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2008年12月28日 - 2009年1月3日

『新幹線大爆破』この映画を見て!

第234回『新幹線大爆破』
Photo_6  今回紹介する作品は昨年に引退した新幹線0系を舞台にしたノンストップアクション映画『新幹線大爆破』です。
 ハリウッドでパニック映画が流行していた時代、東映が日本でもパニック映画を作ろうとオールキャストで作り上げた本作品。
 当時の国鉄が撮影協力を拒否したために、新幹線はセットとミニチュアを使用して撮影。総合指令所も写真を参考に美術スタッフが製作したそうです。
公開当時は日本では興行収入的にはパッとしませんでしたが、フランスにて短縮版が公開されて大ヒット。また日本でも80年以降にテレビ放映やレンタルビデオで人気が再燃。カルト的人気を誇るようになりました。
 また、80キロ以上速度化低下したら爆発するという設定はキアヌー・リーブス主演の『スピード』の元ネタとなったことでも有名です。

ストーリー:「東京発博多行き新幹線ひかり109号に爆弾が仕掛けられた爆弾は列車の速度が時速80キロ以下になると爆発するという。1,500人の乗客の命を乗せたまま止められない新幹線は終着駅の博多へと向かう。
 止まらない新幹線に乗客はパニックとなり、車内は混乱へと陥る。
 その頃、新幹線の総合指令室では列車の衝突や混乱を避けるために対応に追われていた。
 警察は必死になって犯人を追跡するが、それが裏目裏目に出てしまう始末。
 果たして新幹線は爆破を免れることができるのか、タイムリミットが刻一刻と迫る。」

 私は小学生のときに本作品をテレビ放映にて見て、夢中になったのを今も覚えています。その後も放映されるたびに繰り返し見たものでした。
 今日も偶然テレビにて放映されていたので見たのですが、2時間半全く飽きずに観ることができました。
 
 本作品、突っ込もうと思えば突っ込みどころ満載です。
 新幹線の映像は今見るとリアルさに欠けてちゃちいですし、ストーリーも無理に危機を生み出そうとご都合主義な展開が多すぎます。
 警察の捜査の仕方は何でそこでそんな対応するかなと疑問に思うことばかりで、何回犯人を取り逃せば気が済むのかと観ていてイライラします。ここまで無能な警察の描写は他の邦画では見られません。
 また喫茶店の火災シーンは「そんな展開があり?」と見ている側も呆然としてしまうほどご都合主義な展開です。
 爆弾の解体シーンもダイナマイト前にあんな火花散らして大丈夫かと見ている側がハラハラするほどです。

 完成度から言うと本作品はイマイチなのですが、それを補って余りあるほどの勢いとパワーがあります。
 高倉健、宇津井健、千葉真一等の濃い役者の迫真の演技と次から次へと起こる予測不可能なアクシデントは観客を画面に釘付けにします。 
 
 シナリオも展開が強引かつ無理がありますが、犯人側の人間ドラマをじっくり描いているところが好感が持てます。(人によってはテンポが落ちるという意見もあるかと思いますが・・・)高度経済成長期の日本の下層社会の悲しい現実を反映したストーリーは犯人たちを単なる極悪非道な悪人としてでなく、戦後の繁栄から取り残された人間たちとして描いており、ラストシーンは思わず犯人に同情さえしてしまいます。
 戦後の高度経済成長のシンボルであった新幹線を戦後日本の負け組が一発逆転を狙って襲うという展開が単なるパニック映画にはない深みを与えています。
 
 また、オールスターキャストだけあって、有名な俳優が次から次へと登場するのも大きな見せ場。個人的には若い頃の田中邦衛、北大路欣也 、小林稔侍が見られたのが嬉しかったです。 

 本作品は完成度はもう一つですが、何回見ても飽きることなく、いろいろな意味で楽しめます。是非ご覧になってください!

上映時間 153分
製作国 日本
製作年度 1975年
監督: 佐藤純弥 
原案: 加藤阿礼 
脚本: 小野竜之助,佐藤純弥 
撮影: 飯村雅彦 
美術: 中村修一郎 
編集: 田中修 
音楽: 青山八郎 
特殊撮影: 小西昌三, 成田亨 
助監督: 岡本明久 
出演:
高倉健
山本圭
田中邦衛
織田あきら 
郷えい治 
宇津井健
千葉真一 
小林稔侍 
志村喬 
永井智雄
中田博久
千葉治郎
志穂美悦子
渡辺文雄 
竜雷太 
丹波哲郎
鈴木瑞穂
青木義朗
黒部進 
北大路欣也

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久石譲と映画音楽

 昨年の紅白歌合戦では久石譲が登場し、宮崎アニメの曲や『私は貝になりたい』等を演奏し大活躍していましたね。小学校の時から約20年以上ずっと久石さんが好きだった私としては嬉しい限りです。
 
 さて、久石さんというと宮崎駿や北野武の映画音楽での活躍が有名ですが、他にも数多くの映画に素晴らしい楽曲を提供しています。(下記のリストを参考にしてください。)

 そこで、宮崎作品北野作品以外の映画音楽でお勧めのサウンドトラックを5つ紹介します。

・『トンマッコルへようこそ』
Photo  久石さんがアジアの映画音楽に進出するきっかけとなった韓国映画『トンマッコルへようこそ』。日本人として初となる第四回大韓民国映画大賞最優秀音楽賞を受賞したことでも話題になりました。朝鮮半島の南北分断の悲劇を幻想的に描いた作品ですが、久石メロディーの美しさが映画の質をさらに上げる役割を果たしています。

Photo_2 ・『おくりびと』
 昨年大ヒットした本木雅弘主演の映画『おくりびと』。主人公が元チェロ奏者ということもあって、チェロの音色と魅力を見事に引き出された音楽です。メロディーも優しく温かく聴いていて心が落ち着きます。

Photo_3 ・『ふたり』
 80年代後半~90年代前半にかけて久石さんは大林宣彦監督の映画音楽を数多く手がけていました。『ふたり』もその中の一つで、美しいメロディーがとても印象に残ります。また、本作品の貴重なところは久石さんと大林監督がデュエットした主題歌『草の想い』が収録されていることです。二人のおじ様の甘く渋い声が聞く者を虜にします!

Photo_4 ・『Quartet』
 久石譲が初監督を手がけた映画『Quartet』。弦楽四重奏団のメンバーを主人公にしているだけあって、弦楽四重奏による演奏曲が多く含まれています。クラシカルなナンバーが多いのが特長です。
 また、「となりのトトロ」や「HANA-BI」と彼の代表曲がメドレーで収録されているのもファンとしては嬉しい限りです。

Photo_5 ・『アリオン』
 ギリシャ神話をモチーフにした安彦良和原作・監督のアニメ映画『アリオン』。シンセを使ったエスニックな感じの曲が多いのが特長です。本作品の一番の聞き所は「レスフィーナ」という曲で、数ある久石メロディーの中でも屈指の完成度で一度聞いたら忘れることができないほど美しい曲です。



*久石譲が手がけた主な映画音楽一覧
・風の谷のナウシカ(1984年)
・Wの悲劇(1984年)
・早春物語(1985年)
・春の鐘(1985年)
・グリーン・レクイエム(1985年)
・天空の城ラピュタ(1986年)
・アリオン(1986年)
・熱海殺人事件(1986年)
・めぞん一刻(1986年、実写版)
・恋人たちの時刻(1986年)
・漂流教室(1987年)
・この愛の物語(1987年)
・ドン松五郎の大冒険(1987年)
・となりのトトロ(1988年)
・極道渡世の素敵な面々(1988年)
・魔女の宅急便(1989年)
・ヴイナス戦記(1989年)
・釣りバカ日誌2(1989年)
・カンバック(1990年)
・ペエスケ/ガタピシ物語(1990年)
・タスマニア物語(1990年)
・あの夏、いちばん静かな海。(1991年)
・仔鹿物語(1991年)
・ふたり(1991年)
・福沢諭吉(1991年)
・青春デンデケデケデケ(1992年)
・紅の豚(1992年)
・はるか、ノスタルジィ(1992年)
・ソナチネ(1993年)
・水の旅人 侍KIDS(1993年)
・女ざかり(1994年)
・みんな〜やってるか!(1995年)
・キッズ・リターン(1996年)
・もののけ姫(1997年)
・パラサイト・イヴ(1997年)
・HANA-BI(1998年)
・時雨の記(1998年)
・菊次郎の夏(1999年)
・川の流れのように(2000年)
・はつ恋(2000年)
・千と千尋の神隠し(2001年)
・BROTHER(2001年)
・Quartet(2001年)
・リトル・トム(2001年、仏)
・Dolls(2002年)
・壬生義士伝(2003年)
・ハウルの動く城(2004年)
・キートンの大列車追跡(The General)(2004年)
・男たちの大和/YAMATO(2005年)
・トンマッコルへようこそ(2005年、韓国)
・西遊記リローデッド(2005年、香港)
・おばさんのポストモダン生活(2006年、中国)
・マリと子犬の物語(2007年)
・日はまた昇る(2007年、中国)
・崖の上のポニョ(2008年)
・おくりびと(2008年)
・私は貝になりたい(2008年)

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2008年劇場公開映画マイベスト5

今年も数多くの映画が日本で公開されました。そこで私が今年公開された映画の中で特に印象に残った&満足した映画ベスト5を紹介したいと思います。

Photo 第5位『クローバーフィールド/HAKAISHA』
 ニューヨークの自由の女神が破壊される衝撃的な予告編以外公開されるまで徹底した秘密主義が貫かれて話題となった怪獣映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』。怪獣の正体や襲撃の全貌が最後まで明かされない分、観客の想像力を刺激します。

Photo_2 第4位『パコと魔法の絵本』
 嫌われ松子の一生』での独特な映像表現とテンポの良い演出で高い評価を受けている中島哲也監督の最新作『パコと魔法の絵本』。日本映画としては珍しいファンタジー映画ですが、個性的な登場人物が色彩豊かな映像の中で繰り広げる物語は見ていて飽きることがなく、前半は大いに笑って後半は涙を抑えることができませんでした。

Photo_3 第3位『崖の上のポニョ』
 宮崎駿4年ぶりの新作となった『崖の上のポニョ』。今年の日本での興行収入1位を獲得して、宮崎映画の人気の根強さを改めて証明しました。状況説明を極力省いたストーリー展開は賛否両論ありますが、アニメでしか出来ないダイナミックかつ繊細な表現と可愛らしい主題歌が大変印象に残りました。

Photo_4第2位『ダークナイト』
 米で『タイタニック』に次いで歴代興行収入第2位という記録的大ヒットをしている『ダークナイト』。日本での興行収入は伸び悩みましたが、作品の質の高さは近年のハリウッド映画の中では群を抜いています。特にヒース・レジャー演じるバットマンの宿敵ジョーカーは映画史に残るほど極悪非道で強烈な悪役です。

Photo_5 第1位『おくりびと』
 私としては本年度一押しの作品です。遺体を清め棺に納める“納棺師”を主人公にした『おくりびと』は死という重い題材を扱っています。しかし、コミカルな描写も多く笑わせてくれますし、主人公の成長がしっかり描かれているので、最後は爽やかな涙で劇場を後にすることができました。


2007年べスト5
2006年ベスト5
2005年ベスト5

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『ハンニバル』映画鑑賞日記

Photo  『羊たちの沈黙』から10年後に発表された続編『ハンニバル』。私は本作品を公開当時に劇場まで足を運んで見たのですが、前作に比べるともう一つの出来でした。
 確かに監督がリドリー・スコットだけあって、映像はとても美しいですし、前作以上にショッキングなシーンも幾つかあり、飽きることなく最後まで見ることができます。
 
 しかし、前作にあった張り詰めた緊張感や身の毛もよだつ恐怖感がなく、人物描写も掘り下げが浅いです。
 またストーリーの展開も無理がありますし、主人公たちの内面描写がほとんど描かれていないため、ラストの晩餐シーンも見た目は強烈ですが、それ以上のものを感じませんでした。
 その為、サスペンスとしても人間ドラマとしても前作には及ばず、上品な雰囲気を漂わせたスプラッタースリラーに成り下がってしまいました。
 
 さらに前作で主人公クラリスを演じたジョディ・フォスターが降板して、ジュリアン・ムーアに交代したことも面白さを半減させています。まあ、原作を読んだらジョディ・フォスターが降板するのも無理はありませんが、・・・。。ジュリアン・ムーアも演技派の女優で頑張ってクラリス役を演じたとは思いますが、どうしても前作のジョディ・フォスターの演技が強烈で違和感がありました。
 ただ、クライマックスシーンのセクシーなドレス姿はジョディ・フォスターでは出せない大人の女性の色っぽさが出ていたとは思います。

 レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスの演技は落ち着きがあり、安心して見られます。特に映画の前半のイタリアでのレクター博士は知性と狂気が入り混じり、背筋がゾクッとします。
 しかし、前作ほどの迫力はなかったような気がします。レクター博士は檻の中に入っていた方が不気味で魅力的なような気がしました。

また、ゲイリー・オールドマンも特殊メイクで素顔を一切見せず、不気味な悪役を嬉しそうに演じてましたし、ジャンカルロ・ジャンニーニの人間臭い味のある演技も非常に印象的でした。

 本作品は前作と比較せず別物として見れば、芸術的な猟奇映画としてそこそこ楽しめると思います。

上映時間 131分
製作国 アメリカ
製作年度 2001年
監督: リドリー・スコット 
製作: ディノ・デ・ラウレンティス 
マーサ・デ・ラウレンティス 
原作: トマス・ハリス 
脚本: デヴィッド・マメット 
スティーヴン・ザイリアン 
撮影: ジョン・マシソン 
音楽: ハンス・ジマー 
出演:
アンソニー・ホプキンス
ジュリアン・ムーア 
ゲイリー・オールドマン 
ジャンカルロ・ジャンニーニ
フランチェスカ・ネリ 
フランキー・フェイソン 
レイ・リオッタ

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『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』映画鑑賞日記

Ghost_in_the_shell20  押井守監督が『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』を自らリニューアルした『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0』。(以降『2.0』と表記。)
 95年に公開されたオリジナル版は世界中のアニメファンに絶賛され、アメリカではビルボード誌のビデオ週間売り上げ1位を記録したほどです。
 
 今年公開された『2.0』ではビジュアルエフェクトを駆使して、全カットをバージョンアップ。3DCGによる新作カットも随所に挿入。
 音響もドルビーサラウンドから6.1chサラウンド化され、台詞・音楽・SEなどもリニューアルされています。

 『2.0』を見ての感想ですが、ヘリコプター等の3DCG化は特に気にならなかったのですが、素子のオープニングのビルからのダイブシーンと中盤の潜水シーンは正直見ていて違和感がありすぎでした。なぜあのシーンだけ素子を3DCG化したのか意図がよく分かりません。キャラクターを3DCG化するなら、全編・全登場人物すべきだと思いました。

 映像のバージョンアップに関しては全体の色調がオリジナルの緑色からオレンジ色に変更されており、続編である『イノセンス』の雰囲気に近い感じになっています。
 またオープニングタイトルもオリジナルから変更されています。個人的にはオリジナルの方がスタイリッシュだったような気がします。

 音響に関しては『スターウォーズ』等を手がけたスカイウォーカー・サウンドが6.1chサラウンド化しただけあって、オリジナルよりも格段に素晴らしいです。特に銃撃シーンは迫力満点です。
 ただ、今回新録でアフレコされた部分に関してオリジナルの方が良かったと思います。特に「人形使い」の声優が家弓家正から榊原良子に変わったことは残念でした。オリジナルの女性型の義体でありながら、中年男性の低い声であるいうところが強烈なインパクトがあったのですが、今回の榊原良子の声はオリジナルほどのインパクトはありませんでした。ただ、人形使いの声が女性になったこと自体はそれはそれで悪くはないかなとも思いましたが。

 今回の『2.0』に関しては個人的には映像はオリジナルのままで、音響だけ6.1CH化しただけでも良かったかなと思いました。
 

上映時間:85分
製作国:日本
製作年度:2008年
監督: 押井守 
原作: 士郎正宗 
脚色: 伊藤和典 
音楽: 川井憲次 
声の出演:
 田中敦子
 大塚明夫
 山寺宏一
 仲野裕 
 大木民夫
 玄田哲章
 生木政壽
 山内雅人
 榊原良子

 

 
 

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