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2008年8月17日 - 2008年8月23日

『ダークナイト』この映画を見て!

Photo 第214回『ダークナイト』
 今回紹介する作品は全米で『タイタニック』に次いで歴代興行収入第2位という記録的大ヒットをしている『ダークナイト』です。
 本作品は2005年に公開された『バットマンビギンズ』の続編です。前作は今まで公開されてきた4本の『バットマン』シリーズと打って変わって、シリアスでダークな作品になっており今までと違うリアル志向の作風が大変反響を呼びました。
『バットマンビギンズ』では幼い時に両親を暴漢に殺された主人公ブルース・ウェインがいかにしてバットマンになって闘うようになったのかを、内面の葛藤と成長に焦点を当てて重厚に描いてました。
 本作品も前作同様にブルース・ウェインの内面の葛藤に焦点を当てて、シリアスかつダークな作品に仕上げています。

ストーリー:「ゴッサムシティに白塗りの顔に裂けた口の“ジョーカー”と名乗る正体不明の男が突如現れて、次々と凶悪事件を引き起こしていく。そんな中、新しく赴任した地方検事のハービー・デントは正義感に燃え、バットマンやゴードン警部補と協力してマフィアによる犯罪の一掃を進めていこうとする。
 そんな頃、マフィアはジョーカーと手を組み、バットマンの抹殺を企てる。ジョーカーはバットマンを窮地に追い込むための謀略を開始。ジョーカーによる凶行にゴッサムシティは混乱と化していく。」

 本作品、私の中では今年の数ある夏休み映画であまり注目していない作品でした。しかし、ネット上での評価も高いし、アメリカでも記録的ヒットをしているし、面白いのかなあと軽い気持ちで見に行ったのですが、ここまで面白く完成度の高い作品だとは正直驚きました。
 私は今までバットマンシリーズではティム・バートンが監督した『バットマンリターンズ』が一番好きだったのですが、本作品がダントツの一番になりました。

 本作品は上映時間2時間30分とこの手の映画にしては長いのですが、盛りだくさんな内容と終始緊張感のある展開であっという間に時間が経ってしまいます。
 
 本作品の一番の見所は何といっても本作品出演後に薬物事故で亡くなったヒース・レンジャー演じる悪役ジョーカーの狂気迫る強烈な演技です!
 ティム・バートンの『バットマン』でジャック・ニコルソンが演じたジョーカーはどこかコミカルで茶目っ気がある悪人として描かれていたのですが、本作品のジョーカーは同情の余地が全くないほど極悪非道な悪人として描かれています。その凶暴かつ支離滅裂な振る舞いは次に一体何をしでかすのか、見ていて手に汗に握るものがありました。
 また本作品ではジョーカーの生い立ちに関して何も描かれていない分、どういう人間なのか分からず、得体の知れない不気味な人間としての存在感が際立っていました。

 本作品ではジョーカーのほかにもう1人トゥーフェイスという悪人が登場します。こちらに関しては、正義を追い求めていた人間がどういう経過でトゥーフェイスという悪人に変貌したのかを作品中で丁寧に描き、悪に落ちていく人間の弱さや脆さを象徴するキャラクターとなっています。
 ちなみにトゥーフェイスは『バットマンフォーエバー』という作品でも登場しており、トミー・リー・ジョーンズが奇抜なメイクとファッションでコミカルに演じていました。しかし、本作品のトゥーフェイスはメイクも目を背けたくなるほどリアルになっています。

 本作品はバットマン、ジョーカー、トゥーフェイスという3人の登場人物を通して、「人間の善悪の裏表の関係」、「人間の中に潜む憎悪と狂気」、「正義とは何か?」という重い問いを観る者に投げかけます。
 バットマンが活躍して悪人を退治しようとすればするほど、より過激な悪が生まれるという皮肉。
 また、正義や善を追い求めながら、個人的憎悪から悪に手を染めてしまう人間の哀しみ。
 そして、目的や価値観もない純粋な悪に立ち向かい正義を守るには、法を犯して自らも悪として闇に染まるしかないという切なさ。
 映画をラストまで見ると、本作品のタイトルに「バットマン」がなぜ付かず『ダークナイト』(闇の騎士)であるのか良く分かると思います。 
 
 私が本作品で一番印象的だったのは、クライマックスのフェリーでのシーン。ジョーカーが作り出した極限状態の中でどういう選択をするのか手に汗握ったのですが、人間そんなに捨てたもんじゃないという展開に人間という存在に対する希望の光みたいなものを感じました。

 もちろんアクションシーンも見所満載です。特に実際にシカゴの街中で撮影されたトレーラーの横転シーンやビルの爆破シーンは迫力満点でした。
 また、前回登場したバットモービルに続き、今回登場するバットマンの新兵器バットポッドが街を走り抜ける場面もカッコよかったです。

 テーマや雰囲気が暗く重いので、スカッとしたアクション映画を期待するとイマイチかもしれませんが、ここまで重厚で深く考えさせられるハリウッドの大作映画は近年なかったと思います。是非皆さん見てください!

上映時間:152分
製作国:アメリカ
製作年度:2008年
監督:クリストファー・ノーラン 
キャラクター創造: ボブ・ケイン 
原案:クリストファー・ノーラン、 デヴィッド・S・ゴイヤー 
脚本:ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン 
撮影: ウォーリー・フィスター 
プロダクションデザイン: ネイサン・クロウリー 
衣装デザイン:リンディ・ヘミング 
編集:リー・スミス 
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード、ハンス・ジマー 
出演:クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、ヒース・レジャー、ゲイリー・オールドマン、アーロン・エッカート、マギー・ギレンホール、モーガン・フリーマン、エリック・ロバーツ、ネスター・カーボネル

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