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2010年2月28日 - 2010年3月6日

『インビクタス/負けざる者たち』この映画を見て!

第292回『インビクタス/負けざる者たち』
Photo_2  今回紹介する作品はマンデラ大統領就任後の南アフリカで開催されたラグビーワールドカップを巡る実話をクリント・イーストウッド監督が映画化した『インビクタス/負けざる者たち』です。主演のモーガン・フリーマンとマット・デイモンはそれぞれ2009年度アカデミー主演男優賞と助演男優賞にノミネートされています。

ストーリー:「南アフリカ共和国では1994年にアパルトヘイト撤廃後初の全国民が参加した総選挙を実施。そしてアパルトヘイトに反対して27年間投獄されたネルソン・マンデラが初の黒人大統領に就任する。しかし、白人と黒人間の人種差別や経済格差は以前と残り続け、国家自体が非常に不安定な状況だった。そんな中、マンデラ大統領は95年に南アフリカで開催されるラグビーのワールドカップを国民の和解と融和の機会にしようと南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」に目をつける。負け続けで国民からも不人気だったスプリングボクスの主将フランソワ・ピナールをマンデラ大統領は官邸に招き、ラグビーで国民をまとめたいという思いを語る。マンデラの思いに感銘を受けたピナールはW杯優勝を目指してチームを強化しようと励み始める。」

 ここ最近公開される作品全て傑作のクリント・イーストウッド監督。今回もまたまた傑作を生み出してくれました。実話でスポーツものという下手すると安っぽいお涙頂戴のドラマになりがちな素材ですが、そこはイーストウッド監督。抑制された手堅い演出で見事にまとめあげ、希望に満ちた爽やかな感動作に仕上げてくれました。マンデラ大統領のことは南アフリカ初の黒人大統領でノーベル平和賞をとった人くらいの知識しかなかった私にとって、本作品は彼の偉大さを知る貴重な機会でした。自分を監獄に送った白人を寛容に許し、スポーツを通して分断した国民を一つにまとめ上げようと奮闘する姿に政治家として、そして人間として感銘を受けました。権力を取ったからといって今までの敵を排斥せず、自らの中に取り込み共に歩もうとする姿に政治家としての器の大きさを感じると共に人や国をまとめるとはどういうことかを教えられます。日本の政治家にもマンデラ大統領を見習って欲しいものです。

 私は正直スポーツにはあまり興味ない人間でありますが、本作品を見てスポーツが持つ力や役割といったものを再認識しました。最初はいがみあっていた黒人と白人がラグビーを通して次第に打ち解けあう姿に私は見ていて自然と涙がこみあげてきました。スポーツは政治に非常に利用されやすく危うい面もありますが、マンデラ大統領はスポーツの力を最大限活用して良い方向に国を持っていったと思います。

 本作品の一番の見せ場は何と言ってもラストのワールドカップ優勝戦ですが、白熱の試合シーンと国民の観戦シーンを交互に見せる正攻法な演出でありながら、見ていて胸があつくなります。特にスローモーションで見せるシーンはラグビーというスポーツの躍動感と重量感を見事に表現していたと思います。

 現実はもっと複雑でドロドロした面もあったのでしょうが、そういう部分は敢えて描かず、ラグビーを通して国がまとまる姿だけを簡潔に描いたことが本作品の完成度を高めたと思います。また、マンデラ大統領役のモーガン・フリーマンの堂々とした演技はとても素晴らしく、本物の大統領みたいな風格がありました。

 70歳を超えて毎年ハイクオリティな作品を撮り続けるクリント・イーストウッド監督は本当に凄いです。本作品もまだ早いですが今年のベスト5に入る傑作だと思います。まだ劇場公開されていますのでぜひ興味ある方はご覧ください!

上映時間 134分
製作国    アメリカ
製作年度 2009年
監督:    クリント・イーストウッド   
原作:    ジョン・カーリン   
脚本:    アンソニー・ペッカム   
撮影:    トム・スターン   
プロダクションデザイン:    ジェームズ・J・ムラカミ   
衣装デザイン:    デボラ・ホッパー   
編集:    ジョエル・コックス   
    ゲイリー・D・ローチ   
音楽:    カイル・イーストウッド   
    マイケル・スティーヴンス   
出演:    モーガン・フリーマン   
    マット・デイモン   
    トニー・キゴロギ   
    パトリック・モフォケン   
    マット・スターン   
    ジュリアン・ルイス・ジョーンズ   
    アッジョア・アンドー   
    マルグリット・ウィートリー   
    レレティ・クマロ   
    パトリック・リスター   
    ペニー・ダウニー

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『エグゼクティブ・デシジョン』この映画を見て!

『エグゼクティブ・デシジョン』
Photo  今回紹介する作品はハイジャックされたジャンボ機を救出する米軍の特殊部隊の活躍を描いたアクション映画の傑作『エグゼクティブ・デシジョン』です。
 監督は『ダイハード』等のアクション映画の編集を手がけたスチュアート・ベアードが初メガホンを取っています。

 ストーリー:「アテネ発ワシントン行きのジャンボジェット機がテロリストたちにハイジャックされる。テロリストリーダーであるハッサンは指導者の今すぐの釈放を要求する。
米陸軍情報部顧問のグラント博士は機内にテロリストが世界一殺傷能力の高い神経ガスDZ-5を持ち込んでいる恐れがあると政府高官たちに警告する。アメリカ政府は化学兵器がワシントン上空で使われる事を恐れて、ハイジャック機撃墜の検討に入るが、軍事技術テロ対策特殊部隊のトラヴィス中佐はテロリストの制圧と乗客の救助のために軍の特殊部隊が空中からジャンボ機に乗り込む作戦を提案する。
そして、アメリカ領空内にハイジャック機が入る前にテロリストを制圧するために、トラヴィス中佐が指揮する特殊部隊とグラント博士は機内に潜入しようとするのだが・・・。」

私は本作品を始めてみたとき、スティーヴン・セガールの扱いに衝撃を受けました。
(ここからネタバレになりますので未見の方はご注意ください。)

あの有名なアクションスターであるセガールが映画の序盤でいなくなってしまいます。セガールがいなくなるとは正直予想もできず、どういう展開になるのか中盤以降は目が離せませんでした。緊迫感を高めるために監督がセガールをあのような扱いにしたのだとしたら、その目論見は見事に成功していると思います。

また、本作品のもう一つの特長として銃撃戦が終盤までほとんどなく、乗り込んだ特殊部隊がハイジャック犯を制圧までの作戦過程が綿密に描かれている点が挙げられます。頼りになる指揮官も失い、外部との連絡も遮断され窮地に追い込まれる特殊部隊。タイムリミットが刻一刻と迫る中、ジャンボ機という密室内でハイジャック犯に見つからないように部隊がチームワークで作戦を遂行していく姿は何度見ても手に汗握ります。

 132分と上映時間は長いですが、テンポ良く話しが進んでいきますし、それぞれのキャラクターが立っており、次から次に危機が訪れるので最後まで退屈しません。伏線の張り方も上手です。

 911のテロまでは、本作品のようにテロリストがジャンボをハイジャックしてワシントンを攻撃するなんて現実にありえない話しと思っていたのに、現実にそのようなことが起こるとは正直驚愕しました。現実がフィクションを越える世の中に複雑なものを感じます。

上映時間 132分
製作国    アメリカ
製作年度 1996年
監督:    スチュアート・ベアード   
脚本:    ジム・トーマス   
    ジョン・C・トーマス   
撮影:    アレックス・トムソン   
美術:    テレンス・マーシュ   
音楽:    ジェリー・ゴールドスミス   
出演:    カート・ラッセル   
    スティーヴン・セガール   
    ハリー・ベリー   
    ジョン・レグイザモ   
    オリヴァー・プラット   
    ジョー・モートン   
    デヴィッド・スーシェ   
    B・D・ウォン   
    J・T・ウォルシュ   
    レン・キャリオー   
    ウィップ・ヒューブリー   
    アンドレアス・カツーラス   
    メアリー・エレン・トレイナー   
    イヴォンヌ・ジーマ   
    ユージン・ロッシュ   
    デイ・ヤング

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