『おもひでぽろぽろ』映画鑑賞日記
岡本螢と刀根夕子による同名原作コミックを高畑勲監督がアニメ化した本作品。原作は小学生時代のエピソードのみですが、高畑監督はそこに27歳の主人公が田舎の農村を訪ねるエピソードを独自に追加。現代から過去を回想する形で物語が展開します。
私は本作品を中学校時代に初めて見たのですが、淡々とした展開が退屈で途中睡魔に襲われたほどでした。
映像はジブリだけあって現代のパートは実写かと思えるほど緻密で素晴らしいのですが、主人公たちの顔の皺はやり過ぎで違和感がありました。
また、高畑監督の田舎や有機農業を礼賛するメッセージも田舎育ちの私には都会から見た理想にしか見えず共感できませんでした。
ただ、ベット・ミドラーの名曲「The Rose」を都はるみが歌った主題歌「愛は花、君はその種子」はとても素晴らしく、それを聞きたいがためにサントラを買ったほどでした。
最近久しぶりに本作品をふと見返したのですが、中学校の時の比べると興味深く見ることができました。
私は本作品を昔を懐かしむことが主題の映画だとずっと思っていました。しかし、改めて見ると、自分の過去と今の自分の繋がりを自覚することで主人公が成長する姿を描いた映画であることに気づきました。
ラストシーンで主人公が結婚を決めて引き返すシーンは本作品のいわばクライマックスでありますが、小さい頃の自分や友だちが未来に向かう主人公を見送る姿は過去との繋がりや和解を見事に表現しています。
過去のエピソードは時代は違うとは言え、どれも自分も経験したことがあるようなエピソードが多く共感できます。個人的には分数の割り算のエピソードが一番共感できました。
本作品は子どもの時の見るより、社会人になってから見た方がいろいろ感じることが多い作品です。
ただ、何度見ても登場人物の顔の皺と高畑監督の田舎賛美には共感できませんでした。
上映時間 118分
製作国 日本
製作年度 1991年
監督: 高畑勲
原作: 岡本螢
刀根夕子
脚本: 高畑勲
作画監督:近藤喜文
近藤勝也
佐藤好春
特殊効果:谷藤薫児
美術監督:男鹿和雄
撮影監督:白石久男
編集: 瀬山武司
金子尚樹
木田伴子
毛利安孝
音楽: 星勝
場面設計・絵コンテ:百瀬義行
声の出演:今井美樹
柳葉敏郎
本名陽子
寺田路恵
伊藤正博
北川智絵
山下容里枝
三野輪有紀
飯塚雅弓
押谷芽衣
小峰めぐみ
滝沢幸代
石川匡
増田裕生
佐藤広純
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