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2009年8月23日 - 2009年8月29日

『短篇集』中島みゆきのアルバム紹介

中島みゆきのアルバム紹介No.8『短篇集』
Photo  今回紹介するアルバムは中島みゆき通算28作目のアルバム『短篇集』です。本アルバムはタイトルの通り、それぞれの歌が独立した世界観を描いており、どの歌から聴いても良い作りになっています。また、全曲通して聞くと、良質の短編小説集を読んだかのような充実感を得ることができます。

 1曲目の『地上の星』と11曲目の『ヘッドライト・テールライト』はNHKで放映されて大反響を呼んだドキュメンタリー番組『プロジェクトX』のオープニングテーマとエンディグテーマとして使用され、知っている方も多いかと思います。
 シングルカットもされ、中高年世代を中心にじわじわと人気を広げ、オリコンシングルチャートで初登場から130週をかけて1位を獲得。さらに139週目にはミリオンセラーを達成するという偉業を成し遂げました。
 「地上の星」はまるで不動明王のごとく力強く、「ヘッドライト・テールライト」は観音菩薩のように優しく、どんな困難があっても乗り越え生きていく者たちにエールを送ってくれます。

 2曲目の『帰省』は由紀さおり&安田祥子に提供した楽曲のセルフカヴァーです。日本人の盆と正月の帰省をテーマにしており、8月と1月になると聴きたくなる名曲です。私も故郷から離れて生活しているので、この曲を聴くといつも胸がジーンとします。

 3曲目の『夢の通り道を僕は歩いている』は夢に向かって歩んできた人に向けた応援ソングです。軽快な曲とみゆきさんの柔らかな歌声が聞いていて心地よいです。

 4曲目の『後悔』は叶わなかった恋に対する女性の後悔を綴った歌で、これぞみゆきさんという歌詞と後半のみゆきさんの絶唱が印象に残ります。
 続く5曲目の『MERRY-GO-ROUND』も叶わぬ恋をメリーゴラーンドに喩えて歌っています。

 6曲目の『天使の階段』と9曲目の『粉雪は忘れ薬 』は夜会11&12『ウィンターガーデン』のために作られた歌です。『天使の階段』は天空から地上に光が降り注ぐ荘厳な情景が聴いていて思い浮かんできます。『粉雪は忘れ薬』は忘れたくても忘れられない記憶を抱えた人たちの心情と願いを情感たっぷりに歌っています。

 7曲目の『過ぎゆく夏』は吉田拓郎風のフォークロックで、ひと夏の恋を軽快に歌っています。

 8曲目の『結婚』は本アルバム一番の異色作であり、子どもたちのやり取りから結婚についてコミカルに語る歌です。2分弱の短い歌ですが、聴いたあとクスッと笑って結婚とは何かについて考えさせられます。

 10曲目の『Tell Me,Sister 』は個人的に一番本アルバムで好きな歌です。劣等感を持つ主人公の女性の前に現われる完璧な女性。その女性は全てを兼ね備えているにもかかわらず、いやそれ故にこの世の中に達観していて、主人公に「そのままでいいのに」と伝える。そして時が経ち、完璧な女性が亡くなったことを知る主人公。「人生に必要なものは何か?」、そして、「何が幸せなのか」を聴く者に問いかけてくる歌です。
 あと、私はこの歌を聞くときに「Sister」とは一体誰を指しているのかいつも考えてしまいます。妹なのか、それとも教会のシスターなのか、はたまた友人なのか。聴いたことある皆さんはどう思われますか?

 本アルバムはみゆきさんのアルバムでも大変聞きやすく、初心者の人にもお奨めのアルバムです。みゆきさんが綴った11の短篇集はさらりとしていながら大変味わい深いですよ。

1. 地上の星    
2. 帰省    
3. 夢の通り道を僕は歩いている    
4. 後悔    
5. MERRY-GO-ROUND    
6. 天使の階段    
7. 過ぎゆく夏    
8. 結婚    
9. 粉雪は忘れ薬    
10. Tell Me,Sister    
11. ヘッドライト・テールライト

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『殺し屋1』この映画を見て!

第269回『殺し屋1』
Photo_2  今回紹介する作品は「週刊ヤングサンデー」で連載された山本英夫の人気コミックをバイオレンス描写で定評のある三池崇史監督が完全映画化した『殺し屋1』です。
 本作品は原作に負けず劣らずの痛い暴力描写の連続で、映倫からR-18指定を受けたています。ストーリーはラストを除き基本的に原作に忠実に展開していきます。
 出演者は浅野忠信を始めてとして大森南朋、SABU、塚本晋也、松尾スズキ、    國村隼、寺島進と日本映画を代表する役者が集結して大変濃い演技を披露してくれます。   

ストーリー:「安生組の若頭である垣原は失踪した組長を追っていた。そんな垣原の前に謎の男・ジジイが現われる。ジジイは組の壊滅を図ろうと気弱だが強いイチという青年を操り、組員を次々と抹殺していた。垣原はジジイにガセネタをつかまされ、敵対する組員を捕まえ拷問する。それが原因で安生組を追い出された垣原は自ら組を立ち上がる。
 その後、垣原はジジイが操っているイチという殺し屋の存在を知る。イチの残虐さに究極のマゾである垣原は興奮を覚え対決に胸躍らせるのだが・・・。」

 本作品は原作ファンの人からは不評ですが、個人的には映画の出来もそんなに悪くないと思います。というか、2時間にあの原作を良くまとめたと思います。
 確かにR18指定だけあって暴力描写は過激ですが、あまりにも現実離れをしており、笑いの域に達しています。それでもスプラッターが苦手な人には耐えられないでしょうが・・・。

 ストーリーは展開がかなり早いので原作を知らないと良く分からないところが多いと思います。もう少し人物描写の掘り下げや状況描写を入れたほうが良かったかもしれません。ただ、ラストは個人的に垣原の絶望と願望が見事に表現されていたと思います。

 キャスティングに関して、垣原を浅野忠信が演じたことに関しては賛否両論ありますが、個人的には脱力系の淡々とした演技が良い味を出していたと思います。イチを演じた大森南朋は弱虫な殺し屋が見事にはまっていましたし、ジジイを演じた塚本晋也や双子の刑事を演じた松尾スズキも強烈な印象を見る者に与えてくれます。

 本作品は暴力と欲望と死の渦巻く裏社会で生きる一般社会からはみ出した変人たちの姿をシュールかつコミカルに描いています。別に深い味わいのある作品ではありませんが、この手の映画が好きなら一度は見て損はないと思います。 

上映時間 128分
製作国    日本/香港/韓国
製作年度 2001年
監督:    三池崇史   
原作:    山本英夫
脚本:    佐藤佐吉   
撮影:    山本英夫   
衣裳:    北村道子   
照明:    小野晃   
出演:    浅野忠信   
    大森南朋   
    エイリアン・サン   
    SABU
    塚本晋也   
    KEE   
    松尾スズキ   
    國村隼   
    寺島進   
    菅田俊   
    手塚とおる   
    有薗芳記   
    新妻聡   

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『片腕マシンガール』この映画を見て!

第268回『片腕マシンガール』
Photo  日本のバイオレンス映画の輸入を行っている北米のビデオメーカー「メディアブラスターズ」が、自ら製作に乗り出した新レーベル「TOKYO SHOCK」の初作品として「恋する幼虫」の奇才・井口昇を監督に迎えて製作したB級バイオレンス・アクション『片腕マシンガール』。
 北米の邦画マニアを意識して、寿司や忍者、ヤクザなどニッポン的キーワードを随所に取り込み、弟を殺された女子高生の復讐物語をハードなスプラッターを用いて描いています。YouTubeに予告編がアップされると瞬く間に100万アクセス突破。日本でも限定公開され大変話題になりました。

ストーリー:「両親が殺人容疑を掛けられ自殺に追い込まれた女子高生アミは弟のユウと2人で支え合って暮らしていた。しかし、ユウ服部半蔵の血を受け継ぐヤクザの息子・翔のグループにイジメに遭い殺されてしまう。警察はユウを自殺と断定するが、アミはユウが生前に書いていたノートを発見。そこにはイジメていた人間たちの名前が書かれていた。アミは弟の仇討ちを誓い、翔の家に向かうが捕まってしまい、残忍な拷問の末についに左腕を切り落とされてしまう。」

 久しぶりに邦画でぶっ飛んだ作品でした。内容的にはタランティーノ監督の『キル・ビル1』に似ているのですが、スプラッター描写の過激さと変な日本描写そして下らなさという意味では本作品の方が明らかに上です。

 本作品は本編前に監督によるイントロが入り、鑑賞方法をレクチャーをしてくれます。その不真面目なレクチャーからして本作品が如何に下らない映画であるか分かります。ここで引いてしまうと本作品は見ても苦痛にしかならないでしょう。

 本編は冒頭からラストまで頭部がマシンガンで吹っ飛び、電動のこぎりで体が真っ二つになったりと人体破壊描写のオンパレードです。また血しぶきも半端でなく、噴水のごとく血が飛びまくります。その描写はもはや生々しさを超えて現実離れしており、見ていても不快さはあまり感じず、むしろ笑ってします。ノリ的には『バット・テイスト』『ブレインデッド』など初期のピーター・ジャクソン監督のスプラッター映画に近い感じです。

 ストーリーは70年代テイストの復讐劇で特に目新しい内容や展開があるわけではありませんが、ぶっ飛んだ演出で最後まで飽きることがありませんでした。服部半蔵の血を受け継ぐヤクザ、高校生の忍者集団、人間をネタにした寿司や天ぷら、片腕にマシンガンを装着する主人公、そして敵のヒロインが装着するドリルブラ。こんな演出を思いつき実行できる監督の才能にはある意味脱帽です。
 また、かわいいヒロインが復讐を誓い、幾多の苦痛や苦難を乗り越え、敵を壊滅させるラストはベタですが爽快感を感じさせます。

 本作品は全体を通してチープではありますが、テンポも良いですし、パワーがあります。万人受けする作品ではないですが、B級映画やスプラッター好きなら楽しめる作品だと思いますよ。

上映時間 96分
製作国    アメリカ/日本
製作年度 2008年
監督: 井口昇   
アクション監督:    鈴村正樹   
脚本: 井口昇   
撮影: 長野泰隆   
特殊メイク: 石野大雅   
特殊造型: 石野大雅   
編集: 田辺健二   
音楽: 中川孝   
VFXスーパーバイザー: 鹿角剛司   
イラスト:    江口寿史   
サウンドデザイン: 渡部健一   
照明: 安部力   
特殊造型監督: 西村喜廣   
出演:    八代みなせ   
    亜紗美   
    島津健太郎   
    穂花   
    西原信裕
    川村亮介   
    秀平   
    石川ゆうや   
    菜葉菜   
    岸建太朗   
    岡本良史       
    諏訪太朗   

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