『片腕マシンガール』この映画を見て!
第268回『片腕マシンガール』
日本のバイオレンス映画の輸入を行っている北米のビデオメーカー「メディアブラスターズ」が、自ら製作に乗り出した新レーベル「TOKYO SHOCK」の初作品として「恋する幼虫」の奇才・井口昇を監督に迎えて製作したB級バイオレンス・アクション『片腕マシンガール』。
北米の邦画マニアを意識して、寿司や忍者、ヤクザなどニッポン的キーワードを随所に取り込み、弟を殺された女子高生の復讐物語をハードなスプラッターを用いて描いています。YouTubeに予告編がアップされると瞬く間に100万アクセス突破。日本でも限定公開され大変話題になりました。
ストーリー:「両親が殺人容疑を掛けられ自殺に追い込まれた女子高生アミは弟のユウと2人で支え合って暮らしていた。しかし、ユウ服部半蔵の血を受け継ぐヤクザの息子・翔のグループにイジメに遭い殺されてしまう。警察はユウを自殺と断定するが、アミはユウが生前に書いていたノートを発見。そこにはイジメていた人間たちの名前が書かれていた。アミは弟の仇討ちを誓い、翔の家に向かうが捕まってしまい、残忍な拷問の末についに左腕を切り落とされてしまう。」
久しぶりに邦画でぶっ飛んだ作品でした。内容的にはタランティーノ監督の『キル・ビル1』に似ているのですが、スプラッター描写の過激さと変な日本描写そして下らなさという意味では本作品の方が明らかに上です。
本作品は本編前に監督によるイントロが入り、鑑賞方法をレクチャーをしてくれます。その不真面目なレクチャーからして本作品が如何に下らない映画であるか分かります。ここで引いてしまうと本作品は見ても苦痛にしかならないでしょう。
本編は冒頭からラストまで頭部がマシンガンで吹っ飛び、電動のこぎりで体が真っ二つになったりと人体破壊描写のオンパレードです。また血しぶきも半端でなく、噴水のごとく血が飛びまくります。その描写はもはや生々しさを超えて現実離れしており、見ていても不快さはあまり感じず、むしろ笑ってします。ノリ的には『バット・テイスト』や『ブレインデッド』など初期のピーター・ジャクソン監督のスプラッター映画に近い感じです。
ストーリーは70年代テイストの復讐劇で特に目新しい内容や展開があるわけではありませんが、ぶっ飛んだ演出で最後まで飽きることがありませんでした。服部半蔵の血を受け継ぐヤクザ、高校生の忍者集団、人間をネタにした寿司や天ぷら、片腕にマシンガンを装着する主人公、そして敵のヒロインが装着するドリルブラ。こんな演出を思いつき実行できる監督の才能にはある意味脱帽です。
また、かわいいヒロインが復讐を誓い、幾多の苦痛や苦難を乗り越え、敵を壊滅させるラストはベタですが爽快感を感じさせます。
本作品は全体を通してチープではありますが、テンポも良いですし、パワーがあります。万人受けする作品ではないですが、B級映画やスプラッター好きなら楽しめる作品だと思いますよ。
上映時間 96分
製作国 アメリカ/日本
製作年度 2008年
監督: 井口昇
アクション監督: 鈴村正樹
脚本: 井口昇
撮影: 長野泰隆
特殊メイク: 石野大雅
特殊造型: 石野大雅
編集: 田辺健二
音楽: 中川孝
VFXスーパーバイザー: 鹿角剛司
イラスト: 江口寿史
サウンドデザイン: 渡部健一
照明: 安部力
特殊造型監督: 西村喜廣
出演: 八代みなせ
亜紗美
島津健太郎
穂花
西原信裕
川村亮介
秀平
石川ゆうや
菜葉菜
岸建太朗
岡本良史
諏訪太朗
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