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2010年12月26日 - 2011年1月1日

『ポルノ時代劇 忘八武士道』この映画を見て!

第307回『ポルノ時代劇 忘八武士道』
Photo  今回紹介する作品は小池一雄・小島剛夕の同名原作をを日本映画の鬼才・石井輝男監督が完全映画化した『ポルノ時代劇 忘八武士道』です。

ストーリー:「“人斬り死能"と恐れられている明日死能は役人に追われていたが、吉原遊廓の忘八者に命を助けられる。“忘八者"とは、「孝、悌、忠、信、礼、義、廉、恥」を全て捨てた無法者で、人にして人に非ず、人たる姿を忘れた鬼畜外道の集りであった。明日は忘八者の仲間入りを勧められる。吉原の総名主・大門四郎兵衛に気に入れられた明日は客分として扱われる。
 この頃の江戸は湯女や茶屋女などの幕府非公認の性風俗が流行し、幕府の公認を受けている吉原は経営を圧迫されていた。それらをつぶす機会を狙っていた大門は明日を利用して湯女や茶屋女を潰す行動に出るのだが・・・」

 本作品は35年以上前の作品でありますが、今見ても強烈なインパクトがあります。長髪の丹波哲郎の切れのある殺陣、次々と登場する全裸の女性、そして激しく噴出す血と飛んでいく首や腕。エログロ・バイオレンスのオンパレードで一瞬たりとも目が離せません。

 ストーリーは荒唐無稽ではありますが、吉原などのセットは凝っていますし、江戸時代の性風俗の丁寧に描写していますし、時代劇に欠かせない立ち回りは迫力満点ですし、見ていて飽きません。
 登場する役者の演技やメイクも大変濃く、小池監督の演出もサイケでケレン味に溢れており、見る者を独特の世界に引きずり込んでくれます。

 私が一番印象に残ったシーンは主人公を助けるための女性たちが着物を着て火の中に飛び込み転げまわって消火活動をして、鎮火後に火照った体を冷やすために着物を脱いで素っ裸で水浴びをするところです。そのぶっ飛んだ演出とサービス満点の映像に見ていてお腹がいっぱいになります。

 また、『ウルトラセブン』のアンヌ隊員役で人気のある女優・ひし美ゆり子が惜しげもなく裸体を披露しており、ストーリーとは無関係な白人女性に対する拷問シーンを迫力満点に演じています。

 ラストのアヘンで意識が朦朧とした主人公が雪の降る中で彼を捕らえようとする幕府の人間たちを斬りまくるシーンは日本映画史に残るほどスプラッターな立ち回りが繰り広げられます。血が飛び、腕や首が水平に飛んでいく演出は残酷さを超えたカタルシスがあります。

 本作品はR18指定であり、18歳以下の方は見られませんが、カルト映画好きなら一度は見て損はないと思います。

上映時間 81分
製作国    日本
製作年度 1973年
監督:    石井輝男   
原作:    小島剛夕   
    小池一雄   
脚本:    佐治乾   
撮影:    鈴木重平   
美術:    吉村晟   
編集:    市田勇   
音楽:    鏑木創   
出演:    丹波哲郎   
    伊吹吾郎   
    遠藤辰雄   
    内田良平   
    久野四郎   
    深江章喜   
    ひし美ゆり子   
    相川圭子   
    池島ルリ子   
    一の瀬レナ   
    佐藤京一   
    原田君事   
    小林千枝   
    北川マキ   
    笹木俊志   

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『サバイバル・オブ・ザ・デッド』映画鑑賞日記

Photo  ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督が前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』に登場した脇役を主役に据えて製作した続編とも言える作品『サバイバル・オブ・ザ・デッド』。本作品はグレゴリー・ペック主演の傑作西部劇『大いなる西部』をモチーフにして、西部劇タッチのゾンビ映画に仕上がっています。

 本作品は前作で主人公たちの物資を略奪した州兵たちが主人公です。ゾンビを倒しながら生き延びていた主人公たちがゾンビのいない安全な島があると聞き、島を目指します。しかし、たどり着いた島は2つの一家がゾンビをめぐって抗争を繰り広げており、主人公たちも人間たちの不毛な抗争に巻き込まれていきます。 

 本作品は人間とゾンビとの激しい攻防戦を期待して見ると肩透かしを喰らいます。本作品はゾンビのいる世界を舞台にしていますが人間同士の愚かな争いに対して警鐘を鳴らす社会派作品です。人間世界が崩壊に近づいていても、主義思想の違いや欲望のために争い続け自滅していく人間たちの姿をシニカルに描いています。そういう意味ではロメロ監督らしいゾンビ映画です。
 また、西部劇をモチーフにしていることもあり、馬に乗っているゾンビが登場したり、銃による決闘シーンなども盛り込まれています。そういう意味ではクラシカルな仕上がりになっています。

 もちろんゾンビ映画に欠かせない残酷描写も満載ですし、『死霊のえじき』でも描かれていたゾンビを飼いならす描写もあります。個人的にはロメロ監督らしいゾンビ映画だったので最後まで飽きることなく見ることが出来ました。

 ただ、残念な点もいくつかあり、低予算のためかスケールが小さく、ゾンビの数も少なすぎます。セットや演出も所々チープな印象を受けました。また世界の崩壊を描いているにもかかわらず、終末感や緊張感といったものがあまり伝わってきません。また、ラストの馬をゾンビが食べるシーンは正直どうかと思いました。

 本作品は誰にでもお薦めできる作品とは言いがたいですが、ロメロ監督のゾンビシリーズが好きなら見て損はないと思います。

上映時間 90分
製作国    アメリカ/カナダ
製作年度 2010年
監督:ジョージ・A・ロメロ   
脚本:ジョージ・A・ロメロ   
撮影:アダム・スウィカ   
特殊効果メイクアップ:グレッグ・ニコテロ   
プロダクションデザイン:アーヴ・グレイウォル   
衣装デザイン:    アレックス・カヴァナー   
編集:マイケル・ドハティ   
音楽:ロバート・カーリ   
出演:    アラン・ヴァン・スプラング   
    ケネス・ウェルシュ   
    キャスリーン・マンロー   
    デヴォン・ボスティック   
    リチャード・フィッツパトリック   
    アシーナ・カーカニス   
    ステファーノ・ディマッテオ   
    ジョリス・ジャースキー   
    エリック・ウールフ   
    ジュリアン・リッチングス   
    ウェイン・ロブソン

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2010年劇場公開映画マイベスト5

 今年も数多くの映画が公開されました。そこで私が今年公開された映画の中で特に印象に残った&満足した映画ベスト5を紹介したいと思います。

5位『十三人の刺客』
Photo  1963年に工藤栄一監督が片岡千恵蔵を主演に製作した傑作時代劇を三池崇史監督が豪華キャストでリメイクした『十三人の刺客』。前半は稲垣吾郎演ずる暴君のこれでもかという極悪非道ぶりに、後半は13人対200人の激しい立ち回りに目が釘付けになり、2時間半近い上映時間があっという間でした。役者も豪華で、セットもリアルであり、三池監督の演出もエネルギッシュで見応え満点です。ここまで派手で面白い時代劇は久しくなかったので私としては大変満足しました。

4位『インビクタス/負けざる者たち』
Photo_2  マンデラ大統領就任後の南アフリカで開催されたラグビーワールドカップを巡る実話をクリント・イーストウッド監督が映画化した『インビクタス/負けざる者たち』。ここ最近公開される作品全て傑作のクリント・イーストウッド監督。今回もまたまた傑作でした。実話でスポーツものという下手すると安っぽいお涙頂戴のドラマになりがちな素材ですが、そこはイーストウッド監督。抑制された手堅い演出で見事にまとめあげ、希望に満ちた爽やかな感動作に仕上げてくれました。

3位『第9地区』
9  異星人を難民として受入れることになった南アフリカを舞台に、異性人を専用の居住区域に強制移住させる計画に関わった主人公が思わぬ事件に巻き込まれていくというストーリーのSFアクション映画『第9地区』。映画の前半はドキュメンタリータッチで人間と異性人の間で起こる摩擦や差別をシニカルに描き、中盤以降は主人公の逃亡劇がスリリングに描かれ、ラストは手に汗握るド派手なアクションが展開。一瞬たりとも画面から目を離すことが出来ません。

2位『インセプション』
Photo_3  クリストファー・ノーラン監督が10年ほど前から構想していた夢を舞台にしたSF超大作『インセプション』。夢が幾層にも重なっている複雑な設定と夢の中で繰り広げられる迫力満点のアクションの連続に圧倒される作品です。私は劇場で2回見たのですが、2回目の方がある程度ストーリーが分かった状態で見ているので、監督が随所に仕込んだ伏線の発見や主人公の妻に対する葛藤のドラマをじっくり味わうことが出来ました。メジャー系のハリウッド映画では久しぶりにクオリティが高い作品だと思いました。

1位『告白』
Photo_4  湊かなえの同名ベストセラーを『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督が完全映画化した『告白』。生徒に子どもを殺された教師の恐るべき復讐と子どもを殺した生徒の過酷な顛末をダークな映像と演出で描いています。私は原作未読で内容も良くを知らないまま、中島哲也監督の最新作ということで見に行ったのですが、衝撃的な内容と映画としての完成度の高さにスクリーンに釘付けになりました。人間の醜いエゴイズムや悪意そして脆さを真正面から描いており、後味も決して良くはないのですが、命の重さと人の心の闇について考えさせられる作品です。

・2009年劇場公開映画マイベスト5
・2008年劇場公開映画マイベスト5
・2007年劇場公開映画マイベスト5
・2006年劇場公開映画マイベスト5
・2005年劇場公開映画マイベスト5

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