『サイコ』この映画を見て!
第231回『サイコ』 今回紹介する作品はサスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の代表作『サイコ』です。
私が本作品を始めてみたのは、中学生のときに深夜のテレビ放送のときでした。その時は昔の映画だから今見ると退屈かなと思って最初見ていたのですが、終始漲る緊張感と予想外の展開に最後まで画面に釘付けになったものでした。
ストーリー:「会社の金を横領した女が逃げる途中に立ち寄ったベイツ・モーテル。そこの管理人の青年ノーマンは年老いた“母”が離れ家にいた。女は部屋でシャワーを浴びて一息つこうとするが、その時に背後から正体不明の女性にナイフで切りつけられる。」
本作品の最大の見所は何といっても、中盤のシャワーでの惨殺シーン。モノクロ映像ながら真っ赤な血がまるで飛び散っているかのように見えるヒッチコック監督の演出は今見ても衝撃的です。バーナード・ハーマンの弦楽器を利用した観客の不安感を煽る音楽にあわせて映し出される細かなカット割りの映像。体にナイフが直接刺されるカットは一度もないにもかかわらず、見ている側は女性が刺されたシーンを見たかのような錯覚に陥ります。
ヒッチコック監督はこのシーンの撮影に一週間も費やし、70回以上カメラのアングルを変えて、ナイフを犠牲者の体に一度も触れさせずに、まるで刺されたように撮影したそうです。
また、本作品の面白いところは前半と後半で主人公が変わってしまうところです。私は最初見た時、主人公だと思った女性が中盤に死んでしまってびっくりしました。映画の前半は後半の謎解きのための長い前フリという非常に大胆な展開です。
映画の後半に関しては未見の方もいらっしゃると思うので詳しく書きませんが、予想外のショッキングな結末は始めて見る方は驚くと思います。
ただ、最後に医師が真相を語るシーンは少し語りすぎのような気がします。
映画の冒頭のソウル・バスが手がけたタイトルデザインも秀逸で、バーナード・ハーマンの緊張と不安を煽る音楽と共に、観客を映画の中に一気に引き込みます。
アンソニー・パーキンスは一世一代のはまり役で、本作品に出演後、どの映画に出演しても本作品のイメージがダブってしまいます。
なお、本作品は続編やリメイクも制作されていますが、1作目に比べると残念な出来栄えです。
またヒッチコック監督を尊敬するブライアン・デ・パルマ監督は本作品にインスパイアされた『殺しのドレス』という作品を製作しています。本作品の出来には及びませんが、これはこれで面白い仕上がりになっています。
本作品は予想外の展開の連続で、今見ても十分に面白い作品です。未見の方はぜひ前情報なく見てください!
上映時間 109分
製作国 アメリカ
製作年度 1960年
監督: アルフレッド・ヒッチコック
製作: アルフレッド・ヒッチコック
原作: ロバート・ブロック
脚本: ジョセフ・ステファノ
撮影: ジョン・L・ラッセル
音楽: バーナード・ハーマン
タイトルデザイン: ソウル・バス
出演: アンソニー・パーキンス
ジャネット・リー
ジョン・ギャヴィン
ヴェラ・マイルズ
マーティン・バルサム
サイモン・オークランド
ジョン・マッキンタイア
ジョン・アンダーソン
パトリシア・ヒッチコック
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