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2008年2月3日 - 2008年2月9日

『トータル・リコール』この映画を見て!

第199回『トータル・リコール』
Photo_2  今回紹介する作品はフィリップ・K・ディックの短編SF小説『追憶売ります』を派手なハリウッド娯楽大作に仕上げた『トータル・リコール』です。
 本作品は『ロボコップ』で成功を収めたポール・ヴァーホーヴェン監督と当時アクション俳優として大人気だったアーノルド・シュワルツェネッガーがタッグを組み、巨額の費用をかけて製作されました。

 ストーリー:「西暦2084年。毎晩火星の夢を見る建築労働者ダグ・クエイドはある日火星移住の疑似体験を受けようとリコール社を訪れる。記憶操作装置座ったクエイドは記憶を植えつけようとした途端暴れだす。その後、クエイドは何者かに命を狙われ始める。そして今の記憶が実は偽りである事を知ったクエイドは本当の自分を探すため火星へ飛び立つ。」

 私が本作品を始めてみたのは中学生の時でしたが、当時は派手なSFXのオンパレードと夢と現実が交錯したストーリーに釘付けになったものでした。
 改めて今見返すと、セットやSFXなどチープな部分や手抜きな未来の描写が目に付いてしまうのですが、ストーリーや過激なアクションシーンに関しては相変わらず面白く楽しめました。

 本作品のストーリーの面白さは何といっても最後までどこまでが現実でどこまでが主人公の夢なのかはっきりしないところです。個人的には火星に行ってからは全て夢だったのだと思いますが。
(日本語吹き替え版のVHSビデオには全てが夢だったというオチがラストについています。)

 アクションに関しては過激な暴力&エログロ描写が売りのヴァーホーヴェン監督だけに見所満載です。民間人を多数巻き込んでの地下鉄での銃撃戦に始まり、火星での女同士の肉弾戦、火星にいるミュータントたちと出会い、そしてリアクターをめぐる敵との派手な銃撃戦、そしてラストの飛び出す目玉。2時間見る者を全く飽きさせないインパクトのある映像の連続です。

 あと本作品は音楽も大変素晴らしいです。今は亡きジェリー・ゴールドスミスの重厚かつアグレッシブなサウンドは見る者のテンションを上げてくれます。

本作品は深みはありませんが、見ていてとても痛快なSF映画です。

上映時間 113分
製作年度 1990年
製作国 アメリカ
監督: ポール・ヴァーホーヴェン 
原作: フィリップ・K・ディック 
脚本: ロナルド・シャセット、ダン・オバノン、ゲイリー・ゴールドマン 
撮影: ヨスト・ヴァカーノ 
特殊メイク: ロブ・ボッティン 
音楽: ジェリー・ゴールドスミス 
出演: アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、マイケル・アイアンサイド 、 ロニー・コックス

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『星を継ぐもの 』街を捨て書を読もう!

『星を継ぐもの』 著:ジェイムズ・P・ホーガン 創元SF文庫
Photo  今回紹介する作品はSF小説の最高傑作の一つ『星を継ぐもの』です。私は昔からSF小説が好きで数多く読んでいますが、その中でもベスト3に入る面白い小説だと思います。
 
 「月面で発見された赤い宇宙服を着た人間と思われる死体。科学者たちがその死体を調べたところ、何と五万年前のものだった。月面の死体の謎を解明すべく世界トップクラスの科学者たちが様々な仮説を立てて謎に挑んでいく。」
 
 この小説は月面で見つかった五万年前の人間らしき死体の謎を科学者が追っていくというミステリー仕立てになっており、SF小説をあまり読んだことない人でも十分楽しめると思います。 
 本作品の面白いところは物理学を始めとして生物学・地質学・言語学など様々な専門領域の学者たちがそれぞれの分野から月面の死体の謎にアプローチしていくところです。文系の方にはとっつきにくい専門用語や理論も数多く出てきますが、それらが壮大な物語に説得力を与え読む者に現実感を与えてくれます。
 
 月面の死体と月と人類の意外な接点が明かされるラストは、読む者の想像を超えるスケールの大きい予想外の展開に圧倒されること間違いなしです。そして本書を読み終えた時は何ともいえない爽快感と、人類と宇宙へのロマンを味わうことができます。

 本作品はSF好きな人もそうでない人も一度は読んでみる価値のある小説だと思います!
 
 

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『ベティ・ブルー インテグラル完全版』この映画を見て!

第198回『ベティ・ブルー インテグラル完全版』
Photo_2  今回紹介する作品は純度100%の恋愛映画『ベティ・ブルー』です。本作品は『ディーバ』で鮮烈なデビューを放ったジャン=ジャック・ベネックスが脚本も兼任して製作した力作で、情熱的な女と作家を目ざす男の鮮烈な愛を描いています。公開当時は切ないストーリリーと美しい映像、そして大胆な性描写が大変話題を呼び、世界中で大ヒットしました。

 ストーリー:「海辺のコテージで1人暮らしをする修理工のゾルグはウエイトレスのベティと恋に落ちて同棲を始める。セックスに耽るベティとゾルグ。ベティは大変気性が激しく自分が気に入らないことがあるとすぐに見境なく怒り出す女性だった。ゾルグはそんなベティを優しく見守っていた。そんあある日、ベティは怒って自宅の物を放り出している最中、ゾルグの書いた小説に心奪われる。ゾルグを何とか小説家にさせようとベティは画策するがなかなか上手くいかない。そんな中、ベティは彼の子供を身ごもったのではないかと思い喜ぶ。しかし、それもベティの勘違いだった。落胆するベティ。ベティの純粋な心は次第に破綻していき狂気へと陥っていく…。」

 私は本作品を始めて見た時は、あまりにも痛切な純愛物語に大変衝撃を受けたものでした。恋愛映画は古今東西数多くありますが、本作品ほど見ていて主人公たちのほとばしる感情に心動かされ、愛の痛みと苦しみに涙した作品はありません。

 本作品の主人公であるベティが愛する者のためにひたすら真っ直ぐに尽くそうとする姿は純粋さと狂気に満ちていて見ていて圧倒されました。己を捨てて相手に尽くす姿は客観的に見ると愚かにさえ見えますが、愛に身を捧げた者にすれば己などどうでもいいんだろうなと見ていて思い、ひたすら愛に生きる女の凄みを感じました。

 またベティのような情熱的かつ気性も激しく付き合うには男性側も大変エネルギーのいると思います。最初見た時はひたすら全身で受け止めようとするゾルグの姿に同じ男性ながら尊敬してしまいました。
 しかし、何度か見返すうちにベティがゾルグを生きるために必要としていたというより、ゾルグがベティを生きるために必要としていたことに気づきました。ゾルグは己にはないベティの純粋な愛と狂気に憧れ、そんな女性を受け止め愛していくことで己の人生の憧れという名の欲望を満たしていたと思います。
 
 本作品は献身的な愛の素晴らしさや悲しさを描いているだけでなく、愛に潜むエゴイズムの悲しみや切なさまで踏み込んで描いているからこそ、見ている側も心打たれるのだと思います。

 映像や音楽も大変美しく印象的です。映像に関していえば赤い服や黄色のベンツなど色の使い方も巧みですし、前半の家が燃えるシーンや夕焼けの平原に佇む主人公たちを捉えたシーンはまるで絵画のようです。
 音楽もピアノで奏でられる切ないメインテーマが大変耳に残ります。

 あと私が本作品の好きなところは主人公をとりまく人たちのユーモラスな描写です。作家希望の刑事、歌を唄い見送る交通取締りの警察官、片手を失ったゴミ収集のおじさん、トイレで麻薬を売るおじさん。主人公たちと周囲の人たちとの何気ない微笑ましい描写が映画の良いアクセントになってます。
  
 本作品は1986年に劇場で初公開された2時間のヴァージョンと今回紹介したディレクターズ・カットの3時間のヴァージョンと2つあります。初公開版はベティの描写が中心でありますが、ディレクターズ・カット版はゾルグの心情に関する描写が増えており、どちらを見るかによって大きく印象が変わります。興味のある方は是非見比べてほしいと思います。

上映時間 185分
製作国 フランス
製作年 1992年
監督: ジャン=ジャック・ベネックス 
原作: フィリップ・ディジャン 
脚本: フィリップ・ディジャン 
撮影: ジャン=フランソワ・ロバン 
音楽: ガブリエル・ヤーレ   
出演: ベアトリス・ダル , ジャン=ユーグ・アングラード, コンスエロ・デ・ハヴィランド, ジェラール・ダルモン

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