『ポルノ時代劇 忘八武士道』この映画を見て!
第307回『ポルノ時代劇 忘八武士道』
今回紹介する作品は小池一雄・小島剛夕の同名原作をを日本映画の鬼才・石井輝男監督が完全映画化した『ポルノ時代劇 忘八武士道』です。
ストーリー:「“人斬り死能"と恐れられている明日死能は役人に追われていたが、吉原遊廓の忘八者に命を助けられる。“忘八者"とは、「孝、悌、忠、信、礼、義、廉、恥」を全て捨てた無法者で、人にして人に非ず、人たる姿を忘れた鬼畜外道の集りであった。明日は忘八者の仲間入りを勧められる。吉原の総名主・大門四郎兵衛に気に入れられた明日は客分として扱われる。
この頃の江戸は湯女や茶屋女などの幕府非公認の性風俗が流行し、幕府の公認を受けている吉原は経営を圧迫されていた。それらをつぶす機会を狙っていた大門は明日を利用して湯女や茶屋女を潰す行動に出るのだが・・・」
本作品は35年以上前の作品でありますが、今見ても強烈なインパクトがあります。長髪の丹波哲郎の切れのある殺陣、次々と登場する全裸の女性、そして激しく噴出す血と飛んでいく首や腕。エログロ・バイオレンスのオンパレードで一瞬たりとも目が離せません。
ストーリーは荒唐無稽ではありますが、吉原などのセットは凝っていますし、江戸時代の性風俗の丁寧に描写していますし、時代劇に欠かせない立ち回りは迫力満点ですし、見ていて飽きません。
登場する役者の演技やメイクも大変濃く、小池監督の演出もサイケでケレン味に溢れており、見る者を独特の世界に引きずり込んでくれます。
私が一番印象に残ったシーンは主人公を助けるための女性たちが着物を着て火の中に飛び込み転げまわって消火活動をして、鎮火後に火照った体を冷やすために着物を脱いで素っ裸で水浴びをするところです。そのぶっ飛んだ演出とサービス満点の映像に見ていてお腹がいっぱいになります。
また、『ウルトラセブン』のアンヌ隊員役で人気のある女優・ひし美ゆり子が惜しげもなく裸体を披露しており、ストーリーとは無関係な白人女性に対する拷問シーンを迫力満点に演じています。
ラストのアヘンで意識が朦朧とした主人公が雪の降る中で彼を捕らえようとする幕府の人間たちを斬りまくるシーンは日本映画史に残るほどスプラッターな立ち回りが繰り広げられます。血が飛び、腕や首が水平に飛んでいく演出は残酷さを超えたカタルシスがあります。
本作品はR18指定であり、18歳以下の方は見られませんが、カルト映画好きなら一度は見て損はないと思います。
上映時間 81分
製作国 日本
製作年度 1973年
監督: 石井輝男
原作: 小島剛夕
小池一雄
脚本: 佐治乾
撮影: 鈴木重平
美術: 吉村晟
編集: 市田勇
音楽: 鏑木創
出演: 丹波哲郎
伊吹吾郎
遠藤辰雄
内田良平
久野四郎
深江章喜
ひし美ゆり子
相川圭子
池島ルリ子
一の瀬レナ
佐藤京一
原田君事
小林千枝
北川マキ
笹木俊志
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