久石譲とミニマル・ミュージック
久石譲の音楽というと、多くの人は宮崎アニメで流れてくるような美しく心温めるメロディーが頭に浮かぶと思います。
しかし、久石さんは元々ミニマル・ミュージックの音楽家として活動していました。ミニマル・ミュージックとは、音の動きを最小限に抑えてパターン化された音型を反復させる音楽で、音の微妙な変化を楽しみます。
久石さんは宮崎駿監督や北野武監督の映画音楽でもミニマル・ミュージックの手法を良く使っており、美しい久石メロディーとは別に独特な印象を映画に与えています。映画の中で使用されたミニマル・ミュージックで代表的なものは、『となりのトトロ』でバス停でメイとサツキがトトロに出るときに流れる曲や『ソナチネ』のテーマ曲などがあります。
また、初期のソロアルバムはミニマル・ミュージック路線であり、最近のオーケストラやピアノを中心とした最近のアルバムが好きな人が聞くと違和感があるかもしれません。
そこで、今回は久石さんのミニマル・ミュージック関係のソロアルバムでお薦めのアルバムを5枚紹介します。
・『ムクワジュ』
本作品は高田みどりを中心とするパーカッション・トリオ“ムクワジュ・アンサンブル”に、YMOの松武秀樹、ラテンパーカッションの名手ペッカー、そして久石譲が参加して制作されたミニマルミュージックのアルバムです。作曲は久石さんが全て手がけており、久石さんのソロアルバムと言っても差し支えありません。アフリカの民族音楽にインスパイアされた繰り返される短いフレーズは聴いているといつの間にか何ともいえない高揚感に包まれます。
・『INFORMATION』
久石さん初のソロアルバムであり、全8曲シンセによるミニマル・ミュージックです。ちななみに久石さんがボーカルを担当した曲も5つあります。
感想としては軽快でポップな音とリズムがとても心地よく、何度聞いても飽きることがありません。
ちなみに本作品を聞いて高畑勲と宮崎駿は『風の谷のナウシカ』の音楽に起用することを決めたそうです。
・『α・BET・CITY』
久石さん2枚目のソロアルバムであり、全曲シンセによるミニマル・ミュージックですが『INFORMATION』よりさらに刺激的で前衛的な曲が多いです。特にお薦めは6曲目と10曲目に就労されている「DA・MA・SHI・絵」です。
好き嫌いは分かれると思いますが、テクノサウンドが好きな人にはお薦めです!
・『ヴィオリストを撃て』
久石さんが2000年に発売したソロアルバムですが、イギリスの弦楽四重奏団“バラネスク・カルテット”をゲストに迎え、一時期遠ざかっていたミニマル・ミュージックを中心とした作品が数多く収録されています。初期のアルバムに収録されていたミニマル・ミュージックの作品の他に、「DEAD Suite」というミニマル色の強い新作が収録されているのですが、この組曲は久石さんの曲の中でも大変聴き応えのある名曲です。
・『Asian X.T.C.』
アジアをテーマにした久石さんの一番新しいソロアルバムですが、ミニマル・ミュージックテイストの新曲がいくつか収録されています。ピアノと弦楽にサックスやマリンバ、さらにアジアの民族楽器によって奏でられるミニマルな旋律はアジアの悠久の時と大地を彷彿させます。
ミニマルな曲としてお薦めは「Asian Crisis」です。
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