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2008年8月31日 - 2008年9月6日

『椿三十郎』この映画を見て!

第216回『椿三十郎』
Photo_2  今回紹介する作品は『用心棒』の大ヒットを受けて、黒澤監督が三船敏郎を主役に据えて製作した凄腕の浪人・三十郎が活躍する時代劇『椿三十郎』です。本作品は昨年に森田芳光監督・織田裕二主演でリメイクされ大変話題になりました。

ストーリー:「真夜中の森の中の朽ちた社の中、9人の若侍たち人目を避けるように集まり次席家老の汚職の問題を話していた。家老の不正を何とか暴こうと気勢を上げる若者たち。
そんな前に奥の部屋からアクビをしながら三十郎が現れ、若者たちの脇の甘い作戦に注意をする。そして、三十郎は若者たちに手を貸すことにする。」

 本作品は上映時間も98分と短く、オープニングからテンポ良く話しが進ます。前作は三十郎が知恵を絞りながら1人で悪に颯爽と立ち向かう姿をハードボイルドタッチで描いていましたが、本作は三十郎が9人の若侍と協力して悪に立ち向かっていく姿をユーモアを織り交ぜながら勧善懲悪なスタイルでスカッと描いていきます。
 
 本作品でも三船敏郎演じる三十郎の飄々としたカッコ良さは健在です。私が本作品で特に印象的だったのが、敵に捕まった若侍を助けるために殺生をした後、若侍の身勝手な行動にビンタするシーン。生と死が隣り合わせの世界で生きてきた三十郎の姿が垣間見えるシーンでした。

 また、本作品にコミカルな場面が多いのも特長です。特に脇役である入江たか子演じる奥方と団令子演じる姫君、そして小林桂樹演じる人質役の3人が笑いを誘います。

 悪役に関して言うと、前作に引き続いて仲代達矢が登場。本作品では前作のニヒルな悪役とは打って変わり、三十郎と裏表の関係にある武士として迫力のある演技を見せてくれます。

 もちろん、前作同様に三十郎の迫力ある殺陣シーンも健在です。特にラストの仲代達矢演じる敵との一対一の対決シーンは映画史に残る伝説的な殺陣シーンです。2人が向き合い牽制している時のただならぬ緊張感。そして次の瞬間、目にも止まらぬ速さで三十郎の刀が舞い、敵の胸から血が激しく噴出す。その迫力は見ていて度肝を抜かれます。

上映時間 98分
製作国 日本
製作年度1962年
監督: 黒澤明 
原作: 山本周五郎『日々平安』
脚本: 菊島隆三  小国英雄 黒澤明 
撮影: 小泉福造   斎藤孝雄 
美術: 村木与四郎 
音楽: 佐藤勝 
出演: 三船敏郎、仲代達矢、小林桂樹、加山雄三、団令子
志村喬 、藤原釜足、入江たか子、清水将夫、伊藤雄之助 
久保明 、太刀川寛、土屋嘉男、田中邦衛、、江原達怡吾
平田昭彦 、小川虎之助

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『ゴッドファーザー PART III』この映画を見て!

Photo 第215回『ゴッドファーザー PART III』
 今回紹介する作品は前作から15年ぶりに製作されたシリーズ最終章『ゴッドファーザー PART III』です。 

ストーリー:「1979年。マイケル・コルレオーネは慈善事業の実績によってバチカンから聖セバスチャン勲章を授与される。しかし、その一方で自分がこれまでに犯してきた数々の罪と糖尿病に苦しんでいた。マイケルはバチカンの加護を得て一切の犯罪から手を引くことを宣言したが後継者に長兄ソニーの息子である気性の荒いヴィンセントを立てたことから内部抗争に火がついてしまう。
 またマイケルは大司教と手を組み、バチカンの銀行を利用してヨーロッパのコングロマリットを手に入れようとする計画を立てていたが、敵が立ちふさがり、命を狙われることになる。」

 本作品は1作目・2作目に比べると完成度は落ちます。その理由として、監督の配役ミスがあります。
 まずロバート・デュバルがギャラの関係で降板して、1作目から重要な脇役だった弁護士トムが登場しないこと。彼が登場すれば本作品は完結編としてもっと面白くなったと思います。
 また本来ウィノナ・ライダーが演じる予定だったマイケルの娘役を体調不良による降板から、監督の娘であるソフィア・コッポラが急遽代役として立てたことも大きな失敗だったと思います。頑張って演技していたとは思いますが、やはり他の役者と比較すると演技が浮いています。

 あと、映像やストーリー展開もキレや重厚さがありません。ヘリコプターからの銃撃シーンはこのシリーズには相応しくないようなアクションシーンですし、バチカンの銀行をめぐる駆け引きも説明不足で緊張感に欠けていました。

 最初にあれやこれやと本作品への不満を書いてしまいましたが、決して退屈な駄作というわけではありません。
 私は本作品を見た時、最後のマイケルを襲う悲劇に思わず泣いてしまいましたし、ラストの切ない終わり方も本作品の締めくくりに相応しいと思いました。
 本作品はファミリーを守り発展させるために数々の罪を重ねたマイケルの老いてからの後悔と苦悩を描いており、1作目・2作目の頃のクールなマイケルの姿を求める人からみると違和感があるかもしれません。私は本作品のマイケルの弱々しく痛々しい姿に老いからくる孤独と哀愁を感じました。
 
 本作品は単体で見るとイマイチかもしれませんが、1作目から3作目まで通してみると、人生の因果応報や栄枯盛衰がドラマチックに描かれた映画史に残る傑作です。ぜひ3作通して見てください!

上映時間 162分
製作国 アメリカ
製作年度 1991年
監督: フランシス・フォード・コッポラ 
脚本: フランシス・フォード・コッポラ,マリオ・プーゾ 
撮影: ゴードン・ウィリス 
作詞: ジョン・ベティス 
音楽: カーマイン・コッポラ, ニーノ・ロータ 
出演: アル・パチーノ、ダイアン・キートン、アンディ・ガルシア、タリア・シャイア 
ソフィア・コッポラ 、フランク・ダンブロシオ、リチャード・ブライト ジョン・サヴェージ 
ジョージ・ハミルトン 、ブリジット・フォンダ、イーライ・ウォラック 
ジョー・マンテーニャ

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夜会VOL.15ポスター公開!

15  今年の冬に東京と大阪で公演される中島みゆきの15回目となる夜会、~夜物語~「元祖・今晩屋」。そのポスターが公開されました。
 
 みゆきさんが夜会制作発表の際に「和の要素を盛り込みながらの不思議ワールド」とコメントしたように、和服姿の中島みゆきの横顔が印象的なポスターとなっています。
 
 
Photo夜会の公式サイトには今回の夜会で歌われる歌詞の一部分が掲載されているのですが、それがまた意味深な内容です。
 「涙の輪廻」、「来世」、「垣衣」、「萱草」、「誓いを戻せ除夜の鐘」とみゆきさんらしい難解な言葉を取り込んだ独特な言い回しが印象に残ります 最近の夜会は輪廻転生をテーマにして生きているので、今回もその延長の作品になるのかなと勝手に思ったりするのですが「裏切り前の1日へ誓いを戻せ除夜の鐘」というフレーズがとても気になります。今回の夜会が一体どういう物語で何をテーマにして伝えようとしているのか今から興味津々です。

 私も大阪公演のファンクラブによるチケット優先販売の抽選に申し込みをしたのですが、ぜひチケットを当てて行きたいものです。



 

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『用心棒』この映画を見て!

第214回『用心棒』
Photo  今回紹介する作品は黒澤明監督による痛快娯楽時代劇『用心棒』です。今までの舞台で繰り広げられる様式美でなく、リアルな殺陣を目指した本作品は、それ以降の時代劇に大きな影響を与えました。
 また西部劇のような時代劇を目指して製作された本作品は海外でも人気を博して、イタリアで『荒野の用心棒』として、アメリカで『ラストマン・スタンディング』としてリメイクされました。

ストーリー:「二つのやくざ勢力が対立する荒涼とした宿場町に、自称“桑畑三十郎”と名乗る腕利きの浪人が現れた。居酒屋の主人から町の事情を聞いた三十郎は同士討ちを仕組もうと、両方の勢力に用心棒として売り込み始める。しかし、そこに拳銃片手に首にスカーフを巻いたキザな男“新田卯之助”が帰郷する。」

 本作品の魅力は何といっても三船敏郎演じる三十郎というキャラクターのカッコよさです!
 三十郎のくいっくいっと肩をいからせて歩く気迫に満ちた姿、粋なセリフを言い回す渋い声、目にも止まらぬ速さの殺陣。三十郎の立ち振る舞いの一つ一つが見ていて惚れ惚れとします。
 また、一見飄々としてクールな男のように見えながら、実は悪を憎み正義に燃える優しい男というところも見ていて好感が持てます。

 脇役の演技も素晴らしいです!ニヒルでしぶとい拳銃使いを演じた仲代達也、口の悪い居酒屋の主人を演じた東野栄治郎、女郎屋の憎々しい女将を演じた山田五十鈴、調子ばかり良い間抜けなヤクザを演じた加東大介と、登場する役者一人一人が個性的で見た後に印象が残ります。

 本作品の面白いところは剣の達人が主人公だからと言って、むやみやたらに剣を振り回さず、知恵と度胸で敵を壊滅させようとするところです。三十郎がどうやって敵を欺くのか、どうやって敵を追い込むのか、見ていてワクワクしました。

 黒澤監督の演出は日本の時代劇よりアメリカの西部劇を意識していると感じました。街の中での対立するヤクザ同士の抗争という舞台設定や、仲代達矢がピストルを持って現れたり、クライマックスの決闘シーンで砂嵐が吹いているところなど西部劇を見ているような感じです。黒澤監督はジョン・フォードの映画が好きだったので、きっと本作品を制作するとき、三船敏郎にジョン・ウェインを重ね合わせたんじゃないかなあと見ていて思いました。
 また、コミカルな演出が多いのも特長で。火の見櫓の上や棺桶の中から主人公がヤクザ同士の抗争を見物したり、敵に主人公が隠れている棺桶を担がせるなど、見ていて笑えるシーンが随所にあります。

 もちろん殺陣シーンも工夫が凝らされており、三十郎が敵の腕を切り落とすショッキングなシーンや、他の映画みたいに敵が主人公に向かうのでなく、主人公が敵の方に自ら斬り込んでいき、一瞬の間に敵が倒れていくリアルかつスピード感溢れる演出は強烈なインパクトがあります。

 映画のラストも主人公が居酒屋の親父に「あばよ」と言って颯爽と去っていくという清々しい演出で見ていて気持ちよい終わり方になっています。

 本作品は古い作品ではありますが、今見ても大変面白い作品です。ぜひ未見の方は一度見ることをお勧めします! 

上映時間 110分
製作国 日本
製作年 1961年
監督: 黒澤明 
脚本: 黒澤明   菊島隆三 
撮影: 宮川一夫 
美術: 村木与四郎 
振付: 金須宏 
音楽: 佐藤勝 
記録: 野上照代 
照明: 石井長四郎 
出演: 三船敏郎、 仲代達矢、 司葉子、 山田五十鈴、 加東大介 
河津清三郎 、 志村喬、 太刀川寛、 夏木陽介、 東野英治郎、 藤原釜足
 

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