『ハートロッカー』映画鑑賞日記
『ハートロッカー』
テロが続く混沌のイラク・バグダッドを舞台にアメリカ軍爆発物処理班の男たちの死と隣り合わせの日常を描き、今年のアカデミー賞で作品賞を始めとして6部門を受賞した本作品。硬派なアクション映画を撮り続けているキャサリン・ビグローが女性初のアカデミー監督賞受賞という快挙を成し遂げました。
私もアメリカでの高い評価を受けて公開と同時に期待を持って劇場に見に行きました。
爆弾の解体シーンやテロリストとの狙撃シーンは臨場感たっぷりで手に汗握るものがありましたが、正直アカデミー賞で作品賞を取るような作品には思えませんでした。
映画の冒頭に「戦争は麻薬だ」というテロップが出てきますが、それがこの映画の内容の全てです。生と死の狭間の非日常体験に麻薬のような刺激を覚えて平和な日常に戻れなくなる主人公の姿を通して、監督は戦地に赴いたアメリカ兵の苦悩や戦場の狂気を描こうとしたのだと思います。
しかし、その描き方は失敗しており、主人公は最初から戦争に好きの命知らずの男にしか見えませんでした。本当はもっと普通の若者が戦争を通して徐々に心が蝕まれていく様な描き方をしたほうが良かったのではないかと思います。
確かに映画の途中で主人公が苦悩する場面も描かれてはいますが、見ていて無鉄砲で自己中心的な主人公にしか思えませんでした。
個人的にはあまり高い評価のできる好きな作品ではありませんが、アメリカで絶賛されてアカデミー賞まで受賞したのは何となく分かるような気がしました。アメリカのイラク侵攻を声高に批判することなく、戦場に赴いたアメリカ兵の生と死の狭間の日常をリアルに描くことで、近年のアメリカ軍に対する批判にうんざりしていた多くのアメリカ人が共感したのだと思います。
私としては本作品よりも『第9地区』に作品賞を受賞してほしかったです。
本作品に関しては批判的な感想になってしまいましたが、ドキュメンタリータッチの乾いた映像とド迫力の音響は素晴らしかったです。
上映時間 131分
製作国 アメリカ
製作年度 2009年
監督: キャスリン・ビグロー
脚本: マーク・ボール
撮影: バリー・アクロイド
プロダクションデザイン: カール・ユーリウスソン
衣装デザイン: ジョージ・リトル
編集: ボブ・ムラウスキー
クリス・イニス
音楽: マルコ・ベルトラミ
バック・サンダース
出演: ジェレミー・レナー
アンソニー・マッキー
ブライアン・ジェラティ
レイフ・ファインズ
ガイ・ピアース
デヴィッド・モース
エヴァンジェリン・リリー
クリスチャン・カマルゴ
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