『がんばっていきまっしょい』この映画を見て!
第301回『がんばっていきまっしょい』
今回紹介する作品は愛媛県松山市の高校を舞台にボート部の活動に打ち込む5人の女子高校生たちの姿を描いた『がんばっていきまっしょい』です。第4回坊ちゃん文学賞を受賞した敷村良子の同名小説を映画化した本作品は派手な宣伝等はしなかったにも関わらず公開当時口コミで人気が広がりロングランヒットしました。田中麗奈の初主演作品でもあり、本作品で女優としてブレイクしました。
ストーリー:「1976年の春。伊予東高校に入学した篠村悦子はボート部に憧れて入部を希望するが、女子ボート部がなかった。そこで自ら女子ボート部を創設するため仲間を4人集める。しかし、ボートの経験ない彼女たちは手探りで練習を始める。先輩に教えられながら何とかボートを操ることが出来るようになる彼女たち。しかし、新人戦では見事に完敗。悔しがる彼女たちの前に顧問教官がコーチ・入江晶子を紹介する。」
私は愛媛県出身ということもあり、本作品には映画の内容云々とは別にとても愛着があります。本作品のロケ地は私もなじみの場所ばかりなので、他県で就職して生活している今見ると懐かしさがこみあげてきます。特に映画の中で主人公たちが鍋焼きうどんを食べるお店は私が小さいときから行きつけの店(「ことり」という店名で、松山の商店街である銀天街という所から少し路地に入ったところにあります。)だったので、本作品を見ると懐かしくて無性に食べたくなります。愛媛県でロケされた映画はいろいろありますが、私の中では本作品が一番愛媛を美しく捉えているような気がします。
映画のストーリーは何の捻りもないストレートな青春スポーツドラマでありますが、見終わって爽やかな気持ちになります。ボートに打ち込む思春期の少女たちの瑞々しい姿を描いているだけにも関わらず、ノスタルジックな雰囲気が全編に溢れており見ていて自然と涙がこみ上げてきます。あの時代だからこそできたことや感じられたことを本作品は思い出させてくれます。
本作品は派手な演出やドラマチックな展開はなく、終始淡々とした作りであるのですが、その分だけ主人公たちの繊細な心情が見ているこちら側にも伝わってきて、映画のクライマックスのボートシーンは思わず自分も手に汗握って応援してしまいます。
郷愁を誘う映像やリーチェの音楽も大変素晴らしく、何度見ても心が洗われます。また、磯村監督の間を大切にしたゆったりとした演出も本作品に合っていたと思います。
本作品は青春時代の輝きを見事に描き出した傑作です。ぜひご覧ください。
上映時間 120分
製作国 日本
製作年度 1998年
監督: 磯村一路
原作: 敷村良子
(マガジンハウス)
脚本: 磯村一路
撮影: 長田勇市
美術: 磯田典宏
編集: 菊池純一
音楽: リーチェwithペンギンズ
出演: 田中麗奈
清水真実
葵若菜
真野きりな
久積絵夢
中嶋朋子
松尾政寿
本田大輔
森山良子
白竜
ベンガル
小日向文世
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (2)
最近のコメント