『借りぐらしのアリエッティ』映画鑑賞日記
イギリスの児童文学『床下の小人たち』をスタジオジブリがアニメ映画化した『借りぐらしのアリエッティ』。宮崎駿が企画・脚本を担当し、スタジオジブリの原画スタッフの米林宏昌を監督として大抜擢して製作されました。宮崎駿以外が監督するスタジオジブリの作品は『耳をすませば』を除いて個人的にはイマイチなのですが、予告編の映像の美しさに惹かれ劇場まで足を運びました。
絵と音楽の美しさはさすがジブリ、申し分ありませんでした。特に小人目線で描いた人間世界は新鮮で、前半の主人公アリエッティが初借りに父と出かけるシーンは大変ワクワクして見ることが出来ました。音響もこだわっており、小人にはこの世界の音がどのように聞こえているのかを巧みに表現していたと思います。セシル・コルベルのアイリッシュな音楽も映画の世界観にとてもマッチしていました。
ただ、ストーリーと人物描写に関してはイマイチでした。
ストーリーは郊外のある広大な古い屋敷の床下に父ポッドと母ホミリーと住む14歳の少女アリエッティと病気療養のためにやって来た12歳の少年・翔の出会いから別れまでを描くというシンプルな内容です。
しかし、登場人物は少ない割りに、一人一人の描写が浅いため、いまいちドラマに共感できませんした。翔がアリエッティに庭で滅び行く種族を語る場面も別れ際のセリフも、人物描写が浅いために唐突な印象を受けて上滑りに終わっていたような気がします。
お手伝いのハルさんも小人をなぜ捕獲しようとするのかよく分からないため、単なる憎々しい敵役に終わってしまって後味が悪かったです。
あとスピラーも物語の展開に大きく絡むキャラクターかと思いきや登場シーンも少なく残念でした。
また、舞台設定を日本に変更したのも意味があまり感じられず、原作どおりにしても良かったのではと思いました。
最近のジブリは映像のクオリティの高さに比べて脚本の練りこみが不足しており、物足りなさを感じます。
本作品も『ゲド戦記』に比べれば良く出来ていると思いますが、完成度は悪くもないけどそれほど良くもないといったところでした。
上映時間:94分
製作国:日本
製作年度:2010年
監督:米林宏昌
企画:宮崎駿
原作:メアリー・ノートン
『床下の小人たち』(岩波少年文庫刊)
脚本:宮崎駿
丹羽圭子
作画監督:賀川愛、山下明彦
美術監督:武重洋二、吉田昇
色指定:森奈緒美
音楽:セシル・コルベル
主題歌:セシル・コルベル
『Arrietty's Song』
声の出演:志田未来
神木隆之介
大竹しのぶ
竹下景子
藤原竜也
三浦友和
樹木希林
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『トゥルー・ロマンス』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『アンストッパブル』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『スカーフェイス』この映画を見て!(2011.01.09)
- 『バトル・ロワイアル』この映画を見て!(2011.01.04)
- 『大地震』映画鑑賞日記(2011.01.03)
「ファンタジー映画」カテゴリの記事
- 『君の名は』この映画を見て!(2017.01.22)
- 『借りぐらしのアリエッティ』映画鑑賞日記(2010.08.15)
- 『アリス・イン・ワンダーランド』映画鑑賞日記(2010.05.04)
- 『カールじいさんの空飛ぶ家』この映画を見て!(2009.12.07)
「宮崎駿とスタジオジブリ」カテゴリの記事
- 『ホーホケキョ となりの山田くん』映画鑑賞日記(2010.10.23)
- 『おもひでぽろぽろ』映画鑑賞日記(2010.10.23)
- 『借りぐらしのアリエッティ』映画鑑賞日記(2010.08.15)
- 『久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと共に歩んだ25年間~』(2009.08.01)
「アニメ映画」カテゴリの記事
- 『君の名は』この映画を見て!(2017.01.22)
- 『ホーホケキョ となりの山田くん』映画鑑賞日記(2010.10.23)
- 『おもひでぽろぽろ』映画鑑賞日記(2010.10.23)
- 『東京ゴッドファーザーズ』この映画を見て!(2010.09.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント