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2008年4月6日 - 2008年4月12日

『機動警察パトレイバー劇場版』この映画を見て!

第207回『機動警察パトレイバー劇場版』
Photo_2 今回紹介する作品は押井守監督が手がけるパトレイバーシリーズの劇場版第1作『機動警察パトレイバー劇場版』です。
 パトレイバーはヘッドギアというグループによって漫画とアニメが制作されています。グループには5人のクリエイターがおり、ゆうきまさみが原案、出渕裕がメカニックデザイン、高田明美がキャラクタデザイン、平成ガメラシリーズも手かげた伊藤和典が脚本、そして押井守が監督を担当しています。
 パトレイバーは汎用多足歩行型作業機械「レイバー」が普及した近未来の東京を舞台にレイバーによる犯罪を防ぐために警視庁内に発足された「特殊車両二課中隊」、通称「特車二課」の第二小隊の隊員たちの活躍と成長を描いていきます。
 1988年に押井守監督によるOVAが6巻発表され、ゆうきまさみによる漫画版も少年サンデーに連載開始、その1年後に今回紹介する劇場版が発表されました。

 劇場版パトレイバーは現在3作目まで制作されています。完成度の高さや押井監督作品としての評価は2作目の方が高いですが、1作目にあたる本作品が娯楽作品としては一番面白いです。
 
 ストーリー「東京でレイバーが突如暴走する事件が多発。その原因を探っていた第2小隊の篠原遊馬巡査は暴走した機体すべてに搭載されていた最新型のオペレーティングシステム「HOS」ではないかと推測する。同様の疑念を抱いていた第2小隊長・後藤は「HOS」の主任開発者だった帆場英一の捜査を本庁の松井刑事に依頼していた。」

 本作品の凄いところはOSやコンピューターウィルスなどの知名度がまだ低い時代にストーリーの核にそれらをもってきているところです。その為、今見ても古臭さがなく、むしろ今だからこそリアリティをもって見ることができます。
 またレイバーの暴走に始まり最終的に大規模なサイバーテロへと発展するスケールの大きな展開や、前半に張りめぐらされた伏線の数々が後半に次々と明かされるシナリオの緻密さなども本作品のストーリーの素晴らしいところです。

 映像面のクオリティも高く、今見ても遜色はありません。特に都市化によって消え行く東京の懐かしい下町の情景を哀惜をこめて描いた美術や蒸し暑い日本の夏の風景を丁寧に表現した演出は非常に印象的でした。

 押守監督は事件の首謀者である帆場を映画の冒頭で死んだ設定にして、彼の残された意思のみが存在しつづけて事件を引き起こすという展開にしていますが、そこに監督の映画で常にテーマとなる都市化による存在の虚構化が押し付けがましくなく見事に描かれていると思います。
 また個人と組織の対立、現場と上層部の対立のドラマも非常に見ごたえがありました。(ちなみに『踊る大捜査線』は本作品の影響を強く受けています。)

 もう20年近い前の作品でありますが、今見ても色あせることのない傑作です。ぜひ一度ご覧になってください! 

上映時間 98分
製作国 日本
制作年 1989年
監督: 押井守 
演出: 澤井幸次 
企画: ヘッドギア 
原作: ヘッドギア 
原案: ゆうきまさみ 
脚本: 伊藤和典 
撮影監督: 吉田光伸 
美術監督: 小倉宏昌 
編集: 森田編集室 
音楽: 川井憲次 
音響監督: 斯波重治 
作画監督: 黄瀬和哉 
出演:古川登志夫。冨永みーな、 大林隆介、榊原良子、井上瑶、池水通洋
二又一成 、郷里大輔、千葉繁、阪脩、辻村真人、西村知道、小島敏彦

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『クローバーフィールド/HAKAISHA』この映画を見て!

第206回『クローバーフィールド/HAKAISHA』
Photo  今回紹介する作品はニューヨークの自由の女神が破壊される衝撃的な予告編以外公開されるまで徹底した秘密主義が貫かれて話題となった怪獣映画『クローバーフィールド/HAKAISHA』です。

 ストーリー:「日本への転勤が決まったロブを祝うため、パーティが開かれていた最中に突如として爆音がニューヨーク中に鳴り響く。外の様子を見に屋上へ向かうとダウンタウンが炎に包まれていた。急いで外に非難と今度は破壊された自由の女神の頭部が落ちてくる。」
 
 本作品は怪獣によるニューヨーク攻撃に遭遇した一市民のビデオ撮影を通して全編描いています。その為、ニューヨークが今どういう惨状で、軍や政府がどう動いているのか、そして怪獣の正体は何だったのかも最後まで全く分りません。(そのもどかしさが人によってはイライラするかもしれませんが・・・)
 大抵の怪獣映画では科学者や軍人が出てきて説明をしたり、怪獣の姿を俯瞰で捉えた映像が出てきたりして、全体状況の説明を観客に向かってするものです。しかし、本作品それを全く省き、突然の惨事に巻き込まれた市民たちの恐怖や絶望、そして何とか生き延びようとする姿に焦点を当てて、今までの怪獣映画にはない臨場感を出しています。
 良く似た作りの作品にスピルバーグ監督の『宇宙戦争』がありましたが、あの作品は最後の展開がご都合主義だったのに対して、本作品は最後まで絶望感に満ちており楽しめました。 

 映像も素人が逃げながら撮影したという設定のために非常に見にくいのですが、その迫力と特撮の細やかな作りはなかなかのものです。炎に包まれ倒壊するビルと迫り来る砂塵、ビルの谷間を走り抜ける怪獣と攻撃する軍隊とスケールの大きな映像が断片的に映し出され、観客の想像力を刺激します。
怪獣もチラチラと映し出されるのですが、見た目は今ひとつインパクトがなかったような気がします。ただ、あれだけの攻撃を受けても暴れまわるとは不死身な奴ですねえ。

本作品は『M:I:Ⅲ』の監督であるJ・エイブラムスが日本に立ち寄った際に見たゴジラのフィギュアからヒントを得て企画したそうです。その為、映画の随所に日本を意識したシーンが盛り込まれまれていますし、ラストに流れるテーマ曲もゴジラの曲に大変似ています。
 また作品の内容としても『ゴジラ』が戦後間もない東京を舞台に製作されたのと同じように、本作品も911のテロ後間もないニューヨークを舞台に製作されているところも大変似ています。『ゴジラ』が当時見た人に東京大空襲を思い起こさせたのと同じように本作品を見たアメリカ人は911のテロが頭の中を過ったと思います。そう意味では本作品は以前リメイクされたローランド・エメリッヒ版『GODZILLA』以上に正当な『ゴジラ』のリメイクだと思いました。
 
 本作品は考える映画ではなく、テーマパークのアトラクションのようにひたすら体感する映画です。怪獣に攻撃された街の中で逃げ惑う主人公たちの姿に感情移入して約80分間の恐怖と絶望を味わってみてください!
  ただ人によっては画面に酔うかもしれないのでご注意を!

公式サイト:http://www.04-05.jp/

上映時間 85分
製作国 アメリカ
製作年 2008年
監督: マット・リーヴス 
脚本: ドリュー・ゴダード 
撮影: マイケル・ボンヴィレイン 
プロダクションデザイン: マーティン・ホイスト 
衣装デザイン: エレン・マイロニック 
編集: ケヴィン・スティット 
出演: マイケル・スタール=デヴィッド、マイク・ヴォーゲル、 オデット・ユーストマン、リジー・キャプラン、ジェシカ・ルーカス

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