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2010年1月10日 - 2010年1月16日

『ブラックサンデー』この映画を見て!

第284回『ブラック・サンデー』
Photo  今回紹介する作品は過激派からの脅迫により日本では劇場未公開となった伝説のアクション映画『ブラック・サンデー』です。『羊たちの沈黙』など数々のベストセラーを生み出すトマス・ハリスの同名小説を原作にした本作品。荒々しく骨太な作風で人気のジョン・フランケンハイマー監督がドキュメンタリータッチでテンポよく描いており、終始緊張感のある仕上がりとなっています。
 また、最近の超人的な主人公が活躍する見た目だけ派手なアクション映画ではなく、敵味方それぞれの人物描写も丁寧で人間ドラマとしても深みがあります。

ストーリー:「ベトナム戦争で捕虜となったマイケル・ランダーは帰国後の周囲の冷たい扱いに怒りを覚えていた。そして、パレスチナのテロリストグループ『黒い九月』の女闘士であるダーリアと手を組み、アメリカ中が熱狂するスーパーボウルの試合中に観客を大量殺戮する計画を立てる。
 その計画を事前に察知したイスラエル秘密情報局のデビッド・カバコフはテロを食い止めようとアメリカに潜入したダーリアの行方を追うのだが・・。」

 私は最近になって本作品をDVDで鑑賞したのですが、ストーリー・アクション共に密度の大変濃い作品で、見終わって大変満足感がありました。前半から中盤にかけてテロリストの綿密な準備と情報局の必死の追跡をクールかつスリリングに描き、後半はスケールの大きなアクションシーンが次々と展開されて飽きることがありません。特にラストのスタジアムとその周辺でのアクションシーンの迫力と緊迫感はすごいです。カットバックの編集を巧みに駆使して、見る者を手に汗握らせます。

 本作品の特徴としてテロリスト側の心情や行動も中立の立場でじっくり描いている点があります。また、テロリストを演じた俳優の演技も素晴らしく、マルト・ケラーの美貌とクールな演技、帰還兵を演じたブルース・ダーンの怪しさと危うさを感じさせる演技は大変印象に残ります。その為、ラストのテロリストがテロを決行するシーンでは主人公側よりも敵側に思わず肩入れしてしまいそうになります。

 主人公のイスラエル秘密情報局カバコフを演じたロバート・ショーの演技も素晴らしく、人を殺めることに嫌気をさしながらもテロを防ぐために懸命に立ち向かう主人公を熱演しています。

 30年以上前の作品でありますが、911のテロを先取りしたかのような内容は今見ても決して古くはありません。これだけ硬派なアクション映画は現在なかなか製作されないので、一度は見て損はないと思います。

上映時間 143分
製作国 アメリカ
製作年度 1977年
監督:    ジョン・フランケンハイマー   
原作:    トマス・ハリス   
脚本:    アーネスト・レーマン   
    ケネス・ロス   
    アイヴァン・モファット   
撮影:    ジョン・A・アロンゾ   
音楽:    ジョン・ウィリアムズ   
出演:    ロバート・ショウ   
    ブルース・ダーン   
    マルト・ケラー   
    フリッツ・ウィーヴァー   
    スティーヴン・キーツ   
    ベキム・フェーミュ   
    マイケル・V・ガッツォ   
    ウィリアム・ダニエルズ   
    クリスティ・マクニコル   
    ウォルター・ゴテル   
    クライド草津

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『修羅雪姫 怨み恋歌』この映画を見て!

第283回『修羅雪姫 怨み恋歌』
Photo_2  今回紹介する作品は梶芽衣子主演のバイオレンスアクションの続編『修羅雪姫 怨み恋歌』です。前作で復讐を果たした梶芽衣子演ずる雪が国家権力と反政府主義者の闘争に巻き込まれる本作品。前作よりも反体制・反権力色が強く打ち出された作品となっています。前作では復讐の鬼だった修羅雪姫が本作品では正義の味方として巨大な悪と闘っていきます。その姿は前作同様に美しく、カッコ良いです。

ストーリー:「明治39年の日本。警察に追われ逃亡していた雪は疲れ果て、ついに逮捕され死刑宣告を受ける。しかし、死刑直前に秘密警察の長官である菊井に呼ばれて、無政府主義者・徳井が持っている極秘書類を奪い暗殺することを命じられる。雪は徳井の家に女中として潜入する。だが、徳井は雪の正体を見抜き、国家権力の横暴を伝える。雪は徳井の側に付きボディガードとなるが・・・。」

 本作品は雪を取り囲む脇のキャラクターが敵味方全て濃いです。ある意味、脇役が濃すぎて主人公である雪の存在感が途中薄く感じるほどです。
 味方側で言えば凄惨なリンチを受ける無政府主義者の徳井を伊丹十三、貧民窟で医者を営む徳井の弟を原田芳雄が熱演しています。
 敵側で言えば秘密警察の長官を演じた岸田森の不気味な存在感が強烈です。また、長官に仕える部下を演じた南原宏治の怪演も見逃せません。

 ストーリーは前作同様に暗く、そして前作以上に国家に対する反骨精神が前面に出ています。劇画タッチの演出の中、貧民窟のシーンは大変リアルで見応えがありました。
 殺陣シーンは血飛沫は相変わらず派手ですが、正直言って前作より迫力や美しさに欠けています。ただ、ラストの神社での敵との格闘は見応えがありました。

 前作に比べると完成度は落ちますが、脇役の濃さもあって最後まで飽きることなく見ることができます。前作が気に入られた方は本作品もお薦めです。

上映時間 89分
製作国   日本
制作年度 1974年
監督:   藤田敏八   
原作:   小池一雄   
       上村一夫   
脚本:   長田紀生   
       大原清秀   
撮影:  鈴木達夫   
美術:  樋口幸男   
編集:  井上治   
音楽:  広瀬健次郎   
助監督: 松沢一男   
出演:   梶芽衣子   
       伊丹十三   
       吉行和子   
       原田芳雄   
       岸田森   
       安部徹   
       山本麟一   
       南原宏治   

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『修羅雪姫』この映画を見て!

第282回『修羅雪姫』
Photo  今回紹介する作品はタランティーの監督の『キル・ビル』にも影響を与えた梶芽衣子主演のバイオレンスアクション『修羅雪姫』です。小池一夫原作・上村一夫作画によるマンガを映画化した本作品。梶芽衣子の凛とした美しさに、様式美に満ちた映像、そしてスプラッター映画も顔負けの血飛沫に劇画タッチの演出と見所は多く、暗い話しですが最後まで目が離せません。主題歌の「修羅の花」も名曲で、『キル・ビル』でも挿入歌として使われていました。

ストーリー:「明治4年の日本。家族を殺された鹿島小夜は復讐相手の一人を殺して獄中に入る。小夜は獄中で身篭り、産まれた女の子に雪と名づけ死ぬ。雪は引き取られた和尚の元で厳しい修行を受け、自分を産んでくれた母に代わって復讐の旅を続ける。」

 私は『キル・ビル』から本作品の存在を知り鑑賞したのですが、70年代の日本でこんなクールで面白い作品が存在しているとは思いませんでした。
 とにかく主人公の雪を演じた梶芽衣子が美しくかつ格好良くて見惚れてしまいます。特に敵の返り血を浴びた時の姿は不謹慎ですが綺麗です。あと目力も凄いです。
 ストーリーは強引で突っ込みどころも多いですし、演出もケレン味を追求しているので現実感は乏しいです。しかし、そんな欠点を補って余りあるほど主人公に魅力があります。

 それにしてもタランティーの監督は本作品が本当に好きだったんでしょうね。『キル・ビル』は本作品のリメイクと言っても過言ではないほど似ています。

『キル・ビル』が好きな方、スタイリッシュなアクション映画が好きな人は本作品を見ることをお薦めします。

上映時間 97分
製作国    日本
制作年度 1973年
監督:    藤田敏八   
原作:    小池一雄   
       上村一夫   
脚本:    長田紀生   
撮影:    田村正毅   
美術:    薩谷和夫   
編集:    井上治   
音楽:    平尾昌晃   
出演:    梶芽衣子
           赤座美代子   
       大門正明
       内田慎一   
       楠田薫
       根岸明美   
       西村晃   
       高木均   
       岡田英次
       中原早苗   
       仲谷昇   
       地井武男   
       黒沢年男   
       中田喜子   
       小松方正

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『幻の湖』この映画を見て!

第281回『幻の湖』
Photo  今回紹介する作品は東宝創立50周年記念作品として制作された『幻の湖』です。監督を務めた橋本忍は黒澤監督の『羅生門』の脚本家としてデビュー。『私は貝になりたい』や『砂の器』など数々のヒット作品の脚本を手がけ、本作品で初めて監督を務めました。橋本監督は原作・脚本も手がけて渾身の力をこめて作った結果は1週間で上映を打ち切られ興行的にも惨敗。2003年にDVD化されるまでビデオ化やテレビ放映もされず一時期は幻の作品とまで言われていました。しかし、90年代後半から一部の映画ファンの間で取り上げられ始め、今では日本を代表するカルト映画として評価?されています。

 ストーリー:「滋賀県大津市にある雄琴ソープランド街でお市と言う源氏名で働く道子は琵琶湖の西側を愛犬のシロと一緒に走ることが生きがいだった。そんなある日、愛犬のシロが和邇浜で殺される。道子はシロを殺した犯人を見つけだし仇を討つことを決意する。」

 本作品さすがカルト化しているだけあって見応え十分でした。164分と長い上映時間ながら、話しの展開が唐突で全く読めず、突っ込みどころも満載で飽きることがありません。
 また、私は現在滋賀県大津市で働いていることもあって、普段仕事で見ている風景が次から次へと映し出されるので思わず身を乗り出して見入ってしまいました。見ていて大津市湖西側の約30年の風景の移り変わりを感じることができ、別の意味で感動しました。私が知る限り琵琶湖をここまで大々的に取り上げた作品は後にも先にもないと思います。そういう意味では滋賀県民には必須の作品と言えるでしょう。

 さて、肝心の話しの内容ですが、何度見ても良く分かりません。主人公が犬の仇を討つだけと言えばそれだけなのです。しかし、そこに雄琴のソープ街に潜入捜査をしている白人女性の諜報員や琵琶湖を見下ろす山で笛を吹く宇宙飛行士が登場するわ、400年前の戦国時代の悲恋の物語が途中唐突に展開され、挙句の果てラストはスペースシャトルに搭乗した日本人が宇宙遊泳をして琵琶湖を見下しすというぶっ飛んだ内容に見ている側は呆然とするしかありません。

 主人公始め全ての登場人物の言動も変すぎて、真面目に演技していればいるほど見ていて笑ってしまいます。特に演技で印象的だったのは主人公が働くソープランドのお局役を演じたかたせ梨乃。まだ、若かりし頃の演技ですが圧倒的な存在感がありました。

 本作品の一番の見所は何と言っても主人公が走るシーン。愛犬を殺した犯人を追いかけて延々と走るだけのシーンが映画の中盤とクライマックスに10分以上繰り広げられるのですが、見ている側も途中でランナーズハイになるほど迫真の描写です。

 あと、本作品を見た人は誰しも気になるのは白人女性のセリフ。「ファントムではなく、イーグルだ。イーグルはすでに実戦配備についている。」このセリフは一体何を意味していたのでしょう。私は何回見ても分かりません。

 私は主人公が最後に犯人を追い詰めた琵琶湖大橋を時々使いますが、通るたびに主人公のあの名(珍?)セリフを思い出して仕方ありません。

 本作品は意味不明な点や突込みどころが多いですが、当時の日本映画を代表する一流のスタッフが参加しているだけあって映像や音楽はとても美しいです。(最後の特撮はショボイですが・・・。)時間と心に余裕があり、ぶっ飛んだ映画が見たい方はぜひご覧ください。

上映時間 164分
製作国    日本
制作年度 1982年
監督:    橋本忍   
原作:    橋本忍   
脚本:    橋本忍   
撮影:    中尾駿一郎   
    斎藤孝雄   
    岸本正広   
特撮監督: 中野昭慶   
音楽:    芥川也寸志   
出演:    南條玲子   
    北大路欣也   
    隆大介
    関根恵子   
    宮口精二   
    大滝秀治   
    星野知子   
    光田昌弘   
    かたせ梨乃   
    長谷川初範
    室田日出男   
    下絛アトム   
    北村和夫   
    谷幹一   
    仲谷昇

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