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2009年3月29日 - 2009年4月4日

『ウォッチメン』この映画を見て!

第245回『ウォッチメン』
Photo  今回紹介する作品は異色のヒーロー映画『ウォッチメン』です。本作品は80年代後半にアメリカで発表されるや否や高い人気と評価を得たグラフィック・ノベルです。88年にはグラフィックノベルとして初となるSF文学の最高峰ヒューゴー賞を受賞、最近でもタイム誌が選ぶ1923年以降の長編小説ベスト100に選ばれているほどです。
 テリー・ギリアム監督やポール・グリーングラス監督が今まで映画化を計画していたようですが途中で頓挫、ハリウッドでも映像化困難といわれていた作品です。そんな中、『ゾンビ』のリメイク映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』で監督デビュー、フランク・ミラーのグラフィックノベル『300』をCGを駆使して大胆に映画化したザック・スナイダーが映画化に挑戦。ついに原作に忠実な作品として映画化に成功しました。

ストーリー:「ニクソンがアメリカ大統領3期目を務めて、米ソの冷戦状態が緊迫している1980年代。ニューヨークの高層マンションでエドワード・ブレイクという男性が殺される。彼は以前に「ウォッチメン」と呼ばれるコスチュームヒーロー集団の一員でコメディアンという名前で活躍していた。
 「ウォッチメン」はアメリカを守るヒーローとしてかつて活躍していたが、彼らの正義の名の下の行動にアメリカ市民が疑問を抱くようになり、1977年に彼らの行動を規制する法律が作られた。多くのヒーローが引退をして、一般市民として生活していた。
 そんな中、「ウォッチメン」のメンバーであったロールシャッハは事件の裏に巨大な陰謀がある事を察知する。一体誰が何の目的でコメディアンを殺したのか、ロールシャッハはかつてのメンバーと共に事件の真相に迫っていくが・・・・。」

 私は原作を読んだことないので比較して感想を述べることはできませんが、昨年公開された『ダークナイト』以上に衝撃的かつ奥深いヒーロー映画でした。
 上映時間はこの手の映画としては160分とかなり長いですが、話しの密度が大変濃く、映像や音響も大変凝っているので退屈することはありません。ただ、私は原作を知らないので、中盤までは世界観やストーリー展開に正直ついていけませんでした。そういう意味では本作品はある程度予備知識を持って見た方が楽しめるかもしれません。
 ストーリーに関しては誰がコメディアンを殺したのかを探していくミステリー形式となっており、その合い間にウォッチメンのメンバーの過去や現在の苦悩が描かれていきます。
 
 本作品ではヒーローたちを単純な正義や善の存在として描かず、人間としての弱さや愚かさを併せ持った存在として描いています。孤独や過去のトラウマに苦しみ、個人的な感情に翻弄されるヒーローたち。本作品のヒーローは確かに強いですが、決してカッコいい存在とはいえません。
 
 映画の後半は敵の大きな陰謀が暴かれていくのですが、ラストは予想外の結末で戸惑いました。ヒーローたちの行動によって人類に平和が訪れるのですが、劇中のロールシャッハ同様に「これで良いのか!」と思わず叫びたくなりました。
 倫理的に正しい行いが良い結果を生むとは必ずしも言えず、時には倫理的に糾弾されるような行いが良い結果を生む。そんな結末に平和や正義とは一体何か思わず見た後考え込んでしまいました。

 映像に関しては過激な暴力描写とヒーロー映画としては珍しい艶かしい性描写が印象的でした。本作品がR-15指定なのも納得です。アクションシーンもスローモーションを効果的に使って迫力に満ちたものに仕上がっていました。
 また、火星でのシーンや都市の崩壊シーンもスケールの大きな映像に圧倒されました。

 登場するキャラクターでは青い体のDR.マンハッタンが何と言っても強烈でした。普段はフルチンで歩き回り、時に超人的能力で敵と戦い、時に失恋して火星に一人旅立つ。繊細かつスケールの大きなキャラクターがとても印象に残りました。
 また、この映画のストーリーテラーとも言えるロールシャッハもハードボイルドな雰囲気と人間臭さが漂っており、本作品の中で一番魅力的なキャラクターでした。

 本作品は賛否両論分かれる作品ですが、映像やストーリーは大変見応えがあります。私の中では今年公開された映画の中でベスト5に入る傑作だと思います。

上映時間 163分
製作国 アメリカ
製作年度 2009年
監督: ザック・スナイダー 
原作: アラン・ムーア、デイヴ・ギボンズ 
脚本: デヴィッド・ヘイター、アレックス・ツェー 
撮影: ラリー・フォン 
視覚効果スーパーバイザー: ジョン・“DJ”・デジャルダン 
プロダクションデザイン: アレックス・マクダウェル 
衣装デザイン: マイケル・ウィルキンソン 
編集: ウィリアム・ホイ 
音楽: タイラー・ベイツ 
出演: マリン・アッカーマン
ビリー・クラダップ
マシュー・グード
カーラ・グギーノ
ジャッキー・アール・ヘイリー
ジェフリー・ディーン・モーガン
パトリック・ウィルソン
スティーヴン・マクハティ
マット・フルーワー
ローラ・メネル
ロブ・ラベル 
ゲイリー・ヒューストン 
ジェームズ・マイケル・コナー

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