『人狼 JIN-ROH』この映画を見て!
第296回『人狼 JIN-ROH』
今回紹介する作品は第2次世界大戦でドイツと戦い負けた架空の昭和30年代の日本を舞台にした『人狼JIN-ROH』です。
本作品は押井守の代表作である「ケルベロス・サーガ」として製作されており、実写映画『紅い眼鏡 / The Red Spectacles』や『ケルベロス 地獄の番犬』の前史に当たる内容と内容となっています。
押井守が原作と脚本を担当。『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』でキャラクターデザインや作画監督を務めた沖浦啓之が監督を手がけています。
CGを極力使わず手描きにこだわった映像はリアルで大変美しく、戦後復興してきた昭和30年代の東京の雰囲気を見事に表現しています。また、溝口肇の音楽も大変素晴らしく、映画の哀しい雰囲気にマッチしています。
ストーリー:「第2次世界大戦でドイツと戦い負けた日本政府は復興するために強引な経済政策を取る。その結果、失業者と凶悪犯罪が急増、さらに反政府組織が力を伸ばし、武装闘争を東京で繰り広げる。日本政府は東京の治安回復のため、首都圏に限定した治安部隊「首都圏治安警察機構」、通称「首都警」を組織。首都警は反政府勢力と市街戦を繰り返していた。
そのよう中、首都警の伏一貴は潜伏する地下組織の追跡で、少女が自爆する衝撃的な事件に遭遇してしまう。事件に対して強いショックを受けた伏は爆死した少女に似ている雨宮圭いう女に出会う。」
私は公開当時に劇場に足を運んで本作品を見たのですが、その時は地味で暗いストーリーがあまり好きになれませんでした。
しかし、最近久しぶりに見返してみると、本作品が映像・ストーリー共に緻密に作り込まれている傑作であることを認識。昔は地味で暗いと思っていたストーリーの奥深さにはまってしまいました。
童話「赤ずきん」を引用して、獣として生きる男とそんな男を愛してしまった少女の哀しい運命を描く物語は残酷かつ切なく、見終わってやるせない気持ちになります。安易にハッピーエンドにしない締めくくり方はとても印象に残ります。
アクションシーンは多くありませんが、静と動のメリハリがあり、緊張感が漲っています。特にラストの下水道の攻防は大変迫力がありました。
映像も全編薄暗い感じで、都市の闇の中で生きる人間たちの悲哀を見事に表現しています。
本作品は決して万人受けする内容ではありませんが、ハードボイルドタッチの映像とストーリーは大人向けのアニメとしては1級品です。
上映時間 98分
製作国 日本
製作年度 1999年
監督: 沖浦啓之
演出: 神山健治
原作: 押井守
脚本: 押井守
キャラクターデザイン:西尾鉄也、沖浦啓之
作画監督:西尾鉄也
美術監督:小倉宏昌
色彩設定:片山由美子
撮影監督:白井久男
編集:掛須秀一
音楽:溝口肇
音響監督:若林和弘
車輌設定:平松禎史
銃器設定:黄瀬和哉
製作担当:堀川憲司
ナレーション:坂口芳貞
声の出演:
藤木義勝
武藤寿美
木下浩之
廣田行生
吉田幸紘
堀部隆一
中川謙二
大木民夫
坂口芳貞
阿部睦子
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