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『十三人の刺客』(1963年版)この映画を見て!

第306回『十三人の刺客』(1963年版)
1963  今回紹介する作品は三池崇史監督によってリメイクされ現在公開中の『十三人の刺客』のオリジナル版です。
 東映の時代劇に集団抗争時代劇というジャンルを確立させた作品であり、それまでの勧善懲悪の時代劇から脱却してリアリズムを重視した作風となっています。

 私は三池監督のリメイク版を見た後にオリジナル版をDVDで見たのですが、役者の演技という点ではオリジナル版の方が圧倒的な勝ちでした。特に片岡千恵蔵の凛とした佇まいは見ていて惚れ惚れします。また、脇を固める嵐寛寿郎や月形龍之介もさすが当時の時代劇の大スターだけあって演技に貫禄があります。
 ただ、アクションシーンの派手さと悪役のインパクトという点ではリメイク版の方が個人的には勝っていたと思います。

 ストーリーは将軍の弟で明石藩主である暴君を抹殺するべく、十三人の刺客の宿場町で明石藩の侍たちと死闘を繰り広げるという単純明快なものです。
 映画の前半はアクションシーンはほとんどないにも関わらず、暴君の極悪非道さや敵味方の駆け引きが緊張感たっぷりに描かれており、見る者を画面に釘付けにします。
 そして、後半の30分以上続く、混沌とした戦闘シーン。敵味方それぞれ己の役目を果たそうとぶつかり合う姿は大変迫力があります。また、敵味方いつ斬られるか分からない恐怖の中で必死に戦いながらも倒れていく姿は見ていて爽快さよりも悲壮感が強いです。特に剣豪役の西村晃の無様な死に方は強烈なインパクトがありました。

 本作品は『七人の侍』と比較されがちですが、個人的にはサム・ペキンパー監督の『ワイルドバンチ』に近い印象を持ちました。己を信じて捨て身で戦う男たちのカッコ良さと空しさが非常に印象に残る作品です。 

上映時間 125分
製作国    日本
製作年度 1963年
監督:工藤栄一   
脚本:池上金男   
撮影:鈴木重平   
美術:井川徳道   
編集:宮本信太郎   
音楽:伊福部昭   
出演:片岡千恵蔵   
   里見浩太郎   
   内田良平
   西村晃   
   丹波哲郎   
   嵐寛寿郎   
   月形龍之介   
   丘さとみ   
   三島ゆり子   
   藤純子   
   河原崎長一郎   
   水島道太郎   
   加賀邦男   
   沢村精四郎   
   阿部九州男   
   山城新伍   
   原田甲子郎   
   春日俊二   
   明石潮   
   片岡栄二郎   
   北龍二   
   香川良介   
   菅貫太郎   
   和崎俊哉   
   水野浩   
   小田部通麿   
   堀正夫   
   高松錦之助   
   汐路章   

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