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『カールじいさんの空飛ぶ家』この映画を見て!

第277回『カールじいさんの空飛ぶ家』
Photo  今回紹介する作品はピクサーの最新作にして初の3Dアニメに挑んだ『カールじいさんの空飛ぶ家』です。監督は「モンスターズ・インク」のピート・ドクターが担当。ガンコな老人が亡き妻との約束を果たすべく2人の思い出が詰まった我が家に大量の風船をつけて冒険に出るという本作品。カンヌ映画祭でアニメとしては初のオープニング作品として公開されました。

ストーリー:「開発で立ち退きを余儀なくされている一軒家に暮らすカールじいさん。その家は先立った最愛の妻エリーとの思い出が詰まった大切な場所だった。しかし、カールじいさんは工事現場の従業員とのトラブルから家を立ち退き、施設に入らなければならなくなる。カールじいさんは家を守り妻との約束を果たすために立ち退きの日の朝に無数の風船を使い家ごと大空へと舞いあがる。」

 ピクサーのCGアニメは毎回完成度が高く面白いので私も楽しみにしているのですが、今回の作品も期待を裏切らない出来でした。予告編を見た時は年老いた主人公の感傷的でお涙頂戴の作品になっているのかと思っていました。しかし、本編を見ると予想と違っていました。

 冒頭の10分間の主人公の回想シーンは大人が見ると涙なしでは見られないほど切ないです。妻との約束を果たすために旅立つ主人公。私は中盤までは主人公が困難を越えて妻との約束を果たすまでを描いた作品だと思って見ていたのですが、アジア系の子どもが冒険に付き添い、カラフルな鳥やしゃべる犬が登場し始めるころから話しの展開が変わってきます。悪役が登場してアクション満載のハラハラドキドキの冒険活劇へとなっていきます。この悪役が主人公同様に孤独で寂しい老人であるというところがミソです。老人同士の人生をかけた闘いはある意味手に汗握るものがありました。本作品の特長は主人公が過去の思い出をただ愛しむのでなく、決別して新たな未来を歩む姿まで描いているところだと思います。過去は大切だけど縛られず前に進むことの大切さ。それが本作品のテーマだと思いました。

 また、主人公と複雑な家庭環境のアジア系の少年との交流もとても印象に残りました。ただ、欲を言うなら、主人公の少年と出会ってからの心境の変化をもっとじっくり描いても良かったような気がします。

 映像面ではピクサー初の3Dということで楽しみにしていたのですが、スクリーンを飛び出すような派手な演出はあまりなく、どちらかというと映像に奥行きを与えるのに使われており、2Dで見ても大きく印象は変わらないような気がしました。それにしてもカラフルな風船を付けて空を飛ぶカールじいさんの家のリアルかつ幻想的な美しさは映画史に残る名シーンだと思いました。

 あと、本作品を見て宮崎駿監督の影響を随所に感じました。老人が主人公という設定は『ハウルの動く城』ですし、空飛ぶ家は『天空の城ラピュタ』ですし、最後の空中での戦いは宮崎駿監督が得意とするところです。また、主人公の雰囲気も宮崎駿監督にどことなく似ています。(どうやら宮崎駿監督も本作品を鑑賞して高く評価しているようですね。)

 本作品は予告編が与える印象と本編の内容が違うので注意が必要ですが、老人を主人公にした冒険活劇としては最高に面白く心に残ります。同時上映の短編アニメーション『晴れ ときどき くもり』も短いながらとても良い仕上がりなので必見ですよ。

上映時間 103分
製作国 アメリカ
制作年度 2009年
監督:ピート・ドクター   
原案:ピート・ドクター   
      ボブ・ピーターソン   
      トーマス・マッカーシー   
脚本:ボブ・ピーターソン   
      ピート・ドクター   
音楽:マイケル・ジアッキノ   
声の出演:エドワード・アズナー   
     ジョーダン・ナガイ   
     ボブ・ピーターソン   
     クリストファー・プラマー   
     デルロイ・リンドー   
     ジェローム・ランフト   
     エリー・ドクター   
     ジェレミー・レアリー

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