« 2009年1月 | トップページ | 2009年3月 »

2009年2月

『Another Piano Stories ~The End of the World~』

 お気に入りのCD NO.25 『Another Piano Stories ~The End of the World~』
Another_piano_stories  約3年ぶりとなる久石譲のソロアルバム「Another Piano Stories ~The End of the World~」。今回のアルバムはボーナストラックを含めると14曲収録されており、久石さんが最近手がけた映画やCMの曲、そして本アルバムのために書き下ろされた新曲を聴くことができます。演奏は久石さんのピアノ、12名のチェリスト、ハープ、コントラバス、マリンバ、パーカッションのアンサンブルとなっています。

 1曲目の『Woman』は「レリアン」のCMテーマ曲で、聞いていて街を颯爽と歩く女性が思い浮かんできます。
 2曲目の『Love Theme of Taewangsashingi』はぺ・ヨンジュンが主演して話題となった韓国大河ドラマ「太王四神記」でスジニのテーマとして書き下ろされた曲です。主人公を愛するスジニの思いを切ない音楽で見事に表現しています。
 3曲目『Les Aventuriers』はアラン・ドロン主演の映画「冒険者たち」にインスパイアされた曲です。5拍子のメロディーが何とも言えないスリリングな印象を与えています。
 4曲目~6曲目は今年アカデミー賞で外国映画賞を受賞した『おくりびと』のサントラを14分の組曲にしたものです。サントラ同様にチェロの力強く優しい音色で奏でられる美しい久石メロディーが印象に残る名曲です。
 7曲目『Ponyo on the Cliff by the Sea』は昨年大ヒットした宮崎アニメ『崖の上のポニョ』の主題歌を軽快かつ可愛くアレンジした曲です。
 8曲目『Destiny of Us 』は昨年に赤坂ACTシアターの杮落とし公演として宮本亜門演出でプッチーニの遺作を現代の視点で甦らせたオリジナル・ミュージカル「祝祭音楽劇トゥーランドット」のために書き下ろされた曲です。
 9曲目~12曲目は本アルバムのための新曲で、9.11テロ以降の不安と混沌に満ちた世界を描いています。9曲目~11曲目はミニマル色の強い曲となっています。12曲目はジュリー・ロンドンの歌った「The End of the World」に感銘を受けた久石さん自らカバーして歌っています。
 13曲目には昨年にSMAPの中居君主演で公開され話題となった『私は貝になりたい』のメインテーマをピアノソロにアレンジして、久石さん自ら演奏しています。
 14曲目『I will be』は日産スカイラインのテーマ曲で、娘である麻衣さんが作詞とボーカルを担当しています。収録されている他の曲とは系統が違いますが、麻衣さんの透き通る歌声と心地よいリズムと美しいメロディーが大変印象的です。

 本作品は久石さんが生み出す美しいメロディーと心地よいアレンジがじっくりと堪能できます。久石ファンはもちろんのこと、そうでない方も何回聞いても飽きることない仕上がりとなっています。
 また初回限定版にはレコーディング風景が収録されたDVDも特典で付いており、久石さんや演奏家たちがいかに演奏しているのかを見ることができますよ。

1. Woman
2. Love Theme of Taewangsashingi
3. Les Aventuriers

Departures
4. Prologue~Theme
5. Prayer
6. Theme of Departures

7. Ponyo on the Cliff by the Sea
8. Destiny of Us (from Musical Turandot)

The End of the World
9. I. Collapse
10. II. Grace of the St. Paul
11. III. Beyond the World
12. IV. The End of the World

bonus track
13. I'd rather be a Shellfish
14. I will be

| | コメント (0) | トラックバック (0)

夜会VOL.15『~夜物語~「元祖・今晩屋」』に行ってきました!

Photo_2   中島みゆきのライフワークともいえるステージ「夜会」。その15回目の公演となる~夜物語~「元祖・今晩屋」の大阪公演に昨日行ってきました!
 今回の夜会に関してみゆきさんは「和の要素を盛り込みながらの不思議ワールド」と製作発表の際にコメントしており、どんな舞台になるのか非常に楽しみでした。
 また公演前に「今回は森鴎外の『山椒大夫』をモチーフにしている」とみゆきさんが言っていたので、事前に『山椒大夫』を読んで、今回の公演に向かいました。

 今回の夜会にあわせて、シアターBRAVA!の隣のホテルニューオータニ大阪でも期間限定オリジナルカクテルの販売やロビーにてパネル展示およびピアノ演奏をしていたので、公演前にちょっと寄りました。19階のスカイラウンジで夜会オリジナルカクテル「夜海」と「誓夜」を頂きました。

 シアターBRAVA!に行くのは初めてでしたが、思った以上にこじんまりとした会場でした。前回の夜会のときは青山劇場に見に行きましたが、シアターBRAVA!の方が劇場としては良い雰囲気でした。
 ホールには今までの夜会のポスターが貼ってあったり、前回の夜会のセットの模型等が置いてありました。
 グッズはパンフレット以外に、カステラ、ちりめん風呂敷、ステッカー、クリアファイル等売っていました。個人的にパンフレット以外に今回特に欲しいと思うグッズはなかったので購入は見送りましたが・・・。

 また、前回の青山劇場の時には販売されていなかった夜会カクテルも置いてあり、私も「海」というカクテルをいただきました。

 今回、私の座席は左側前から3列目でした。前回も最前列の真ん中と良い席だったのですが、今回も手を延ばせばみゆきさんに届きそうな良い席でした。(ただ、舞台の全体像は見えにくい席ではありしたが・・・。)

 さて、開演時間の20時。除夜の鐘がなり、ついに~夜物語~「元祖・今晩屋」の物語が始まりました。
 1幕目は縁切り寺を舞台に話が進むのですが、大掛かりな舞台装置にまず圧倒されました。特に舞台の両端に本当に水が流れている滝があったのにはびっくりしました。
 物語は歌で進行していく形式となっており、台詞はあまりありません。また和を意識しているだけあって、台詞・歌詞ともに七・五調となっています。
 1幕目に出てくる登場人物は、中島みゆき演じる「暦売り」、香坂千晶演じる「縁切り寺の庵主」、コビヤマ洋一演じる「元・画家のホームレス」、土居美佐子演じる「脱走した禿」と4人だけです。話しは時にコミカルに、時に幻想的に進んでいきます。
 途中に紙風船が転がってくるシーンがあるのですが、まるで意志をもっているかのように次々と転がってくるところが印象的でした。
 また1幕目のクライマックスとなる縁切り寺の炎上は、スモークと照明を駆使して、本当に燃えているかのような迫力満点のシーンとなっていました。

 2幕目の前半は水族館の水槽の底にあるポンプ室かと思われる場所で話が進みます。舞台上にピンク色のデフォルメされた魚たちが吊るされているのが幻想的で印象的でした。1幕目以上に台詞は少なく歌で物語がテンポよく進んでいきます。
 2幕目前半に出てくる登場人物は、中島みゆき演じる「暦売り」、香坂千晶演じる「水族館の飼育員」、コビヤマ洋一演じる「左官」、土居美佐子演じる「脱走した花嫁」の4人です。前半に続いてコミカルかつ摩訶不思議な展開が続きます。
 
 2幕目の後半は船を舞台に話しが進むのですが、中島みゆき演じる「母」の熱唱に鳥肌が立ちました。
 また、クライマックスでは舞台の床一面に大量の水が流れるのですが、その大掛かりな仕掛けにびっくりしました。かなり大胆な演出です。

 私は今回で4回目の夜会観劇になりますが、個人的には今までの夜会の中で一番胸打たれる作品でした。
 ストーリーに関しては難解というか、森鴎外の『山椒大夫』を読んでいないとチンプンカンプン分からないと思います。(そういう面では少し不親切な作りと言えるかもしれません。)しかし、『山椒大夫』を読んで鑑賞すると、ラストは涙なしでは見られないほど感動的なステージです。

 歌は全て新曲で構成されていますが、難解な言葉が数多く使われているので正直1回聞いただけでは、どんな歌詞でどのようなことを歌っているのか全て把握するのは困難です。ただ、みゆきさんの圧倒的な歌唱力で何となく言わんとしていることは伝わってきます。今回の夜会のDVDやCDが発売されるのかどうか現時点で発表されていませんが、もし発売されたら今回発表された歌の数々をじっくりと味わいたいものです。
 
 今回の夜会のテーマは魂の輪廻転生と過去の罪(カルマ)や未練からの解放だと思いました。クライマックスで登場人物が白装束で船に乗り込み川を渡るシーンでの主人公たちが許し許され成仏していく姿には、見ていて自然と涙があふれてきました。
 そういう意味では前回の夜会に続いて、今回も仏教的なテーマを全面に押し出した作品となっています。歌詞の節々にも仏教や神道で使われる言葉が数多く散りばめれれていますし、みゆきさん自身もパンフレットのあとがきに「今生で成した事は全部、次の生へとつらなってゆくのかもしれない」と書いていますし・・・。

 また、今回の夜会ではみゆきさんがカーテンコールで挨拶をしてくれるというサービスがあり、「これからもできる限り夜会を続け、大阪でも公演したい。良き夜をお持ち帰りください。」というような挨拶をされました。

 夜会のチケットはS席2万円と高いですが、見終わったらそれでも安いと思えるくらい満足できる内容でしたし、チャンスがあれば再度見たいと思ったほどでした。夜会は回を重ねるごとにパワーアップしているような気がします。今回の作品は万人受けという意味では微妙かもしれませんが、みゆきさんの更なる言葉での表現追求の意欲を感じられました。次回の夜会がいつ公演されるのか分かりませんが次回もぜひ足を運んで生で見たいと思いました!

・シアターBRAVA!
・2月3日公演
・開演時間20:00
・終演時間22:20
 *途中休憩20分含む

・曲目リスト
<第一幕>      
第1場 縁切り寺
  1 十二天
    2 暦売りの歌
    3 百九番目の除夜の鐘
    4 夜をくだされ
    5 海に絵を描く
    6 旅支度なされませ
    7 私の罪は水の底
    8 逃げよ、少年
    9 百九番目の除夜の鐘
    10 愚かな禿
    11 らいしょらいしょ
    12 ちゃらちゃら
    13 憂き世ばなれ
    14 夜いらんかいね
    15 百九番目の除夜の鐘
    16 旅支度なされませ
    17 らいしょらいしょ
    18 都の灯り
<第二幕>      
第1場 水族館
  19 暦売りの歌
    20 幽霊交差点
    21 旅支度なされませ
    22 百九番目の除夜の鐘
    23 安らけき寿を捨て
    24 夜をくだされ
    25 有機体は過去を喰らう
    26 私の罪は水の底
    27 有機体は過去を喰らう
    28 らいしょらいしょ
    29 百九番目の除夜の鐘
    30 十文字
    31 ほうやれほ
    32 十二天
    33 紅蓮は目を醒ます
第2場 船
  34 赦され河、渡れ
第3場 今晩屋
   35 夜いらんかいね
    36 天鏡
 

| | コメント (2) | トラックバック (2)

『マンマ・ミーア!』映画鑑賞日記

Photo  ABBAのヒットナンバーで構成され世界中でロングランとなったミュージカルを映画化した『マンマ・ミーア!』。私はミュージカル映画が大好きなので、今回も有名なミュージカルの映画化ということで楽しみに劇場に足を運びました。日本では劇団四季が本作品の舞台を手がけているのですが、私は見たことはなく、今回が始めての鑑賞でした。

 本作品を鑑賞した感想ですが、ABBAの歌とギリシャの島の美しい風景描写はとても良かったのですが、メリル・ストリープを除いて出演者の歌唱力やダンスが個人的にもう一つ物足りませんでした。
 特にピアース・ブロスナンの歌唱力は微妙で、正直ミスキャストだと思いました。

 ストーリーに関してはABBAの歌を基にして話しが展開するので、所々唐突で強引と思うところもあります。
 しかし、本作品は明るく軽快な雰囲気を楽しむ作品なので特に気にはなりませんでした。
 結婚式で今だ会ったことない父とバージンロードを歩くことを夢見て、父と思われる3人の母の元恋人を呼ぶという話しですが、ラストは私が想像していた結末と違っていたので少し驚きました。
 

 演出に関しては舞台版も手がけた人が担当しているようですが、映画としての見せ方が地味で雑な気がしました。ギリシアロケは開放感があって良かったと思うのですが、室内のシーンやミュージカルシーンの見せ方がイマイチでした。

 本作品はミュージカル映画史に残る傑作とまでは言えませんが、見ていて楽しい気分になれますし、ABBAのファンならノリのりで見ることができるでしょう!
 

上映時間 108分
製作国 イギリス/アメリカ
製作年度 2008年
監督: フィリダ・ロイド 
脚本: キャサリン・ジョンソン 
撮影: ハリス・ザンバーラウコス 
プロダクションデザイン: マリア・ジャーコヴィク 
衣装デザイン: アン・ロス 
編集: レスリー・ウォーカー 
振付: アンソニー・ヴァン・ラースト 
音楽: ベニー・アンダーソン 
ビョルン・ウルヴァース 
音楽監督: マーティン・ロウ 
音楽監修: ベッキー・ベンサム 
出演:
メリル・ストリープ
ジュリー・ウォルターズ
ステラン・スカルスガルド
コリン・ファース
ドミニク・クーパー
ピアース・ブロスナン
アマンダ・セイフライド
クリスティーン・バランスキー




| | コメント (0) | トラックバック (21)

« 2009年1月 | トップページ | 2009年3月 »