音楽

「中島みゆきTOUR2010」に行ってきました!

Tour2010  10月24日から始まった3年ぶりのみゆきさんのコンサート「中島みゆきTOUR2010」。全27回公演の13回目にあたる神戸国際会館こくさいホール12月7日の公演に行ってきました!
 DVD化もされた前回のコンサートは『糸』に『ファイト』に『誕生』と私の好きな曲のオンパレードだったので大満足でした。今回のコンサートもネットでの感想を読むと評価が高いので、とても楽しみにコンサート当日を待ち望んでいました。

 当日はお昼には現地入りをして、開場時間の17時45分を待っていました。開場前は入場口前は老若男女多くの人でごった返しており、熱気でムンムンしていました。
 会場に入るとパンフレットをまずは購入。今回のパンフレットは動物に関する専門家の記述がとても読み応えがありました。

(ここから先はコンサートの内容のネタばれになります。まだコンサートに行っていない人で内容を知りたくない人は読まないでください。)

 開演時間となる18時30分。舞台の緞帳が上がると、ニューアルバム『真夜中の動物園』の1曲目に収録されている『今日以来』のイントロがスタート。みゆきさんは青いギターを片手に白いスーツで颯爽と登場。『夜会vol15』の大阪公演以来2年ぶりの生で見る歌うみゆきさんの姿に胸が熱くなりました。
 今回の舞台は額縁のような白い木の枠が3つ奥に向うほど小さく見えるように設置されており、舞台中央に白い階段状の通路が一直線に奥に向かって伸びているという、とてもシンプルなものでした。
 ミュージシャンは通路の左右にそれぞれ雛壇上に並んでいました。一番手前にバンマスの小林信吾さんとボーカルの坪倉唯子さん・宮下文一さん・杉本和世さん、2段目にキーボードの矢代恒彦さんとキーボード兼サックス兼ピアニカの中村哲さん、続いて3段目にギターの古川望さんと中村修司さん、そして一番奥にドラムの島村英二さんとベースの富倉安生さんという並びでした。

 1曲目が終わると同時にみゆきさんの軽妙なトークが始まり、ジェットコースターのような上がったり下がったりのコンサートが幕を開けました。

 2曲目、3曲目と昨年のアルバム『DRAMA!』に収録されていた『翼をあげて』と『愛が私に命ずること』を披露。
 そして、4曲目にコンサートでは初披露となる『二隻の舟』を披露。この選曲には正直驚くと共に、生で初めてフルコーラスこの歌を聴けたことに非常に感動しました。みゆきさんの情感のこもった力強い歌声に自然と目に涙が浮かんできました。この歌を聴けるだけで正直今回のコンサートは8400円払う価値があります。歌のラストでは舞台の背景に今まで夜会のみゆきさんのモノクロ写真が何枚か映し出されていました。

 みゆきさんはここで一旦退場。白いひらひらのドレスで再登場して、ハードロックなナンバー『サバイバルロード』を迫力満点に歌い上げていました。
 続いて、MCを挟んでみゆきさんが腕時計を見ながら現在の時刻を2回読み上げ、駅の時刻表を見上げるかのように視線を上に向けると、『時刻表』のイントロが静かに始まります。この歌はアルバム『寒水魚』に収録されている懐かしい曲ですが、みゆきさんはしっとりと歌い上げていました。

 続いて最近のコンサートでは定番の「お便りコーナー」の時間。6枚ほど以下のお便りが読み上げられていました。

①コンサートのために買った新品のシャツが着れなかったエピソード
②彼氏と一緒に来るつもりが振られたてしまい、一人だけで前から3列目という良いチケットが取れたエピソード
③2001年の神戸国際ホールでのコンサート以来3354日ぶりにみゆきさんと神戸で会えたエピソード。
④関西の有名CMソング「京橋は?ええとこだっせ?グランシャトーが?おまっせ?」と「1、2サ
ンガリア」を歌って欲しいというエピソード。
→サンガリアはみゆきさん知っているが、京橋は知らないと坪倉さんに振って替わりに歌ってもらってました。
⑤コンサートの後に深夜のフェリーで高松まで買えるエピソード
⑥みゆきさんのパスポートと間違えて、さだまさしのパスポートを持ってきてしまったエピソード。

 お便りコーナーが終わると、これまた懐かしの名曲『夜曲』を披露。この曲も夜会VOL5でしか聴いたことがなかったので、コンサートで聴けてとても嬉しかったです。

 ここで第1幕が終了。緞帳が下りて15分間の休憩となりました。コンサートで休憩は今回が初めてだと思います。

 第2幕は鐘の音が静かに鳴り始めてスタート。真っ暗なステージの中、みゆきさんの歌声が聞こえて、徐々にライトが舞台中央の階段に照らさて、まるでフラミンゴのようなピンクの衣装を纏ったみゆきさんが登場。ニューアルバムのタイトルでもある『真夜中の動物園』を熱唱します。また、舞台中央の階段をゆっくりと踊りながら通路を客席側に降りてくる姿は神々しく、その迫力満点の歌声は聞いていて鳥肌が立ちました。
 ちなみにセットも少し変わっており、白い額縁が4つから2つに減り、サイズも一回り小さくなって奥に配置されていました。

 続いてニューアルバムから『夢だもの』、そして桜田淳子に提供した『しあわせ芝居』の2曲を披露。どちらもみゆきさんらしい切ないラブソングです。
 ここで誰もが知っている有名な曲として『Dr.コトー診療所』の主題歌である『銀の龍の背に乗って』を披露。私はこの曲が大好きだったので、生で聞けてとても嬉しかったです。

 ここでバンドメンバーの紹介をした後、おもむろに手紙のような紙片を取り出し、『I Love You, 答えてくれ』に収録されている『Nobody Is Right』の歌詞を朗読した後、アカペラのゴスペル風コーラスから、歌がスタート。己の正しさを言い張る空しさや愚かさ、そして正義の名の下で行われる戦争に対するみゆきさんの憤りが、聞いていて胸に突き刺さりました。
 歌い終わると衣装を変えて、白いタンクトップとブルージーンズというシンプルな衣装で再登場。青いアコースティックギターを抱え、同じく『I Love You, 答えてくれ』に収録されている「顔のない街の中で」を披露。『Nobody Is Right』に続いてメッセージ性の高い曲で、見知らぬ他者に対する労わりや思いやりの大切さを聞いていて改めて思い起こさせてくれます。

 続いて以前に発表した『傾斜』という歌に触れ、「年を取ることも素敵なこともかも」と語るみゆきさん。『鷹の歌』を披露します。この歌を歌っている時のみゆきさんの力強い眼差しと歌声、そして凛とした姿は見ていて背筋がピンとなりました。

 いよいよコンサートも終わりが近づき、みゆきさんが観客に向かって「明日私たちはどうなるか分からないが、今日会えてうれしゅうございます」と語ります。そして、「あなたの人生に」と観客一人一人に向かって拍手を贈ってくれたかと思った次の瞬間、ギターを片手にアカペラで『時代』を歌い始めます。まさかコンサートで『時代』が聞けるとは思わなかったので、私は思わず感極まって泣いてしまいました。みゆきさんの数ある名曲の中でも『時代』は名曲の中の名曲であり、何度聞いても慰められ励まされます。聞いていて自分の今までの人生を振り返り、明日に向かって歩いていくエネルギーをもらいました。
 『時代』を歌い終わるとみゆきさんは舞台中央の白い階段を登ってゆき、一度客席を振りかえり手を振って舞台から退場しました。

 アンコールは『悪女』と『たかが愛』を披露。『悪女』はみゆきさんもノリノリで歌っていて観客も手拍子で応えていました。『たかが愛』に関しては正直披露されるとは思っていなかったので予想外でした。この曲を最後に持ってきたのもみゆきさんなりの強いメッセージがあったかと思います。
ただ、個人的にはニューアルバムからもう1曲(できれば『負けんもんね』あたり)歌ってほしかったです。

 今回のコンサートは『二隻の舟』と『時代』の2曲を生で聞けただけでも十分満足できました。できればもう1回行きたいです!
 個人的には前回のコンサートよりもメッセージ性も完成度も高く、歌も演奏も演出も密度の濃いコンサートだったと思います。個人的には前回に続いて今回もDVD化してほしいです。

【演奏曲目】
   1. 今日以来
   2. 翼をあげて
   3. 愛が私に命ずること
   4. 二隻の舟
   5. サバイバル・ロード
   6. 時刻表
   7. 夜曲
   8. 真夜中の動物園
   9. 夢だもの
  10. しあわせ芝居
  11. 銀の龍の背に乗って
  12. Nobody Is Right
  13. 顔のない街の中で
  14. 鷹の歌
  15. 時代
  16. 悪女
  17. たかが愛

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『Minima_Rhythm』

お気に入りのCD NO.27『Minima_Rhythm』

Photo  久石譲が2009年に発売したミニマルミュージックをテーマにしたアルバム『Minima_Rhythm』。
久石譲のデビュー作ともいえる『MKWAJU』から新作『Sinfonia』までミニマルの手法を取り入れた楽曲が、ロンドン交響楽団の演奏とロンドン・ヴォイシズのコーラスで収録されいます。

 一般的に久石さんというと親しみやすく心を和ませるメロディーを生み出す作曲家という印象が強いですが、若い頃はミニマルミュージックの作曲家として活躍されていました。本アルバムは久石さんが原点に返ってミニマルミュージックを追求した仕上がりになっています。どの曲もメロディーを抑えてリズムやハーモニーを重視しています。 
 宮崎駿映画の久石ミュージックが好きな人が聞くと最初違和感があるかもしれませんが、何度も聞いていると何とも癖になる心地良さがあります。

【収録曲】
1. Links
2. Sinfonia for Chamber Orchestra I.Pulsation
3. Sinfonia for Chamber Orchestra II.Fugue
4. Sinfonia for Chamber Orchestra III.Divertimento
5. MKWAJU 1981-2009
6. The End of the World I.Collapse
7. The End of the World II.Grace of the St.Paul
8. The End of the World III.Beyond the World
9. DA・MA・SHI・絵

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『Melodyphony』

お気に入りのCD NO.26『Melodyphony』
Melodyphony  ロンドン交響楽団の演奏による久石譲のベストアルバム『Melodyphony』が発売されました。今回はインターネットの人気投票を参考に収録曲が選ばれたそうで『となりのトトロ』から『坂の上の雲』まで久石さんの代表作が幅広くセレクトされています。

 今回のアルバムは久石ファンには馴染みの曲が多く、新鮮味には欠けるので正直期待はしていませんでした。しかし、聞いてみるとアレンジがかなり凝っており、ロンドン交響楽団の演奏も大変重厚かつ繊細で、どの曲も外れがなく非常に聞き応えありました。
 特に私のお薦めは7曲目の『Orbis』です。この曲は12月に毎年開催される「サントリー1万人の第九」の25周年を記念して久石さんが作曲したのですが、他の収録曲と違ってミニマルかつクラシカルな雰囲気が漂っています。この曲を聴くだけでも本アルバムは価値があります。

【収録曲】
1. Water Traveller (映画「水の旅人」メインテーマ)
2. Oriental Wind (サントリー「伊右衛門」CM)
3. Kiki’s Delivery Service (映画「魔女の宅急便」より『海の見える街』)
4. Saka No Ue No Kumo (NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」より)
5. Departures (映画「おくりびと」より)
6. Summer (映画「菊次郎の夏」メインテーマ/トヨタ「カローラ」CM)
7. Orbis (サントリー「1万人の第九」委嘱作品)
8. One Summer’s Day (映画「千と千尋の神隠し」より『あの夏へ』)
9. My Neighbor TOTORO (映画「となりのトトロ」より『となりのトトロ』)

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夜会 VOL.16『夜物語 本家・今晩屋

Photo_2  今年の冬は中島みゆきのファンにとってはコンサートツアーの年ですが、ツアー前に昨年に東京赤坂ACTシアターで公演された夜会『夜物語 本家・今晩屋』がDVD・ブルーレイとして発売されました。私は昨年の夜会は見逃しているのですが、その前の夜会『夜物語 元祖・今晩屋』は大阪シアターBRAVA!にて鑑賞していました。『今晩屋』は森鴎外の『山椒大夫』をモチーフに、輪廻転生や魂の浄化を描いた作品でした。私は生で見た時はみゆきさんのオーラと歌に圧倒され、肝心の話しの内容はいまいち掴みきれないままになっていたので、今回のDVDの発売はとても嬉しいです。

 私は発売日に購入して自宅で鑑賞したのですが、台詞や歌詞が完全字幕対応になっており、難解な言葉が多い今回の夜会を理解するにはとても助かります。台本もつくということで楽しみにしていたのですが、台詞と歌詞が載っているだけで残念でした。 

 さて、鑑賞しての感想ですが『本家』は『元祖』のリニューアル版ということもあり、いくつかの変更点が追加され話しは『元祖』より少し分かりやすくなっていました。それでも、『山椒大夫』を事前に読んでおかないと今回の夜会のストーリーを理解して味わうことはかなり困難かと思います。

 変更点で私が一番印象的だったのは『ほうやれほ』の追加の歌詞と『赦され河、渡れ』の場面で登場人物全員が赤い目隠しをして登場するところです。追加の歌詞により母の心情がより伝わってきましたし、全員が目隠しをして登場することで罪を背負っていることに気づかず彷徨っていたことが伝わってきました。

 今回改めて『今晩屋』を見直して、輪廻転生を繰り返す衆生たちの罪の自覚による魂の救済をみゆきさんは示したかったのだろうなと思いました。

 それにしても『十文字』から『天鏡』までみゆきさんの歌唱力は神懸り的な迫力があり、何度見ても鳥肌が立ちます。

 今回の夜会は難解で一度見ただけでは全てを理解しにくいですが、見れば見るほど発見があり、味わい深まる作品です。

・十二天(Instrumental)
・暦売りの歌
・百九番目の除夜の鐘
・夜をくだされ
・海に絵を描く
・旅支度なされませ
・私の罪は水の底
・逃げよ、少年
・百九番目の除夜の鐘
・愚かな禿
・らいしょらいしょ
・ちゃらちゃら
・憂き世ばなれ
・夜いらんかいね
・百九番目の除夜の鐘
・旅支度なされませ
・らいしょらいしょ
・都の灯り
・暦売りの歌
・幽霊交差点
・旅支度なされませ
・百九番目の除夜の鐘
・安らけき寿を捨て
・夜をくだされ
・有機体は過去を喰らふ
・私の罪は水の底
・有機体は過去を喰らふ
・らいしょらいしょ
・百九番目の除夜の鐘
・十文字
・ほうやれほ
・十二天
・紅蓮は目を醒ます
・赦され河、渡れ
・夜いらんかいね
・天鏡
・暦売りの歌(Instrumental)

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『真夜中の動物園』中島みゆきのアルバム紹介

中島みゆきのアルバム紹介No.10『真夜中の動物園』

Photo  今回紹介するアルバムは中島みゆき通算37枚目のアルバム『真夜中の動物園』です。3年ぶりのオリジナルアルバムですが、公式サイトには本アルバムに関して以下のようなコメントが掲載されています。
「あの『夜会』「今晩屋」シリーズをはさんで、3年ぶりにお送りする、オリジナル・ニュー・アルバム『真夜中の動物園』。魚類・鳥類・哺乳類………可笑しくて、トホホで、やがて愛しき、動物たちの、音楽図鑑。懐かしいのに、アグレッシヴ。繊細なのに、プリミティヴ。心に沁みるソフトロックの真骨頂。」

 ハリネズミにサメに鷹と動物の名前がタイトルについた歌が多いので一体どんな歌なのか発売前から私はあれこれ想像していました。
 ここ最近のアルバムはメッセージ性が強い直球勝負な歌が多かったので、今回はタイトルだけ見て少し変化球をつけてくるのかとなと思っていました。

 私は発売当日に購入して繰り返し聞いているのですが、今回は歌詞・歌い方・アレンジ共にバラエティに富んでおり非常に聞きやすく、弱い人間たちが明日に向かって生きることをそっと励ましてくれる素晴らしいアルバムです。

 1曲目の「今日以来」は求めることもばかり望んでいた人間が過去を反省して与える側に回ろうと決意する歌ですが、吉田拓郎チックな曲調とみゆきさんの軽快な歌い方で歌詞が心にすっと染み入ってきます。

 2曲目の「真夜中の動物園」は今回のアルバムのタイトルにもなっている歌ですが、とても抽象的で幻想的な歌詞です。聴く人によって様々な感想のある歌だと思うのですが、私は滅んでいった命に対するレクイエムのような印象を受けました。

 3曲目の「まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う」はテンポ良く軽快な曲調です。忙しくあっという間に過ぎ去っていく日々の中で自分たちの生き方や社会に潜む欺瞞を何とか感じ取ろうとする反骨精神を歌った曲だと私は感じました。

 4曲目の「ハリネズミだって恋をする」は傷つけまいと臆病になっている女性に対する応援歌です。

 5曲目の「小さき負傷者たちの為に」は幼児虐待や動物虐待に対するみゆきさんの憤りが伝わってくるヘビーな歌です。ただ卑怯者を糾弾するだけでなく、お前は卑怯者に立ち向かえるかと問うてくる歌詞は胸に突き刺さります。

 6曲目の「夢だもの」は明るい感じの曲ですが、歌詞はとても切ない歌です。

 7曲目の「サメの歌」は過去にこだわらず前に向かってとにかく進めと背中を押してくれる歌です。

 8曲目の「ごまめの歯ぎしり」は日本のことわざを引用したタイトルですが、その意味は『力のないものが、どんなにがんばってもどうにもならない』というものです。人生の酸いも甘いも知って希望も期待も持てなくなった大人の哀愁をジャズスイングにのせて軽快に歌っています。

 9曲目の「鷹の歌」は本作品ハイライトとも言える歌です。道を示して年老い亡くなっていった先人たちへの畏怖と残された者たちの使命を力強い歌声で歌っています。

 10曲目の「負けんもんね」はみゆきさんらしい応援歌です。人生は良い結果が出ず徒労に終わることが多いけどめげずに生きていこうと励ましてくれる名曲です。

 11曲目の「雪傘」は工藤静香に提供した曲です。みゆきさんらしい切ない失恋ソングです。

 12曲目の「愛だけを残せ」は昨年に公開された映画『ゼロの焦点』の主題歌として発表された曲でシングルとしても発売されましたが、今回はアルバムバージョンとしてシングルとは全く違うアレンジ・歌い方で収録されています。シングル版が力強い歌い方だったとすれば、アルバム版はしっとりとした歌い方です。

 今回のアルバムは肩の力を抜いて聞ける曲が多いですが、聞いていて自分の人生をはっと振り返させられます。

 10月24日から4年ぶりのコンサートツアーもスタートします。私も神戸のツアーのチケットを手に入れたのですが、私としては「鷹の歌」と「負けんもんね」は生で是非聞きたいです。

1.今日以来
2.真夜中の動物園
3.まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う
4.ハリネズミだって恋をする
5.小さき負傷者たちの為に
6.夢だもの
7.サメの歌
8.ごまめの歯ぎしり
9.鷹の歌
10.負けんもんね
(ボーナストラック)
11.雪傘
12.愛だけを残せ(Album Version)

YCCW-10121/3,150円(税込)
ヤマハミュージックコミュニケーションズ

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中島みゆき10月13日ニューアルバム&夜会DVD発売!

Photo  中島みゆき通算37枚目となるニューアルバム『真夜中の動物園』の発売が公式サイトで発表されていました。2007年「I Love You,答えてくれ」から3年ぶりのオリジナルアルバムで、今年の10月からスタートするコンサートツアー2010でもニューアルバムから数多く歌われると思われるので発売が楽しみです。
 今回の収録曲のタイトルも「サメの歌」や「ごまめの歯ぎしり」など大変ユニークで、どんな歌詞・メロディーなのか全く想像できません。
 公式サイトには以下のようなコメントが掲載されています。
「あの『夜会』「今晩屋」シリーズをはさんで、3年ぶりにお送りする、オリジナル・ニュー・アルバム『真夜中の動物園』。魚類・鳥類・哺乳類………可笑しくて、トホホで、やがて愛しき、動物たちの、音楽図鑑。懐かしいのに、アグレッシヴ。繊細なのに、プリミティヴ。心に沁みるソフトロックの真骨頂。」
 動物たちの音楽図鑑にソフトロックとはどんな感じなのか10月13日が待ち遠しいです。
 なお、今回はボーナストラックとして2008年工藤静香さんに提供した「雪傘」のセルフカバー、昨年の映画「ゼロの焦点」主題歌「愛だけを残せ」のアルバムバージョン2曲も収録されています。

【収録曲】
1.今日以来
2.真夜中の動物園
3.まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う
4.ハリネズミだって恋をする
5.小さき負傷者たちの為に
6.夢だもの
7.サメの歌
8.ごまめの歯ぎしり
9.鷹の歌
10.負けんもんね
(ボーナストラック)
11.雪傘
12.愛だけを残せ(Album Version)

YCCW-10121/3,150円(税込)
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
2010年10月13日発売

Photo_3  また、併せて昨年東京でのみ公演された「夜会VOL.16~夜物語~本家・今晩屋」の舞台映像がDVD&ブルーレイとなって同日に発売されるとのことです。私も「元祖・今晩屋」は大阪公演を見たのですが、「本家」は見逃したので楽しみです。『DRAMA!』には収録されなかった「ほうれやほう」など名曲の数々が聞けるのがうれしい限りです。

【DVD盤】 YCBW-10028/8,400円(税込)
【ブルーレイ盤】 YCXW-10001/9,450円(税込)
豪華48ページブックレット(夜会台本)付
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
2010年10月13日発売

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『DRAMA!』中島みゆきのアルバム紹介

中島みゆきのアルバム紹介No.9『DRAMA!』

Drama  今回紹介するアルバムは中島みゆき通算36枚目のアルバム『DRAMA!』です。本アルバムは吉川晃司主演で昨年公演されたミュージカル『SEMPO』と『夜会VOL.15~夜物語~元祖・今晩屋』の楽曲が収録されています。

 『SEMPO』は第2次世界大戦中にナチスに追われていたユダヤ人に対してビザを発行して救った外交官・杉原千畝の姿をミュージカルにしたものです。吉川晃司が主演することやみゆきさんがミュージカルに始めて楽曲を提供することで話題になりました。
 杉原千畝は第二次世界大戦勃発時、リトアニアの日本領事代理を務めていた時に、ソ連より領事館閉鎖命令が出たにもかかわらず、ユダヤ人のビザを発給を不眠不休で行い、6000人近いユダヤ人の命を救ったそうです。当時、人々が千畝をチウネと発音できないため、杉原は“SEMPO”と呼ばせており、海外では東洋のシンドラーと高く評価されています。
 みゆきさんはユダヤ人迫害という重いテーマの劇中歌を制作するにあたって、制作発表の際に以下のようなコメントをしています。
 「現代の民族紛争にも通ずるデリケートな作品ですが、私はただ1点、『人間として』という立場を貫いたSEMPO氏への敬意に基づいてのみ詞曲を書かせていただきました。この素晴らしい機会を与えていただいたことに感謝しています。」
 本アルバムでは前半に公演で歌われた6曲が収録されていますが、どの歌もみゆきさんらしい繊細で力強い言葉遣いとメロディーの美しさがとても印象に残ります。
 1曲目の「翼をあげて」は少し「銀の龍の背に乗って」に似た部分がありますが、サビの部分でグッと盛り上がるところが大好きです。
 2曲目の「こどもの宝」は子ども時代を振り返り今を見つめる内容の歌詞ですが、みゆきさんの優しい歌声とバイオリンソロの部分の美しい音色が印象に残ります。
 3曲目の「夜の色」は故郷に対する思いを歌っています。中村哲さんのアルト・サックスの音色が良いですね。
 4曲目の「掌」も2曲目同様に子ども時代を振り返り、今の自分の非力さに苦悩する心情を歌っています。
 5曲目の「愛が私に命ずること」は他者を労わり守ろうとする愛の大切さをみゆきさんらしい力強い言葉で表現した歌です。
 6曲目の「NOW」は前半のクライマックスとも言えるスケールの大きな歌です。男性コーラスから始まるので最初聞いた時はびっくりしましたが、みゆきさんの全身全霊を込めた歌い方は鳥肌が立ちます。

15  本アルバムの後半は昨年から今年の冬にかけて公演された『夜会VOL.15~夜物語~元祖・今晩屋』と今年の11月から東京で公演される『夜会VOL.16~夜物語~本家・今晩屋』で歌われる7曲が収録されています。

 夜会『今晩屋』は森鴎外の小説でも有名な「山椒大夫」をモチーフにしており、主人公である安寿と厨子王と母の来生での苦悩と魂の救済を描いていきます。今までの夜会の中では一番難解であり、ファンの間でも賛否両論ある作品です。

 私は今年2月の大阪公演を鑑賞したのですが、みゆきさんの力強い歌声とオーラに圧倒され、そして未練を残したまま輪廻転生する主人公たちの苦悩に胸が締め付けられ、クライマックスの魂の救済に鳥肌が立つほど感動しました。歌詞が難解な部分があり、一度聴いただけでは分からないところも多かったので今回のCD化はうれしい限りです。ただ、個人的に好きだった「有機体は過去を喰らう」、「十文字」、「紅蓮は目を醒ます」、「赦され河、渡れ」が収録されなかったのが残念です。前回か今回の公演がDVD化され、全曲聴けるようになると言いのですが・・。

 7曲目の「十二天」は仏教の護法神である「天」の諸尊12種を組み合わせたものを言います。東西南北と東北・東南・西北・西南の八方を護る諸天に、天・地・日・月にかかわる神を加えて十二天としています。東北は伊舎那天、東は 帝釈天、東南は 火天、南は 閻魔天、西南は 羅刹天、西は水天、西北は風天、北は毘沙門天、天は梵天、地は地天、 日は日天、月は月天となっています。
 夜会の中でも印象的だった十二天。本アルバムでもは2番でみゆきさんが十二天の名を讃えるかのごとく力強く歌い上げ、聴いていて魂が揺さぶられます。
 8曲目の「らいしょらいしょ」は前世・現世・来世の関係について日本の伝統的な手まり歌にあわせて歌った曲です。「前生から今生見れば来生」というフレーズがとても印象に残ります。
 9曲目の「暦売りの歌」は時間の流れの中で生きる人間の姿を暦に喩えて歌っています。軽快なメロディーで聴きやすい歌ですが、歌詞をじっくり読むと「今」とは何かについて考えさせられます。
 10曲目の「百九番目の除夜の鐘」は『今晩屋』のテーマ曲ともいえる歌です。百八の煩悩を大晦日の除夜の鐘で払い落として新しい年を迎えたいのに百九番目の除夜の鐘が鳴る。百九番目の煩悩とは何か?前世の未練を残し引きずった魂が、来世に行けず今生を彷徨う哀しみ、苦しみ。非情にインパクトの強い歌です。
 11曲目の「幽霊交差点」は簡単に過去から逃れることはできず、浮かばれない魂が今の自分を呼んでいることを歌っています。
 12曲目の「海に絵を描く」は前回の夜会ではコーラスの宮下文一さんが歌っていたのですがメロディーと歌詞が痺れるほど格好良かったので、本アルバムでみゆきさん本人が歌ってくれたのはうれしい限りです。サビの「海に絵を描く 絵の具は涙」の部分が何度聴いても良いですね。
 13曲目の「天鏡」は前回の夜会でもラストに本物の水の流れる舞台の上でみゆきさんが熱唱して鳥肌が立ったのを今でも覚えています。本アルバムでも最後を締めくくっていますが、人の愚かさや悲しみを壮大なスケールで歌っており、聴いていて心が浄化される名曲です。

 本アルバムはみゆきさんの力強く繊細な歌詞と歌声が十二分に堪能でき、舞台を見ていない人でも十分に聴き応えがあります。

1,翼をあげて
2,こどもの宝
3,夜の色
4,掌
5,愛が私に命ずること
6,NOW
7,十二天
8,らいしょらいしょ
9,暦売りの歌
10,百九番目の除夜の鐘
11,幽霊交差点
12,海に絵を描く
13,天鏡

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『愛だけを残せ』

Photo  中島みゆき2年ぶりのニューシングルが11月4日に発売されます。シングルのタイトルである「愛だけを残せ」は2009年11月14日に公開される松本清張原作『ゼロの焦点』の主題歌として書き下ろされた久しぶりの新曲です。またカップリングには2008年に久我陽子(YOKO)に提供した楽曲「闘りゃんせ」のセルフカバーが収録されています。

 発売発表以来、どんな感じの曲に仕上がっているのか、あれこれイメージしていました。そんな中、何と「iTunes Store」で1曲200円で先行発売されていることが発覚。CDも予約していたのですが、ファンとしては一刻も早く聴きたいもので、思わず購入してしまいました。

 歌を聴いた感想ですが、みゆきさんらしい力強いと歌詞と歌声に思わず鳥肌が立ちました。これは名曲です。系統的には『たかが愛』や『瞬きもせず』などの部類に入るかなと個人的に思いました。
 サビの部分の「やむにやまれぬ人生は綱渡りだ 選ぶつもりで、選ばされる手品だ」という歌詞はみゆきさんらしい巧みな表現だなあと思いました。

 ただ、この曲を聴いて一つだけ心配だったのは、映画の本編がみゆきさんのパワフルな主題歌に負けはしないかということ。これだけインパクトの強い主題歌に負けない本編であって欲しいです。

 カップリングの「闘りゃんせ」もみゆきさんの迫力のあるボーカルが強烈なインパクトを残します。YOKOの歌い方もかなり上手でしたが、みゆきさんのバージョンを聞いた後では物足りなさを感じてしまいます。
 それにしても童謡の「通りゃんせ」を「闘りゃんせ」と言い換えるなんて、みゆきさんらしいです。

 シングルCDの発売も間もなくですが、ぜひヒットして欲しいです。

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中島みゆきの新アルバム『DRAMA!』11月発売!

Drama   中島みゆき2年ぶりのオリジナルアルバムとなる『DRAMA!』が2009年11月18日に発売されることが発表されました。今回は吉川晃司主演で昨年公演されたミュージカル『SEMPO』の楽曲と『夜会VOL.15~夜物語~元祖・今晩屋』の楽曲が収録されています。
 まさか『SEMPO』の楽曲が収録されるとは思っていなかったので正直嬉しいです。
また、『夜会VOL.15~夜物語~元祖・今晩屋』は夜会の中でも難解なステージだったので、歌がじっくり聞けるのはありがたいです。   
  夜会15のクライマックスに歌われた「天鏡」はとても素晴らしい歌なので、手に入れたら何回も聞くと思います。
 今から11月の発売がとても楽しみです。
  なお、シングルアルバム『愛だけを残せ』も11月4日発売されることが発表されています。この歌は11月14日公開「ゼロの焦点」の主題歌となっているようで、一体どのような曲なのかこちらも楽しみです。

【収録曲】
1,翼をあげて
2,こどもの宝
3,夜の色
4,掌
5,愛が私に命ずること
6,NOW
7,十二天
8,らいしょらいしょ
9,暦売りの歌
10,百九番目の除夜の鐘
11,幽霊交差点
12,海に絵を描く
13,天鏡

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『短篇集』中島みゆきのアルバム紹介

中島みゆきのアルバム紹介No.8『短篇集』
Photo  今回紹介するアルバムは中島みゆき通算28作目のアルバム『短篇集』です。本アルバムはタイトルの通り、それぞれの歌が独立した世界観を描いており、どの歌から聴いても良い作りになっています。また、全曲通して聞くと、良質の短編小説集を読んだかのような充実感を得ることができます。

 1曲目の『地上の星』と11曲目の『ヘッドライト・テールライト』はNHKで放映されて大反響を呼んだドキュメンタリー番組『プロジェクトX』のオープニングテーマとエンディグテーマとして使用され、知っている方も多いかと思います。
 シングルカットもされ、中高年世代を中心にじわじわと人気を広げ、オリコンシングルチャートで初登場から130週をかけて1位を獲得。さらに139週目にはミリオンセラーを達成するという偉業を成し遂げました。
 「地上の星」はまるで不動明王のごとく力強く、「ヘッドライト・テールライト」は観音菩薩のように優しく、どんな困難があっても乗り越え生きていく者たちにエールを送ってくれます。

 2曲目の『帰省』は由紀さおり&安田祥子に提供した楽曲のセルフカヴァーです。日本人の盆と正月の帰省をテーマにしており、8月と1月になると聴きたくなる名曲です。私も故郷から離れて生活しているので、この曲を聴くといつも胸がジーンとします。

 3曲目の『夢の通り道を僕は歩いている』は夢に向かって歩んできた人に向けた応援ソングです。軽快な曲とみゆきさんの柔らかな歌声が聞いていて心地よいです。

 4曲目の『後悔』は叶わなかった恋に対する女性の後悔を綴った歌で、これぞみゆきさんという歌詞と後半のみゆきさんの絶唱が印象に残ります。
 続く5曲目の『MERRY-GO-ROUND』も叶わぬ恋をメリーゴラーンドに喩えて歌っています。

 6曲目の『天使の階段』と9曲目の『粉雪は忘れ薬 』は夜会11&12『ウィンターガーデン』のために作られた歌です。『天使の階段』は天空から地上に光が降り注ぐ荘厳な情景が聴いていて思い浮かんできます。『粉雪は忘れ薬』は忘れたくても忘れられない記憶を抱えた人たちの心情と願いを情感たっぷりに歌っています。

 7曲目の『過ぎゆく夏』は吉田拓郎風のフォークロックで、ひと夏の恋を軽快に歌っています。

 8曲目の『結婚』は本アルバム一番の異色作であり、子どもたちのやり取りから結婚についてコミカルに語る歌です。2分弱の短い歌ですが、聴いたあとクスッと笑って結婚とは何かについて考えさせられます。

 10曲目の『Tell Me,Sister 』は個人的に一番本アルバムで好きな歌です。劣等感を持つ主人公の女性の前に現われる完璧な女性。その女性は全てを兼ね備えているにもかかわらず、いやそれ故にこの世の中に達観していて、主人公に「そのままでいいのに」と伝える。そして時が経ち、完璧な女性が亡くなったことを知る主人公。「人生に必要なものは何か?」、そして、「何が幸せなのか」を聴く者に問いかけてくる歌です。
 あと、私はこの歌を聞くときに「Sister」とは一体誰を指しているのかいつも考えてしまいます。妹なのか、それとも教会のシスターなのか、はたまた友人なのか。聴いたことある皆さんはどう思われますか?

 本アルバムはみゆきさんのアルバムでも大変聞きやすく、初心者の人にもお奨めのアルバムです。みゆきさんが綴った11の短篇集はさらりとしていながら大変味わい深いですよ。

1. 地上の星    
2. 帰省    
3. 夢の通り道を僕は歩いている    
4. 後悔    
5. MERRY-GO-ROUND    
6. 天使の階段    
7. 過ぎゆく夏    
8. 結婚    
9. 粉雪は忘れ薬    
10. Tell Me,Sister    
11. ヘッドライト・テールライト

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