『アバター』この映画を見て!
第278回『アバター』
今回紹介する作品はジェームズ・キャメロンが構想14年、製作に4年以上の歳月を費やして完成させたSF超大作『アバター』です。前作『タイタニック』から12年ぶりの新作長編映画となる本作品。キャメロン監督が近年関心を持って取り組んでいた3D技術や最新のVFX技術を駆使して、誰も見たことない世界をリアルに描きだすことに成功しています。
ストーリー:「元海兵隊員のジェイクは下半身不随になり車いす生活を送っていた。ある時、彼は衛星パンドラでの作戦アバター・プログラムの参加者に選ばれる。パンドラの森には莫大な利益をもたらす希少な鉱物が埋蔵されており、地球人たちは採掘に力を注いでいた。しかし、森には肉体的に人間よりも能力の高い先住民ナヴィが生活しており採掘に抵抗をしていた。
地球人はパンドラでの採掘を何とか進めるために先住民ナヴィと人間のDNAを掛け合わせたアバターを造りだし、意識による遠隔操縦をしてパンドラの森に進出していた。
ジェイクはアバターを操りナヴィ族の調査と偵察をする任務を与えられ、パンドラの森に足を踏み入れる。ジェイクは森の奥深くでナヴィ族の美しい女性ネイティリと出会い、彼らの生き方や森の素晴らしさに共感を示すようになる。
やがてジェイクは地球人たちの乱開発に疑問を持つようになるのだが・・・・。」
私は正直言って本編を見るまで、本作品にあまり期待していませんでした。夏に解禁されたスチールや予告編を見た時はゲームのような安っぽい映像にキャメロン監督も失速したのではと心配さえしました。しかし、実際に3Dで鑑賞すると本作品の革新的な映像に鳥肌が立ちました。
はっきり言ってストーリーは特に目新しいものはありません。異文化との交流や自然との調和をテーマにしており、『ポカホンタス』や『ダンス・ウィズ・ウルブス』に『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』をミックスさせたような内容です。話しの展開も勧善懲悪で単純明快。映画好きの人なら次どうなるのか大体予測できると思います。ストーリーだけ取って見ると高い評価はできません。
しかし、本作品はストーリーを補って余りあるほど映像が凄いです。実写の3D映画は今までも製作されていましたが、本作品はレベルが違います。奥行きのある3D映像はまるで自分がパンドラの森に入り込んだような感覚になります。特に主人公やナヴィ達が翼竜に乗って滑空するシーンのリアリティはまるで本当に飛んでいるかのようでした。
また、パンドラの数々の美しい風景や森に生息する見たこともない動植物、そして青い皮膚を持つナヴィ族。全てはCGで作り出された架空のものに過ぎないはずなのに、3D映像で見るとまるで現実に存在しているのではと感じてしまうほどリアルに見えます。
後半はナヴィ族と地球人とのパンドラの森での大バトルが3Dを駆使して壮大かつ迫力満点のアクションシーンがこれでもかと繰り広げられます。そのアクションシーンの質と量は半端なく、見終わってお腹いっぱいになります。
また、パワーローダーや攻撃ヘリ、そして兵士が持つ銃器と随所にキャメロン監督のメカへのこだわりが見られたのも嬉しい限りでした。
登場するキャラクターに関しては主人公もさることながら、キャメロン監督らしく女性が活躍するところが良かったです。あと、悪役の憎々しい大佐もステレオタイプなキャラではありますが印象に残りました。
それにしてもキャメロン監督が創造した架空の世界をここまで実写でリアルに表現できるようになった映像テクノロジーの進歩に正直驚きました。本作品の公開をきっかけにハリウッドの大作映画はきっと3Dの方向に向かっていくのでしょうね。そういう意味で、本作品は映画史においても重要な作品となるでしょう。
これから劇場で見る人は絶対3Dで見てください。そうしないと本作品の素晴らしさが分からないと思います。
上映時間 162分
製作国 アメリカ
制作年度 2009年
監督: ジェームズ・キャメロン
脚本: ジェームズ・キャメロン
撮影: マウロ・フィオーレ
プロダクションデザイン: リック・カーター、ロバート・ストロンバーグ
衣装デザイン: デボラ・スコット
編集: スティーヴン・リフキン、ジョン・ルフーア、ジェームズ・キャメロン
音楽: ジェームズ・ホーナー
視覚効果監修: ジョー・レッテリ
出演: サム・ワーシントン
ゾーイ・サルダナ
シガーニー・ウィーヴァー
スティーヴン・ラング
ミシェル・ロドリゲス
ジョヴァンニ・リビシ
ジョエル・デヴィッド・ムーア
CCH・パウンダー
ウェス・ステューディ
ラズ・アロンソ
| 固定リンク
| コメント (4)
| トラックバック (14)
最近のコメント