2008年2月 8日 (金)

『星を継ぐもの 』街を捨て書を読もう!

『星を継ぐもの』 著:ジェイムズ・P・ホーガン 創元SF文庫
Photo  今回紹介する作品はSF小説の最高傑作の一つ『星を継ぐもの』です。私は昔からSF小説が好きで数多く読んでいますが、その中でもベスト3に入る面白い小説だと思います。
 
 「月面で発見された赤い宇宙服を着た人間と思われる死体。科学者たちがその死体を調べたところ、何と五万年前のものだった。月面の死体の謎を解明すべく世界トップクラスの科学者たちが様々な仮説を立てて謎に挑んでいく。」
 
 この小説は月面で見つかった五万年前の人間らしき死体の謎を科学者が追っていくというミステリー仕立てになっており、SF小説をあまり読んだことない人でも十分楽しめると思います。 
 本作品の面白いところは物理学を始めとして生物学・地質学・言語学など様々な専門領域の学者たちがそれぞれの分野から月面の死体の謎にアプローチしていくところです。文系の方にはとっつきにくい専門用語や理論も数多く出てきますが、それらが壮大な物語に説得力を与え読む者に現実感を与えてくれます。
 
 月面の死体と月と人類の意外な接点が明かされるラストは、読む者の想像を超えるスケールの大きい予想外の展開に圧倒されること間違いなしです。そして本書を読み終えた時は何ともいえない爽快感と、人類と宇宙へのロマンを味わうことができます。

 本作品はSF好きな人もそうでない人も一度は読んでみる価値のある小説だと思います!
 
 

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2007年11月26日 (月)

『近代ヤクザ肯定論―山口組の90年』街を捨て書を読もう!

Photo 『近代ヤクザ肯定論―山口組の90年』 著:宮崎学 筑摩書房 2007年
 今回紹介する本は日本最大のヤクザ組織「山口組」の誕生から現在までの歴史を日本の近現代史と絡めながら描く『近代ヤクザ肯定論―山口組の90年』です。
 著者の宮崎学さんは京都の寺村組組長の息子で小さい頃からヤクザの世界で育ってきただけあって、ヤクザが日本の近現代史で果たしてきた役割を鋭く考察しています。
 一般的にヤクザというと暴力によって市民社会を震え上がらせる悪者といったイメージがありますが、この本を読むとヤクザに関するイメージが変わります。
 明治以降、日本が近代社会に変わっていく中で、貧困や差別から逃れるため都市に流入してくる下層労働者たち。そんな下層労働者を取りまとめ、仕事を与えてきたヤクザという組織。本書を読むと明治から昭和にかけてヤクザは今で言う人材派遣業として地域の中で役割を果たしてきたことが良く分ります。またそれと併せて、日本が資本主義を導入して、利益を上げていく過程で国家や資本家が如何にヤクザという組織を重宝してきたかも良く分ります。
 
 本書では神戸港の港湾労働において山口組がいかに権力を握っていったかが、当時の港湾労働の生々しい実態を交えながら解説しているのですが、労働組合すら結成できない末端の下層労働者の非人間的な労働状態の改善にヤクザが一定の役割を果たしていたことが非常に印象的でした。
 またヤクザ組織が下層労働者だけでなく、在日朝鮮人や被差別部落出身者なども取り込み、社会から排斥された人間たちのアジールにもなっていたそうです。
 貧困や差別の中で暴力を唯一の盾として社会の中で権力を握って生きていくしかないヤクザ組織の人間たちの切なさを読んでいて強く感じました。
 本書の中でも宮崎さんはヤクザ組織を「哀愁の共同体」という呼び方をしており、ヤクザという組織に関して以下のようなことを書いています。
 「ヤクザは親権力でも反権力でもない。生きていくため、みずからを権力として社会的に立てなければならなかった者たちの対抗権力だったのだ。」

 本書の後半はヤクザが日本が高度成長期を迎える中で如何に変質して言ったかが克明に描かれます。労働の機械化や「一億総中流化」に伴う下層社会の底上げ等に伴い、今までヤクザ組織が基盤としていた下層社会・周縁社会が解体。それに伴い地域共同体の中で果たしてきた対抗権力としての役割も低下し、企業社会に食い込んで利益を追求していくヤクザ組織。80年代~90年代にかけての国家主導による激しい弾圧により、ヤクザはアンダーグラウンドな犯罪組織への変貌していったそうです。

 宮崎さんは最後にグローバル化した社会の中で国境を越えて、各国の「政治的権力」に対抗できる「社会的権力」としての「超近代的ヤクザ」の可能性を説いています。現実にそのようなヤクザ組織が現れるかどうか分りませんが、宮崎さんのロマンチシズムに強く惹かれました。

 ヤクザに興味のある人も嫌いな人も一度は本書を読むことをお勧めします!

第1章 山口組の誕生―仲仕からヤクザへ
第2章 振興山口組の発展と衰退―米騒動から敗戦まで
第3章 闇市の混沌のなかから―窮民アウトローとしての出発
第4章 港の顔役―山口組の港湾支配
第5章 大衆芸能の裏側―美空ひばりと山口組
第6章 高度成長と全国制覇―頂点に立った山口組
第7章 被差別民の前楯、後楯―被差別部落・在日コリアン社会とヤクザ
第8章 対抗権力としての近代ヤクザ―山口組壊滅せず
第9章 近代ヤクザの変質と終焉―日本のヤクザが終わるとき

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2007年11月 4日 (日)

『「正しい戦争」は本当にあるのか』街を捨て書を読もう!

『「正しい戦争」は本当にあるのか』 著:藤原帰一 ロッキング・オン
Photo_2  私は新左翼の反戦平和運動に以前関わってい事があります。その為、日米安保や憲法9条改正、自衛隊の海外派兵などに激しく反対してきました。当時は、「戦争は資本家とその手先の政治家や官僚の利益確保にしか過ぎず、人民にとっては無益なものである」という思想の下で戦争を否定していました。
 しかし、冷戦終結後のアフリカやヨーロッパで頻発した民族紛争や9.11以降のアメリカを中心とした多国籍軍の中東派兵などの現実を見るにつけて、新左翼の思想で戦争を語ることには限界があると思うようになりました。もちろん戦争には多額のお金が動きますし、経済と戦争は密着に関係があります。けれど、それだけ語ることのできない複雑な背景が戦争にはあり、日本人は遠くで起きている紛争や戦争をどう受け止めて、自らのこととして考えていくべきか非常に難しいものを感じるようになりました。
 日本の反戦平和運動は日本国民が再び侵略戦争に加担しない、巻き込まれないということを目的にしていることがあり(それはそれで良いと思いますが)、現在世界各地で起きている紛争や戦争に日本がどう関わっていくのかになると途端に思考が鈍る傾向があります。現在のイラクの自衛隊の給油活動の是非にしろ、PKOへの自衛隊参加にしてもそういう傾向が見られます。

 平和を語るとき、どこまでの範囲の平和を求めるかで考え方が大きく変わります。日本国内なのか、アジア一体なのか、先進国一体なのか、世界全体なのか・・・。どこまでの視点で平和を考えるのかで話しは変わります。また、どういう状態を平和と考えるのか、武器の廃絶なのか、貧富の格差の撤廃なのか、民主主義の導入なのか・・・。それによっても話しは変わってきます。
 単純に戦争は駄目だという考え方は、他の国から戦争を仕掛けられそうになったとき、戦争する国は駄目だから先に手を打とうという考え方に転換する可能性があります。(現在のアメリカがそういう状況です)
 また戦争をなくすためには武器の廃絶や人権の侵害だけ唱えてもだめで、戦争をしなくても緊張状態を緩和させる方法を模索して必要があります。そこで重要になってくるのが交渉だったり駆け引きだったりします。

 今回紹介する本『「正しい戦争」は本当にあるのか』は国際政治学者の藤原帰一さんが戦争と国際政治の本質を分りやすく説明しています。戦争の概念の変化の歴史の開設から始まり、核開発競争や冷戦とは何だったのか?、そして日本の平和主義はどうあるべきか、この本を読むと目から鱗が落ちます。
 藤原さんはあくまでも現実主義な立場から平和の可能性を追求しようとしており、戦争をシニカルかつリアルに分析し、単純に戦争を肯定も否定もしない立場から平和について語っていきます。 
 「現実に向かうと戦争を肯定する、理想を唱えるとハト派になるってそんなバカなことじゃない。現実の分析っていうのは、目の前の現象をていねいに見て、どんな手が打てるのかを考えることです」(本文より)
 戦争をなるべく避けて平和な状態を作り出すためにはどうしたら良いかを考えている人は是非一度読んでみてください!タカ派の人やハト派の人が語る内容とまた違った視点から戦争と平和を見ることが出来ます。


 
 

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2007年10月22日 (月)

『サービスの天才たち』街を捨て書を読もう!

『サービスの天才たち』 著:野地 秩嘉 新潮新書
Photo  今回紹介する本はサービス業で活躍するプロフェッショナルたちのお客さまを満足させる秘訣に迫ったルポタージュ『サービスの天才たち』です。

 この本では6人プラス1頭の名もなきサービスの天才たちの仕事ぶりが描かれています。高倉健に愛された理容師、お茶の熱さにまで目配りする有料老人ホームの食事統括責任者、日本一のサービスを目指すゴルフ場経営者とキャディー、宿泊客の笑顔を撮り続けた温泉カメラマン、質の高い和牛を生み出したスーパー種牛、お客の心まで揉みほぐすマッサージ師、北海道の有名人御用達のタクシー運転手。それぞれ職種は違いますが、お客様が満足させるサービスとは何かを日々追求している人たち。そんな人たちのサービスに対する思いや日々の努力を描いていきます。

 私はこの本を読んでサービス業で一番大切なことは、相手の身になって考えることができるかどうかだと思いました。押し付けがましくなく、さりげなく相手が求めるサービスを提供できる。それが一流のサービスであることをこの本は教えてくれます。

 また、この本の素晴らしいところは著者の読者に対する押し付けがましさなく、読んだ後に清清しく爽やかな気持ちになれるところです。著者もまた一流のサービスの天才だと思いました。
 
 

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2007年9月23日 (日)

『魔羅の肖像』街を捨て書を読もう!

『魔羅の肖像』 著:松沢呉一 新潮OH!文庫
Mara  今回紹介する作品は横丁の性科学者・松沢呉一さんが性器とセックスにまつわる一般常識や俗説、珍説を丹念に調査した報告書『魔羅の肖像』です。
 松沢呉一さんというと日本の性風俗の実態を体当たりで調査して軽快な文章で報告してくれることで人気があります。(最近は性風俗ライターでなくカラオケボックス歌手として活躍されているそうですが・・・。)そんな松沢さんの性風俗に関する集大成とも言える作品が本作品です。
 文庫本にして500ページ近くある超大作の本作品。あそこが大きい方が気持ちが良いのか、形と気持ちよさに関係はあるのか、オーガズムとはどういう状態を指すのかなど、誰しもが興味ある性器とセックスにおける快楽の関係性についてひたすら書かれています。
 戦前の文献から学者の書いた研究書、そして週刊誌の記事に至るまで、膨大な数の性に関する資料の内容が正しいかどうか、風俗関係の女性へのインタビューや自身・友人の経験を重ね合わせることによって検証していきます。そして、巷に広まっている性に関する常識の間違いを明らかにしていきます。
 こういう研究だと著者の経験だけで主観的に書かれることが多いのですが、本作品はフィールドワークを丁寧に行い客観的に検証されています。その為、読んでいて参考になります。セックスを楽しむには、あそこだけ素晴らしくても勿論ダメだし、技術だけあってもダメだし(ないよりあった方がいいでしょうが・・・。)、愛だけあってもダメ。(でも思いやりがないセックスは最低。)ではセックスを楽しむために何が必要か?それが知りたい方は本作品を読んで下さい!
 性に興味のある人も、性に興味のない人も一度は読んで損しないと思いますよ!

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2007年7月30日 (月)

『インディアスの破壊についての簡潔な報告』街を捨て書を読もう!

『インディアスの破壊についての簡潔な報告』 著:ラス・カサス 岩波文庫
Indias  今回紹介する本はアメリカ大陸に侵入したスペイン人たちによるアメリカ先住民の虐殺が記録された書物『インディアスの破壊についての簡潔な報告』です。
 著者のラス・カサス(1484-1566)はスペインの聖職者で、<当時スペイン国家が進めていた新大陸における植民地政策に伴う、先住民に対する残虐行為を告発して物議を醸した人物です。
 私がこの記録を読んだのは大学生の時でしたが、その時は大変衝撃を受けました。
 コロンブスが1492年に新大陸を発見したことは世界史の中で有名な出来事ですが、その後に新大陸で起こった悲劇に関しては余り知られていません。
 コロンブスの新大陸発見後、多くの白人が利益を求めて侵入し、邪魔な先住民を大量虐殺していきました。
 またスペイン国王は新大陸を自国の植民地にすべく、生き残った先住民たちに強制的にキリスト教化する義務を負わせると同時に、侵略者たちに労働力として一定数のインディオを使役する許可を公式に与えました。これが奴隷制を合法化してしまい更なる悲劇を生むことになりました。

 この本は目を背けたくなるようなスペイン人たちによる先住民虐殺の様子が淡々と描かれています。男、女、子ども関係なく、無慈悲かつ残酷に虐殺していく様は読んでいて吐き気を催すほど惨たらしいです。先住民を同じ人間とは思わず。劣ったモノとしか見ないスペイン人たち。その姿は人間という生き物が内に秘める凶暴性の恐ろしさを読む者に印象づけます。別にこの本で描かれているスペイン人たちだけが非人間的なわけでなく、ナチスのホロコーストや日本の東アジア侵略、アメリカの原爆投下など人間の歴史を振りかえると、どの時代、どの国の人間も争いの中で非人間的な行為をしており、人間の持つ深い闇であり、乗り越えていくべき業であるとも言えます。

 私はこの本を読み、歴史を学ぶ時には様々な視点から見つめていく必要があることを痛感しました。ヨーロッパ側から見たら新大陸発見も、元々そこに住んでいた人々から見たら侵略にしか過ぎないということに気付かせてくれました。

 また、この本で記録されていることは今から500年以上前の出来事ですが、決して遠い過去の話ではなく今も続いている話しです。武力や文明の力を持って、力のない国や民族を侵略する悲劇は現代も世界のあちこちで続いています。この本は現代を生きる私たちにも重い問いかけを投げかけます。

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2007年7月15日 (日)

『出発点―1979~1996』街を捨て書を読もう!

『出発点―1979~1996』 著:宮崎駿 徳間書店
Syutupatuten  今回紹介する本は日本を代表するアニメ監督・宮崎駿の1979年から1996年までの企画書・演出覚書・エッセイ、講演・対談等を90本以上収録した『出発点―1979~1996』です。
 この本には宮崎駿のアニメや仕事そして人生に対する考え方から、好きな本や興味のあること、そして自分のアニメに込めた思い等がぎっしり詰まっており、非常に読み応えがあります。

 私がこの本に出会ったのは大学生の時でしたが、この本を読んで私は宮崎アニメに対する見方が大きく変わりました。宮崎監督がそれぞれの映画に込めた熱い思いや細かい裏設定。それを知った上で映画を見ると、今まで以上に味わい深いものがありました。

 またそれと同時にこの本の中で語られる宮崎駿監督の仕事に対する姿勢や自然や子ども対する熱い思い、そして人間や歴史に対する独自の視点は学ぶべきことが多く、自分の人生観や生き方に大きく影響を与えてくれました。

 宮崎アニメが好きな人にぜひ読んで欲しい一冊です。
 

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2007年5月12日 (土)

『不運より脱出する運命の法則―あなたは必ず幸せになれる』街を捨て書を読もう!

『不運より脱出する運命の法則―あなたは必ず幸せになれる』 著:中川昌蔵 文芸社
Nakagawa  今回紹介する本はこの世界の法則と幸せになるための方法をスピリチュアルの視点から説いた『不運より脱出する運命の法則』です。
 私がこの本にめぐり会ったのは作家の佐藤愛子さんが自らの心霊体験を語った本『私の遺言』の中で中川氏のことを紹介していたからでした。 
 
 中川氏は大阪の家電量販店の経営をしていたのですが、60歳のときに謎の病に罹り臨死体験をします。その時に向こうの世界の住人から自らに与えられた使命を気付かされて生き返り、残りの人生を人々の魂の向上をはかる使命を果たすために費やすことにしたそうです。中川氏は2002年にお亡くなりになったのですが、生前に唯一書かれた本が今回紹介している『不運より脱出する運命の法則』です。

 この本はスピリチュアルの世界に興味のある人は絶対に読んで損はないと思います。私もスピリチュアルの世界に興味を持ってから、様々な本を読んできましたが、この本が一番共感するものがありました。
 この世界の大いなる法則や人間の運命がいかに形成されるか、そして「この世」と「あの世」が如何に繋がっているか、様々な喩えを用いて分りやすく納得する形で説明しています。
 
 特に私がなるほどと思ったのがアインシュタインの相対性理論を用いて、仏教の教えである「色即是空、空即是色」の思想を説明しているところです。物質とエネルギーの等価性を説いた相対性理論を使って、物質としての肉体とエネルギーとしての魂の関係性を簡潔に説明しています。
 さらに物質とエネルギーが等しいように、人間の想いと現実が等しくなることを説き、マイナスのイメージはマイナスの現実を生み出してしまうので、プラスのイメージをしっかりともって生きることの大切さを読者に訴えます。
 
 中川氏はこの本の中で人間の一生はお芝居のようなものであり、どんな台本をもとにするかで一生は大きく変わると説きます。
 また人間の肉体をパソコンのハードだとすれば、どんなソフトをいれるかで、その人の一生は大きく変わると説きます。そして幸福になるためのソフトを入れることが大切であり、そのためのソフトとして「幸福になるためのソフト」を提唱します。
 このソフトはとてもシンプルなものであり、次の5項目を心に刻みつければ良いそうです。
 「今日一日 親切にしようと想う」

 「今日一日 明るく朗らかにしようと想う」

 「今日一日 謙虚にしようと想う」

 「今日一日 素直になろうと想う」

 「今日一日 感謝しようと想う」

 この5項目を意識せずに実行したときに人は幸せになるそうです。己への謙虚さと他者へのいたわり、そして活かされている喜びと感謝を常に持って生きる。別に宗教団体にお金を寄付する必要も、苦しい修行をする必要もないそうです。幸せは遠くにあるのでなく、ごく身近にあることにこの本を読むと気付かされます。

 この本を読んで私は「未来を変えるためには、今を変えるしかない」というごく当たり前のことを改めて認識することができました。
 
序章 運命の10則
第1章 大自然の法則が運命の原点
第2章 あなたにも特殊能力がある
第3章 波動が幸・不幸を決める
第4章 人間の主体は魂です
第5章 あなたが作る、あなたの運命
第6章 見える世界と見えない世界
第7章 神と人間
第8章 ミレニアムと新創世紀

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2007年5月 6日 (日)

『セックス障害者たち』街を捨て書を読もう!

『セックス障害者たち』 著:バクシーシ山下 幻冬舎文庫
Sex  今回紹介する本は『女犯』シリーズなど過激な作風で知られているアダルトビデオ界の鬼才・バクシーシ山下の撮影記録『セックス障害者たち』です。
 彼の監督した作品はどれも一般的に変態と呼ばれる人たちや社会的な落ちこぼれが出演していることが多いのですが、この本ではそのような人たちの撮影現場での生々しい姿を淡々とした筆致で描いていきます。

 過激な作品を撮る監督なので、ものすごいアナーキーな芸術肌の人かと思っていたのですが、この本を読む限りは至って冷静な普通の人という印象を受けます。
 ただこの本に登場するビデオに出演している人たちは普通ではありません。(まあ普通とは一体何を基準に指すのかは、非常に相対的かつ曖昧なものではありますが・・。)タブーを破る快感に目覚めた人間たち。そんな人たちのアブノーマルなセックスを淡々とカメラに収める監督。
 この本を読むと、理性的な人間の奥に潜む本能や欲望の奥深さや多様さに感嘆します。セックスという生殖行為にそれ以上の価値や快感を求める人間という生き物。そんな人間という生き物に対して、この本を読むと愛着が湧いてきました。
 

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2007年4月12日 (木)

『ホビットの冒険』街を捨て書を読もう!

『ホビットの冒険』 著:J.R.R.トールキン 訳:瀬田 貞二 岩波書店
Hobitt  今回紹介する本はファンタジー小説の傑作『ホビットの冒険』です。
 この作品は『指輪物語』の前日譚にあたります。『指輪物語』は『ロード・オブ・ザ・リング』として映画化され、日本でも大ヒットをしました。この作品では映画の第一部冒頭で登場していたフロドの叔父にあたるビルボ・バギンズが主人公として活躍します。映画でもビルボが指輪を拾う経緯が少しだけ紹介されていましたが、この作品ではビルボがゴラムからどう指輪を奪ったかが詳細に描かれます。
 また『指輪物語』でおなじみの魔法使いガンダルフも登場し、ビルボの冒険の手助けをします。
 『ロード・オブ・ザ・リング』を見たことある人や『指輪物語』を読んだことある人がこの作品を読むと非常に楽しめる作品です。また児童文学として書かれているので、『指輪物語』と比べると大変読みやすいです。
 
 主人公のホビット「ビルボ・バギンズ」は魔法使いのガンダルフに誘われて、13人のドワーフ達と邪竜スマウグに奪われたドワーフの財宝を取り返すためにはなれ山を目指して冒険の旅に出ます。トロルやゴブリン、巨大な蜘蛛などに襲われながらも、何とか勇気と知恵を持って危機を乗り越えるビルボと仲間たちの姿が生き生きと描かれていきます。

 この作品は最初は奪われた宝物を取り返しに行くだけの単純なストーリーのように思うかもしれませんが、後半は予想外の展開になります。私も始めて読んだときは後半のスケールの大きな展開に釘付けになったものでした。宝を求めた結果、引き起こされる争いの悲しみがこの作品では描かれます。他の勧善懲悪のファンタジー小説にはない深みと面白さがこの作品にはあります。
 またこの作品で登場する姿を消すことができる指輪が、将来中つ国を揺るがすことになるとはビルボもガンダルフもきっと思っていなかったでしょうね。
 
 この作品も『指輪物語』と同じく映画化の話が持ち上がっています。しかし、『ロード・オブ。ザ・リング』を監督したピーター・ジャクソンは製作スタジオと対立しており、監督を降ろされました。今候補としては『スパイダーマン』のサム・ライミがあがっています。個人的にはピーター・ジャクソンに監督してほしいのですが、どうなるでしょうね。

 『ホビットの冒険』は子どもから大人まで誰が読んでも楽しく、味わい深いファンタジー小説の傑作です。ぜひ読んでみてください!

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2007年2月12日 (月)

『童夢』街を捨て書を読もう!

Doumu 『童夢』 著:大友克洋 双葉社
 今回は『AKIRA』の大友克洋のもう一つの代表作『童夢』を紹介したいと思います。この作品は1983年に発表されたのですが、今見てもその完成度の高さに圧倒されます。
 ストーリー:「どこにでもあるような団地で起こる住人の変死。その裏んには超能力を持った老人の存在があった。そんな団地に超能力を持つ少女が引っ越してくる。少女は変死が老人の仕業であることを見抜き、老人に戦いを挑む。」
 『AKIRA』に比べるとスケールも小さく、短い話しです。しかし、起承転結がしっかりしており、前半の団地の変死を巡るサスペンスから、後半の団地を舞台にした老人と少女のドハでな超能力バトルまで一気に読ませてくれます。
 
 この作品の最大の面白さは、団地という日常見慣れた場所を舞台に、非日常的な話しが展開するところにあります。特にありふれた団地の上空を老人と少女が縦横無尽に飛び回る絵は強烈なインパクトがありました。
 私はこの作品を見てから、近くの集合団地を見るたびに、ここで『童夢』みたいな話しが展開したらどうなるかを空想してしまう癖がついたくらいです。

 大友作品の特長として緻密な描きこみと映画のような構図などが挙げられますが、この作品も団地の写実的な描写や後半の超能力バトルの躍動感と緊張感溢れる描写など、大友さんの才能がひしひしと感じられます。

私はこの作品を読み返すたびに、一度実写で見てみたいという欲望に駆られます。実際にハリウッドでの制作も検討されていたようです。しかし、この原作自体があまりにも映画的すぎるので逆に映画化するのは難しいかなとも思ってしまいます。

 日本のマンガを語る上でこの作品は外すことができません。ぜひマンガ好きな方は一度読んでみてください!

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2007年2月11日 (日)

『AKIRA』街を捨て書を読もう!

『AKIRA』 著:大友克洋 講談社
Akiramanga  今回紹介する本は日本の漫画史に名を残す近未来SF青春漫画『AKIRA』です。1982年から1990年にかけてヤングマガジンで発表された『AKIRA』は連載当時から大変話題になりました。今までの日本の漫画には見られない緻密な背景描写、スケールの大きなストーリー展開、個性的な登場人物たちの活き活きとした姿など、他の漫画を遥かに凌駕する完成度を誇っています。特に東京の街が崩壊していく様子の緻密な描写は圧巻で、まるで映画を見ているような迫力があります。

 私は漫画より先に映画から『AKIRA』の世界に入ったのですが、映画版『AKIRA』を見たときは今までのアニメにはなかった緻密な作画と背景に圧倒されたものでした。映画を見た後、原作が気になり単行本を買い揃えて読んだのですが、あまりの面白さに1日で読破したものでした。
 
 映画では駆け足だったストーリー展開もじっくりと語られており、映画では端役だった登場人物が実は重要な人物だったりして読み応え満点でした。映画は1巻から3巻までと6巻をつなぎ合わせたようなストーリーですが、原作はさらに崩壊した東京の街でのAKIRAを巡る激しい争いが描かれており、映画よりもスリリングかつパワフルなストーリーが展開していきます。
 『AKIRA』は日本のマンガを語る上で外せない作品です。ぜひ一度読んでみてください!
 
 

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2007年2月 8日 (木)

『ブッダの人と思想』街を捨て書を読もう!

『ブッダの人と思想』 著:中村元・田辺祥二・大村次郎(写真) NHKブックス
Budda  ブッダの人生と思想を分かりやすい言葉で説明した『ブッダの人と思想』。この本は仏教に興味のある人にとってはお薦めのテキストです。
 約2500年前にインドで生まれた仏教。開祖であるブッダは裕福な家庭で生まれたものの、25歳で出家し、35歳で悟りを開きました。その後は、常に怠りなく一生努め続けて「法の道」を歩みました。
 ブッダの思想は人間の持つ欲望と苦悩に焦点を当て、如何に欲望や苦悩から自由になるかを説きます。人間と言う存在に巣くう「無明煩悩」(人生の事物の真相や固定的なものはなにもない(無我)という事実に無知が故に、心身を乱し悩ませ、正しい判断をさまたげる心のはたらき。)を如何に克服し、平安を得るか。ブッダは一生をかけて、その課題に真摯に挑みました。
 
 ブッダの教えは欲望を追及する現代社会の歪みや閉塞を正すたのヒントが示されており、現代人にとっても学ぶべきことが数多くあります。
 欲望に振り回されず、穏やかに生きるために、ぜひ多くの人にこの本を読んで欲しいです。

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『ありがとう』街を捨て書を読もう!

『ありがとう』 著:山本直樹 小学館
Arigatou  家族とは何かを真正面から描いた傑作マンガ『ありがとう』を今回は紹介します。
 この作品の原作者である山本直樹は成人向け漫画でデビューして、一躍人気が出ました。山本作品の大きな特徴として露骨な性描写と人間の弱さや脆さに焦点をあてたストーリー展開があります。彼の作品は居場所を見失った人間たちが居場所を探し彷徨う展開の作品が多いです。
 彼の作品は完成度の高さの割りに、過激な描写が多いために有害指定を受けている作品も多く、認知度や売り上げは今ひとつです。
 そんな彼の代表作である『ありがとう』はイジメ・ドラッグ・新興宗教・監禁・若者たちの非行など現代日本社会を取り巻く問題を上手く取り込みながら、「父親の役割とは?」、「家族の役割とは?」を読者に問いかけます。
 
 私がこの作品をはじめて読んだときは、前半部分のあまりにも過激な性描写と暴力描写に圧倒されてしまいました。しかし、読み進めば進むほど、この作品が単なる過激な描写を売りにしている作品でなく、現代の家族の問題について真面目に考察した作品であることが分かり、ラストにいたっては爽やかな感動させ覚えました。
 崩壊した家庭を何とか立て直そうと孤立奮闘する父親。しかし、父親が頑張れば頑張るほど崩壊していく家族。その描写には近代家族の家父長制の敗北が感じ取れました。
 また家族と言う集団が所詮他人の集まりであり、そんな集団を家族の絆や愛と言う幻想で何とかつなぎとめようとして限界があることをシニカルに描きます。家庭は家族にとって安住の居場所になるとは限らず、むしろ苦痛すら与えてしまう場所であることをこの作品は訴えます。

 家族について考えたい人、家族に嫌気がさしている人、家族に幻想を抱いている人はぜひこの作品を読んでみてください。価値観が変わると思いますよ。

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2007年1月12日 (金)

『私の遺言』街を捨て書を読もう!

『私の遺言』 著:佐藤愛子 新潮社
Yuigon  今回紹介する本は作家の佐藤愛子さんが体験した驚くべき超常現象に関する記録と現世と霊界との関係が述べられた『私の遺言』です。
 皆さんは死後の世界があるとお思いでしょうか?私は小さいときは死後の世界をずっと信じていました。私の母が霊感があり幽霊を見たという話しを頻繁にしていた影響もありましたし、私自身も一度だけ小学校の時に兵隊の幽霊に遭遇したことがあります。小さいときは多くの人は死ぬとこの世とは違う別の世界にいくものだと思っていました。そして、この世界に未練のあるものだけが、この世とあの世の狭間で彷徨い、生きている人の前に幽霊として現れるものだと考えていました。
 しかし、高校に入り、唯物論の本を読むようになってから、死後の世界は人間が創り出したものであり、全ての人は死ねば無になり土へと還ると考えるようになりました。それからは幽霊という存在も否定する立場になっていたのですが、最近は私の周りでいろいろあり、再び死後の世界や幽霊という存在を信じる立場に戻りました。
 今回紹介する『私の遺言』は著者が56歳から26年にわたって体験された様々な霊現象について書かれています。北海道に別荘を購入されてから、物が勝手になくなったり、動いたり、誰もいないところから物音がしたりと著者の周りでおこる不思議な現象。中盤まではあまりにも壮絶な霊現象の話しばかりで、怖くて背筋が凍りました。このような状況に耐えられた著者は本当に強い人だと思います。
 霊現象の理由を探るために数多くの霊能力者とめぐりあう著者。何とその霊能力者の中にはオーラの泉で有名な江原さんや美輪さんなども登場します。この本を読んで、改めて江原さんや美輪さんの霊能力の高さや素晴らしさを思い知らされました。
 霊能力者との関わりの中で見えてくる著者の前世や因縁、そして業(カルマ)。著者は霊現象と向き合う中で死後の世界というものが如何に現世に影響を与えているか、また現世がいかに死後の世界に影響を与えているか知ることになります。著者は自分に課せられた業や因縁というものを受け入れ、自分に与えられた使命というものに気付きます。
 本の後半は著者の霊体験の話しから、現在の日本や世界をとりまく邪悪な霊の憑依の話しに広がっていきます。荒廃した現代人の精神の裏に潜む邪悪な霊の存在。今こそ現代人は自らに課せられた業を解き放つべく、精神性を高めていく必要があると著者は訴えます。欲望に身を委ねず、絶えず自分を律し生きることの大切さに気付かされます。

 この本を読んで、私は人生観が大きく変わりました。ここまで読んだ後に生き方を考えさせられる本はなかなかありません。この本に書かれていることを最初は半信半疑に思う人もいるかもしれませんが、読み進むに従って、著者の気迫が伝わり、信じざる得なくなります。ぜひ多くの人に読んで欲しい中身の濃い一冊です。
  

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2006年11月21日 (火)

『失敗学のすすめ』街を捨て書を読もう!

『失敗学のすすめ』 著:畑村洋太郎 講談社文庫
Hatakemura   失敗って誰でも嫌で、隠したいものですよね。日本ではどうしても失敗というと恥ずかしいものとしてマイナスイメージとして捉えがちです。しかし、「失敗は成功の母」という言葉もあるように失敗は決して悪いことではありません。失敗は成功への近道であり、社会技術の発展のための大きな原動力となります。
 この本は失敗をどのように活かすべきか、そのノウハウが書かれています。著者はもともと東大で機械工学を教えている教授で、機械の設計を行う際に必要な知識や技術をどのように教えるか考える内に失敗の重要性を認識し、失敗学という学問の必要性を感じたそうです。
 著者は失敗を「人間が関わって行うひとつの行為が、はじめに定めた目的を達成できないこと」とまず定義します。その上でさらに「良い失敗」と「悪い失敗」とに分けて考えていくことを提案します。「良い失敗」とは未知との遭遇による人間にとって不可避な失敗であり、「悪い失敗」とはシステムの硬直化やマニュアルに頼りすぎた人間の怠慢による失敗であると著者は説明します。そして、良い失敗の場合は物事の新しい側面を発見することが大切であり、悪い失敗の場合はどう回避していくかを常に考えていくことが大切であると説きます。
 その上で、過去の失敗をどう活かしていくか、そして同じ失敗を繰り返さないためにどうしていくべきか、その対策方法を幾つか提案しています。失敗をどう周囲に伝えていくか、失敗をどう成功へと活かしていくか、そしてどのような組織で失敗が起きやすいのか、著者は様々な実例を挙げて、具体的に解説しています。
 失敗は避けたいものですが、それでもなお失敗してしまった時、その失敗をどう活かしていくか?この本には失敗を肯定的に受け止めるヒントが数多く載っています。

 

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2006年11月 7日 (火)

『人生の教科書 よのなかのルール』街を捨て書を読もう!

『人生の教科書 よのなかのルール』 著:宮台真司・藤原和博 ちくま文庫
Rule  今回紹介する本はブルセラから天皇まで語る気鋭の社会学者・宮台真司とリクルート退社後に民間人初の公立中学校長となり注目を集めた藤原和博が手がけた全く新しい社会の教科書『人生の教科書 よのなかのルール』です。
 この本は「自殺」「少年犯罪」「受託」「仕事と給料」「結婚と離婚」「クローニング」「ドラッグ」等、学校の授業では習うことの出来ない社会のルールがわかりやすく書かれています。この本で語られるテーマ自体は世の中の当たり前のことが多いのですが、知っているようで意外に知らないことが多いことを気付かせてくれます。なぜ人を殺してははいけないのか?なぜドラッグは禁止されているのか?など常識の裏側にある理由をこの本は明快に説明してくれるので読んでいて目から鱗が落ちます。もしこの本を中学生の時に読んでいたら人生大きく変わっていただろうなと思いました。
 著者2人は成熟した社会を支える市民を育成するために作成したそうです。高度経済成長期のように豊かになることが多くの国民にとって目標となっていた時代は終わり、多くの人が社会の中で生きる目標を見失った時代。豊かさの代償として家族や地域という共同体が崩壊した時代。日本の社会は「皆同じ仲間」という横並びの社会から、「皆違う他人」という個別化多様化した社会に変わってきました。そんな多様化・複雑化した社会の中でどう個人としてとして生き抜いていくか、その重要なヒントがこの本には書かれています。 
 最近、教育基本法の改正や高校の履修不足など教育に関する話題が大きく注目されています。この本を読むと現在の日本の教育に足りない部分が何なのかよく分かると思います。
 この本は中学生から大人まで、成熟した社会で生きる多くの人にぜひ読んでほしい人生の教科書です。

*目次
・なぜ人を殺してはいけないのか
・第1部 大人と子どものルール
大人、子ども、その境目はどこに?
少年をとりまく犯罪とルールの関係
あなた自身と犯罪の危ない関係)
・第2部 お金と仕事のルール(大人はなぜ「接待」をするのか
1個のハンバーガーから世界が見える
自分の家から日本が見える
仕事とキャリアを考えると人生が見えてくる)
・第3部 男と女と自殺のルール(性転換をめぐる、男と女としあわせのルール
結婚と離婚と子どもをめぐるルール
自殺から見える社会―ある監察医のつぶやき)
意味なき世界をどう生きるか?

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2006年10月27日 (金)

『大猟奇』街を捨て書を読もう!

『大猟奇』 著:唐沢俊一(作)、ソルボンヌK子(画)  幻冬舎文庫
Ryouki  今回紹介する本は心臓の弱い方にはお勧めできない世界各地のエログロな話題を集めた悪趣味漫画エッセイ『大猟奇』です。
 この本の作者の唐沢俊一はフジテレビの『トリビアの泉』のスーパーバイザーを務めた雑学王です。この本はそんな作者のエロ・グロ・猟奇的殺人に関する知識を披露した素晴らしく悪趣味な本です。寄生虫、ゲテモノ食い、ハードSM、屍姦、猟奇殺人と紹介される実話のエピソードはどれも鳥肌が立つほど気持ち悪く、嫌悪感を抱くものばかりです。この本を読んでいると、人間のアンダーグラウンドな一面にただただ驚愕すると同時に、人間っていう生き物の奥深さを改めて認識させられます。
この本は最初読んだときは怖いもの見たさで読んでいたのですが、何回か読み返す内に人間の哀しい性みたいなものすら感じるようになりました。登場する変態さんや殺人者の行動はどれも反倫理的・反道徳的であり、決して社会的に共感されるものではありません。しかし、彼らの行為はまたとても人間臭いものをを感じます。彼らの一般的には愚かとされる行為や理解されない行為に人間の切なさや滑稽さ、そして愛おしさすら感じました。
 この本は誰でも読んで楽しめるようなものではありませんが、好奇心旺盛な人や人間の奥深さについて知りたい人には是非読んで欲しいです。
*内容
F脳天気
ウワサの真相
悲しい死体
王様のレストラン
イカレたハートで
万病に効く死体
戦中戦後紙芝居集成
青春人生相談
潔癖症
日本屍姦史〔ほか〕

Ryouki2  ちなみにこの本には続編『世界の猟奇ショー 』(幻冬舎文庫)があり、そちらも併せて読むことをお薦めします。
 

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2006年10月21日 (土)

宮崎学の本

 私の尊敬する作家に宮崎学がいます。彼は自分のことをアウトロー作家と呼び、国家権力や戦後民主主義に鋭い批判を投げかける一方、ヤクザなどのアウトローへ親近感を寄せる文章を数多く発表しています。
 彼は1945年京都のヤクザの組長の下に生まれ、早稲田大学時代は共産党に入り、ゲバルト体調として数々の活動を指揮するも、共産党に幻滅し脱退。『週刊現代』の記者として何年か過ごした後に、実家の解体業を継ぎ、バブル時代は地上げ屋などもしていたそうです。しかし、解体業が上手くいかず倒産し、莫大な借金を抱えたそうです。森永・グリコ事件の時は重要参考人として警察にマークされた時期やヤクザに銃で腹を撃たれる等数々の修羅場をくぐり抜け、自伝的作品『突破者』でデビューして、ベストセラー作家になります。その後は、裏社会の実態や国家権力に対する批判を書いたノンフィクションや伝説的アウトローを描いた小説を数多く発表しています。近年、『近代の奈落』という被差別部落解放運動を追ったルポにて自らが被差別部落出身であることを発表し話題になりました。
 私が彼の作品と初めて出会ったのは大学生の時でした。その当時は左翼に傾倒しており、マルクス主義の本や国家権力を批判する本をいくつも読んでいました。その当時は革命を起こして国家が変われば、日本という国家は変わるのでないかと真剣に思っていた時期であり、左翼の運動にも積極的に関わっていました。しかし、左翼の運動家の人たちの組織的(レーニン的)な運動の仕方に疑問を感じてもおり、自分がしていることが本当に正しいことか迷っていた時期でもありました。そんな時期にたまたま彼の本を手に取る機会があり目から鱗が落ちたものでした。彼は元共産党党員でありながら「市民」や「党派性」へ批判的であり、組織的な運動の限界について語っており、まさしく当時の自分が疑問に思っていたことへの答えを得ることが出来て救われたものでした。それ以降、私はあくまでも個を出発点として、アウトロー的に闘っていこうと決めたものでした。
 現在、私は彼の本が出るたびに欠かさず買って読ませてもらっています。彼の本はどれも国家や市民社会に対して厳しい批判を投げかけてる一方、そんな混沌とした時代の中で個人がどう生きていくべきか読者に問いかけます。彼は現代に蔓延する合理主義やクリーンな全体主義を否定すると同時に、どこまでも個を貫き、個として闘うことを読者に訴えます。そんな彼の主張は私にとって大きな励ましです。
  
 私のお薦め作品Best3
 3位『叛乱者グラフィティ 』
Manabu1  60年代の学生・若者による運動は何を意味していたのか? 当時活躍していた運動家たちを招き、当時の様子や現代の社会について熱く語り合います。巻末には中核派にスパイとして疑われた作者の反論も掲載されています。

 2位『近代の奈落』
Manabu3  全国各地の部落を訪ね、運動家に会い、かつてその地で激しく闘いつつ悩み葛藤した、姿をいきいきと描いたルポタージュ。部落問題を通して近代日本とは、部落解放運動とはなんだったのかを読者に問いかけます。

1位『突破者―戦後史の陰を駆け抜けた50年』
Manabu2  ヤクザの組長の息子として生まれ、学生運動に身を投じ、雑誌記者を経て全国指名手配。グリコ・森永事件で犯人「キツネ目の男」に擬された男・宮崎学の自伝的作品。この本を読めば宮崎学が分かります。

宮崎学公式サイト http://miyazakimanabu.com/

宮崎学が責任編集しているサイト『直言』http://web.chokugen.jp/miyazaki/cat69319/index.html


  

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2006年10月10日 (火)

『感動をつくれますか?』街を捨て書を読もう!

『感動をつくれますか?』 著:久石譲 角川ONEテーマ21
Hisaisi_joe_book  今回紹介する本は宮崎駿監督や北野武監督の映画音楽を手がけた日本一有名な映画音楽家・久石譲が自らの仕事の仕方や音楽に対する考え方を語った『感動をつくれますか?』です。
 久石譲は若い頃はミニマルミュージックの作曲家として活躍し、『風の谷のナウシカ』で映画音楽家としてデビューしました。その後は数多くの映画音楽やCM曲を手がけ、日本を代表する作曲家になりました。
 この本では久石さんの映画音楽家、作曲家としての仕事の仕方が明快に書かれています。著者はこの本の中で自分を自己満足の芸術家としてでなく、多くの人に楽しんでもらうことで生計を立てる街中の音楽家だと言います。そしてプロの音楽家として、どういう姿勢が必要かを説きます。
 「優れたプロは継続して自分の表現をしていける人」
 「気分の波に揺るがされないような環境作り」
 「第一印象を大切にする」
 「質より量で自分を広げる」
 「95%の論理的思考と5%の感覚的ひらめきが大切である」
 この本で書かれていることは作曲家としてだけでなく、他の業界の仕事においても大切な姿勢であり、誰が読んでも非常に参考になります。
 
 また著者の映画音楽制作の裏話や映画音楽の魅力なども書かれており、映画音楽の解説書としても楽しめます。宮崎監督や北野監督の音楽への姿勢や中国・韓国の映画制作の裏話はとても映画好きにはとても面白かったです。
 
 さらに後半はアジアを舞台に活躍する著者が感じた日本人の課題が述べられており、今日本人に必要な姿勢が提言されています。

 この本はとても読みやすく、多くの人にとって参考になることが書かれています。久石譲を知っている人も知らない人も、ぜひ読んでみてください。

 

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2006年10月 9日 (月)

『ブッタとシッタカブッタ』 街を捨て書を読もう!

『ブッタとシッタカブッタ』 著:小泉吉宏 メディアファクトリー21
Butta1_1  今回紹介する本は仏教思想や認知心理学の要素を取り入れ、人間の心とは何か?人生とは何か?幸福になるとはどういうことかを説く4コマ漫画『ブッタとシッタカブッタ』シリーズです。この本は悩み多きブタ・シッタカブッタの姿を通して、幸福や不幸や悩みの正体を探っていきます。シッタカブッタを導く師としてブッタ様が登場するのですが、ブッタ様は仏教の思想に基づき、幸せに生きるための物事の見方や考え方などを教えてくれます。
 私がこの本に出会ったのは10年前ですが、読んでいてハッと気付かせられるところが多い本でした。現在のあるがままを受け入れることの大切さ、人間の思いこみが生み出す苦しみ、欲望やこだわりが生む悲劇・・・。この本は穏やかに生きていくためにヒントがたくさんつまっています。
 物事はどう捉えるかによって全く変わってきます。自分の人生をどう捉えていくか、自分の人生をどう歩んでいくか、自分の人生の悩みに対する答えは自分自身の中にある。そんな当たり前のことに気付かせてくれます。
 この本は3作目までシリーズ化され、姉妹編である『ブタのいどころ』や『ブタのふところ』も発売されています。 気軽に読めて、心が軽くなるこのシリーズ。ぜひ多くの方に読んで欲しいです。

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