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2010年10月10日 - 2010年10月16日

夜会 VOL.16『夜物語 本家・今晩屋

Photo_2  今年の冬は中島みゆきのファンにとってはコンサートツアーの年ですが、ツアー前に昨年に東京赤坂ACTシアターで公演された夜会『夜物語 本家・今晩屋』がDVD・ブルーレイとして発売されました。私は昨年の夜会は見逃しているのですが、その前の夜会『夜物語 元祖・今晩屋』は大阪シアターBRAVA!にて鑑賞していました。『今晩屋』は森鴎外の『山椒大夫』をモチーフに、輪廻転生や魂の浄化を描いた作品でした。私は生で見た時はみゆきさんのオーラと歌に圧倒され、肝心の話しの内容はいまいち掴みきれないままになっていたので、今回のDVDの発売はとても嬉しいです。

 私は発売日に購入して自宅で鑑賞したのですが、台詞や歌詞が完全字幕対応になっており、難解な言葉が多い今回の夜会を理解するにはとても助かります。台本もつくということで楽しみにしていたのですが、台詞と歌詞が載っているだけで残念でした。 

 さて、鑑賞しての感想ですが『本家』は『元祖』のリニューアル版ということもあり、いくつかの変更点が追加され話しは『元祖』より少し分かりやすくなっていました。それでも、『山椒大夫』を事前に読んでおかないと今回の夜会のストーリーを理解して味わうことはかなり困難かと思います。

 変更点で私が一番印象的だったのは『ほうやれほ』の追加の歌詞と『赦され河、渡れ』の場面で登場人物全員が赤い目隠しをして登場するところです。追加の歌詞により母の心情がより伝わってきましたし、全員が目隠しをして登場することで罪を背負っていることに気づかず彷徨っていたことが伝わってきました。

 今回改めて『今晩屋』を見直して、輪廻転生を繰り返す衆生たちの罪の自覚による魂の救済をみゆきさんは示したかったのだろうなと思いました。

 それにしても『十文字』から『天鏡』までみゆきさんの歌唱力は神懸り的な迫力があり、何度見ても鳥肌が立ちます。

 今回の夜会は難解で一度見ただけでは全てを理解しにくいですが、見れば見るほど発見があり、味わい深まる作品です。

・十二天(Instrumental)
・暦売りの歌
・百九番目の除夜の鐘
・夜をくだされ
・海に絵を描く
・旅支度なされませ
・私の罪は水の底
・逃げよ、少年
・百九番目の除夜の鐘
・愚かな禿
・らいしょらいしょ
・ちゃらちゃら
・憂き世ばなれ
・夜いらんかいね
・百九番目の除夜の鐘
・旅支度なされませ
・らいしょらいしょ
・都の灯り
・暦売りの歌
・幽霊交差点
・旅支度なされませ
・百九番目の除夜の鐘
・安らけき寿を捨て
・夜をくだされ
・有機体は過去を喰らふ
・私の罪は水の底
・有機体は過去を喰らふ
・らいしょらいしょ
・百九番目の除夜の鐘
・十文字
・ほうやれほ
・十二天
・紅蓮は目を醒ます
・赦され河、渡れ
・夜いらんかいね
・天鏡
・暦売りの歌(Instrumental)

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『真夜中の動物園』中島みゆきのアルバム紹介

中島みゆきのアルバム紹介No.10『真夜中の動物園』

Photo  今回紹介するアルバムは中島みゆき通算37枚目のアルバム『真夜中の動物園』です。3年ぶりのオリジナルアルバムですが、公式サイトには本アルバムに関して以下のようなコメントが掲載されています。
「あの『夜会』「今晩屋」シリーズをはさんで、3年ぶりにお送りする、オリジナル・ニュー・アルバム『真夜中の動物園』。魚類・鳥類・哺乳類………可笑しくて、トホホで、やがて愛しき、動物たちの、音楽図鑑。懐かしいのに、アグレッシヴ。繊細なのに、プリミティヴ。心に沁みるソフトロックの真骨頂。」

 ハリネズミにサメに鷹と動物の名前がタイトルについた歌が多いので一体どんな歌なのか発売前から私はあれこれ想像していました。
 ここ最近のアルバムはメッセージ性が強い直球勝負な歌が多かったので、今回はタイトルだけ見て少し変化球をつけてくるのかとなと思っていました。

 私は発売当日に購入して繰り返し聞いているのですが、今回は歌詞・歌い方・アレンジ共にバラエティに富んでおり非常に聞きやすく、弱い人間たちが明日に向かって生きることをそっと励ましてくれる素晴らしいアルバムです。

 1曲目の「今日以来」は求めることもばかり望んでいた人間が過去を反省して与える側に回ろうと決意する歌ですが、吉田拓郎チックな曲調とみゆきさんの軽快な歌い方で歌詞が心にすっと染み入ってきます。

 2曲目の「真夜中の動物園」は今回のアルバムのタイトルにもなっている歌ですが、とても抽象的で幻想的な歌詞です。聴く人によって様々な感想のある歌だと思うのですが、私は滅んでいった命に対するレクイエムのような印象を受けました。

 3曲目の「まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う」はテンポ良く軽快な曲調です。忙しくあっという間に過ぎ去っていく日々の中で自分たちの生き方や社会に潜む欺瞞を何とか感じ取ろうとする反骨精神を歌った曲だと私は感じました。

 4曲目の「ハリネズミだって恋をする」は傷つけまいと臆病になっている女性に対する応援歌です。

 5曲目の「小さき負傷者たちの為に」は幼児虐待や動物虐待に対するみゆきさんの憤りが伝わってくるヘビーな歌です。ただ卑怯者を糾弾するだけでなく、お前は卑怯者に立ち向かえるかと問うてくる歌詞は胸に突き刺さります。

 6曲目の「夢だもの」は明るい感じの曲ですが、歌詞はとても切ない歌です。

 7曲目の「サメの歌」は過去にこだわらず前に向かってとにかく進めと背中を押してくれる歌です。

 8曲目の「ごまめの歯ぎしり」は日本のことわざを引用したタイトルですが、その意味は『力のないものが、どんなにがんばってもどうにもならない』というものです。人生の酸いも甘いも知って希望も期待も持てなくなった大人の哀愁をジャズスイングにのせて軽快に歌っています。

 9曲目の「鷹の歌」は本作品ハイライトとも言える歌です。道を示して年老い亡くなっていった先人たちへの畏怖と残された者たちの使命を力強い歌声で歌っています。

 10曲目の「負けんもんね」はみゆきさんらしい応援歌です。人生は良い結果が出ず徒労に終わることが多いけどめげずに生きていこうと励ましてくれる名曲です。

 11曲目の「雪傘」は工藤静香に提供した曲です。みゆきさんらしい切ない失恋ソングです。

 12曲目の「愛だけを残せ」は昨年に公開された映画『ゼロの焦点』の主題歌として発表された曲でシングルとしても発売されましたが、今回はアルバムバージョンとしてシングルとは全く違うアレンジ・歌い方で収録されています。シングル版が力強い歌い方だったとすれば、アルバム版はしっとりとした歌い方です。

 今回のアルバムは肩の力を抜いて聞ける曲が多いですが、聞いていて自分の人生をはっと振り返させられます。

 10月24日から4年ぶりのコンサートツアーもスタートします。私も神戸のツアーのチケットを手に入れたのですが、私としては「鷹の歌」と「負けんもんね」は生で是非聞きたいです。

1.今日以来
2.真夜中の動物園
3.まるで高速電車のようにあたしたちは擦れ違う
4.ハリネズミだって恋をする
5.小さき負傷者たちの為に
6.夢だもの
7.サメの歌
8.ごまめの歯ぎしり
9.鷹の歌
10.負けんもんね
(ボーナストラック)
11.雪傘
12.愛だけを残せ(Album Version)

YCCW-10121/3,150円(税込)
ヤマハミュージックコミュニケーションズ

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