『宮崎駿の雑想ノート』街を捨て書を読もう!
『宮崎駿の雑想ノート』 著:宮崎駿 大日本絵画; 増補改訂版版 今回紹介する本は宮崎駿監督の戦争兵器とそれに携わる人たちに対する愛情とこだわりが感じられる『宮崎駿の雑想ノート』です。本書は『月刊モデルグラフィックス』 という雑誌で1984年~1990年にかけて不定期で連載された宮崎監督の第1次大戦から第2次大戦にかけての古今東西の軍事兵器に関する虚実入り交ざったイラストエッセイ及びマンガが収録されています。
『となりのトトロ』や『崖の上のポニョ』などの宮崎監督のほのぼのとした作品が好きな人にとっては本書を読んでも面白くないかもしれません。本書は宮崎監督のミリタリーマニアとしての溢れんばかりの思いが詰まった非常にマニアックな内容となっています。近代の陸海空の今から見ればアナログな兵器とそれを操る人間の奮闘や悲喜劇が水彩画の優しいタッチで描かれており、好きな人は何度読んでも飽きることがありません。本書の特長は何と言っても兵器に対する緻密な設定と描写。本当にそんな兵器があったのかなと読む者に思わせるだけの説得力があります。
また、本書は決して単純に戦争を賛美しているわけではありません。戦争という狂気の時代の中で兵器を扱う人々の悲喜劇なドラマを通して、戦争というものの愚かさや空しさまで描いています。
個人的には「多砲塔の出番」と「豚の虎」というエピソードが一番好きです。どちらも戦車を扱った作品ですが、両作品をぜひ宮崎監督にアニメ化してほしいです。
あと、本書には『紅の豚』の原作も収録されています。ストーリーは大きく変わっていませんが、ジーナは登場しません。
ちなみに本書の続編として『宮崎駿の妄想ノート』という作品が出版されています。
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