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『第9地区』この映画を見て!

第295回『第9地区』
9  今回紹介する作品は30億円とハリウッド映画としては低予算ながら、2009年の夏にアメリカで公開され100億円以上稼ぐという大ヒットを記録したSFアクション映画『第9地区』です。 
 異星人を難民として受入れることになった南アフリカを舞台に、異性人を専用の居住区域に強制移住させる計画に関わった主人公が思わぬ事件に巻き込まれていくというストーリーです。

 私は本作品のことを当初てっきりB級のチープなSF映画だと思っていました。しかし、アメリカでの大ヒットやアカデミー賞ノミネートを知り、なぜそんなに評価が高いのかとても興味を持ち、劇場まで足を運んで鑑賞してきました。

 映画を実際に見て、本作品がなぜ高い評価を受けたのか良く分かりました。斬新でスリリングなストーリー展開に低予算とは思えないクオリティの高い映像は見る者を引きつける魅力が本作品にはあります。個人的には昨年の『エヴァンゲリヲン新劇場版・破』以来久しぶりに何度も見たいと思う作品でした。

 映画の前半はドキュメンタリータッチで人間と異性人の間で起こる摩擦や差別をシニカルに描いていくのですが、中盤からは作風が変化して主人公の逃亡劇をスリリングに描いてきます。ラストは『トランスフォーマー』『ブラックホークダウン』を足したようなド派手なアクションが展開。一瞬たりとも画面から目を離すことが出来ません。ただ結構グロい描写が多いので、その手の描写が苦手な人は注意が必要かもしれません。

 大企業の傲慢さや異文化に対する偏見や迫害そして主人公の異文化に対する理解と、映画の内容やテーマは『アバター』と似ているところが多いです。しかし、『アバター』よりも本作品の方が表現の仕方が明らかに上手です。
 まず南アフリカを舞台に異星人の迫害を描くという設定が風刺が効いています。
 また、登場する異星人がゴキブリみたいな姿で大変グロく人間の共感を得にくいところも、見た目で全て決め付けてしまう人間の愚かさを巧みに表現していたと思います。
 私も前半は異星人を気持ち悪い容姿だと思って見ていたのに、中盤以降は同じ容姿の人間たちの方が愚かで醜く感じるようになり、逆に異星人に感情移入して応援していました。

 映画のラストも安易なハッピーエンドにせず、今後も異星人との問題は続いていくことが感じられるような終わり方にしたのも良かったと思います。主人公の最後も切なくて胸が締め付けられました。 

 監督のニール・ブロムカンプは南アフリカ共和国出身で本作品が初の長編映画です。本作品が製作された経緯には『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンが深く関わっています。
 2006年にピーター・ジャクソンが大人気ゲーム『HALO』映画化のためにニール・ブロムカンプを起用したのですが、途中で頓挫。そこでピーター・ジャクソンがニール・ブロムカンプが以前監督していた短編を長編映画化する話しを持ちかけたそうです。
 新人監督が無名の俳優を起用して低予算で製作したにも関わらず、公開されるや否や大ヒットを飛ばして批評家からも大絶賛。アカデミー賞でも作品賞を始めとして4部門でノミネートとはニール・ブロンカンプ恐るべき才能の持ち主です。この監督の才能見抜いて映画化に話しを持っていったピーター・ジャクソンもさすがですね。

 個人的に本年度ベスト5に入る傑作だと思いますし、SF映画を語る上で今後外せない作品だと思います。

上映時間 111分
製作国    アメリカ/ニュージーランド
製作年度 2009年
監督:    ニール・ブロンカンプ   
脚本:    ニール・ブロンカンプ   
    テリー・タッチェル   
撮影:    トレント・オパロック   
プロダクションデザイン: フィリップ・アイヴィ   
衣装デザイン:    ディアナ・シリアーズ   
編集:    ジュリアン・クラーク   
音楽:    クリントン・ショーター   
出演:    シャールト・コプリー   
    デヴィッド・ジェームズ   
    ジェイソン・コープ   
    ヴァネッサ・ハイウッド   
    ナタリー・ボルト   
    シルヴァン・ストライク   
    ジョン・サムナー   
    ウィリアム・アレン・ヤング   
    グレッグ・メルヴィル=スミス   
    ニック・ブレイク   
    ケネス・ンコースィ

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