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2009年1月4日 - 2009年1月10日

『ブラック・レイン』この映画を見て!

第237回『ブラック・レイン』
Photo 今回紹介する作品は大阪ロケと松田優作の演技が大変話題となったハリウッド映画『ブラック・レイン』です。
 監督は『エイリアン』や『ブレード・ランナー』で独自の映像美を見せたリドリー・スコットが担当。撮影は後に『スピード』を監督したヤン・デ・ボン、音楽は『バックドラフト』等のアクション映画の音楽を数多く手がけるハンス・ジマーと大変豪華なスタッフが結集。
 俳優もハリウッドからはマイケル・ダグラス、アンディ・ガルシアと知名度の高い役者が起用さ。日本からは高倉健、松田優作、若山富三郎 と主役を張れる大物クラスの役者が数多く起用されています。

ストーリー:「ニューヨークの刑事ニックは白昼のレストランで日本人のヤクザである佐藤が殺害する現場に遭遇する。ニックは部下のチャーリーと共に犯人の佐藤を逮捕する。ニックとチャーリーは大阪に佐藤を護送するが、空港で罠にはめられ、佐藤を逃がしてしまう。ニックは佐藤を追うために日本にとどまり、大阪府警の松本警部補と行動を共にする。日本の警察の捜査方法や習慣の違いに苛立つニックは独自で動こうとするが、そんな中でチャーリーが佐藤に殺されてしまう。」

 私は本作品を初めてみたのは中学校の時だったと思いますが、普段見慣れた大阪の街がまるで近未来の街のように見えてしまうリドリー・スコットの映像マジックに驚きました。蒸気と煙が吹き出し、ネオンが煌々と輝く道頓堀も梅田はまるで『ブレード・ランナー』の舞台となった街のようです。
 また本作品は所々に『ブレード・ランナー』を彷彿させるシーンがありましたね。うどんを食べるところとか、スパンコールが手がかりになるところとか・・。
 
 ストーリーに関しては別にこれと言って目新しいものはありません。異国の地で現地の人間の協力を得て犯人を追いつめていくハリウッド映画にはありがちな展開です。
 ただ、好き勝手するマイケル・ダグラス扮するアメリカの刑事と規則にがんじがらめの高倉健扮する日本の刑事の対比が面白かったですし、最初反目しあっていた2人が友情を結ぶベタな展開も見ていて心が熱くなります。

 ラストのアクションシーンは良くも悪くもハリウッド映画らしい派手な見せ場となっていて、映画の全体的な雰囲気からは浮いているような気がします。(ちなみにラストのアクションシーンは日本ではなくハリウッドでロケされています。)

 あと、私が本作品で好感を持てたのは日本人の描き方がハリウッド映画にしては誇張や偏見が思ったより少ないところ。もちろん、それは違うだろうと日本人ならつっこんでしまうシーンはいくつかありましたが、他のハリウッドが日本をテーマに描いた映画に比べればまともです。

 そして、本作品を語るときに絶対に外せないのが松田優作の圧倒的な存在感。彼は本作品の後に惜しくもガンで亡くなりましたが、本作品での彼の狂気迫る演技はマイケル・ダグラスや高倉健の演技を完全に上回っています。彼の演技を見るだけでも本作品は見る価値があると言っても過言ではありません。特に冒頭のレストランでの殺害シーンと中盤のチャーリーを殺害するシーンの彼の演技は鳥肌が立つほど悪役としての魅力に満ちています。
 リドリー・スコット監督は本作品での彼の演技を高く評価して、当初予定していたラストーシーンを変更させたそうです。
 もし彼が生きていたらハリウッドに進出して活躍していたと思います。本当に彼が亡くなったのは残念な限りです。

上映時間 125分
製作国 アメリカ
制作年度 1989年
監督: リドリー・スコット 
脚本: クレイグ・ボロティン , ウォーレン・ルイス 
撮  ヤン・デ・ボン 
音楽: ハンス・ジマー 
出演:
マイケル・ダグラス
高倉健
アンディ・ガルシア 
松田優作 
ケイト・キャプショー 
若山富三郎
内田裕也
國村隼 
安岡力也
神山繁 
小野みゆき
島木譲二 
ガッツ石松

 

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久石譲とミニマル・ミュージック

   久石譲の音楽というと、多くの人は宮崎アニメで流れてくるような美しく心温めるメロディーが頭に浮かぶと思います。
 しかし、久石さんは元々ミニマル・ミュージックの音楽家として活動していました。ミニマル・ミュージックとは、音の動きを最小限に抑えてパターン化された音型を反復させる音楽で、音の微妙な変化を楽しみます。

 久石さんは宮崎駿監督や北野武監督の映画音楽でもミニマル・ミュージックの手法を良く使っており、美しい久石メロディーとは別に独特な印象を映画に与えています。映画の中で使用されたミニマル・ミュージックで代表的なものは、『となりのトトロ』でバス停でメイとサツキがトトロに出るときに流れる曲や『ソナチネ』のテーマ曲などがあります。

 また、初期のソロアルバムはミニマル・ミュージック路線であり、最近のオーケストラやピアノを中心とした最近のアルバムが好きな人が聞くと違和感があるかもしれません。

 そこで、今回は久石さんのミニマル・ミュージック関係のソロアルバムでお薦めのアルバムを5枚紹介します。

・『ムクワジュ』
Photo  本作品は高田みどりを中心とするパーカッション・トリオ“ムクワジュ・アンサンブル”に、YMOの松武秀樹、ラテンパーカッションの名手ペッカー、そして久石譲が参加して制作されたミニマルミュージックのアルバムです。作曲は久石さんが全て手がけており、久石さんのソロアルバムと言っても差し支えありません。アフリカの民族音楽にインスパイアされた繰り返される短いフレーズは聴いているといつの間にか何ともいえない高揚感に包まれます。

・『INFORMATION』
Information  久石さん初のソロアルバムであり、全8曲シンセによるミニマル・ミュージックです。ちななみに久石さんがボーカルを担当した曲も5つあります。
 感想としては軽快でポップな音とリズムがとても心地よく、何度聞いても飽きることがありません。
 ちなみに本作品を聞いて高畑勲と宮崎駿は『風の谷のナウシカ』の音楽に起用することを決めたそうです。

・『α・BET・CITY』
Alpha_bet_city  久石さん2枚目のソロアルバムであり、全曲シンセによるミニマル・ミュージックですが『INFORMATION』よりさらに刺激的で前衛的な曲が多いです。特にお薦めは6曲目と10曲目に就労されている「DA・MA・SHI・絵」です。
  好き嫌いは分かれると思いますが、テクノサウンドが好きな人にはお薦めです!

・『ヴィオリストを撃て』
Photo_3 久石さんが2000年に発売したソロアルバムですが、イギリスの弦楽四重奏団“バラネスク・カルテット”をゲストに迎え、一時期遠ざかっていたミニマル・ミュージックを中心とした作品が数多く収録されています。初期のアルバムに収録されていたミニマル・ミュージックの作品の他に、「DEAD Suite」というミニマル色の強い新作が収録されているのですが、この組曲は久石さんの曲の中でも大変聴き応えのある名曲です。


・『Asian X.T.C.』
Asian_xtc  アジアをテーマにした久石さんの一番新しいソロアルバムですが、ミニマル・ミュージックテイストの新曲がいくつか収録されています。ピアノと弦楽にサックスやマリンバ、さらにアジアの民族楽器によって奏でられるミニマルな旋律はアジアの悠久の時と大地を彷彿させます。
 ミニマルな曲としてお薦めは「Asian Crisis」です。

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『007/ロシアより愛をこめて』この映画を見て!

第236回『007/ロシアより愛をこめて』
Photo_2  今回紹介する作品は間もなくシリーズ21作目『007/慰めの報酬』が公開される人気スパイ映画007シリーズの2作目で最高傑作との評価が高い『007/ロシアより愛をこめて』です。

ストーリー:「犯罪組織“スペクター”はジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)への復讐とロシアが開発した暗号解読機を強奪するための計画を立案。スペクターの幹部であるソビエト情報局のクレッブ大佐が指揮を取り、真相を知らない部下の情報員タチアナ・ロマノヴァに暗号解読機を持ってイギリスに亡命して、ジェームス・ボンドに接触することを命令する。英国海外情報局のトルコ支局長・ケリムからタチアナの亡命要請を受けたボンドは罠の匂いを感じつつも、トルコのイスタンブールに出向く。」

 本作品はシリーズ2作目ということもあり、アクションや仕掛けは今見ると地味ですが、緊張感がありスパイ映画としての面白さにあふれています。
 特にオリエント急行内での格闘シーンは車内という限定された空間で繰り広げられる分手に汗握るものがありました。
 ラストのヘリからの襲撃からボートのチェイスシーンに至るアクションシーンも迫力満点です。
 また、本作品からQが開発したスパイグッズも登場。このグッズがどこでどう役に立つのか見ていてワクワクします。 

 ショーン・コネリー演じるジェームス・ボンドはセクシーかつダンディで歴代ボンドの中で一番かっこいいですし、ボンドガールも歴代で一番美人かつセクシーで個人的には一番お気に入りです。
 悪役を演じたロバート・ショーも渋くて強そうで、歴代の悪役の中でも印象に残りました。

 あと気になったのは中盤での女性同士のキャットファイト。映画の本編とは余り関係ないのに結構長い時間描かれ、妙にエロチックでした。サービスカットだとは思うのですが、変にインパクトがありました。

 本作品、ストーリーも無駄なくテンポよく展開していきますし、アクションとサスペンスの中にユーモアとロマンスが散りばめられ飽きることなく最後まで見ることができます。
 スパイ映画が好きな人、007好きで未見の方はぜひ一度ご覧になって下さい!

上映時間 115分
製作国 イギリス
監督: テレンス・ヤング 
原作: イアン・フレミング 
脚本: リチャード・メイボーム,ジョアンナ・ハーウッド 
撮影: テッド・ムーア 
音楽: ジョン・バリー 
テーマ曲: ライオネル・バート,モンティ・ノーマン 
主題歌: マット・モンロー 
出演:
ショーン・コネリー 
ダニエラ・ビアンキ 
ロバート・ショウ
ペドロ・アルメンダリス
ロッテ・レーニャ 
マルティーヌ・ベズウィック 
ヴラデク・シェイバル 
ウォルター・ゴテル 
バーナード・リー 
デスモンド・リュウェリン 
ロイス・マクスウェル

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『WALL・E/ウォーリー』この映画を見て!

第235回『WALL・E/ウォーリー』
Photo  今回紹介する作品はディズニー&ピクサー製作のSFラブロマンスCGアニメ『WALL・E/ウォーリー』です。ピクサーの長編CGアニメは本作品で9作目となりますが、今回は「ファインディング・ニモ」のアンドリュー・スタントンが監督を務めています。

ストーリー:「人類がゴミに埋もれた地球から宇宙へと去ってから700年間、一体のゴミ処理ロボット“ウォーリー”が人間たちの残したゴミを独り黙々と片付けていた。彼の唯一の友達はゴキブリのHAL。彼はゴミの中から宝物を見つけてはコレクションすること、そしてミュージカル映画『ハロー・ドーリー』を見ることを楽しみにしていた。
 そんなウォーリーの前にある日、ロケットに乗ってやって来た謎のロボット“イヴ”が現われる。彼はイヴに興味を持ち追いかける。そして彼はイブの気を惹こうとコレクションの1つである植物を見せる。その瞬間にイヴは動かなくなり、ロケットによってさらわれてしまう。
 ウォーリーはイヴを救うため、ロケットにしがみつき未知なる宇宙へ旅立つ。」

 私はピクサーのCGアニメはほとんど見ていますが、回を重ねるたびに映像が進化していて、本作品の近未来の荒廃した都市の描写など実写と見間違うほどリアルに作りこまれていて驚きました。 
 また、映画の前半はセリフがほとんどなく、ウォーリーやイヴの動きや表情だけで物語が展開していくところも斬新でした。ウォーリーのコミカルな姿を見て、チャップリンのサイレント映画を思い起こさせました。機械を主人公にして、ここまで感情を表現できるピクサーの手腕に感嘆します!

 映画ファンとしては『2001年宇宙の旅』をオマージュしたシーンが見られたことも嬉しかったです。それにしてもあそこであの曲が流れたのは笑ってしまいました。
 あと、MACがらみのシーンが見られたのも印象的でした。未来はマイクロソフトでなくMACが生きのこり主流になるんでしょうかね?

 肝心のストーリーに関してですが、前半のロボット同士が惹かれあっていくラブストーリーは大変面白かったのですが、後半の宇宙に出てからは文明批判及び環境保護めいた展開は正直微妙でした。伝えたいメッセージは良くわかるのですが、それを伝えるつもりならもう少し丁寧に中盤を描写しないといけないと思います。
 出来れば、最後までロボット同士のラブストーリーだけで展開してくれたら映画史に残る傑作になったと思うのですが残念です。

 エンドロールの映像は何かナウシカのオープニングロールを思い出しました。ただ、ナウシカと違って明るい未来を予感させる映像でしたが・・・。

 本作品はストーリーが個人的にはイマイチですが、それを差し引いても十分に楽しめる作品です。特に映像のリアルさと美しさはCGアニメの頂点だと思います。ぜひ劇場でごらんください。  

上映時間 103分
製作国 アメリカ
製作年度 2008年
監督: アンドリュー・スタントン 
原案: アンドリュー・スタントン,ピート・ドクター 
脚本: アンドリュー・スタントン,ジム・リアドン 
プロダクションデザイン: ラルフ・エグルストン 
音楽: トーマス・ニューマン 
サウンドデザイン: ベン・バート 
声の出演:
ベン・バート 
エリサ・ナイト
ジェフ・ガーリン 
フレッド・ウィラード 
ジョン・ラッツェンバーガー 
キャシー・ナジミー 
シガーニー・ウィーヴァー 

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