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2008年10月5日 - 2008年10月11日

『いまのきもち』 

中島みゆきのアルバム紹介No.4『いまのきもち』 
Photo  歌手である中島みゆきが作家である中島みゆきの作品を唄うというコンセプトで1976年代~1986年までに発表した名曲をセルフカバーした中島みゆき通算32枚目のアルバム『いまのきもち』。
 全曲、瀬尾さんによるリアレンジが行われており、オリジナルとはまた違う雰囲気に仕上がっています。
 レコーディングはLAで行われ、ヴィニー・カリウタ、マイケル・トンプソン、ジョン・ギルティン、ニール・スチューベンハウス等の一流のミュージシャンが参加して、中島みゆきの曲と歌声の魅力を引き立てています。

 本作品はオリジナルを知っている人も知らない人も中島みゆきのファンならいまの中島みゆきの良さを楽しむことが出来る仕上がりとなっています。
 どの曲も特に大胆なアレンジはありませんが、オリジナルよりも洗練され円熟した大人の歌になっています。
 歌い方もオリジナルにあった荒削りで感情がむき出しの歌い方とは違い、繊細で優しく語りかけるような歌い方となっており、良い意味で聞きやすいです。
 
私は発売当時なぜみゆきさんは昔の曲を今さらリメイクするのだろうと疑問に思いました。しかし、本作品を購入して聞いてみて、単なるリメイクなどではなく、タイトルの通り「いまのきもち」を歌っている新アルバムであることを認識しました。 
みゆきさんも本作品のブックレットに以下のようなコメントを載せています。

この歌を書いた日には、書いた日の気持ちがあり。
この歌を録音した日には、録音した日の気持ちがあり。
この歌を人前で歌った日には、歌った日の気持ちがあり。
どの日にも、誰も戻ることは不可能であり。

この歌は、私の子供。
私の想いを離れて、いろんな意味に遠くで育っていたりする。
でも、私の子供。どの子も好きに変わりはない。
古い写真を眺めては、あの頃のおまえは可愛かったのにと
嘆くことを、私は好かない。

今日の私の子供が、今日の私の目の前で呼ぶ。
それで私は忙しい。
今日は、この子と「翻楽」の旅をしてみようか。
今の気持ちを臍の緒にして、明日が細胞分裂を始めている。


 コメントを読むと、本作品は過去を懐かしむために製作されたのではなく、今を見つめるために製作されたものであることが良くわかります。
 本アルバムのラストを締めくくる「土用波」を聞くと、本作品にこめた中島みゆきの思いがよく伝わってきます。

 私が本作品の中で特にお気に入りな歌は何といっても『歌姫』。この歌の優しさと美しさは数あるみゆきさんの歌の中でも格別です。何回聞いていても、自然と心が落ち着き、寂しい心が慰められます。

 本作品は中島みゆきの歌姫としての魅力が非常に良くわかります。ぜひ多くの方に聞いてほしい名盤です!

1. あぶな坂 
2. わかれうた 
3. 怜子 
4. 信じ難いもの 
5. この空を飛べたら 
6. あわせ鏡 
7. 歌姫 
8. 傾斜 
9. 横恋慕 
10. この世に二人だけ 
11. はじめまして 
12. どこにいても 
13. 土用波 

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『デス・プルーフ in グラインドハウス』この映画を見て!

第224回『デス・プルーフ in グラインドハウス』
Photo_2  B級映画を何本か連続して上映するアメリカで流行った映画館“グラインドハウス”。それを現代に甦らせるべく、クエンティン・タランティーノ監督とロバート・ロドリゲス監督が競作した2本立てムービー『グラインドハウス』。
 アメリカでは2本同時公開で上映されたのですが、それ以外の国ではそれぞれ独立した作品として上映されました。
 今回紹介する作品はその内のタランティーノ監督が担当した作品『デス・プルーフ』です。

ストーリー:「テキサス州オーステインの人気DJ、ジャングル・ジュリアは友人たちとバーへ繰り出し、女の子だけの会話に花を咲かせていた。そんな彼女たちを秘かにつけ回す顔に傷のある謎の中年男スタントマン・マイク。彼はドクロマークの不気味な車を乗り回し、いけにえとなる獲物を探していた。ジャングル・ジュリアとその友人たちに目をつけた彼は彼女たちが乗る車にわざと猛スピードで衝突する。
 それから14ヵ月後、テネシー州で映画の撮影に参加していたスタントウーマンのゾーイ。彼女は売りに出されていた憧れの車ダッジ・チャレンジャー70年タイプに試乗するために仲間と計画を立てる。彼女は友人の協力を得て、試乗してスタントライドを楽しむ。そこにスタントマン・マイクが新たな獲物として狙い始め襲いかかるのが・・・。」

 映画は2部構成となっており、前半と後半で主人公が入れ替わります。
 映画の前半は女性たちのセックスを中心とした他愛もない無駄話しのシーンが延々と続きます。そこが退屈な人は退屈でしょうが、タランティーノファンにとってはこの緩いけどリズムのある会話シーンが非常に楽しめるところです。
 そして、長い会話シーンの後の衝撃的なクラッシュシーン。このシーンは一瞬ですが、その生々しさやグロさは半端ではありません。
 
 映画の後半は主人公の女性たちが全く違うのですが、映画史に名を残すほど迫力のあるカーチェイスを見ることが出来ます。CGを使わず生身の人間が体を張ったスタントは迫力満点で、久々に見ていて手に汗握るアクションシーンです。
 特に本作品が映画初主演のゾーイ・ベルは普段はスタントウーマンとして活躍しているだけあって、ジャッキー・チェンも真っ青の驚愕のスタントを次々に披露してくれます。(監督は『キル・ビル』でユマ・サーマンのスタントを勤めた彼女にほれ込み、本作品の脚本を書き下ろしたそうです。)
 映画のラストは唐突でありますが、見ていてとても痛快な締めくくり方です。

 私が個人的に面白かったのはカート・ラッセルの使い方。『バックドラフト』や『ニューヨーク1997』でカッコいい男を演じていたラッセルにあんな役をやらせるとは・・・。彼の情けなさぶりが非常にツボにはまりました。

 また『キル・ビル』にも登場したカウボーイの親子刑事が出てきたり、携帯の呼び出し音が『キル・ビル』の悪役エル・ドライバーが吹く口笛の音楽だったり、タランティーノ映画には欠かせないレッド・アップルが今回も登場したりと随所にタランティーノファンがにやりとするネタが散りばめられています。

 あと本作品はタランティーノの生足フェチが前面に出た仕上がりとなっています。以前から彼の映画には女性の生足にこだわった描写がありましたが、今回は露骨です。タランティーノの監督が嬉々とした顔で生足を撮っていた姿が映画を見ていて目に浮かびます。

 本作品は15歳以上でタランティーノ好きかB級アクション好きな人、そしてカーチェイスには目がない人にはお勧めです。

上映時間 113分
製作国 アメリカ
製作年 2007年
監督: クエンティン・タランティーノ 
脚本: クエンティン・タランティーノ 
撮影: クエンティン・タランティーノ 
プロダクションデザイン: スティーヴ・ジョイナー 
衣装デザイン: ニナ・プロクター 
編集: サリー・メンケ 
出演: カート・ラッセル、ロザリオ・ドーソン、ローズ・マッゴーワン、シドニー・タミーア・ポワチエ、ゾーイ・ベル 、 マイケル・パークス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ヴァネッサ・フェルリト、ジョーダン・ラッド、 クエンティン・タランティーノ、ジェームズ・パークス

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『プラネット・テラー in グラインドハウス』この映画を見て!

第223回『プラネット・テラー in グラインドハウス』
Photo  B級映画を何本か連続して上映するアメリカで流行った映画館“グラインドハウス”。それを現代に甦らせるべく、クエンティン・タランティーノ監督とロバート・ロドリゲス監督が競作した2本立てムービー『グラインドハウス』。
 アメリカでは2本同時公開で上映されたのですが、それ以外の国ではそれぞれ独立した作品として上映されました。
 今回紹介する作品はその内のロドリゲス監督が担当した作品『プラネット・テラー 』です。

ストーリー:「テキサスの田舎町にある軍事基地で科学者と軍が取引しようとしていた生物化学兵器DC2が流出して町中に拡散する。そのガスを浴びた人々は体中の皮膚が腐り始め、次々と凶暴なゾンビへ姿を変えていく。」

 本作品、ゾンビ映画好きの私にとっては最高に面白い作品でした。劇場で公開されていた時は機会なく見逃してしまったのですが、今となっては大変悔やまれます。

 ゾンビ映画好きの私には過去の名作ゾンビ映画に対するオマージュを捧げたシーンが随所にあり、見ていてニヤリとしますし、ゾンビ映画好きが求めるお決まりの展開やスプラッターシーンがこれでもかと繰り広げられるので大変満足します。
 特に私が受けたのは80年代のゾンビ映画のような効果音や音楽と、サンゲリアを彷彿させるタランティーノが登場するシーン、そしてヘリを利用した思わぬゾンビ撃退方法です。
(まあ、厳密に言えば本作品に出るゾンビは正式にはゾンビではなく感染者ですが・・・。)

 また、70年代のグラインドハウスでのB級映画上映を彷彿させるために、わざとフィルムに傷やノイズを入れたり、そして「リール喪失」のテロップを一番いいところで入れるという演出が心憎いです。

 はっきり言って、本作品は見る人を選びます。ストーリーは荒唐無稽でナンセンスですし、エログロ描写も満載です。ホラー映画が苦手な人や映画に感動や格調の高さを求める人には全くもって不向きです。
 逆にホラー映画や下らないB級作品好きの人は本作品を大いに楽しむことが出来るでしょう!

 私が本作品で一番はまったのがDVDのジャケットにもなっている片足がマシンガンの女戦士。映画のクライマックスは彼女の人間離れしたアクションのオンパレードで見ていて思わず拍手してしまいます。

 あとバーベキューソースをめぐる兄弟間のやり取りも見ていて面白く、そのベタな展開の結末に少し感動したりもしました。

 出演している役者も豪華で、ブルース・ウィリスや今となっては懐かしいマイケル・ビーンが登場します!
 また、ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』で特殊メイクを担当したトム・サビーニが登場しているのもゾンビファンとしては嬉しいかぎりです。

 本作品はゾンビ映画好きにとっては外すことの出来ない作品です。15歳以上で興味のある方はぜひご覧ください!

 あと映画の冒頭に「マチェーテ」というフェイクの予告編が流れるのですが、その作品もぜひ見てみたいです! 

上映時間 105分
製作国 アメリカ
製作年 2007年
監督: ロバート・ロドリゲス 
脚本: ロバート・ロドリゲス 
撮影: ロバート・ロドリゲス 
編集: ロバート・ロドリゲス 
音楽: グレーム・レヴェル 
出演: ローズ・マッゴーワン、フレディ・ロドリゲス、ブルース・ウィリス、ジョシュ・ブローリン
マーリー・シェルトン、ジェフ・フェイヒー、ステイシー・ファーガソン、ナヴィーン・アンドリュース 、マイケル・ビーン、レベル・ロドリゲス、トム・サヴィーニ

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「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」来年初夏公開決定!

Evangelion_movie_2  首を長くして待っていた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の続編「破」が来年初夏に公開されることが決定しました。
 それに伴いポスターも公開。英語のタイトルは「EVANGELION 2.0: YOU CAN (NOT) ADVANCE」。
 ポスターの絵は基本的に「序」と同じですが、新キャラとして惣流・アスカ・ラングレーと「序」の最後に流れていた次回予告編に一瞬だけ登場したメガネとおさげ髪の新キャラクターの少女が描かれています。
 「序」は基本的にテレビ版第1話~第6話までの展開とほとんど同じでしたが、「序」の最後の予告編を見る限り、「破」からはテレビシリーズと違う展開が予想されます。
 予告編で示されたテレビ版には登場しないエヴァンゲリオンや新キャラクターの登場。一体どのような物語になるのか非常に楽しみです。
 

公式サイト:http://www.evangelion.co.jp/index.html

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『悪い奴ほどよく眠る』この映画を見て!

第222回『悪い奴ほどよく眠る』
Photo  今回紹介する作品は黒澤監督が自ら設立した黒澤プロダクションで初めて製作した社会派サスペンスドラマ『悪い奴ほどよく眠る』です。
 私は今までタイトルは知っていたものの作品自体は見たことありませんでした。昨日に偶然テレビで放映されているのを鑑賞して、その面白さと完成度の高さに正直驚きました。私の中では黒澤監督の作品のベスト3に入るほど気に入りました。

ストーリー:「日本未利用土地開発公団の副総裁である岩淵の娘佳子と秘書の西幸一の披露宴が盛大に行われようとしていた。ちょうどその時、公団の課長補佐である和田が刑事に連行される。
 建設会社の不正を追及するために会場に押しかけた新聞記者たちは、5年前に課長補佐が自殺して幕を引いた新庁舎建築の不正入札事件に、現公団の副総裁岩淵と管理部長の守山、契約課長の白井が関係していたことを思いだした。
 検察当局は開発公団と大竜建設の贈収賄事件を摘発しようとしていたが、逮捕した和田や建設会社の経理担当の三浦は何も自供しないまま拘留満期がきて釈放される。その後、三浦はトラックに飛び込み自殺、和田も火口から飛び降りて自殺しようとしていた。そんな和田の前に西が突然現れて自殺を止める。西は5年前新庁舎の建設に絡む不正入札疑惑で自殺した課長補佐の一人息子だった・・・。」

 政財界の汚職事件を追求した本作品。その内容は今見ても全く古臭くなく、むしろ今も昔も変わらない権力の腐敗構造と闇の深さを改めて痛感させられます。
 
 本作品の面白いところは主人公である西の復讐劇というサスペンスタッチで政財界の悪を暴いていくという点です。
 映画の前半は一筋縄にいかない悪に対して西が淡々とゲームを楽しむかのようにあの手この手で揺さぶりをかけます。西の揺さぶりにうろたえる悪の姿は見ていて痛快ですし、どうやって悪を窮地に追い込んでいくのか手に汗握ります。
しかし、映画の後半、西の正体が悪にばれてからは、西の内面やヒロインとの愛情に焦点が当たり、前半の痛快さは鳴りを潜めます。
 そしてラストは悪の巧妙さと冷酷さが描かれ、何とも後味のほろ苦い結末を迎えます。映画の最後には再度映画のタイトルが現れるのですが、その意味が痛いほど見る者に伝わってきます。
 私は本作品を見た後、何ともいえないやるせなさとやり場のない怒りがこみ上げてきました。

 本作品では本当の悪の親玉は一切姿を現しません。本作品に登場する一番の悪は副総裁である岩淵なのですが、そんな彼すら電話口で見えない巨悪にペコペコする。そこが何ともリアルであり、権力を牛耳る闇の奥深さを物語っていたと思います。

 また印象的だったのが、岩淵が自宅でエプロンをつけて家族のために肉を焼くシーン。職場では権力にしがみつき悪に手を染めながら、家に戻ればよき父親に戻る。人間という生き物の多面性が見事に描かれていたと思います。

 黒澤監督の様々な工夫を凝らした演出は本作品でも健在です。私が特に印象的だったのが冒頭の結婚披露宴のシーンと音楽の使い方。
 結婚披露宴という大人数が集まる場で登場人物たちの複雑な関係を緊張感を持って、一気に分かりやすく説明するシーンは見事な演出だと思います。『ゴッドファーザー』の冒頭も結婚式で始まりますが、コッポラ監督も本作品が大好きなそうなので、きっと真似て作ったのでしょう。
 佐藤勝の音楽も重苦しい内容と反した軽快で喜劇的なタッチで、映画にユーモラスな雰囲気を与えています。

 役者の演技では岩淵を演じた森雅之の悪としての圧倒的な存在感が印象的です。もちろん、主人公の西を演じた三船敏郎の他の黒澤作品では見られない抑えた演技で、一見すると三船とは分からないほどです。
 あと、若かりし頃の三橋達也、西村晃、加藤武の力のこもった演技も見ごたえがありました。

 本作品は後味は良くありませんが、現代にも十分通ずる内容ですし、重厚な演技と演出は大変見ごたえがあります。黒澤監督の隠れた傑作をぜひ一度ご覧ください!

上映時間 150分
製作国 日本
製作年 1960年
監督: 黒澤明 
脚本: 小国英雄、久板栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍 
撮影: 逢沢譲 
美術: 村木与四郎 
音楽: 佐藤勝 
特殊技術: 東宝技術部 
出演: 三船敏郎、森雅之、香川京子、三橋達也、志村喬、西村晃、加藤武
藤原釜足、笠智衆、宮口精二、三井弘次、三津田健、中村伸郎

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