『お葬式』この映画を見て!
第267回『お葬式』
今回紹介する作品は伊丹十三の監督デビュー作であり、公開当時大ヒットを記録した『お葬式』です。伊丹十三が妻であり女優の宮本信子の父の葬式で喪主になった経験を元にシナリオを書き上げ、1億円の予算をかけて、製作されました。ちなみに主な撮影場所である葬儀を行う家は何と実際の伊丹十三の家でロケしたそうです。日本を代表する豪華かつ個性派の俳優をキャスティングして、コミカルかつリアルに日本のお葬式の実体を描いていて、お葬式を経験したことある人なら誰もが共感して見ることが出来ます。
ストーリー:「俳優の井上侘助と雨宮千鶴子は夫婦で共演をしていたCM撮影中に千鶴子の父が急死したという連絡を受ける。侘助は千鶴子や子どもたち、そしてマネージャーの里見共に病院へ向かう。そこで千鶴子の母であるきく江や千鶴子の妹夫婦、そして父の兄にあたる正吉と合流。遺体と初対面をする。その後、遺体を父の家に運び、葬儀屋・海老原の助けを借りながら、通夜と葬式の準備を始める。」
私が本作品を始めてみたのは小学生の時のテレビ放映でしたが、内容云々よりも主人公演じる山崎努と愛人役の高瀬春菜との野外でのセックスシーンに目を奪われ、子どもながら見てはいけないものを見てしまったような感覚に襲われたものでした。
大人になってから本作品を見返すと、お葬式という非日常的行為の中で見せる悲喜交々の人間模様に2時間飽きることなく見ることが出来ました。
本作品は配役が素晴らしく、主役である山崎努と宮本信子はもちろんのこと、脇役である江戸屋猫八、笠知衆、藤原鎌足たちの軽妙な演技がとても印象に残りました。特に藤原鎌足演じる耳の遠い老人のとぼけた演技は見ていて大爆笑でした。
また、菅井きんの最後の挨拶のシーンでの演技は大変素晴らしく、今まで抑えていた感情が一気に溢れる姿は見ていて胸に迫るものがありました。
ストーリーはお葬式の一部始終を淡々と描いているだけで、特にドラマチックな展開はありません。しかし、退屈せず見ることが出来るのはお葬式という普段なかなか客観的に見ることがない光景を第3者の視点で見ることができるからだと思います。またお葬式を経験したことある人は「こんな人いるよなあ」とか「こんなことあったなあ」と自分の経験と照らし合わせながら見ることができます。
本作品はお葬式という儀式に振り回される人々を笑いながら、死と言う誰もが避けて通れない哀しみに涙することができる傑作です。
上映時間 124分
製作国 日本
製作年度 1984年
監督: 伊丹十三
脚本: 伊丹十三
撮影: 前田米造
美術: 徳田博
編集: 鈴木晄
音楽: 湯浅謙二
助監督: 平山秀幸
出演: 山崎努
宮本信子
菅井きん
大滝秀治
奥村公延
財津一郎
江戸家猫八
友里千賀子
尾藤イサオ
岸部一徳
津川雅彦
横山道代
小林薫
池内万平
西川ひかる
海老名美どり
津村隆
高瀬春奈
香川良介
藤原釜足
田中春男
吉川満子
利重剛
井上陽水
笠智衆
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