『ブラック・レイン』この映画を見て!
第237回『ブラック・レイン』
今回紹介する作品は大阪ロケと松田優作の演技が大変話題となったハリウッド映画『ブラック・レイン』です。
監督は『エイリアン』や『ブレード・ランナー』で独自の映像美を見せたリドリー・スコットが担当。撮影は後に『スピード』を監督したヤン・デ・ボン、音楽は『バックドラフト』等のアクション映画の音楽を数多く手がけるハンス・ジマーと大変豪華なスタッフが結集。
俳優もハリウッドからはマイケル・ダグラス、アンディ・ガルシアと知名度の高い役者が起用さ。日本からは高倉健、松田優作、若山富三郎 と主役を張れる大物クラスの役者が数多く起用されています。
ストーリー:「ニューヨークの刑事ニックは白昼のレストランで日本人のヤクザである佐藤が殺害する現場に遭遇する。ニックは部下のチャーリーと共に犯人の佐藤を逮捕する。ニックとチャーリーは大阪に佐藤を護送するが、空港で罠にはめられ、佐藤を逃がしてしまう。ニックは佐藤を追うために日本にとどまり、大阪府警の松本警部補と行動を共にする。日本の警察の捜査方法や習慣の違いに苛立つニックは独自で動こうとするが、そんな中でチャーリーが佐藤に殺されてしまう。」
私は本作品を初めてみたのは中学校の時だったと思いますが、普段見慣れた大阪の街がまるで近未来の街のように見えてしまうリドリー・スコットの映像マジックに驚きました。蒸気と煙が吹き出し、ネオンが煌々と輝く道頓堀も梅田はまるで『ブレード・ランナー』の舞台となった街のようです。
また本作品は所々に『ブレード・ランナー』を彷彿させるシーンがありましたね。うどんを食べるところとか、スパンコールが手がかりになるところとか・・。
ストーリーに関しては別にこれと言って目新しいものはありません。異国の地で現地の人間の協力を得て犯人を追いつめていくハリウッド映画にはありがちな展開です。
ただ、好き勝手するマイケル・ダグラス扮するアメリカの刑事と規則にがんじがらめの高倉健扮する日本の刑事の対比が面白かったですし、最初反目しあっていた2人が友情を結ぶベタな展開も見ていて心が熱くなります。
ラストのアクションシーンは良くも悪くもハリウッド映画らしい派手な見せ場となっていて、映画の全体的な雰囲気からは浮いているような気がします。(ちなみにラストのアクションシーンは日本ではなくハリウッドでロケされています。)
あと、私が本作品で好感を持てたのは日本人の描き方がハリウッド映画にしては誇張や偏見が思ったより少ないところ。もちろん、それは違うだろうと日本人ならつっこんでしまうシーンはいくつかありましたが、他のハリウッドが日本をテーマに描いた映画に比べればまともです。
そして、本作品を語るときに絶対に外せないのが松田優作の圧倒的な存在感。彼は本作品の後に惜しくもガンで亡くなりましたが、本作品での彼の狂気迫る演技はマイケル・ダグラスや高倉健の演技を完全に上回っています。彼の演技を見るだけでも本作品は見る価値があると言っても過言ではありません。特に冒頭のレストランでの殺害シーンと中盤のチャーリーを殺害するシーンの彼の演技は鳥肌が立つほど悪役としての魅力に満ちています。
リドリー・スコット監督は本作品での彼の演技を高く評価して、当初予定していたラストーシーンを変更させたそうです。
もし彼が生きていたらハリウッドに進出して活躍していたと思います。本当に彼が亡くなったのは残念な限りです。
上映時間 125分
製作国 アメリカ
制作年度 1989年
監督: リドリー・スコット
脚本: クレイグ・ボロティン , ウォーレン・ルイス
撮 ヤン・デ・ボン
音楽: ハンス・ジマー
出演:
マイケル・ダグラス
高倉健
アンディ・ガルシア
松田優作
ケイト・キャプショー
若山富三郎
内田裕也
國村隼
安岡力也
神山繁
小野みゆき
島木譲二
ガッツ石松
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