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2009年7月19日 - 2009年7月25日

『太陽を盗んだ男』この映画を見て!

第262回『太陽を盗んだ男』
Photo  今回紹介する作品は原爆を作って日本政府を脅迫する男と警察の攻防をスケール大きく描いてカルト的人気を誇る『太陽を盗んだ男』です。
 私が本作品を今回紹介しようと思ったのは現在劇場にて大ヒットしている『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』の劇中にて第三新東京市の風景が映し出されるシーンで本作品の「山下警部のテーマ」がバックに流れていたからです。あのシーンにあの曲をもってくる『ヱヴァ』のスタッフのセンスの良さとマニアックさに個人的に感心しました。

ストーリー:「中学校で理科を教える城戸誠は東海村の原子力発電所からプルトニウムを盗み出し、自宅のアパートで原子爆弾の製造に成功する。城戸は原爆を盾に警察に対してプロ野球のTV中継を最後まで見せろと要求。しかし、次に何を要求すべきか思いつかない城戸はラジオ番組にて公開リクエストを行う。結果、番組のDJをしていた沢井零子のリクエストであるローリング・ストーンズの日本公演を城戸は警察に要求する。」

 私は2001年にDVD化された時に偶然レンタル店に置いてあって借りて見たのですが、こんな面白い邦画が70年末に製作されていたのかと驚きました。冒頭の皇居前で老人が天皇陛下に会わせろとバスをハイジャックするシーンから画面に釘付けになりました。前半の原爆製造シーンは荒唐無稽でありながら妙に生々しいですし、後半のアクションシーンはスケールの大きな演出と菅原文太の人間離れした活躍に圧倒され、2時間半という上映時間があっという間に感じるほどです。

 私が本作品で一番印象に残ったのは沢田研二演じる主人公・城戸が特に明確な理由なく原爆を製造して国を脅迫するところです。シラケ世代を象徴したかのような主人公が物質的に満たされた社会に漂う何ともいえない閉塞感を打破しようとする展開は当時の若者の心情や願望を見事に表現しています。本作品は原爆という過激な題材が扱われていますが、閉塞された社会の中で生きる目的を探す孤独な若者の悲喜劇を描いた青春映画だと思います。

 沢田研二の演技は終始クールかつシニカルで格好良いです。特に部屋にこもって原爆を作るシーンの演技はとても素晴らしいです。また、お爺さんや妊婦に変装するコミカルなシーンもあり、ドリフのコントを見ているようで笑ってしまいました。

 あと、本作品を語る上で忘れてはいけないのが主人公を追う警部を演じた菅原文太。後半の主人公を追い詰めていく際の執念には圧倒させられます。特にラストの銃で撃たれても立ち上がるシーンはまるでターミネーターかと思いました。

 アクションシーンに関しては荒唐無稽ではありますが、渋谷東急デパートや皇居前での無許可での緊張感漲るロケーションシーンや高速道路を警察に無断で封鎖して撮影した西部警察ばりのダイナミックなカーチェイスシーンと見所満載です。ちなみに撮影時には何人ものスタッフが無許可撮影で警察に留置されたそうです。

 井上堯之の音楽も素晴らしく、テーマ曲は一度聴くと忘れられないメロディーです。

 本作品は天皇制批判、核保有問題など過激な題材を扱っていますが、他の邦画にはないパワーと面白さに満ちています。未見の方はぜひ一度ご覧になることをお勧めします。

上映時間 147分
製作国    日本
製作年度 1979年 
監督:    長谷川和彦   
原案:    レナード・シュレイダー   
脚本:    長谷川和彦   
    レナード・シュレイダー   
撮影:    鈴木達夫   
美術:    横尾嘉良   
編集:    鈴木晄   
音楽:    井上堯之   
照明:    熊谷秀夫   
制作進行: 黒沢清   
録音:    紅谷愃一   
出演:    沢田研二   
    菅原文太   
    池上季実子   
    北村和夫   
    神山繁   
    佐藤慶   
    風間杜夫   
    小松方正   
    汐路章   
    森大河   
    水谷豊   
    西田敏行   
    伊藤雄之助

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『ターミネーター』この映画を見て!

第261回『ターミネーター』
Photo  今回紹介する作品はジェームス・キャメロン監督が生み出した人気シリーズの第1作目『ターミネーター』です。当時まだ駆け出しだったジェームズ・キャメロン監督とアーノルド・シュワルツェネッガーは本作品の成功を機にハリウッドの第一線に踊り出ました。
 本作品は制作費14億円とハリウッド映画としては低予算で製作されているので、映像に関してはチープですが、ストーリーの面白さと緊張感のある演出は今見ても大変見応えあります。

ストーリー:「反乱を起こした人工知能スカイ・ネットと、それに抵抗する人間が互いに戦い合う近未来。人類側の抵抗軍指導者ジョン・コナーの活躍で人類が優勢に立つことができるようになった。
 スカイ・ネットはジョン・コナーに脅威を感じて未来から殺人アンドロイド「ターミネーター」を1984年のロサンゼルスに送りこんだ。目的は人類側の指導者を歴史から抹殺するため、ジョン・コナーの母親となるサラ・コナーを殺害することであった。
 スカイネットの目的に気づいたジョン・コナーは母親を守るためにカイル・リースという戦士を未来から送り込む。
 1984年のロサンゼルスでサラ・コナーをめぐってターミネーターとカイルの間で激しい攻防が始まる。」

 私が本作品を始めてみたのは小学生のときでしたが、サラ・コナーを抹殺する目的のみを達成するためにどこまでもしつこく追いかけてくるターミネーターに衝撃を受けたものでした。特にラストの骨格だけになっても襲ってくるシーンはあまりのしつこさに背筋が凍りました。
 2作目、3作目のシュワルツェネッガー演じるターミネーターは人類側の味方となる頼もしいキャラクターですが、1作目の無慈悲で冷酷な殺人マシーンとしてのキャラクターが一番インパクトがあると思います。

 また、本作品の面白いところはサラ・コナーを守るために未来から送られてきた兵士であるカイルも人間であるところ。ターミネーターと力の差がありすぎる分、どうやって追われる主人公が危機を切り抜けていくのか2作目以降よりも手に汗握るものがありました。

 映像に関しては低予算である分、作り物であることがバレバレのシーンも多いですが、演出でカバーして最後まで見せきるところが凄いと思います。個人的には2作目は1作目の映像の出来に不満足だった監督のセルフリメイクだと思っています。

 本作品は4作目まで製作されていますが、何と言っても1作目が最高です。ぜひ未見の方はご覧ください! 

上映時間 108分
製作国    アメリカ
製作年度 1985年
監督:    ジェームズ・キャメロン   
脚本:    ジェームズ・キャメロン   
    ゲイル・アン・ハード   
撮影:    アダム・グリーンバーグ   
特撮:    スタン・ウィンストン   
美術:    ジョージ・コステロ   
衣装デザイン:    ヒラリー・ライト   
編集:    マーク・ゴールドブラット   
音楽:    ブラッド・フィーデル   
舞台装置: マリア・ロブマン・カソ   
出演:    アーノルド・シュワルツェネッガー   
    マイケル・ビーン   
    リンダ・ハミルトン   
    ポール・ウィンフィールド   
    ランス・ヘンリクセン   
    アール・ボーエン   
    ベス・モッタ   
    リック・ロソヴィッチ   
    ディック・ミラー   
    ビル・パクストン

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