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2008年10月26日 - 2008年11月1日

『8 1/2』この映画を見て!

第227回『8 1/2』
8_2  今回紹介する作品はイタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニ の代表作『8 1/2』です。
 本作品は新作の撮影に悩む映画監督を描いた自伝的要素の強く反映されており、現在と過去と空想とが入り乱れる幻想的な作風となっています。
 その為、話しの展開ばかりに気を取られると抽象的で難解に思うかもしれません。
 しかし、フェリーニ監督しか紡ぎだせない美しい映像と音楽を味わい、監督のイメージ豊かな心象風景に共感することができれば、本作品は何回見ても楽しむことができます。
 
 ちなみに、『8 1/2』というタイトルは、諸説いろいろありますが、フェリーニの長編8と1/2作目にあたるからという説明が一般的です。(1/2とは共同監督作品のことです。)

ストーリー:「映画監督のグイドは自分の体が渋滞する車から抜け出し宙を舞い、最後には空中を落下する夢を見る。新作の映画製作に悩み追われる現実生活の精神的・肉体的な疲れを癒す為、彼は療養と称して温泉に出掛ける。しかし、そこでも仕事や生活から逃れることが出来ず、追い詰められていく。」

 本作品は見れば見るほど惹き込まれる魅力があります。ワンシーン、ワンシーンが映画という表現を使った芸術そのものです。そのような芸術で描かれる表現者としての監督の苦悩や孤独。フェリーニ監督の表現者としての心情が見る者にもダイレクトに伝わってきます。

 また本作品で印象的なのが次々と登場する女性たちの存在感です。特に砂浜で踊る太った女性の存在感は強烈で、一度見たら忘れられません。フェリーニ監督の作品では太った女性がしばしば登場しますが、太った女性は監督にとって母性の象徴であり、また性的な対象としての憧れなのかもしれません。
 主人公が関係する女性たちの間で振り回されて葛藤する姿はフェリーニ監督の女性への憧れと畏怖を感じさせられます。

 私が一番好きなシーンはラストで、何回見ても深い感銘を覚えます。追い詰められた主人公が悟ったかのように「人生は祭りだ。ともに生きよう。」と言い、登場した全ての人物が集合して手を取り合って楽しそうに踊るシーン。私はそのシーンを見る度に、一度きりの自分の人生全てを受け入れて味わうことが大切なんだと気づかされます。
 そして、祭りの後に音楽隊だけが残り、次第に消えていくラストショット。祭りの後の儚さや寂しさといったものが見事に表現されています。

 本作品は長らくビデオでしか発売されていませんが、最近DVDとして発売されました。映画が好きな人はぜひ一度ご覧になって、フェリーニが生み出す美しく儚い幻想の世界に浸ってください。 

上映時間 140分
製作国 イタリア
製作年度 1965年
監督: フェデリコ・フェリーニ 
製作: アンジェロ・リッツォーリ 
脚本: フェデリコ・フェリーニ,トゥリオ・ピネッリ,エンニオ・フライアーノ, ブルネッロ・ロンディ  撮影: ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ 
音楽: ニーノ・ロータ 
出演: マルチェロ・マストロヤンニ, アヌーク・エーメ, クラウディア・カルディナーレ 
サンドラ・ミーロ, バーバラ・スティール 

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