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2008年2月24日 - 2008年3月1日

『ビートルジュース』この映画を見て!

第202回『ビートルジュース』
Photo  今回紹介する作品は鬼才ティム・バートン監督によるブラックホラーコメディ映画『ビートルジュース』です。
 本作品の大ヒットによりティム・バートン監督はハリウッドのヒットメーカーの仲間入りをして『バットマン』の監督を務めることになりました。

ストーリー:「丘の上に立つ家に住む夫婦は車の事故で死んでしまい、幽霊となってしまう。その家に新しく一家が越してきて、住み慣れた家を好き勝手にリフォームしていく。夫婦は何とか家から彼らを追い出そうとするが、なかなか上手くいかない。困り果てた幽霊夫婦の前に自称"バイオ・エクソシスト"であるというビートルジュースという男が現れる。」

 私は昔からティム・バートン監督が好きでしたが、私が始めて見た彼の作品が『ビートル・ジュース』でした。本作品を始めて見た時はダークでキッチュな雰囲気と悪ふざけなノリの演出に虜になりました。
 
 死んだ夫婦の奮闘が描かれているのですが、妙に明るい霊界の描き方や個性豊かな登場人物たちやクリーチャーの姿に終始笑いがとまりませんでした。
 本作品の題名ともなっているビートルジュースは出番自体は少ないものの、強烈なキャラクターで一度見たら忘れることができません。演じているのは『バットマン』でもコンビをマイケル・キートンですが、派手なメイクをしての終始テンション高い演技は最高に面白いです。
 また若かりし頃のウィノナ・ライダーがゴスロリ調の黒い衣装を身に着けたオカルト好きの暗い少女を演じているのですが、妖しさと可愛いらしさと芯の強さが非常に魅力的です。

 映像はティム・バートン監督らしくB級テイストなチープ感とおもちゃ箱をひっくり返したようなカラフルさに満ちています。特撮もミニチュアやクレイアニメ、ストップモーションなど手作り感溢れるものですが、それが何とも言えない良い味を出しています。
 遊び心も満載で、オープニングの街の空撮シーンが途中からミニチュアの街に変わるところなど見ていてニヤッとさせられます。

  あと私が本作品で一番好きなシーンは「バナナボート」の歌に合わせて踊るシーン。このシーンは何回見ても腹を抱えて笑ってしまいます。

 非常に個性的な作品ですので好き嫌いは分かれるかもしれませんが、ティム・バートン好きなら外すことの出来ない傑作です。

上映時間 92分
製作国 アメリカ
製作年度 1988年
監督: ティム・バートン 
原案: マイケル・マクダウェル、 ラリー・ウィルソン 
脚本: マイケル・マクダウェル 、 ウォーレン・スカーレン 
撮影: トーマス・アッカーマン 
音楽: ダニー・エルフマン 
出演: マイケル・キートン、アレック・ボールドウィン、ジーナ・デイヴィス、ウィノナ・ライダー 、キャサリン・オハラ、シルヴィア・シドニー、 グレン・シャディックス 

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『犬神家の一族』(2006年版)映画鑑賞日記

『犬神家の一族』(2006年版)
Photo  先日亡くなられた市川崑監督が最後に手がけた作品『犬神家の一族』。本作品は1976年に角川映画第一弾として市川崑監督によって製作され大ヒットした作品を、再び同じ監督、主演でセルフリメイクをしたものです。
 1976年版を始めて見た時はあまりの面白さに何回も見返したものでした。おどろおどろしい殺人事件、その動機に秘められた人間の深い業と哀しみ、市川監督のスタイリッシュな映像と役者たちの重厚な演技。その完成度の高さは今見ても全然色褪せていません。

 本作品のリメイクが決まった時は、76年版とまた違うアプローチの作品になるのかと期待していたものでした。しかし、完成した作品を見ると役者が変わっている以外、シナリオからカット割りに至るまでほとんど同じで、物足りなさを感じてしまいました。
 私のパートナーは昔の作品にCGで最近の俳優が合成されていると勘違いしているほどでした。
 
 本作品はあまりにも前作と似ているために、俳優の演技力の差が非常に気になってしまいました。前作はあまりにも芸達者な役者が出揃いすぎていたところはありますが、それにしても本作品の役者の演技は一部の役者を除いて薄っぺらいです。特に深田恭子は場違いです。
 富司純子はなかなか頑張っていたとは思いますが、前作の高峰三枝子と比べると迫力に欠けます。
ただ前作から継続して出ている石坂浩二、大滝秀治、加藤武が前作とあまり雰囲気が変わっていないことには驚きました。

 映像も前作に比べるとクリアーで明るくなりすぎて重厚感に欠けていたような気がします。

 ただ前作と違うラストシーンは市川監督が亡くなった今思い返すと感慨深いものがあります。本作品は市川監督から映画ファンへの最後の挨拶だったのかもしれませんね。

上映時間 135分
製作国 日本
製作年度 2006年
監督:市川崑 
原作:横溝正史 
脚本:市川崑、日高真也、長田紀生 
撮影:五十畑幸勇 
視覚効果: 橋本満明 
美術:櫻木晶 
編集:長田千鶴子 
音楽:谷川賢作
出演:石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、葛山信吾、池内万作、林家木久蔵、三谷幸喜、深田恭子、奥菜恵、岸部一徳、 大滝秀治、草笛光子、中村玉緒、加藤武、中村敦夫、仲代達矢 

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『細雪』この映画を見て!

第201回『細雪』
Photo_2  今回紹介する作品は先日亡くなれた名匠・市川崑監督が谷崎潤一郎の同名小説を映画化した『細雪』です。

 本作品は全てにおいて絢爛豪華で美しく、気品溢れる作品です。

 主演に岸恵子、 佐久間良子、 吉永小百合、 古手川祐子という日本映画を代表する美人女優4人を据え、脇役にも伊丹十三や石坂浩二など多数の演技派・個性派の俳優を揃えるという豪華な顔ぶれとなっています。
 特に本作品における吉永小百合の美しさは格別で、見ていてうっとりとさせられます。特に古手川祐子が吉永小百合の足の爪を切るシーンはドキッとするほど艶かしく官能的です。

 また女優たちが着こなす着物は全て着物の老舗「三松」が全面監修しており、総額1億円以上かかっているそうです。その美しさはため息が出るほどです。本作品を見て着物の美しさや素晴らしさを改めて認識させられました。

 市川監督は本作品を撮ることが長夢だったそうで、市川監督の才能が余すことなく注がれています。特に日本の美と情緒を表現した映像の美しさはため息が出るほどで、監督の才能と美的センスが最大限発揮されています。冒頭の京都嵯峨野の満開の桜の下を歩く四姉妹の艶やかな美しさは目が釘付けになります。

 また映画のほとんどは会話シーンなのですが、その見せ方が大変上手く最後まで飽きることなく見ることが出来ます。本作品では主人公たちの真正面からのクローズアップのカットがテンポ良く切り返されていく手法を多用して映画に躍動感と高揚感を与えています。
 また、突然極端なクローズアップのカットやその場の時間軸と違うカットを挿入するという演出を多用して、映画にアクセントを与えています。 

 ストーリー:「昭和13年の春。京都嵯峨の料亭で大阪の旧家である蒔岡家の4姉妹が花見の宴を催していた。長女・鶴子と次女・幸子は未婚の三女・雪子と末娘・妙子の結婚の話しばかり。そんな中、おとなしい雪子は周囲の勧めで次々と見合いをするが本人の気が進まず一向にまとまらない。一方、奔放な妙子は恋多き女性で姉たちをハラハラさせていた。」

 本作品は結婚をしていない三女と四女に対して長女と次女が気を揉むという内容ですが、三女と四女の対照的な生き方が大変印象に残りました。一見何を考えているか分からないように見えて実は内心したたかでしっかり者の三女・雪子。手に職をつけ身分の違う男と恋をして封建的な家を飛び出す妙子。一見すると四女が一番自分勝手で困り者という風に見えますが、私は四女の方が素直で、三女の方が曲者に思いました。

 あとストーリーで印象的だったのが、石坂浩二演じる次女の夫・貞之助が密かに吉永小百合演じる三女に思いを寄せているところです。自宅に同居している時の三女を見るときの貞之助の熱い視線や三女が結婚した時の何とも切ない表情。義理の妹に恋をしてしまった貞之助の複雑な心情は見ていて男として共感してしまうところがありました。吉永小百合のような美しい女性が自宅に同居していたら、それは惹かれてしまうのも分らないでもないです。

 市川監督は数多くの素晴らしい作品を手がけていますが、映像の美しさではナンバー1だと思います。また文芸作品であるにもかかわらず、堅苦しい作りになっておらず、誰が見ても楽しめる名作だと思います。

上映時間 140分
製作国 日本
製作年 1983年
監督: 市川崑 
原作: 谷崎潤一郎 『細雪』
脚本: 日高真也 市川崑 
撮影: 長谷川清 
美術: 村木忍 
編集: 長田千鶴子 
音楽: 大川新之助、渡辺俊幸 
出演: 岸恵子、 佐久間良子、 吉永小百合、 古手川祐子、 伊丹十三、 石坂浩二 
岸部一徳、 桂小米朝、 江本孟紀、 小林昭二、 辻萬長、常田富士男 

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