『アリス・イン・ワンダーランド』映画鑑賞日記
『アリス・イン・ワンダーランド』
独特な映像センスとユニークなキャラクター描写で定評のあるティム・バートン監督がルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』をベースに19歳に成長したアリスの新たな冒険を描いた『アリス・イン・ワンダーランド』。
私は昔からティム・バートン監督のカラフルでブラックで少し切ないファンタジー映画が大好きだったので、公開前からルイス・キャロルが生み出したあの不思議の国をどう描くのかとても楽しみにしていました。また、キャメロン監督の『アバター』に続いて3Dで公開される作品でもあったので、バートン監督が3Dを活かしてどのような映像表現を見せてくれるのかも大変期待したものでした。
私は3Dで先日鑑賞したのですが、バートン監督だけあって美術やキャラクター造形は凝っており、不思議の国の独特な雰囲気を見事に映像化していました。特に白うさぎやチェシャ猫や青い芋虫のアブソレムなどのキャラクターたちがCGで見事に描写されており、アリスファンにはたまりませんでした。
ただ、3Dに関しては『アバター』と違って2Dで撮影された映像をポストプロダクションで3D変換したこともあってか、飛び出してくるシーンはさて置き、全体的に映像に立体感や奥行きは余り感じませんでした。
次にストーリーやキャラクラーの描写ですが、正直つまらなかったです。ディズニーの作品ということもあってか、勧善懲悪の分かりやすいストーリーになっており、原作が持つ毒気やシュールさが薄れてしまっています。
大人になったアリスが再度不思議の国に迷い込み、周囲の協力を得て悪者を退治して、成長して現実に帰っていくという展開は王道ではありますが、バートン監督らしい毒気や切なさみたいなものが感じられませんでした。
また、キャラクターの描写も見た目のインパクトはあるのですが、深みや毒に欠けます。ジョニー・デップ演じるマッド・ハンターなんて、外見同様にぶっ飛んだキャラクターだと思っていたのに思っていた以上に普通の人でした。
頭のでかい赤の女王の描き方も以前のバートン監督なら憎々しくもどこか悲哀を感じさせるキャラクターとして描いていたと思うのですが、今回は単なる悪役としてしか描いておらずイマイチでした。
本作品は娯楽映画としては面白いとは思うんですが、ティム・バートン監督の映画としてみるとどうしても評価は下がってしまいます。
あと、本作品は『アバター』と違って別に3Dで見なくても良いような気がしました。
上映時間 109分
製作国 アメリカ
製作年度 2010年
監督: ティム・バートン
原作: ルイス・キャロル
『不思議の国のアリス』/『鏡の国のアリス』
脚本: リンダ・ウールヴァートン
撮影: ダリウス・ウォルスキー
衣装デザイン: コリーン・アトウッド
編集: クリス・レベンゾン
音楽: ダニー・エルフマン
出演: ミア・ワシコウスカ
ジョニー・デップ
ヘレナ・ボナム=カーター
アン・ハサウェイ
クリスピン・グローヴァー
マット・ルーカス
声の出演:アラン・リックマン
マイケル・シーン
スティーヴン・フライ
ティモシー・スポール
ポール・ホワイトハウス
バーバラ・ウィンザー
マイケル・ガフ
クリストファー・リー
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