『ハンニバル』映画鑑賞日記
『羊たちの沈黙』から10年後に発表された続編『ハンニバル』。私は本作品を公開当時に劇場まで足を運んで見たのですが、前作に比べるともう一つの出来でした。
確かに監督がリドリー・スコットだけあって、映像はとても美しいですし、前作以上にショッキングなシーンも幾つかあり、飽きることなく最後まで見ることができます。
しかし、前作にあった張り詰めた緊張感や身の毛もよだつ恐怖感がなく、人物描写も掘り下げが浅いです。
またストーリーの展開も無理がありますし、主人公たちの内面描写がほとんど描かれていないため、ラストの晩餐シーンも見た目は強烈ですが、それ以上のものを感じませんでした。
その為、サスペンスとしても人間ドラマとしても前作には及ばず、上品な雰囲気を漂わせたスプラッタースリラーに成り下がってしまいました。
さらに前作で主人公クラリスを演じたジョディ・フォスターが降板して、ジュリアン・ムーアに交代したことも面白さを半減させています。まあ、原作を読んだらジョディ・フォスターが降板するのも無理はありませんが、・・・。。ジュリアン・ムーアも演技派の女優で頑張ってクラリス役を演じたとは思いますが、どうしても前作のジョディ・フォスターの演技が強烈で違和感がありました。
ただ、クライマックスシーンのセクシーなドレス姿はジョディ・フォスターでは出せない大人の女性の色っぽさが出ていたとは思います。
レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスの演技は落ち着きがあり、安心して見られます。特に映画の前半のイタリアでのレクター博士は知性と狂気が入り混じり、背筋がゾクッとします。
しかし、前作ほどの迫力はなかったような気がします。レクター博士は檻の中に入っていた方が不気味で魅力的なような気がしました。
また、ゲイリー・オールドマンも特殊メイクで素顔を一切見せず、不気味な悪役を嬉しそうに演じてましたし、ジャンカルロ・ジャンニーニの人間臭い味のある演技も非常に印象的でした。
本作品は前作と比較せず別物として見れば、芸術的な猟奇映画としてそこそこ楽しめると思います。
上映時間 131分
製作国 アメリカ
製作年度 2001年
監督: リドリー・スコット
製作: ディノ・デ・ラウレンティス
マーサ・デ・ラウレンティス
原作: トマス・ハリス
脚本: デヴィッド・マメット
スティーヴン・ザイリアン
撮影: ジョン・マシソン
音楽: ハンス・ジマー
出演:
アンソニー・ホプキンス
ジュリアン・ムーア
ゲイリー・オールドマン
ジャンカルロ・ジャンニーニ
フランチェスカ・ネリ
フランキー・フェイソン
レイ・リオッタ
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