間とは何かを深く考えさせられるストーリーに強く惹かれました。



未知との遭遇【ファイナル・カット版】『未知との遭遇』
 人類の地球外知的生命体との接触を描いた本作品。前半のミステリアスな展開は見ていてワクワクします。後半の音楽を利用した地球外知的生命体との交信シーンは圧巻の一言です。

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「ホラー映画人気キャラクター」私の映画遍歴11

 暑い日が続きますが、こういう日には冷えたビール、枝豆、そして背筋が凍りつくようなホラー映画に限りますね。
 そこで今回はホラー映画で人気のある不気味なキャラクターたちを紹介します。

・ジェイソン(『13日の金曜日』シリーズ)
Friday_13  ホラー映画で一番有名な殺人鬼と言えば何といってもホッケーマスクを被った不死身の殺人鬼ジェイソンでしょう。1980年代に登場して、スプラッター映画ブームの先駆けとなりました。サマー・キャンプ場「クリスタル・レイク」を舞台に遊びに来た能天気な若者たちを殺していくジェイソン。この作品、意外にも1作目はジェイソンは登場せず、2作目以降から登場します。またトレードマークのホッケーマスクは3作目から付けます。また5作目の作品もジェイソンは登場しません。
 シリーズが進むにつれてクリスタルレイクを離れ、ニューヨークや宇宙にも進出しています。
 ハリウッドではリメイクも予定されているとのことで、ジェイソンの恐怖はまだまだ続いていきそうです。

・フレディ(『エルム街の悪夢』シリーズ)
Erumu  ジェイソンと並んで有名な殺人鬼と言えばナイフの長い爪をつけて夢の中に現れる殺人鬼フレディでしょう。このシリーズの大きな特長は夢の中を舞台にしていることです。夢の中なので現実ではありえないような恐ろしい出来事が次から次へと起こりますし、殺人シーンも他のホラー映画に比べて大変派手です。1作目は夢か現実か分らない恐怖感にみちていましたが、シリーズが進むにつれてコメディ路線へと転換。フレディも陰惨な殺人鬼からお茶目な殺人鬼になっていきました。
 ジェイソンとも『フレディvsジェイソン』で一度ガチンコ対決をしています。この映画、内容自体は下らないですが、80年代のホラー映画界が生んだ2大殺人鬼が一度に見られるというお得感があります。

・マイケル(『ハロウィン』シリーズ)
Halloween ジョン・カーペンター監督の出世作で、殺人鬼映画の先駆けとなった本シリーズ。姉を殺して精神病院に入院させられたマイケルが脱走して町に戻ってきたところから話しが始まります。不気味なマスクを被り、包丁をもって人に襲いかかる姿は派手さはありませんが、不気味なものがあります。シリーズ化されましたが、1作目が一番怖いです。ちなみに3作目はマイケル自体が登場しない番外編ですので、見る方はご注意を!
 ちなみに今年B級ホラーの帝王ロブ・ゾンビ監督によってリメイクされた作品がアメリカで公開予定となっています。

・レザーフェイス(『悪魔のいけにえ』シリーズ)
Texaschainsaw  エド・ゲインの実犯罪にヒントを得て製作された本シリーズ。第1作目が公開された時は多くの映画ファンに衝撃を与えました。ヒッチハイクをしていた若者たちに襲いかかる殺人鬼レザーフェイス。電動ノコギリを振り回すレザーフェイスの姿は一度見たら忘れらないインパクトがあります。1作目はひたすら怖い作品でしたが、2作目以降はコメディ路線になり、怖さという点では今ひとつでした。『テキサスチェーンソー』という題名でハリウッドでリメイクもされています。

・貞子(『リング』シリーズ)
Ring_2   ジャパニーズホラーブームの先駆けになった本シリーズ。1作目のテレビの画面から抜け出すラストシーンは多くの観客を恐怖の渦に巻き込みました。このシリーズは日本で4作、ハリウッドで2作製作されましたが、第1作目が一番怖いですね。シリーズ化される中で貞子の生い立ちなども語られていきますが、結構かわいそうな女性なんですよね。ただ、それが分かるにつれて恐怖も軽減していくのですが・・・。
 1作目が傑作なのは貞子のインパクトも去ることながら、中田秀夫監督の演出の巧みさが大きいと思います。陰惨で重苦しい雰囲気の映像や音楽が見る者にゾッとするような恐怖感を与えてくれます。

・伽椰子&俊雄(『呪怨』シリーズ)
Juon  清水崇監督による大ヒットホラー『呪怨』シリーズ。今年の夏にハリウッドで製作された続編が日本でも公開されます。ストーリー自体は伽椰子&俊雄が住み着いている家に来た人間たちを呪い殺していくという単純明快なものです。彼らに狙われたら最後、どんな人間も呪い殺されてしまいます。このシリーズはストーリーを楽しむというより、監督が工夫を凝らした観客を怖がらせる手法を楽しめるかどうかで評価が分かれると思います。現在OVA版が2作品、日本で2作品、ハリウッドで2作品と計6作品が製作されていますが、一番怖いのはOVA版の第1作目だと思います。未見の方は一度ご覧になってください。

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2007年8月11日 (土)

「ディレクターズカットにはまる」私の映画遍歴10

 映画には劇場公開されたバージョンと違うバージョンが存在するときがあります。
 映画は芸術であると同時にビジネスです。その為、上映時間が長すぎたり、観客の試写での反応が悪かった時などは監督の意向と異なる編集が収益を重んじるプロデューサーやスタジオの判断でなされる時があります。
 現場でスタッフやキャストを指揮して撮影してきた監督としては、自分が当初イメージしていた通りの作品を観客に見せられないのは悔しいものです。そこで映画がヒットした場合などは監督が自らの意向に沿った再編集を行い発表する場合があります。そのような作品をディレクターズカットと言います。
 有名な作品としては『ブレードランナー』や『アビス』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』などがあります。
 最近はビデオやDVDが普及して上映時間を気にせず見てもらえる環境が整ったこともあり、未公開シーンを追加した劇場公開版より長いディレクターズカット版が販売される作品が増えてきています。
 
 ディレクターズカット版に関しては劇場公開版よりストーリーの説明不足が補われたり、登場人物の描写に深みが増していることが多く、より深く作品を味合うことができます。またディレクターズカット版を見ると、監督の作品に対する思いやこだわりを感じることもでき、映画好きにはたまりません。
 
 その反面、ディレクターズカット版は劇場公開版よりテンポが悪くなり面白くなくなる場合もあります。その良い例が『ニューシネマパラダイス』です。オリジナルが傑作だっただけに、ディレクターズカット版のテンポの悪さにはイライラしました。
 また、新しく追加撮影された映像やCGで手直した映像がオリジナルが持っていた雰囲気を壊してしまう場合もあります。『スターウォーズ』シリーズや『エクソシスト』などの追加映像がその際たる例です。アナログの時代の映像の良さがデジタル加工された映像のせいで台無しになっていました。

 映画が好きな人にとって、劇場では未公開のシーンが追加されているディレクターズカット版が鑑賞できる機会があるのは嬉しい限りです。

 最後に私のお薦めのディレクターズカット作品を5作品紹介します。

・『ロード・オブ・ザ・リング』スペシャル・エクステンデッド・エディション・シリーズ
 この作品は劇場公開版も3時間近くある大作でしたが、ディレクターズカット版はさらに30分~60分近い未公開映像が追加されています。その分、上映時間も長くなっているのですが、劇場公開版よりもストーリーが分かりやすくなっていますし、中つ国の世界をより深く味わうことができます。

・『アビス』完全版
Abyss この作品は劇場公開版とディレクターズカット版で見た後の印象が全く違うという珍しい作品です。劇場公開版のラストは海底版『未知との遭遇』といった感じでしたが、ディレクターズカット版のラストは反核のメッセージが前面に押し出される仕上がりとなっています。 また、劇場版ではカットされた大津波のシーンも追加されているのも大きな見所の1つです。

・『地獄の黙示録』完全版
Apocalypse_now 伝説のベトナム戦争映画『地獄の黙示録』。この作品も2001年に50分近い未公開シーンが追加された完全版が公開されました。オリジナルに比べて、ストーリーや監督の描こうとしたテーマが理解しやすくなっています。


・『アマデウス』完全版
アマデウス ― ディレクターズカット スペシャル・エディション モーツァルトの生涯を映画化した本作品。20分の未公開シーンが追加されたことで人物描写に深みが増しています。特にモーツァルトの妻・コンスタンツェとサリエリとの微妙な関係の理由が理解しやすくなっています。


・『ブレードランナー』最終版
ディレクターズカット ブレードランナー 最終版 ディレクターズカット作品の先駆けともいえる本作品。劇場公開版にあったナレーションを一切排し、わずかな追加シーンとラストシーンをカットすることでハードボイルドSFとして引き締まった仕上がりになっています。今年の秋にはさらに追加映像と再編集がなされたファイナル・カットが公開されることも決定されており、今から楽しみです。 

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2007年7月24日 (火)

私の映画遍歴9「シリーズ化された映画たち」

 今年の夏は『スパイダーマン3』、『ダイハード4.0』、『ハリーポッター 不死鳥の騎士団』など大ヒットを記録した作品の続編が数多く公開されています。
 「007」や「男はつらいよ」など1作目がヒットして人気が出た作品は大体シリーズ化されます。一度ヒットした作品は多くの人に認知されており、誰も知らない全くの新作よりも確実にヒットが見込めます。その為、今まで数多くの作品がシリーズ化されました。
 シリーズ化された作品の多くはどれもある程度のヒットを収めていますが、映画の質自体は1作目より低下していく傾向にあります。
 もちろん1作目より2作目の方が素晴らしい作品やシリーズ通して完成度の高い作品もあります。しかし、そんな作品は稀で。多くはシリーズ化するごとに完成度が落ちつまらなくなっていきます。
 そこで今回は私がお薦めするシリーズ化された作品とシリーズ化しないほうがよかったのではと思う作品を併せて紹介します。

・シリーズ化された全ての作品が面白かった作品

Lord_of_the_rings 『ロード・オブ・ザ・リング』
 世界中で大ヒットした本シリーズ。1作目よりも2作目、2作目よりも3作目の方が人気・評価共に高くなった稀なシリーズです。
 最初から3部作として制作されたこともあって、シリーズを通して一定した質を保ったことが成功につながったと思います。
 この作品はシリーズ化されたというよりは、3本併せて1本の作品と思ったほうが良いかもしれません。



Star_wars_trilogy『スターウォーズ旧3部作』
 1作目が公開されてから今年30周年を迎えた「スターウォーズ」シリーズ。このシリーズほど世界中に熱狂的なファンのいる作品はないと思います。
 ルーク・スカイウォーカーを主人公とした旧3部作とアナキン・スカイウォーカー(ダース・ベイダー)を主人公とした新3部作と、併せて全6部作として制作された本作品。新3部作は旧3部作と比べると映像の迫力は凄いものの、ストーリー自体はイマイチ盛り上がりに欠けていました。
 旧3部作は映像は新3部作に劣りますが、ロマンと冒険に満ち溢れており、今見てもワクワクする作品です。

 
Indiana_jones 『インディー・ジョーンズ3部作』
 18年ぶりに現在4作目がアメリカで制作されている本シリーズ。ジョージ・ルーカスとスティーブン・スピルバーグというハリウッドきってのヒットメーカーがタッグを組み、息つく暇もない冒険活劇の世界を作り上げました。
 ハリソン・フォード演じるインディー・ジョーンズ博士のカッコよさ、次々と繰りひろげられる派手なアクションの数々、考古学の神秘とロマン。このシリーズほど面白い冒険映画はないと思います。


Back_to_the_future『バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作』
  スティーヴン・スピルバーグが総指揮、ロバート・ゼメキス監督によるタイムトラベルを題材に大ヒットした本作品。自動車型タイムマシーン「デロリアン」に乗り込み、時空を超えてヒル・バレーの街を行き来するマーティ。このシリーズの面白さは何といってもストーリーの面白さ。1作目から3作目まで随所に張り巡らされた伏線の数々は何回見ても新しい発見があります。また主役のマイケル・J・フォックスのコミカルな演技も見てて楽しいものがあります。

・2作目まで面白かった作品

Alienquadrilogy 『エイリアン4部作』
 キャメロン監督が1作目と全く違った作風で制作した2作目までは最高に面白いのですが、それ以降の作品はどれもイマイチです。特に4作目は雰囲気は良いのですが、無理ありすぎの設定でついていけませんでした。



Terminator_toritology 『ターミネーター3部作』
 これもキャメロン監督が制作した2作目までは最高に面白いのですが、3作目は最悪でした。アクションは良いものの、主人公のジョン・コナーのかっこ悪さとラストの後味の悪さでイマイチでした。

Godfather_3 『ゴッドファーザー3部作』
 コッポラ監督の代表作である本シリーズ。2作目までは演技・ストーリー・演出全てにおいて完成度が高く見ごたえがありましたが、3作目は詰めが甘いというか、2作目までにあった緊張感や登場人物の葛藤などといったものがあまり感じられず残念でした。


・1作目だけにしておけばよかった作品

Matrixtgy『マトリックス3部作』
 1作目を見たときは凄い作品が登場したものだと感心したものですが、2作目以降はストーリーを広げすぎて収集がつかなくなった感じがしました。アクションに関しても2作目以降は肉体性が感じられず他人が操作するゲームを見ているかのようでした。


Jaws 『ジョーズ4部作』
 スティーブン・スピルバーグ監督が手がけた第1作目はスリルとパニック満載で今見て十分見ごたえがあります。しかし、その後に作られた続編はどれももうひとつの出来です。なぜブロディ一家ばかりサメに狙われるのか必然性がないですし、サメの襲撃シーンも1作目ほどのインパクトが感じられませんでした。



Omen 『オーメン3部作』
 6月6日午前6時に誕生した悪魔の子ダミアンを巡るオカルトホラー『オーメン』シリーズ。昨年にリメイクもされましたが、本シリーズは30年前に制作された1作目が何といっても傑作です。ショッキングな描写の数々、キリスト教の予言をベースにした不気味なストーリー、後味の悪い結末。全てがホラー映画としての面白さに満ち溢れてました。2作目以降はショッキングな描写は過激なものの、単調なストーリー展開や主人公のダミアン役の俳優にインパクトがなく退屈でした。

Jurassic_park_trilogy 『ジュラシック・パーク』3部作
 リアルな恐竜の描写で世界中に衝撃を与えた本シリーズ。1作目が公開された時のまるで現実に生きているかのような恐竜の姿に大変感動したものでした、ストーリーもサイエンス・フィクションとしての面白さに満ちていました、2作目以降は登場する恐竜の数は増えたものの、1作目ほどの緊張感や面白さはありませんでした。特に2作目は恐竜が怪獣として描かれており、幻滅でした。

 

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2006年10月21日 (土)

私の映画遍歴8「ゾンビ映画」

Zombie  私の映画遍歴を語る上で外せないジャンルとしてゾンビ映画があります。ゾンビ映画というとB級感が漂い、良識的な映画ファンからは見向きもされないジャンルでありますが、一度はまると病みつきになる魅力があります。
 私が初めてゾンビ映画と出会ったのは小学生の時にテレビで見た『バタリアン』でした。この映画はゾンビ映画の名作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の続編という形で制作された映画でした。この映画はコメディタッチで描かれており、今見ると大して怖くないのですが、当時は死人が襲ってくる状況が怖くて震え上がったものでした。この映画を見て初めてゾンビ映画というものを意識したものでした。
 そして中学生の時に私をゾンビ映画の虜にしてしまったゾンビ映画の最高傑作『ゾンビ』にめぐりあいました。初めてこの映画に出会ったときは非常に衝撃を受けました。過激なゴアシーン、現代社会を風刺したストーリー、サバイバルアクションとしての面白さ、そして終末観に満ちた雰囲気。今まで見たホラー映画にはない風格といったものを感じ、ビデオを購入して何回も見直したものでした。(恐らく今までに50回以上は見ていると思います。)ショッピングセンターでの人間とゾンビの攻防戦と生き残った人間たちがショッピングモールを占拠する場面はこの映画最大の見所であり、魅力でもあります。私自身この映画を見るたびに自分がショッピングモールに立て籠もったらどう行動すべきかシュミレーションしたものでした。この映画を見ずしてゾンビ映画を語ることはできないと思います。
 『ゾンビ』を見た後、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』・『死霊のえじき』とジョージ・A・ロメロのゾンビ映画を見まくったものでした。ロメロのゾンビ映画は基本的にゾンビが襲う恐怖よりも人間の愚かさや醜さに焦点をあてて描いており、他のゾンビ映画にはない奥の深さがあります。昨年20年ぶりの新作『ランド・オブ・ザ・デッド』が公開されロメロファンを喜ばせした。映画の完成度はもう一つでしたが、ロメロらしい社会風刺が見られ、他のゾンビ映画にはない風格がありました。
 ロメロのゾンビにはまってから、他の監督のゾンビ映画も片っ端からレンタルビデオで借りて見たのですが、『サンゲリア』や『ブレインデッド』など少数の作品を除いては、シナリオがちゃちかったり、ゴアシーンが手抜きだったり外れの作品が多かったものでした。ゾンビ映画で面白いと思える作品はグログロなゴアシーンと大量のゾンビが人間を襲うシーン、そして終末観漂う雰囲気がきちんと描かれています。
 『バイオハザード』や『ドーン・オブ・ザ・デッド』など近年ゾンビ映画が再びブームとなり劇場公開されており、ゾンビ映画ファンとしては嬉しい限りです。特にジョージ・A・ロメロの作品をリスペクトしたコメディタッチのゾンビ映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』は久々の傑作でした。
 ゾンビ映画には人間の死に対する恐怖や人間の本来持つ暴力性・残酷さといった面を刺激し、人間の歪んだ欲望を満たしてくれます。
 

 私のお気に入りゾンビ映画 Best5

5位 『バタリアン』
バタリアン
見所:ユニークなゾンビの面々たち。そして衝撃の結末

4位  『サンゲリア』 
サンゲリア
見所:海中でのサメ対ゾンビの対決、目玉串刺しシーン。

3位 『ショーン・オブ・ザ・デッド』
ショーン・オブ・ザ・デッド

見所:イギリスらしいウエットとブラックに富んだユーモアの数々。

2位 『ブレインデッド』
ブレインデッド
見所:プール一杯の血糊を使ったラスト30分の展開の怒濤の展開。

1位 『ゾンビ』 
ゾンビ 米国劇場公開版 GEORGE A ROMERO’S DAWN OF THE DEAD ZOMBIE
見所:この映画を見ずゾンビ映画は語れません!全て見所です。

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2006年6月24日 (土)

私の映画遍歴7「スターウォーズ」

私の映画遍歴7「スターウォーズ」スターウォーズ・トリロジー

 私が小学校のときに夢中になった映画というと『スターウォーズ旧3部作』(『新たなる希望』~『ジェダイの復讐』)があります。始めて見たのは小学校低学年の時でした。その時は、あまりの面白さとかっこよさにすぐにスターウォーズの虜になってしまいました。
 当時はルークがジェダイになる姿に大変感動するとメカのかっこよさとリアルな質感に感動し、プラモを買って作ったりしたものでした。また友達と木の棒でライトセーバー戦ごっこをしたりしたものでした。
 スターウォーズの魅力は語ると尽きることがありません。ルークの成長物語を中心としたストーリーの面白さ、キャラクターの魅力、アナログな特撮技術の素晴らしさ、ジョン・ウィリアムスのかっこいい音楽。ここまで何度見ても面白く、深くはまれる映画はなかなかありません。
 まずストーリー面では、「帝国の逆襲」と「ジェダイの復讐」(現在は「ジェダイの帰還」と改題されています。)で繰りひろげられるルークとダースベーダー(アナキン・スカイウォーカー)の父と子のドラマが印象的でした。「帝国の逆襲」のラストに明かされるダースベーダーがルークの父親だという事実は始めてみたときは衝撃を受けたものでした。そして「ジェダイの帰還」のラストで繰りひろげられる父と子の戦いと和解のシーンは子どもながらに興奮し、感動したものでした。またサイドストーリーのレイアとハン・ソロの恋物語も子どもながらにどきどきしたものでした。
 キャラの魅力に関しては、スターウォーズを語る上で外すことは出来ません。ここまでキャラに人気がある映画は他にないと思います。アウトローの魅力に溢れたハン・ソロ、Cー3POとR2-D2のロボットコンビ、毛むくじゃらのチューバッカー、そしてルークの師匠であり、宇宙一のジェダイであったヨーダ。また帝国軍側の冷酷無比な指揮官であり、ルークの父であるダースベイダーの強烈なインパクト、傍役でありながら強い印象を残すボバ・フェット。どのキャラクターもその過去や未来が気になるだけのインパクトと魅力を持っています。
 スターウォーズの魅力を語る上で特撮技術の素晴らしさを外すわけにはいけません。まだCG技術もなかった時代に、ミニチュアとマットペインティングを多用して作り上げた特撮シーンは、CGにはないリアルな質感がありました。もちろん合成技術などは確かに今見ると粗が目立ちますが、新3部作より旧3部作のほうが特撮技術の見せ方やセンスが上手いような気がします。これは当時のルーカスやクリエイターのセンスがよかったのかもしれません。特に旧3部作はメカの造形が素晴らしく、ミレニアムファルコン号やスパーデストロイヤー、XウィングのかっこよさはSF映画史に残るものです。
 あと忘れてはいけないのがジョン・ウィリアムスの音楽。20世紀FOXのロゴが出た後に鳴り響くスターウォーズのテーマ曲はスターウォーズの世界に観客を一気に誘い込みます。ブラスの勇壮な音はスターウォーズのスケールの大きさを音楽で見事に表現しています。また帝国軍のテーマ曲もとてもインパクトがあり、あの曲が流れるとダースベーダーの顔が条件反射のように頭に浮かんできます。彼の音楽なしではスターウォーズの魅力は半減していたと思います。
 スターウォーズ旧3部作は私にとっては思い入れの深い作品ですし、今見てもとても魅力のある作品です。昨年新3部作も『エピソード3』を持って完結し6部作のサーガとして完結しましたが、新3部作(『ファントム・オブ・メナス』から『シスの逆襲』)は旧3部作に比べると質がだいぶ落ちており、あまり面白くありませんでした。特撮技術はCG技術の向上と共に完成度が高くなっていますが、旧3部作にあったストーリーの面白さやキャラの魅力という点に関しては全くだめな作品でした。新3部作はあくまで旧3部作に向けての長い前置きにしか過ぎないという印象しか持ちえませんでした。新3部作はダースベイダー(アナキン・スカイウォーカー)を中心にした作品でしたが、彼に全く共感ができませんでした。これはルーカスの脚本のまずさだと思います。
 最近DVDで旧3部作のボックスセットが発売されましたが、オリジナルにCGでだいぶ手を加えており微妙でした。特に『ジェダイの帰還』のラストの大幅な変更はショックでした。ルーカスとしては今発売されている作品が完全版と位置づけているようですが、昔スターウォーズを見た世代にとって、改変されたDVD版のスターウォーズはもう一つ微妙な感じがします。今年中に映画公開当時のオリジナル版スターウォーズのDVDが発売されるようで今から楽しみです。
 スターウォーズ旧3部作は小学生の頃の私にとっては思い入れの深い作品であり、映画史に残る傑作です。

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2006年2月 8日 (水)

私の映画遍歴6『映画音楽の魅力』

 私は小さいときから映画音楽をよく聴いていました。私の父親がオーディオ好きで、家に立派なオーディオ機器があり、映画好きの母がよく映画音楽のレコードをかけて聴いていたので、私も側でよく聴いていました。母がよく聴いていたのは一昔前の映画音楽で、『風と共に去りぬ』『ある愛の詩』などのメロドラマのテーマ曲や『荒野の用心棒』『シェーン』などの西部劇のテーマ曲などが多かったです。私自身は哀愁漂う映画音楽が好きで、エンニオ・モリコーネなどのイタリア西部劇の曲が特にお気に入りで、よく一人でかけて聴いたものでした。そしてテレビなどで映画を見るときも、映画音楽を気にしながら見るようようになり、自分が好きな映画にかかっていた曲のレコードを親にせがんで買ってもらったりしてました。
 そして中学生になったあたりから、自分で映画音楽のサントラを集めるようになりました。私は『ニュー・シネマ・パラダイス』のエンニオ・モリコーネの哀愁漂うメロディーや『スターウォーズ』のジョン・ウィリアムスのハリウッドならではのダイナミックなシンフォニックサウンドが特に好きで、この2人の手がけた映画音楽のサントラを好んで買い集めたものでした。高校生あたりからは宮崎駿や北野武の音楽を手がける久石譲のサントラにはまり、彼が手がけたCDはほとんど買いそろえていきました。
 映画サントラの魅力はもちろん音楽を聴くだけで映画のシーンや感動が再現されるところにあるのですが、映画音楽単体でも完成度が高ければ、スタンダードな名曲として映画をあまり知らなくても聴いて楽しめるところにもあると思います。
 「名作には印象に残る音楽」があると言われているように、映画にとって音楽とは映像の添え物などではなく、重要な映画の一つの骨格です。セリフで語られない主人公の心情を代弁したり、その場の雰囲気を語ったり強調したり、映画のテンポや流れをよくしたり、時には映画のテーマそのものを語ったりと映画の中で音楽の果たす役割はとても大きいです。映画でどのような音楽を、どのような場面で流すかで、その映画の個性や色が出てきます。有名な監督たちはお気に入りの作曲を抱えており、彼らに曲を書いてもらうことで、自分の映画の色を付けてもらっています。(久石譲と宮崎駿、スピルバーグとジョン・ウィリアムス、エリック・セラとリュック・ベッソンと言うように。)また映画によってはクラッシックやポップスの既成曲をうまく映画音楽として取り入れ、映画の完成度を高めている作品もあります。
 良い映画は見終わった後にその映画に流れていた音楽を聴いただけでその映画のシーンや感動が再現されます。きっと皆さんも印象に残っている映画音楽がいくらかあると思います。その映画はきっとあなたにとって名作の映画だと思いますよ。最後に私が音楽が印象に残った作品を10本紹介したいと思います。

・私が特に映画の中で音楽が印象に残った作品ベスト10 

onceワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ
 アメリカのギャング映画なのですが、音楽がとても効果的に使われており、映画全体に漂うノスタルジックな雰囲気を音楽が醸し出しています。イタリアの映画音楽第一人者、エンニオ・モリコーネの最高傑作です。特にパンフルート奏者ザンフィルが奏でる哀愁漂うメロディーが最高にしびれます。『アマポーラ』や『イエスタデイ』などのまた既成曲も効果的に使われております。映画のサントラもとても素晴らしく夜中一人でウィスキーなどを飲みながら聴くと感傷的な気分に浸れます。

天空の城ラピュタ『天空の城ラピュタ』
 宮崎駿の映画はどれも久石譲が手がけており、どの作品も音楽の完成度が高く、見終わった後強い印象を残すのですが、特に『天空の城ラピュタ』は音楽の完成度が素晴らしいです。主題歌『君をのせて』も素敵ですし、映画で流れる曲もメリハリがあり、映像とのシンクロも最高です。(特に中盤のシータ救出シーン!)どの曲もメロディーも美しく、映画のもつ壮大でどこかもの悲しい雰囲気をよく伝えてくれます。

スター・ウォーズ トリロジー リミテッド・エディション (初回限定生産)『スターウォーズ』
 スターウォーズの曲は皆さん知っていると思います。映画のオープニング、あの壮大な曲がかかっただけで、いっぺんにスターウォーズの世界に観客を引き込んでくれます。ダース・ベーダーの曲もとても印象的で、あの曲が流れてくるとダース・ベーダーの顔が浮かんできます。
 ジョン・ウィリアムスは私のお気に入りの作曲家でスピルバーグとのコラボレーションで数々の名ナンバーを作曲しております。彼の映画音楽の魅力は印象的なメロディーとフルオーケストラを使ったダイナミックな音。そんな彼の魅力が一番楽しめるのは『スターウォーズ』だと思います。

2001年宇宙の旅『2001年宇宙の旅』
 この映画は全て既成のクラッシック曲を使っているのですが、その使い方の上手さに最初見たときは衝撃を受けました。近未来の映像にクラッシックがこんなにあうとは!監督の音楽センスは最高です。

サウンド・オブ・ミュージック プレミアム・エディションサウンド・オブ・ミュージック
 この映画はミュージカルなので、全編音楽が流れています。私はミュージカルは大好きなのでいろいろな作品を見ますが、この作品ほど名ナンバーが揃っているミュージカルはないと思います。『ドレミの歌』『エーデルワイス』など皆さんが知っている曲、聴いていて楽しめる曲が詰まっています。この映画を見終わると、きっと映画で流れていたナンバーを口ずさみたくなると思います。

dancer_in_dark『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
 この映画もミュージカルなのですが、これは『サウンド・オブ・ミュージック』とは対称的な作品です。見終わった後味もとても重いのですが、映画の中で歌われる曲はどれも素晴らしいです。曲を担当しているのはアイスランド出身のロック歌手・ビョークなのですが、彼女の作り出す曲の美しさと彼女の歌声は最高です。映画は暗く賛否両論あると思いますが、音楽は誰が聴いてもぐっと魂にくるものがあります。

ディレクターズカット ブレードランナー 最終版ブレード・ランナー
 これは1980年代の近未来SF映画の代表みたいな作品で、現在までカルト的な熱狂を誇っています。2030年の退廃した未来映像に流れるギリシャの作曲家ヴァンゲリスのシンセサイザーによる機械的でありながら官能的で感情に訴えてくる曲の数々は映像と共に強烈な印象を残します。

アマデウス『アマデウス』
 モーツァルトの死のミステリーを扱ったこの映画。全編に渡り、モーツァルトの名曲が流れます。映画では、モーツァルトがどのようにして数々の名曲を生み出していったかを描く場面があり、一見取っつきにくいように思われるクラッシックに対して、この映画を見ると興味がわくと思います。

ロード・オブ・ザ・リング ― コレクターズ・エディション『ロード・オブ・ザ・リング』
 この映画は世界中で大絶賛、大ヒットをとばしたファンタジー映画ですが、音楽もとても素晴らしです。グラミー賞のサントラ部門3年連続受賞、アカデミー音楽賞2回受賞という高い評価を受けており、完成度の高い映画音楽です。映画が描く中つ国という架空の世界を音楽で素晴らしく表現しております。時にクラシカルな手法、時に民族音楽の手法を取り入れ、壮大なスケールの叙事詩を盛り上げてくれます。また各作品の最後に流れる主題歌もどれも素晴らしいです。

グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版

『グランブルー』
 この映画のサントラは高校の時、何回もかけて聴いたものでした。透明感溢れるシンセサウンドは聴いていて心が癒されます。映画を見ていない人でも、この映画のサントラはヒーリングミュージックとして最適です。この映画はこの音楽によって、魅力が一気に増しているように思います。
 

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2006年1月 6日 (金)

私の映画遍歴5「金田一耕助」

 今日、テレビで稲垣吾郎主演の金田一耕助シリーズ「女王蜂」が放映されていました。金田一耕助シリーズは小学生の時から大好きで、テレビでドラマや映画が放映される度に楽しみに見ていました。
 金田一耕助は日本ミステリー小説界の重鎮・横溝正史が生み出した探偵です。伝統と血縁を重んじる名家。その中の複雑でどろどろした人間関係の因縁が生み出す悲劇的な殺人事件。その事件のトリックとその背後にある人間関係の因縁を解いていく、金田一耕助。 
Inukami 稲垣吾郎版金田一耕助もなかなか良い雰囲気が出てますが、私にとって「金田一耕助」といえば石坂浩二です。私と石坂浩二版金田一耕助との出会いは「犬神家の一族」でした。「犬神家の一族」は記念すべき第一回角川映画であり、監督は名匠・市川崑を起用、出演者も日本映画を代表する豪華なメンバーにより制作されました。私はテレビでこの映画と出会ったのですが、黄色いゴムマスク、菊人形の生首、湖から突き出る足と強烈なインパクトのあるシーンの連続と複雑でどろどろした人間関係に一気に引き込まれてしまいました。
 役者たちの演技も魅力的です。犯人役演じる役者の狂気と悲哀の演技の巧みさには見入ってしまいます。(あの名優がここまでやるかといった感じで、すざましいです。)脇役を演じる俳優たちも名優揃いで、少ない登場シーンながら印象に残ります。そして金田一耕助を演じる石坂浩二ははまり役で、この映画を見たあと、金田一耕助といえば、彼の顔が思い浮かぶほどです。
 映像も戦後間もない田舎の風景をとても美しく捉えており、音楽も印象に残るものでした。また監督の市川崑の演出のセンスもとても素晴らしく、独特なタイトルロール(これはアニメ・新世紀エヴァンゲリオンでも使われています。)・カメラワーク・独特な編集の妙など、この映画の魅力を高めています。
 ストーリーは田舎の名家で起こる遺産相続にからむ連続殺人事件を解いていくという話しですが、人間の業や因縁の恐ろしさと悲しさが描かれています。
 この映画の大成功の後、石坂浩二主演・市川崑監督で4本の作品が取られました。どの作品もどろどろした人間関係の中で起こる凄惨で残酷な殺人が重厚な映像と演技により描かれています。監督のセンスの良さ、俳優たちの重厚な演技、美しくも閉鎖的な田舎の雰囲気を捉えた映像などの魅力に支えられ、どの作品も見応えのあるものになっています。
・4作品の紹介と見所
「悪魔の手鞠歌」:この作品はこのコンビによる最高傑作です。鬼首村で起こる手鞠歌に則った連続殺人事件。その背後にある、残酷で哀しい人間関係。この映画は、横溝正史の描くおどろどろしい田舎の雰囲気をよく捉えています。また単なるミステリーの枠を超えた人間の業や因縁の哀しみが描かれています。役者たちの演技も1級品で、犯人役を演じる女優と犯人を密かに愛する刑事役の若山富三郎の熟練された演技は最高です。
「獄門島」:この作品ほど、美しく残酷な殺人シーンが見られるものはなかなかありません。夏の瀬戸内海に浮かぶ島。俳句に則って行われる見立て連続殺人事件。この映画は緑を基調にした映像がとても美しいです。
「女王蜂」:この作品は今まで犯人役を演じた俳優が一堂に会しています。役者たちの重厚な演技合戦が一番の見所です。ただストーリーや演出面では他の作品に比べるともう一つです。
「病院坂の首縊りの家」:このコンビによる最後の作品。。「病院坂の首縊りの家」と呼ばれる古い館に、人間の生首が風鈴のように吊るされるという猟奇事件。この事件の背後にある哀しい親子関係。哀しいラストシーンは胸にぐっときます。
 
 
市川崑監督はこの後、豊川悦司主演で「八つ墓村」を制作しますが、以前のシリーズに比べると演技にしろ、演出にしろ、あまりぱっとしませんでした。豊川悦司もがんばってましたが、やはり石坂浩二が金田一耕助を演じないと、映画が締まりませんね。他の役者たちも、以前の作品に出演した役者に比べると、レベルが落ちますね。

 石坂浩二主演・市川崑監督のコンビによる5作品はどれも、伝統や血縁に縛られ、自由に生きられない人間たちの悲哀が描かれています。どれも非常に見応えのあるミステリー映画ですので、機会があれば是非見てください。
 

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2005年11月21日 (月)

私の映画遍歴4「80年代劇場版ドラえもんにはまる」

  ドラえもんの映画というと今の30代以下の方だと何作品かは見たことがあると思います。私も小さいときはよく見ていました。ドラえもんの映画は1980年公開の「のびたの恐竜」をスタートに現在25作品が制作されています。(来年には第1回作品「のびたの恐竜」のリメイク公開が決定されています)25年間毎年1作(2回公開された年もあります。)公開されていますが、90年代に入ってからのドラえもんの映画はネタ切れなのかいまいちな作品が多いのですが、80年代のドラえもん映画は傑作が多いです。私は80年代のドラえもんの映画が大好きで何回も見ましたし、今もレンタルして見たりしています。私にとって80年代ドラえもん映画の魅力は3つあります。B00005OLQ3

一つ目はドラえもんの映画はどの作品もテレビの中で繰り広げられる日常の枠を越えた非日常の世界にのびたをはじめとするいつものメンバーが迷い込み冒険をするという話しです。宇宙から海底・地底、古代日本までさまざまな世界が舞台になっており、非日常の世界で繰り広げられる話のスケールの大きさ・冒険はわくわくするんですよね。特に初期の作品はスケールの大きさとその話の組み立てかたが上手いんですよね。特に「のびたの魔界大冒険」は話の組み立て方が上手いです。オープニングの不思議な話が後半の重要な複線になっていたり、日常と非日常が途中から交錯していくストーリーは大人が見ても面白いです。見たことない人は見てみて下さい

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また映画版ドラえもんのもうひとつの魅力はいつもの主人公たちの役割や立場が逆転するところも面白いんですよね。いつもいじめられているのびたが活躍したり、ガキ大将のジャイアンがやさしくかっこよくなったりして、その意外な一面に感動したり、応援したりしてしまい、物語の中に入り込んでいくんですよね。特にお勧めが「のびたの大魔境」と「のびたの宇宙開拓史」です。ジャイアンやのびたがかっこいいですよ。

   そして最後に感動的なストーリー。初期の作品はいい話が多いです。友情や犠牲がテーマになっていることが多く、ラスト泣ける作品が多いです。特に「のびたの鉄人兵団」のリルルと「のびたの海底奇岩城」のバギーちゃんの仲間を守るための犠牲は泣けます。 B00005YUXOぜひ見てみてください。

ドラえもんの映画は私の小学生時代にとってかけがいのない映画でした。いつもと違う場所でいつもは冴えないのびたが主人公で活躍する姿は80年代からの多くの子どもたちの日常での退屈さや閉塞感を打ち破ってくれたと思うんですよね。

映画ドラえもん公式サイト:http://www.dora-movie.com/

私のドラえもん映画BEST3

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1位 のびたの魔界大冒険:話が面白いです!

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2位 のびたの鉄人兵団:スケールの大きさとラストの感動

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3位 のびたの海底奇岩城:バギーちゃん最高

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2005年9月24日 (土)

私の映画遍歴3「80年代スピルバーグにはまる」

70年代後半から80年代一番勢いのあった映画監督と言えば、スティーブン・スピルバーグ。彼の映画は軒並み世界中で興行収入のベストテンを占め、出る映画はヒット間違えなしでした。皆さん一度は見たことがあると思います。80年代後半一度勢いが落ちましたが、90年以降は念願のアカデミー監督賞も受賞し、映画制作会社・ドリームワークスを設立。映画界のトップメーカーとして今も定期的に話題作を提供してくれています。

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彼は今までにたくさんの映画を制作・監督していますが、私が一番好きだったのは70年後半から80年前半の時代に作られた作品です。この時代の代表作は「激突」「未知との遭遇」「ジョーズ」「レイダース」「ET」と娯楽作・大作が目立ちます。このころの彼の映画は見世物小屋的要素が多く、次々と目新しい見世物を見せてくれるので私としては彼の次回作を楽しみに待っていたものです。彼の映画は見て考えるというより、体感する映画が多いです。日常で希薄になった怖いもの・不思議なもの見たいという欲望を彼の映画は満たしてくれます。90年代も「ジュラッシックパーク」というすごい見世物を見せてくれたのですが、この映画は生々しい恐竜にインパクトがあったものの、見せ方や話の進め方は80年前半までの方が面白いなと私は見た当時は思ったものです。

彼の映画との最初の出会いはテレビでの「激突」というテレビ映画でした。この映画は主人公の中年男性が車に乗っているとき、タンクローリーを抜かしてしまい、その恨みからか、タンクローリーに襲われ、逃げるというシンプルな話です。このシンプルな話をスピルバーグは演出の巧みさで一気に見せきってしまいます。

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彼の映画は見せ方がとても上手いです。なかなかそのものを見せない演出とそのものを一気に見せつける演出は特に巧みです。(これはジョーズを見ると良くわかります。前半なかなか正体を現さない演出と後半の鮫との格闘シーンで鮫そのものを見せ付ける演出!最近の宇宙戦争もこの演出が前半巧みでしたね)。また映画のテンポも良く、サスペンスシーンの盛り上げ方も上手で、観客を映画の中に巻き込んでくれますよね。

また、この頃の彼の映画には(べたな言い方をすると)どこかロマンがあったんですよね。彼の映画が提供する鮫との格闘や冒険そして宇宙などの非日常的なものに対するロマンに小学生の私はあこがれたものです。ちなみに私が一番ロマンを感じたのは「未知と遭遇」はです。ぜひ皆さんも見てみてください。夜空を見上げたくなります。

miti 最近の彼の映画ももちろん好き