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2008年11月23日 - 2008年11月29日

『ボディ・ダブル』この映画を見て!

第230回『ボディ・ダブル』
Photo_2  今回紹介する作品はブライアン・デ・パルマ監督のヒッチコックへの愛着が全編に散りばめられた傑作サスペンス『ボディ・ダブル』です。

ストーリー:「恋人の浮気で住むところを失った閉所恐怖症の俳優ジェイク。彼は友人サムに誘われて、ハリウッドの高台にある豪邸の留守を預かることになる。その豪邸の部屋には備え付けの望遠鏡があり、覗くとセクシー美女の淫靡な姿があった。彼は美女の淫靡な姿に見とれるが、その美女を付け狙う男がいることに気付く。彼は美女を付け狙う男を尾行を開始するが、美女はある晩に殺されてしまう。」

 ヒッチコック監督のファンならストーリーを読めばすぐ分かると思いますが、本作品はヒッチコック監督の代表作である『裏窓』と『めまい』にオマージュを捧げた作品です。覗きから殺人事件に巻き込まれるという設定は『裏窓』ですし、主人公が閉所恐怖症という設定は『めまい』の主人公が高所恐怖症であるところからの引用です。

 デ・パルマ監督は上記二作品の設定を借りて、自分の趣味嗜好が全開の映画を楽しそうに撮っています。凝ったカメラワークに、残酷な殺人描写、そして唐突かつ無駄に長いエロシーン。デ・パルマ監督ファンにはたまらないシーンの連続です。
 特に抱き合うシーンでカメラが主人公の周りをグルグル回転するところや、主人公が女性をストーキングするシーンの緊張感溢れる演出はデ・パルマ監督ならではです。
  
 ただ本作品は、サスペンス映画としての完成度は残念ながら低いです。ストーリーの展開は強引かつ無理がありますし、犯人もなぜこんな凝ったトリックを利用したのかよく分かりません。
 また、主人公の行動自体もはっきり言って理解しがたいところが多々あり、感情移入しにくいです。

 本作品はサスペンス映画を楽しむというよりは、デ・パルマ監督の演出が生み出すB級テイストの猥雑かつ怪しい雰囲気を楽しむ作品です。
  デ・パルマ 監督の映画が好きなら一度は見て損はないと思いますよ。

上映時間 114分
製作国 アメリカ
製作年度 1984年
監督: ブライアン・デ・パルマ 
製作: ブライアン・デ・パルマ 
脚本: ロバート・J・アヴレッチ、ブライアン・デ・パルマ 
撮影: スティーヴン・H・ブラム 
編集: ジェラルド・B・グリーンバーグ 
音楽: ピノ・ドナッジオ 
出演: クレイグ・ワッソン、メラニー・グリフィス、グレッグ・ヘンリー 
デボラ・シェルトン、デニス・フランツ、バーバラ・クランプトン

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『フューリー』映画鑑賞日記

Photo  ブライアン・デ・パルマ監督が『キャリー』に続き、超能力をテーマにしたサスペンスホラー『フューリー』。 『キャリー』が傑作だったので、本作品にも高い期待をして鑑賞したのですが、結果は物足りない出来でした。 

ストーリー:「誘拐された息子を追って奔走する元情報部員。それは、息子の持つ超能力に目をつけた組織の仕業だった。研究所に通うようになった超能力少女の助けを得て、息子の消息に迫るのだが……。」

 超能力を持ったが故の悲劇を扱った映画は『デッドゾーン』や『炎の少女チャーリー』など数多くありますが、本作品もその路線の一つです。 

 随所にデ・パルマ監督らしい流麗なカメラワークと毒々しい演出があり、そこは見入ってしまいました。特に中盤の3分以上続くスローモーションのシーンとラストのショッキングな演出は強烈なインパクトがありました。

 出演している役者も、カーク・ダグラスやジョン・カサヴェテスと大変豪華ですし、『ブレード・ランナー』で有名なダリル・ハンナがちょい役で登場しまいす。スタッフも特殊メイクに『狼男アメリカン』のリック・ベイカー、音楽に『ジョーズ』のジョン・ウィリアムズとハリウッドでも一流の人が手がけています。

 しかし、ストーリー展開が大味でテンポが何とも悪いのです。大作を意識した作りをしているのだと思うのですが、無駄なシーンが多いです。特にカーク・ダグラス演じる主人公が追ってから逃げるシーンは変に笑いを入れようとして、緊張感が削がれていました。
 また、登場人物たちの描き方も散漫で、感情移入できません。その為、ラストの悲劇的な展開も胸にグッと来るものがありませんでした。

 本作品はストーリーがもう少し上手くまとまっていたら、完成度が上がっていたと思います。
 デ・パルマ監督は大作な映画よりも、猥雑なB級路線の映画の方が完成度が高く面白いです。 

上映時間 119分
製作国 アメリカ
製作年度 1978年
監督: ブライアン・デ・パルマ 
製作: フランク・ヤブランス 
原作: ジョン・ファリス 
脚本: ジョン・ファリス 
撮影: リチャード・H・クライン 
特殊メイク: リック・ベイカー 
メイクアップ: ウィリアム・タトル 
音楽: ジョン・ウィリアムズ 
出演: カーク・ダグラス、ジョン・カサヴェテス、エイミー・アーヴィング、
チャールズ・ダーニング、 キャリー・スノッドグレス、アンドリュー・スティーヴンス 

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『オリエント急行殺人事件』この映画を見て!

第229回『オリエント急行殺人事件』
Photo  今回紹介する作品は推理小説の女王であるアガサ・クリスティの同名原作を見事に映画化した『オリエント急行殺人事件』です。

 ストーリー:「1935年冬。イスタンブールからカレーに向かう大陸横断国際列車オリエント急行に名探偵エルキュール・ポワロは乗っていた。様々な乗客が乗り合わせる中で、出発から2日目の夜、ポワロの隣の客室にいたアメリカ人富豪ラチェットが身体中を刃物で刺されて殺された。大雪で線路が埋まり列車が立往生している中、ポワロは鉄道会社からの依頼で事件の究明に乗り出すのだが…。」

 本作品の最大の見所は何といっても豪華な出演者たちの演技合戦。ジャクリーン・ビセット、ローレン・バコール、ショーン・コネリー 、そして本作品でアカデミー助演女優賞に選ばれたイングリッド・バーグマン。これだけの役者が一堂に会する作品はなかなかありません。
 なお、ポワロを演じたのはアルバート・フィニー。皮肉屋で一癖も二癖もあるポワロを大げさとも言える演技で見事に演じきっています。(ただ人によっては過剰演技が鼻に付くかもしれませんね。)

 ストーリーに関しては未見の方もいらっしゃると思うので何も言いませんが、予想外の結末とラストの粋な締めくくり方が大変印象的です。

 映像やセット、音楽もキャストに負けず劣らず重厚かつ華麗で、見ていて飽きることがありません。
 ちなみに撮影当時に、30年代に走っていたオリエント急行の車両はすでに廃車となっていたのですが、美術スタッフは当時の車両を忠実に復元したそうです。

 監督は『12人の怒れる男』や『狼たちの午後』など社会派の作品で有名なシドニー・ルメットが担当。硬派な作品が持ち味の監督ですが、ほとんど列車内が舞台という密室劇を 華やかな雰囲気のエンターテイメント作品として見事に仕上げています。

 本作品はミステリー映画としては最高傑作の部類に入ると思います。豪華で、優雅で、知的なミステリーを楽しみたい方は本作品の鑑賞をお薦めします!


上映時間 128分
製作国 イギリス
製作年度 1975年
監督: シドニー・ルメット 
製作: ジョン・ブラボーン 
リチャード・グッドウィン 
原作: アガサ・クリスティ 
脚本: ポール・デーン 
撮影: ジェフリー・アンスワース 
音楽: リチャード・ロドニー・ベネット 
出演: アルバート・フィニー 
ジャクリーン・ビセット 
アンソニー・パーキンス 
マイケル・ヨーク 
ローレン・バコール 
イングリッド・バーグマン 
ショーン・コネリー 
リチャード・ウィドマーク 
ヴァネッサ・レッドグレーヴ 
ウェンディ・ヒラー 
ジョン・ギールグッド 
ジャン=ピエール・カッセル 
レイチェル・ロバーツ 
コリン・ブレイクリー

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