『犬神の悪霊』この映画を見て!
第290回『犬神の悪霊』
今回紹介する作品は70年代の洋画のオカルトブームにのって製作された和製オカルト映画『犬神の悪霊』です。本作品はなかなかDビデオ化されず幻のカルト映画としてマニアの間で話題になっていました。しかし、2年前についにDVD化され、多くのマニアが喜んだものでした。
ストーリー:「ウラン鉱探査のため同僚と久賀村を訪れた竜次は山道を車で走っている最中に路傍の小さな祠を破壊して犬を轢き殺してしまう。その後、竜次は村に住む麗子と結婚するが、その直後に同僚が次々と怪死。。麗子も何者か憑かれたれたかのように不可解な行動を起こすようになる。竜次は麗子を連れて村に戻る。村人たちは麗子がおかしくなったのは犬神に憑かれたと判断して、憑き物落としの儀式を行うのだが・・・」
本作品はカルト作品と言われただけあって、傑作かどうかは別として非常に見応えがありました。
オープニングの民謡調の不気味な主題歌に始まり、川で素っ裸で踊る少女たち、結婚披露宴での同僚の突然の発狂、そして都会でシェパードの群れに襲われる同僚と目の離せない展開がこれでもかと続きます。
前半の最大の見せ場は何と言っても妻が憑き物落としの儀式をする場面。村人たちが赤飯のおにぎりを妻の体中になすりつけるシーンは何ともエロティックです。
中盤以降しばらくは迷信と差別に囚われた村人たちの集団ヒステリーや乱開発による公害問題を描いた社会派作品としての色が濃くなります。村人たちが犬神筋の家族を村八分にして排斥するシーンはオカルトシーン以上に恐ろしいものを感じました。
ラスト30分は怒涛の急展開となります。特に犬神が少女に憑いて主人公を襲撃する場面は強烈なインパクトがあります。そし我々の想像を超える唐突かつ意味不明なシーンで映画は締めくくられます。このラストを見るだけでも一見の価値ありです。
出演者たちも個性派揃いで大変濃い演技を見せてくれます。特に霊媒師を演じた白石加代子の演技は迫力満点で、本当に何者かが取り憑いたかと思うほどです。
ちなみに主人公を演じた大和田伸は終始過剰な演技と表情を披露してくれるので見ていて笑ってしまいます。
本作品はストーリーは無茶苦茶で良く分かりませんが、終始テンションの高い演出と演技で最後まで一気に見ることが出来ます。カルト映画が好きな人はぜひ一度見ることをお薦めします。
上映時間 103分
製作国 日本
製作年度 1977年
監督: 伊藤俊也
脚本: 伊藤俊也
撮影: 仲沢半次郎
美術: 桑名忠之
編集: 戸田健夫
音楽: 菊池俊輔
出演: 大和田伸也
泉じゅん
室田日出男
岸田今日子
鈴木瑞穂
小山明子
長谷川真砂美
山内恵美子
加藤順也
川合伸旺
小野進也
畑中猛重
清水昭夫
三谷昇
小林稔侍
仲谷昇
高木均
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