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2009年4月

『ショーシャンクの空に』この映画を見て!

第247回『ショーシャンクの空に』
Photo_2  今回紹介する作品はスティーヴン・キングの短編小説『刑務所のリタ・ヘイワース』を完全映画化した『ショーシャンクの空に』です。
監督のフランク・ダラボンは本作品が初の長編映画でしたが、その完成度の高さからアカデミー賞で7部門のノミネートをされる快挙を成し遂げました。
本作品の成功の後、フランク・ダラボンはさらに『グリーンマイル』、『ミスト』とスティーヴン・キングの原作を映画化しています。

ストーリー:「1947年、銀行員の副頭取だったアンディは妻とその愛人を射殺したという身に覚えのない罪で終身刑2回という判決を受けて、ショーシャンク刑務所に投獄される。アンディは刑務所の中で最初は誰とも関わらずに過ごしていた。そんなある時、アンディは刑務所内の調達屋として活躍していた囚人レッドに話しかけて、鉱石を砕くロックハンマーを調達してほしいと依頼する。その後、アンディとレッドは交流を始める。
そんな中、アンディは刑務所内で元銀行員の経歴を発揮して、刑務官を取り込み、刑務所内の処遇改善に取り組む。そんな姿を見て次第に他の囚人からの信頼を高めていく。」

 私が本作品を初めて見たのは10年以上前ですが、後半の予想外の展開にカタルシスと感動を覚えたものでした。刑務所が舞台で冤罪をテーマにした作品でここまで清々しい気持ちにさせてくれる作品ってなかなかありません。
決して希望を捨てず、厳しい状況を耐えて生き抜く主人公アンディの姿は何回見ても勇気を与えてくれます。屈しそうになった時、諦めそうになった時、私はこの映画を見て自分を励まします。
 また、アンディとモーガン・フリーマン演じるレッドとの固い絆で結ばれた友情も見ていて大変印象に残ります。ある意味、本作品はアンディを通して長年刑務所暮らしをしていたレッドの心境に転機が訪れる過程を描いた作品とも言えます。
それにしても本作品でのモーガン・フリーマンの抑制された演技は大変素晴らしく、アカデミー賞で最優秀助演男優賞に選ばれてもおかしくなかったと思います。

 ストーリーは一見淡々としていながら起伏に富んでおり、2時間半飽きることがありません。ラストのどんでん返しは本当に見ていて溜飲が下がります。また、重苦しい展開の中で随所に開放的なシーンがあるところも一服の清涼剤となっています。特にモーツァルトの「フィガロの結婚」が刑務所内で流れるシーンは音楽の持つ力を見ていて改めて感じました。
 演出も無駄がなく抑制が効いており、落ち着いて観ることができます。特に私が演出で上手いと思ったのが時代の移り変わりをアンディの独房のポスターや劇中に使用される音楽でさりげなく表現しているところです。あと、所々に入るモーガン・フリーマンのナレーションも味があり、大変印象に残ります。

 本作品は落ち込んだ時や諦めそうになった時にぜひご覧ください。忘れていた希望を与えてくれますよ! 
 

上映時間 143分
製作国 アメリカ
製作年度 1994年
監督: フランク・ダラボン 
原作: スティーヴン・キング 
脚本: フランク・ダラボン 
撮影: ロジャー・ディーキンス 
美術: テレンス・マーシュ 
音楽: トーマス・ニューマン 
出演: ティム・ロビンス
モーガン・フリーマン
ウィリアム・サドラー
ボブ・ガントン
ジェームズ・ホイットモア
クランシー・ブラウン
ギル・ベローズ
マーク・ロルストン

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『荒野の七人』この映画を見て!

第246回『荒野の七人』

Photo  今回紹介する作品は黒澤明監督の名作『七人の侍』をハリウッドでリメイクした『荒野の七人』です。 監督を『大脱走』のジョン・スタージェスが担当して、『七人の侍』を忠実かつコンパクトにまとめて、娯楽西部劇として完成度の高い作品に仕上げています。
 また、出演者もスティーヴ・マックィーンを始めとしてチャールズ・ブロンソン 、 ジェームズ・コバーン、 ロバート・ヴォーン等の当時人気の出てきた役者が起用され、本作品のヒットで一気に人気スターの仲間入りを果たしました。

ストーリー:「毎年、カルベラ率いる野盗に食料を奪われるメキシコの農村イストラカン。貧困にあえぐ村人たちは野盗から村を守るために銃を買って闘うことを決意する。村の代表3人が町に行き、銃を買おうとする中で、クリスというガンマンに出会う。村人はクリスに事情を話して、村に助っ人として来てくれるように要請する。20ドルという報酬にすぎなかったが、農民達の熱意に打たれてクリスは7人のガンマンを集めて村に向かう。ガンマンたちは農民たちを指揮して襲撃への準備を行う。そして、ついに40人ばかりの野盗の一団が村を襲撃。ガンマン率いる農民たちの思わぬ反撃に野盗たちは一旦は逃げ帰るが・・・。」

 本作品は黒澤監督の『七人の侍』のリメイクとして鑑賞すると完成度はどうしても落ちますが、設定だけ借りた別の映画としてみると大変面白く見応えがあります。
 
 私は始めて本作品を見た時、七人の個性的なガンマンたちの魅力にはまりました。ユル・ブリンナー演じるクリスの圧倒的な存在感と強さ。スティーヴ・マックィーン演じる口数は少ないが身のこなしが格好いいヴィン。チャールズ・ブロンソン演じる心優しき無骨なライフル名人ベルナルド、ジェームズ・コバーン演じるニヒルなナイフの達人ブリット、ロバート・ヴォーン演じる強がっているが常に恐怖に脅えているキザばギャンブラーのリー、ブラッド・デクスター演じる報酬ばかり考えているハリー、そしてホルスト・ブッフホルツ 演じるガンマンにあこがれる農民出身の若者チコ。それぞれのガンマンに見せ場や生き様が見事に描かれています。
 
 ストーリーは途中まではオリジナルに忠実ですが、3時間半あるオリジナルを2時間とコンパクトにまとめているので、話しが良くも悪くも非常にテンポよく進んでいきます。後半はオリジナルと違った展開になりますが、誰かのためでもなく、自分のために無謀な戦いに最後挑むガンマンの姿にしびれました。
 
 あと、本作品を語る上で忘れていはいけないのがエルマー・バーンスタインの音楽。明るく軽快なテーマ曲は一度聴くと忘れられません。このテーマ曲のおかげで本作品がオリジナルとはまた違った雰囲気や魅力を持つことができたといっても過言でないと思います。

 黒澤監督の映画は本作品以外にも数多くリメイクされていますが、個人的には本作品が一番上手にリメイクできていると思います。

上映時間 128分
製作国 アメリカ
製作年度 1961年
監督: ジョン・スタージェス 
製作: ジョン・スタージェス 
共同製作: ルー・モーハイム 
製作総指揮: ウォルター・ミリッシュ 
原作: 黒澤明、 橋本忍、 小国英雄 
脚本: ウィリアム・ロバーツ 
ウォルター・バーンスタイン 
撮影: チャールズ・ラング・Jr 
音楽: エルマー・バーンスタイン 
出演: ユル・ブリンナー
スティーヴ・マックィーン
チャールズ・ブロンソン 
ジェームズ・コバーン 
ロバート・ヴォーン 
ホルスト・ブッフホルツ
ブラッド・デクスター 
イーライ・ウォラック 
ウラジミール・ソコロフ 
ロゼンダ・モンテロス 
ビング・ラッセル

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