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2008年1月27日 - 2008年2月2日

『ラストエンペラー』この映画を見て!

第197回『ラストエンペラー』
Photo_2  今回紹介する作品は清朝最後の皇帝・溥儀の人生を描いた歴史大作『ラストエンペラー』です。
 本作品は溥儀の自伝「わが半生」に感銘を受けたイタリアの映画監督・ベルナルド・ベルトルッチが映画化。中国でのオールロケを敢行し、世界初となる紫禁城での撮影を行い大変話題を呼びました。完成された映画は高い評価を受けてアカデミー賞では9部門を獲得しました。

 ストーリー:「わずか3歳で清朝皇帝の地位に就いた溥儀。まだ自分の立場など何も分らない子どもながら、周囲の者からは皇帝として手厚く敬われていた。しかし、紫禁城から出ることを一切許されず孤独な少年時代を過ごす。大人になり皇帝として周囲に権力を振るおうとするが、辛亥革命が起こり彼は紫禁城から追い出される。そして彼は日本軍が統治していた満州国の皇帝となるが、そこでも彼は日本軍の手先として利用されるだけの見せかけの皇帝だった。そして日本軍が降伏した1945年、彼は戦犯として逮捕され収容所に入れられる。」
 
 本作品の最大の見所は何といっても撮影監督・ヴィットリオ・ストラーロの手による華麗な映像美です。特に紫禁城のシーンはスケールの大きさと色彩の豊かさに見とれてしまいます。
 そんな美しい映像に負けず劣らず音楽も大変美しく印象的です。特に坂本龍一が手がけた部分が素晴らしく、第二皇妃が雨の降る中を去るシーンで流れる「RAIN」やラストに流れる「ラストエンペラーテーマ」のメロディラインの切ない美しさはため息が出るほどです。

ストーリーに関して言うと、権力に翻弄された1人の人間の孤独や悲哀に非常に胸が打たれます。3歳のときから皇帝として見た目はチヤホヤ扱われながらも、実質的な権力は周囲が持っており、それに振り回され従わされるだけの人生。物質的な欲望は満たされても、自分の人生を思い通りにできない主人公の歯がゆさや空しさみたいなものが全編を通して伝わってきました。
 また後半の権力も奪われ一市民に転落していく姿は時の無常さといったものを改めて感じました。
 年老いた溥儀が紫禁城で幼い頃に隠したコオロギの入った容器を再び見つけ、中からコオロギが出てくるラストシーン。何ともいえない切ない終わり方で印象に残りました。時代と権力に翻弄された溥儀が最後に見つめた幼い頃のコオロギ。人生の儚さを感じる素晴らしいラストシーンでした。

上映時間 163分
製作国 イタリア/イギリス/中国
製作年度 1987年
監督: ベルナルド・ベルトルッチ 
製作: ジェレミー・トーマス 
脚本: ベルナルド・ベルトルッチ、マーク・ペプロー、エンツォ・ウンガリ 
撮影: ヴィットリオ・ストラーロ 
音楽: 坂本龍一、デヴィッド・バーン、スー・ソン 
出演: ジョン・ローン、ジョアン・チェン、ピーター・オトゥール、坂本龍一 
デニス・ダン、ヴィクター・ウォン、高松英郎、 マギー・ハン 、リック・ヤン 
ヴィヴィアン・ウー、ケイリー=ヒロユキ・タガワ 

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『サイレントヒル』映画鑑賞日記

Photo  世界中で大ヒットした日本発の人気ホラーゲーム『サイレントヒル』を完全映画化した同名タイトルの本作品。ゲームを映画化した作品は『バイオハザード』シリーズを始め数多くありますが、本作品はその中でもかなり成功した部類に入ると思います。

ストーリー:「ローズとクリストファーの夫婦は、9歳になる養女のシャロンの奇妙な言動に悩んでいた。彼女を救う手掛かりを探しているうちに、サイレントヒルという街の存在を知るローズ。そこは、30年前に大火災に見舞われ誰も近づかないゴーストタウンだった。
 ローズとシャロンはクリストファーの制止を振り切りサイレントヒルへと向う。しかし、サイレントヒルへと続く狭い道の途中で事故に遭い、ローズは気を失ってしまう。彼女が意識を取り戻したとき、シャロンの姿は見えなかった。ローズはシャロンの行方を追って、サイレントヒルの奥深くへと彷徨い込んでいくのだが…。」

 本作品の素晴らしいところは何といってもゲームの世界観を忠実に映像化したところにあります。絶えず白い灰が降り続け視界の悪いゴーストタウンの何ともいえない不気味な雰囲気。そんな街がサイレンの音と共に魑魅魍魎が蠢く地獄へと変化するシーンの張り詰めた緊張感。そして、闇の中から出現するクリーチャーたちの目を背けたくなるほどおぞましい姿。特に頭が三角形のレッド・ピラミッドや顔のないナース集団はおぞましさの中に淫靡なエロティシズムが感じられ強烈なインパクトを放っていました。
 またスプラッターシーンも結構過激で、体が引き裂かれたり粉砕されたりとR指定にならなかったのが不思議なくらいです。
 ビジュアル面に関しては細部までこだわりぬかれており、見所満載です。

 ストーリーに関して言うと家族愛やカルト集団の狂気等をテーマにしており、単なる見世物ホラー映画にはない重厚さがあります。しかし、ゲームをしていない人には説明不足なところがあったり、主人公の行動に首を傾げるところがありました。もう少しサイレントヒルの世界観の説明や主人公の恐怖への葛藤などの心理描写を丁寧に描いてもよかったような気がします。

 本作品で私が好感をもてたのは、ハリウッドのホラー映画にありがちな背後からワッと脅かすようなコケオドシの演出がないところです。観客をじっくりと恐怖に満ちた世界に引きずり込む演出は覚めない悪夢を見ているかのようで緊張感を持って最後まで見ることができました。 
  
上映時間 126分
製作国 アメリカ/日本/カナダ/フランス
製作年度 2006年
監督: クリストフ・ガンズ 
脚本: ロジャー・エイヴァリー 
撮影: ダン・ローストセン 
編集: セバスチャン・プランジェール 
音楽: ジェフ・ダナ 
出演: ラダ・ミッチェル 、ショーン・ビーン、 ローリー・ホールデン、デボラ・カーラ・アンガー、キム・コーツ
 

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