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『新幹線大爆破』この映画を見て!

第234回『新幹線大爆破』
Photo_6  今回紹介する作品は昨年に引退した新幹線0系を舞台にしたノンストップアクション映画『新幹線大爆破』です。
 ハリウッドでパニック映画が流行していた時代、東映が日本でもパニック映画を作ろうとオールキャストで作り上げた本作品。
 当時の国鉄が撮影協力を拒否したために、新幹線はセットとミニチュアを使用して撮影。総合指令所も写真を参考に美術スタッフが製作したそうです。
公開当時は日本では興行収入的にはパッとしませんでしたが、フランスにて短縮版が公開されて大ヒット。また日本でも80年以降にテレビ放映やレンタルビデオで人気が再燃。カルト的人気を誇るようになりました。
 また、80キロ以上速度化低下したら爆発するという設定はキアヌー・リーブス主演の『スピード』の元ネタとなったことでも有名です。

ストーリー:「東京発博多行き新幹線ひかり109号に爆弾が仕掛けられた爆弾は列車の速度が時速80キロ以下になると爆発するという。1,500人の乗客の命を乗せたまま止められない新幹線は終着駅の博多へと向かう。
 止まらない新幹線に乗客はパニックとなり、車内は混乱へと陥る。
 その頃、新幹線の総合指令室では列車の衝突や混乱を避けるために対応に追われていた。
 警察は必死になって犯人を追跡するが、それが裏目裏目に出てしまう始末。
 果たして新幹線は爆破を免れることができるのか、タイムリミットが刻一刻と迫る。」

 私は小学生のときに本作品をテレビ放映にて見て、夢中になったのを今も覚えています。その後も放映されるたびに繰り返し見たものでした。
 今日も偶然テレビにて放映されていたので見たのですが、2時間半全く飽きずに観ることができました。
 
 本作品、突っ込もうと思えば突っ込みどころ満載です。
 新幹線の映像は今見るとリアルさに欠けてちゃちいですし、ストーリーも無理に危機を生み出そうとご都合主義な展開が多すぎます。
 警察の捜査の仕方は何でそこでそんな対応するかなと疑問に思うことばかりで、何回犯人を取り逃せば気が済むのかと観ていてイライラします。ここまで無能な警察の描写は他の邦画では見られません。
 また喫茶店の火災シーンは「そんな展開があり?」と見ている側も呆然としてしまうほどご都合主義な展開です。
 爆弾の解体シーンもダイナマイト前にあんな火花散らして大丈夫かと見ている側がハラハラするほどです。

 完成度から言うと本作品はイマイチなのですが、それを補って余りあるほどの勢いとパワーがあります。
 高倉健、宇津井健、千葉真一等の濃い役者の迫真の演技と次から次へと起こる予測不可能なアクシデントは観客を画面に釘付けにします。 
 
 シナリオも展開が強引かつ無理がありますが、犯人側の人間ドラマをじっくり描いているところが好感が持てます。(人によってはテンポが落ちるという意見もあるかと思いますが・・・)高度経済成長期の日本の下層社会の悲しい現実を反映したストーリーは犯人たちを単なる極悪非道な悪人としてでなく、戦後の繁栄から取り残された人間たちとして描いており、ラストシーンは思わず犯人に同情さえしてしまいます。
 戦後の高度経済成長のシンボルであった新幹線を戦後日本の負け組が一発逆転を狙って襲うという展開が単なるパニック映画にはない深みを与えています。
 
 また、オールスターキャストだけあって、有名な俳優が次から次へと登場するのも大きな見せ場。個人的には若い頃の田中邦衛、北大路欣也 、小林稔侍が見られたのが嬉しかったです。 

 本作品は完成度はもう一つですが、何回見ても飽きることなく、いろいろな意味で楽しめます。是非ご覧になってください!

上映時間 153分
製作国 日本
製作年度 1975年
監督: 佐藤純弥 
原案: 加藤阿礼 
脚本: 小野竜之助,佐藤純弥 
撮影: 飯村雅彦 
美術: 中村修一郎 
編集: 田中修 
音楽: 青山八郎 
特殊撮影: 小西昌三, 成田亨 
助監督: 岡本明久 
出演:
高倉健
山本圭
田中邦衛
織田あきら 
郷えい治 
宇津井健
千葉真一 
小林稔侍 
志村喬 
永井智雄
中田博久
千葉治郎
志穂美悦子
渡辺文雄 
竜雷太 
丹波哲郎
鈴木瑞穂
青木義朗
黒部進 
北大路欣也

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コメント

新幹線大爆破、私も突っ込みながらも実は何回も見てしまいます。
出演者たちの熱い演技(特に宇都井健)とパワフルな演出は何度見ても飽きることはありません。
新幹線のごとく一度見始めたら最後まで一気に時間が過ぎ去る作品ではありますよね。

投稿: とろとろ | 2009年6月 1日 (月) 23時50分

私も見ました。
そりゃ多少突っ込みどころや矛盾点はありますが
それは観終わってからで、観ている間はそんなこと感じませんでした。もうこれは6回以上観ました。最高傑作です。

投稿: adam | 2009年5月31日 (日) 18時44分

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